【改正民法債権編】賃貸借契約の終了等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借契約の終了等について考えてみたいと思います。

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賃貸借契約の終了等

賃貸借の終了等につき、主として従来の考え方を明文化

 

◆賃借物の一部消滅等による賃料の減額等
賃借物の一部滅失等について、従来は賃借人に過失がない場合、賃借人からの賃料減額請求を待って初めて減額されましたが、新法では、賃借人に帰責事由がない限り、当然に減額されることになりました(新法611条1項)。

また、従来は一部滅失の場合、賃借人に過失がない場合のみ解除を認めていましたが、新法では、一部使用・収益ができない場合で、かつ、賃借人に帰責事由があっても解除を認めました(同2項)。

問題は、一部滅失の場合だけでなく、「その他の事由」により、一部の使用・収益ができなくなった場合にも減額や解除が認められている点です。
たとえば、災害により一時的に使用ができなくなった場合、賃料の減額や解除が認められるか今後争いが出てくる可能性があります。

減額は、「使用・収益をすることができなくなった部分の割合」に応じて認められます。たとえば、2LDKのマンションのキッチンだけが雨漏りで使えなくなった場合、家族で生活していて自炊する賃借人であれば使用に著しい影響が生じるでしょうし、1人暮らしで自炊をまったくしない賃借人であればほとんど生活に影響がないかもしれません。こういった賃借人の個別事情も加味して割合を算定するのか、それとも面積の割合で算定するのかなどを、契約書であらかじめ定めておくことが必要になると考えられます。

 

◆賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
賃借物の全部滅失等について、従来は明文の定めはありませんでしたが、新法は、賃借物の全部滅失等の場合、賃貸借契約は当然に終了するとする判例法理を明記しています(新法612条の2)。当然に終了するため、賃借人は解除の意思表示をする必要はないことになります。

 

◆賃借人の原状回復義務
新法では、「通常の使用・収益によって生じた賃借物の損耗ならびに賃借物の経年変化(いわゆる通常損耗)」については、賃貸人が負担するものとし、それ以外の「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷」でかつ、賃借人に帰責事由が認められるものに限り、賃借人が原状回復義務を負うことを明記しました(新法621条)。

賃貸住宅については原状回復等の範囲に関してトラブルが多く、国土交通省は、平成5年に「賃貸住宅標準契約書」を、平成10年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定し、その後も判例などを踏まえて改定してきました。新法は、これらガイドラインや判例法理を明確化したものであり、不動産実務への影響はそれほどないと考えられます。

 

◆敷金
従来、敷金については不動産賃貸借の実務上、当然のように授受がされていましたが、その定義や法律関係を定める規定はありませんでした。
新法では、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」ことが明記されました(新法622条の2第1項)。

また、賃借人に敷金返還請求権が発生するのは、①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき(同項1号)と、②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき(同項2号)であることを明記しました。さらに、目的物の明渡し時までに発生した未払いの賃料や原状回復費などの敷金への充当は賃貸人の権利であり、賃借人が賃貸人に求めることはできないことが明記されました(同条2項)。

敷金か否かはその実質で判断されるので、保証金等の名目で金銭の授受があっても敷金と認定される可能性があります。たとえば、賃貸物件を購入した新所有者が賃貸人たる地位の移転を受けた場合、敷金返還債務も承継することになりますが、旧賃貸人が賃借人から受領していた金銭が保証金等の名目であったことから、敷金返還債務を承継しないと考えていたとしても、これを承継するリスクが生じることになります。
そのため、保証金等を敷金と区別するため、その内容をきちんと定めておく必要があります。

【改正民法債権編】賃貸人たる地位の移転等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸人たる地位の移転等について考えてみたいと思います。

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賃貸人たる地位の移転等

地位の移転等に関して、主に従来のルールを明文化

 

◆不動産の賃貸人たる地位の移転
不動産賃貸借に対抗要件が備わっている場合、賃借人の承諾がなくても、不動産の新所有者に賃貸人たる地位が移転します(新法605条の2第1項)。

たとえば、アパートやマンションの引渡しを受けている賃借人は、借地借家法31条の対抗要件を備えているので、オーナーが変わっても、当然に新しいオーナーとの間で従来と同じ賃貸借が存続することになります。
もっとも、不動産の売買当事者が賃貸人たる地位を旧所有者に留保し、当該不動産を新所有者が旧所有者に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は移転しません。

