3⃣ 無縁墓に関する私法上の権利関係 ⑴ 国庫への帰属 ① 上記の無縁墓の改葬手続は、あくまで公法上の規則について定めたもので、これによって墓地使用権をはじめとする私法上の権利義務関係に変動を及ぼすものではありません。 ② 無縁墓に関する私法上の権利関係については、墓地の管理規則や使用規則に定めがあればそれにより、そのような定めがない場合には、民放の規定に従ってけっせられます。 ③ そして民放は、承継者のいない、または承継者が不明なお墓の権利の処理方法について特別の定めを設けていないため、結局のところ、無縁墓に関する権利は、ほかの相続財産と同様の処理手続に従って、国庫に帰属することになります。 ④ 具体的には、まず、利害関係人が家庭裁判所に対して相続財産管理人の選任を請求し、家庭裁判所が相続財産管理人を選任したときは、家庭裁判所はその旨の公告を遅滞なく行います。 ⑤ そして、家庭裁判所は6カ月以上の期間を定めて相続人の捜索の公告を行い、その期間内に相続人や特別縁故者がいないことが確定した場合には、お墓は、国庫に帰属することになります。 ⑥ しかし、上記の方法は大変煩雑で費用もかかるうえ、国がこのようなお墓を取得して墓地管理料や墓地使用料を支払い続けることは非現実的ですので、実際には、このような方法はとらないまま、改葬手続のみが行われているのが現状です。 ⑦ この場合、墓地使用権については、管理料や使用料の滞納により墓地使用権が消滅したとして私法上も処理することが可能ですが、墳墓の所有権に関する問題は、以前残されたままとなります。
⑵ そのほかの処理の可能性 ① 近年、特別縁故者の範囲を拡大解釈して、墓地管理者が特別縁故者にあたるとしたうえで、墓地管理者が、家庭裁判所に対して自らを祭祀主宰者に指定する旨の審判を申し立てることを認めようとする方法や、 ② 墓地管理者が、相続人の不存在を家庭裁判所に審判で確認した後に、あらためて、自らを祭祀主宰者に指定する旨の審判を申し立てることを認めようとする方法が有力に主張されています。 ③ これらの方法は、墓地管理者自身が祭祀主宰者としてお墓の権利を承継しようとするものであって、厳密には、無縁墓の処理方法ではありません。しかし、無縁墓に準じた処理方法として、また、改葬後の墳墓の所有権の問題が残らないというメリットもあり。注目されています。
4⃣ 永代供養墓 ① 祭祀主宰者による承継を前提としないお墓として、永代供養墓があります。永代供養墓とは、法律上の概念ではありませんが、一般に「墓を承継させることができない人のために墓地や納骨堂を提供して、管理供養はすべて墓地・納骨堂の経営者が永代にわたって行う墓」のことを言います。 ② 永代供養墓には、個人墓、夫婦墓、集合墓、共同墓などがあり、さらに一体しか納骨できないもの、先祖の遺骨も入れることができるもの、個別の骨壺に入れて納骨するもの、他の遺骨と合葬するもの、一定の年月は個別にしていて一定の期間が経過すると合葬するもの、といった具合にさまざまな形態があります。 ③ 公営や民営の霊園では、一般に永代供養を受け付けていませんが、寺院型墓地の場合、墓地管理者に永代供養料を支払い、先祖代々を永代にわたり供養してもらうように依頼することも考えられます。
5⃣ 結論 ① 無縁墓状態のままお墓を放置しておくことはご質問者ご本人にとっても、墓地管理者にとっても望ましいものではありません。ある程度の期間の管理料・使用料をあらかじめ支払っておくか、信頼のおける人に依頼して、将来、管理料や使用料を支払い続けてもらう手配をしておけば、その間、無縁墓として改葬されてしまうことは防げますが、それも時間の問題です。 ② 祭祀主宰者は、必ずしも親族である必要はなく、親しい知人等がなることも可能ですので、まずは、ご自分の親しい人でお墓を承継してくれる人がいないかどうか、検討してみてください。 ③ もし、ご質問者が亡くなり、お墓の承継者が見つからないまま管理料や使用料の滞納が続いた場合には、そのお墓は無縁墓とみなされ、上記の手続きを踏んだのち、墓地管理者によって改葬されることになります。場合によっては、墓地管理者に永代供養料を支払って永代供養を依頼することや、生前にお墓を整理して、別の永代供養墓に改葬することも考えられます。