【相続・遺言について】相続財産②(生命保険)

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続財産②(生命保険)について考えてみたいと思います。

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【Q】父は生前に私を保険金の受取人とする生命保険契約を締結していました。この度、父が亡くなり、保険会社から保険金が支払われることになりました。

①この生命保険金も、父の相続財産に含まれるのでしょうか?私が保険金全額を受け取った場合、遺産分割に何か影響はありますか?

②保険金の受取人が「相続人」とされていた場合はどうなるのでしょうか?

【A】◆生命保険金と相続

①生命保険金が相続財産に含まれるか否かは、保険金受取人としてどのような指定がなされているかにより結論が異なります。

受取人が被相続人自身であった場合、観念的には生命保険金はいったん被相続人に帰属すると考えられるため、相続財産に含まれることになります。これに対し、受取人が「相続人」と指定されていたり、相続人のうち特定の者と指定されていたりした場合、生命保険金は相続財産とはならず、受取人固有の財産となるとされています。

本件ではあなたが受取人として指定されていたのですから、生命保険金は相続財産には含まれません。あなたは、相続によってではなく、保険契約による固有の権利として保険金請求権を取得することになります。

それでは生命保険金を取得したあなたと他の相続人との関係はどうなるのでしょうか?遺産分割にあたり相続人による生命保険金の取得という事情が考慮されるか否かが問題となります。

これは、生命保険金が特別受益となるか否かという問題です。仮に特別受益とされるのであれば、これを相続分の前渡しとみて、計算上この生命保険金を相続財産に加算して相続分を算定することになります。

この点については、生命保険金は、原則として特別受益とはならないとされています。したがって、原則として、生命保険金を取得したからといって、遺産分割において、あなたの相続分が減らされるわけではありません。

もっとも、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平感が到底是認することができないほど著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、特別受益に準じて処理すべきとされています。

具体的には、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を考慮して判断されます。

個々の事案によって結論が異なることになります。あくまでも他の事情にもよりますが、生命保険金の額が相続財産の総額に匹敵するほどの額であった場合は、著しい不公平な状態であると評価されやすいでしょう。

②保険金の受取人が「相続人」とされていた場合も同様です。判例では「被保険者死亡の場合の受取人を特定人の氏名を挙げることなく抽象的に指定している場合でも、保険契約者の意思を合理的に推測して、保険事故発生の時において被指定者を特定し得る以上、右の如き指定も有効であり、特段の事情のないかぎり、右指定は、被保険者死亡の時における、すなわち保険金請求権発生当時の相続人たるべき者個人を受取人として特に指定した」ものと解するのが相当とされています。

したがって、この場合でも、生命保険金は相続財産には含まれません。なお、相続人が複数いる場合の各相続人が保険金を受け取る割合については、各相続人が平等に取得するという説もありますが、判例は、原則として、法定相続分の割合による分配とする見解に立っています。

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