なぜ、このようなことをするのか疑問に思われるかもしれませんが、たとえば、賃貸による収益を目的とした商業用不動産を所有する事業者が、投資家に当該不動産の所有権を譲渡しつつ、当該投資家からマスターリース(一括の賃貸借)を受け、そのままサブリース(転貸借)によって不動産の管理を継続するような場合が想定されます。

ただし、この場合であっても、新旧所有者間(その承継人を含みます)との間で賃貸借契約が終了したときは、旧所有者に留保されていた賃貸人たる地位は、新所有者またはその承継人に移転します(同2項後段)。

賃貸人たる地位の移転が生じたことを新所有者が賃借人に対抗するには、所有権移転登記をする必要があります(同3項)。ただし、新所有者が所有権移転登記をしていなくても、賃借人のほうから新所有者を賃貸人と認めて賃料等を支払うことは認められます。

賃貸人たる地位の移転が生じたときは、費用償還債務(法608条)及び敷金返還債務(新法622条の2)を新所有者またはその承継人が承継することになります(新法605条の2第4項)。
特に敷金の承継については、敷金が差し入れられていることについて新所有者の認識の有無は問われません。また、不動産の譲渡にあたって新所有者が旧所有者から敷金相当額の補償を受けていたかも問われません。

これら不動産の賃貸人たる地位の移転に関する規律は、基本的には従来の判例法理を明記したものであり、不動産実務に影響はありません。
もっとも、賃貸人たる地位の留保については、新旧所有者の間で留保の合意があっただけでは、賃貸人たる地位の移転が生じない特段の事情には該当しないとする判例があったため、このような合意をしても賃貸人たる地位の移転が生じてしまうリスクがありました。そのため、実務では、すべての賃借人から、賃貸人の地位の留保の合意について承諾を受けるなどしていました。改正により、こうした不都合の開扉が期待されます。

 

◆合意による不動産の賃貸人たる地位の移転

借地借家法や農地法により対抗要件を備えることができない場合、実務上、不動産賃貸借の登記をすることは通常ないため、新法605条の2第1項を適用することができません。このような場合であっても、新旧所有者が合意すれば、賃借人の承諾がなくても、賃貸人たる地位を新所有者に移転させることができること等が定められました(新法605条の3)。
たとえば、駐車場の賃貸借などが想定されます。

 

◆転貸の効果
賃借人が目的物をさらに賃貸することを転貸といいます。従来、転借人が賃貸人に対して直接に義務を負うと定めるのみで、その範囲は解釈に委ねられていました。
新法では、「転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」として、その範囲を明記しました(新法603条1項)。

また、賃貸人と賃借人が賃貸借を合意解除した場合、その当時債務不履行による解除権を有していた場合を除いて、合意解除を転借人に対抗できないことが明記されました(同3項)。たとえば、本当は債務不履行解除ができるものの、円満に解決するために、あえて合意解除をすることも実務ではありますが、賃貸借契約の終了を転借人に対抗できることになります。
これらは従来の判例法理を明確化するものであり、不動産実務に影響するものではないと考えられます。

【改正民法債権編】賃貸借の成立等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借の成立等について考えてみたいと思います。

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賃貸借の成立等

賃貸借の成立、存続期間、修繕等に関する規定を整備

 

◆賃貸借の成立
賃貸借の成立にあたって、「引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還すること」の合意も必要であることが新たに明記されました(新法601条)。

不動産賃貸借の場合、たとえばオフィスの賃貸借契約では、鍵の返還後に、数週間にわたって原状回復工事がされるケースがあります。
このような場合、賃貸人としては、原状回復工事が終わるまで他のテナントに貸せないため、鍵の返還と現状回復工事の終了のいずれをもって返還したといえるのかを契約書に記載しないと、賃料が発生する期間をめぐって争いが生じかねず、注意が必要です。

動産賃貸借の場合、たとえば動産リースにおいては、目的物の返還がされない場合が少なくありません。動産リースは、そもそも金融的な側面も強いことから、賃貸借と位置づけるかについて争いがありますが、賃貸借の規定が適用されると考えた場合、返還することの合意をしなくてはいけないとする新法との整合性については疑義が生じるところです。

 

◆賃貸借の存続期間
賃貸借の存続期間は、これまで上限が20年に制限されていましたが、50年に延長されました(新法604条)。

不動産賃貸借の場合、建物所有を目的とする借地や借家であれば、借地借家法により上限なく長期の賃貸借を締結することができますし、農地であれば上限50年とされていましたが、たとえばゴルフ場の敷地を目的とする賃貸借は上限が20年とされてきました。また、近時では、太陽光発電・風力発電といった再生可能エネルギーの用地を不動産賃貸借によって調達するニーズも高まっています。

これらの安定的な経営を図る上で、旧法の20年という上限が支障になっていました。
そこで、賃貸借の存続期間の上限を撤廃することも検討されましたが、例えば借地上の老朽家屋が空家のまま長年放置されて社会問題化していることからもわかる通り、あまりに長期にわたる賃貸借には弊害もあります。

そのため、耕作地などを借りる権利である永小作権の存続期間が上限を50年としていることを参照し、賃貸借の存続期間の上限を50年に延長することになりました。

 

◆賃貸人・賃借人による修繕等
(1)賃貸人による修繕等
賃貸人による修繕等については、賃借人に帰責事由がある場合、賃貸人が修繕義務を負わないことが明記されました(新法606条1項ただし書)。

(2)賃借人による修繕等
賃借人による修繕等については、次のいずれかの場合には、賃借人に修繕権があることが明記されました(新法607条の2)。
①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき(同1号)
②急迫の事情があるとき(同2号)

問題となるのは、上記①で修繕の必要がどのような場合に認められるかです。
たとえば、賃貸人が建物賃貸借の更新拒絶をし、その正当事由として、建物老朽化に伴う建替えの必要性等を主張したとします。この場合、期間満了までの間に賃借人が通知をした上で、必要な修繕工事をすることができるとすると、賃貸人はすぐに建て替えるつもりであるにもかかわらず、老朽化した建物に多額の修繕費用の支出を強いられる可能性もあります。
そのため、契約書で賃借人に修繕権が認められる範囲や時期を具体的に定めておくことが望ましいといえます。
ただし、アパートやマンションなどの居住用建物については、賃貸人に有利な条項を契約書で定めても消費者契約法により無効とされる可能性があるので注意が必要です。

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謹賀新年

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言の得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

 

新年あけましておめでとうございます

本年もお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます

 

弊所本日より仕事始めでございます。

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年末年始の営業について

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言の得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本年も残りわずかとなってまいりました。

当事務所の年末年始の営業についてご案内いたします。

・事務所の手続き業務は、12/29~1/3までお休みをさせて頂きます。

・お電話でのお問い合わせやご相談につきましては、上記期間内も受付させていただきます。

車庫証明のご依頼や、相続・遺言・成年後見等のご相談は、携帯電話へどうぞ。

携帯電話番号【090-2793-1947】

年始の仕事始めは1/4からとなりますので、よろしくお願い申し上げます。

【改正民法債権編】賃貸借に関する改正の概要

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借に関する改正の概要について考えてみたいと思います。

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賃貸借に関する改正の概要

主として不動産賃貸借に関する確立した判例法理や考え方を明文化

 

◆賃貸借とは
賃貸借とは、物の使用・収益を目的として、これに経済的な対価を支払う契約です。
民法上、物は不動産と動産に分かれるので(法86条)、賃貸借には、不動産賃貸借と動産賃貸借の2つがあることになります。たとえば、マンションやアパートを借りたり、レンタカーや映画・音楽のDVD・CDを借りることをイメージして下さい。

賃貸借に関する法改正の多くは、不動産賃貸借に関する確立した判例法理や考え方を明文化したものとなります。
不動産賃貸借の大半は、建物所有を目的とする借地や借家ですが、その対抗力、存続期間、更新等については、賃借人の保護を目的として定められた民法の特別法である借地借家法が適用されます。また、農地の場合、農地法が適用されます。

賃貸借の成立、賃貸人たる地位の移転、賃貸借の終了、あるいは太陽光発電・風力発電といった再生可能エネルギーの用地を目的とする不動産賃貸借については民法による規律が適用されますが、その多くは任意規定だと考えられているので、特約により変更できます。
そのため、今回の改正により、賃貸借の契約実務が大きく変わることはないものと考えられます。

もっとも、新法の中には新たなルールを定めるものもありますし、特約がない場合の原則を知ることは重要です。また、たとえば、借家の場合に多く行われている親族の連帯保証は個人根保証に関する新法の影響を大きく受けるなど、賃貸借以外の改正が契約実務に与える影響も無視できません。

 

◆新旧規定の適用関係
賃貸借のような継続的契約は、新法の施行前に締結されているケースも多いことから、新法が適用される賃貸借は何なのか整理することが重要になります。

賃貸借については、賃貸借の存続期間(新法604条2項)と不動産の賃借人による妨害の停止の請求等(新法605条の4)の規定以外、新法の施行日前に締結された賃貸借には適用されません。新法の施行日以降に更新がされた場合も、一部の例外を除いて、当該更新後の賃貸借に新法は適用されないことになります。

 

◆連帯保証人
マンションやアパートなどを借りる場合、通常は連帯保証人による連帯保証が必要とされています。
近年は、保証会社による連帯保証がみられるようになったものの、未だに多くの場合は、賃借人の親族等の個人が連帯保証人になっています。

新法では、個人根保証契約について契約書で極度額を定めなければならない等の新たな規律が設けられていますが、建物賃貸借の連帯保証も個人根保証に該当するので、実務への影響は少なくありません。

【改正民法債権編】売買に関するその他改正

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売買に関するその他改正

危険の移転、手付、買戻し等に関する規定を整備

 

◆目的物の滅失等についての危険の移転
旧法では、特定物の売買等において、売主の帰責事由によらずに目的物が滅失または損傷したときは、買主(債権者)がその滅失または損傷のリスクを負担する、すなわち買主はそのような場合でも自己の代金支払債務を免れないと定めていました。

そのため、法律上は、契約を締結した時点で目的物の滅失または損傷のリスクが買主に移転してしまうという不当な結論となっていました。
そこで、契約実務上は、目的物の引渡し時など、実質的に目的物が買主に移転したと考えられる時点に滅失または損傷のリスクが移転するよう、当事者間で別途合意がなされていました。

 

◆危険の移転に関する改正点
このような問題点を踏まえ、新法では、売主から買主への目的物の滅失または損傷のリスクの移転時期を、目的物の引渡し時と定めました。
そして、買主は、目的物の引渡し時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失または損傷が生じた場合、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができず、また、売買代金の支払を拒絶できない旨を規定しました(新法567条1項)。

仮に、滅失または損傷が、売主の責めに帰すべき事由によって生じた場合には、滅失等が引渡しの後に生じたものでも売主がそのリスクを負担すべきであることから、買主は、上記履行の追完等を売主に求めることができます。

また、売主が契約の内容に適合する目的物を引き渡そうとしたにもかかわらず、買主がそれを受け取らなかったとき(受領遅滞)は、売主による引渡しの提供を基準として滅失または損傷のリスクが移転し、引渡しの提供時以後、お互いの責めに帰することができない事由によって滅失または損傷が生じた場合、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができません(新法567条2項)。

 

◆手付
旧法では、いわゆる手付解除(不動産売買等における手付の放棄または倍戻しによる解除)について、「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」と表現していたため、文言上は、手付解除をしようとする者自身が履行に着手するとその後は手付解除ができなくなる、との解釈が可能でした。
しかしながら、手付解除は解除の相手方を保護する制度なので、相手方が履行に着手するまでは、自らが履行に着手していても手付解除を認めるべきであり、判例も同様の考え方を採っていました。

そこで、新法では、このような考え方を踏まえ、手付解除の要件につき、「相手方が契約の履行に着手した後は」手付解除ができないと定めて(新法557条1項ただし書き)、履行に着手した当事者の手付解除が可能であることを明確化しました。

また、売主からの手付解除(手付倍戻し)の要件として、旧法は、「売主はその倍額を償還」としていたため、現実の払渡しをしなくても倍額を現実に提供すれば手付解除できる、と解していました。
そこで、新法は、このような判例の考え方を明確化する趣旨で、「償還」を「現実に提供」に改めています(新法557条1項)。

 

◆権利移転の対抗要件に係る売主の義務
新法は、権利の移転を売買の目的とする契約において、売主の義務として登記、登録その他権利の移転についての対抗要件を買主に備えさせる旨を新たに定めました(新法560条)。
売主が、対抗要件具備のために必要な行為をする義務があるという判例・通説を明文化したものです。

 

◆他人の権利の売買における売主の義務
旧法でも、他人の権利の売買(他人物売買)は有効であり、売主は第三者から権利を取得して買主に移転すべき義務を負ってました。
新法では、移転すべき権利の全部が他人に属する場合のみならず、権利の一部が他人に属する場合にも、売主が移転義務を負う旨を明確にしました(新法561条)。

 

◆買戻し
買戻しとは、不動産の売買契約と同時にされる特約であり、売主は買主が支払った代金と契約の費用を返還して、後日売買を解除することができるというものです。
旧法は、買戻し特約による解除権の行使に際して売主が返還すべき金額について「買主が支払った代金および契約の費用」と定め、これは当事者の合意にかかわらず適用される規定(強行規定)と考えられていました。

新法では、売主が提供すべき金額を、「買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)」と定め、当事者の合意により任意に定めることができるように改正しました(新法579条)。
また、新法では、売買契約と同時に買戻し特約の登記をしたときは、その登記が第三者に対する対抗要件となることを明確にしました。

【改正民法債権編】売主の担保責任②

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売主の担保責任②

期間制限、競売における担保責任等の規定を整備

 

◆目的物の種類または品質に関する担保責任の期間制限
旧法は、瑕疵担保責任に基づく買主の権利行使につき、履行が終了したという売主の期待保護と法律関係の早期安定化の観点から、「事実を知った時から1年以内」という期間制限を設けていました。

加えて判例は、請求に際し、買主が「売主に対し具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の根拠を示す」必要があるとしていましたが、この内容は請求する側の買主に負担をかけるものでした。

新法では、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約不適合である場合の権利行使について、「不適合を知った時から1年以内」として旧法の期間制限を維持しつつ、損害賠償の請求にあたっては、売主に対し契約不適合があることを通知すれば足りるとしました(新法566条)。

ただし、売主が引渡し時に不適合について悪意または重過失であるときは、短期の期間制限でこのような売主を保護する必要がないため、期間制限は適用されません。
また、本規定の期間制限は、種類または品質の不適合にのみ適用され、数量不足や権利移転義務の不履行には適用されません。不履行事由が外形上、比較的明白な場合にまで売主の期待を保護する必要はないからです。
なお、本規定の短期の期間制限とは別途、買主の権利は債権に関する消滅時効にかかります。

 

◆競売における担保責任等
新法は、競売における買受人は、競売目的物の数量不足や移転した権利に契約不適合がある場合には、債務者に対し、契約の解除または代金減額請求をすることができる一方、競売目的物の種類・品質に関する不適合についてはこれを適用しない、と定めています。
これは、競売買受人はある程度の不適合の存在は織り込み済みであり、競売は債務者の意思に反して行なわれるといった理由によるものです。

 

◆売主の担保責任と同時履行
旧法は、売主の担保責任に基づく債務の履行に代わる損害賠償債務と買主の代金支払債務が同時履行の関係に立つ、すなわち売主が填補賠償債務の履行を提供するまでは、買主は代金支払債務の履行を拒むことができる旨を、双務契約から生じた債務間における同時履行の抗弁権の規定を準用する形で規定してました。

新法では、売主の担保責任が債務不履行責任であることを前提としているため、この準用規定は削除され、同時履行の抗弁権(新法533条)の規定を直接適用することになります。

 

◆抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求
新法570条は、買い受けた不動産について契約不適合の先取特権、質権または抵当権が付着していた場合に、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求できる旨を定めるものです。
なお、買主が抵当権等の実行により所有権を失った場合には、債務不履行の一般規定に従います。

【改正民法債権編】売主の担保責任①

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、売主の担保責任①について考えてみたいと思います。

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売主の担保責任①

履行の追完請求権、買主の代金減額請求権等の規定を整備

 

◆追完請求権
(1)履行の追完請求権の明文化
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対して、その修補を請求し、または代替物もしくは不足分の引渡しを請求することができる(履行の追完請求権)と定められました(新法562条1項)。売主に修補か代替物等の引渡しのいずれかを請求するかは、買主の選択によります。

旧法では、目的物に瑕疵があった場合に、買主が修補や代替物の引渡しを請求できるか否か、につき明文規定はありませんでした。
一方で、現在の取引実務においては、目的物が種類物か特定物かを問わず、追完による対応をすべきケースが多々見受けられます。

そこで、新法では、買主の履行の追完請求権を明文化することで、実務上認められていた買主の権利を明確化しました。
ただし、売主は、「買主に不相当な負担を課するものでないとき」は、異なる方法での履行の追完が可能です(新法562条1項ただし書)。契約不適合の内容によっては、売主の提供する追完方法を優先すべき場合も考えられる一方、追完方法の選択権は一次的には買主にあることから、売主の追完方法が認められる要件を限定的に定めるものです。

(2)「隠れた瑕疵」を「契約の内容に適合しない」に変更
旧法では、上述した「契約の内容に適合しない」という表現の代わりに、「隠れた瑕疵」の存在を売主の担保責任の要件としていました。
「瑕疵」とは、いわゆる物の欠陥(物理的な欠陥に限らない)を意味する用語ですが、広く一般的に使われる用語ではなく、また欠陥の内容や範囲も明確ではないという問題がありました。

そこで、新法では、瑕疵の有無の判断にあたって検討していた要素を具体的に条文化することで「瑕疵」の用語を廃止しました。
また、「隠れた」とは、瑕疵について買主が注意をしても発見できない、または瑕疵の存在を知らず、かつ知らないことに過失がないことを意味すると解されています。

しかし、過失があった買主の救済を一律に否定することの妥当性や、工業製品の売買など、当事者が契約締結時点で瑕疵の存在を認識していても、売主がその瑕疵を修補して目的物を買主に引き渡すべきケースがあることからすると、契約締結時における買主の善意無過失のみを問うことは、事案の解決として必ずしも適切ではありません。

むしろ、当事者が予定していた目的物の品質等がどのようなものであり、引き渡された目的物がその品質等に適合しているか否かを判断すべきと考えられることから、新法では「隠れた」という要件も廃止され、「契約の内容に適合しない」(契約不適合)という表現に変更されました。

 

◆買主の代金減額請求権
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量の点で契約の内容に適合しない場合に、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に追完がないときは、買主はその不適合の程度に応じた代金減額請求権を有することを定めています(新法563条1項)。

旧法では、権利の一部移転不能や数量不足の場合を除き、代金減額請求権は規定されていません。
しかし、代金支払いと売買目的物の引渡しという対価関係を考えれば、目的物に契約不適合があった場合には、不適合の程度に応じて代金減額請求権を認めるべきであることから、本規定が置かれました。

代金減額請求権の行使要件として、売主に対する履行の追完の催告が必要となりますが、追完の催告をせず直ちに代金減額を請求できる場合として、履行の追完が不能であるとき等、無催告解除の要件と同様の要件が定められています(同2項)。
なお、契約不適合につき買主に帰責事由がある場合は、買主は代金減額を請求することができません。

 

◆買主の損害賠償請求および解除権の行使
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合には、買主は債務不履行による損害賠償を請求し、または契約の解除をすることができると定めています(新法564条)。

これは、売主の担保責任が債務不履行責任であることを前提とするものです。ただし、債務不履行による損害賠償の要件が新法で改正されていることから、本規定においても「契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」の場合には、売主の免責が認められる一方、損害賠償の範囲は履行利益(履行されたなら得られた利益)にまで及ぶことになります。

 

◆移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の責任
新法は、売主が買主に移転した権利に、契約の内容に適合しない他人の権利による負担等が存在した場合、売主の債務不履行を構成し、買主が追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、解除権を有することを定めています(新法565条)。

旧法では、権利の瑕疵についても、物の瑕疵と同様、債務不履行の一般原則との関係が必ずしも明確ではありませんでした。
新法では、他の権利負担があり、これが契約の内容に不適合であれば、売主の債務不履行となると整理されました。

また、権利の一部が他人に属する場合に、その権利の一部を移転しないときも、同様に債務不履行を構成すると定められましたが、権利の全部を移転できない場合は、債務不履行の一般原則をそのまま適用すれば足りることから、あえて規定はされていません。