【終活・遺言・相続相談】相談例22 老後の生活資金

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例22 老後の生活資金についての記事です。

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【相談内容】
相談者(67歳男性)から、「持ち家に一人で暮らしており、年金は月額16万円である。退職金で多少の蓄えがあったが、子への援助や投資の失敗ですっかり減ってしまった。長生きするほどお金が足りなくなると心配になる」と相談された。

【検討すべき点】
高齢者にとって、老後の生活資金が足りるかどうかは切実な問題ですが、その不安をあおるような終活ビジネスもあります。また、裕福な高齢者ばかりではなく、生活に不安を抱える方も少なくありません。

【1】老後2000万円問題

① 高齢者世帯の平均所得は308万円(月額約25万円)とされますが、その中央値は244万円(月額約20万円)です。ちなみに所得の内訳は、公的年金や恩給が65%、稼働所得は21%、その他の収入が14%です。
② これに対して、高齢者世帯の月額の支出は平均27万円とされ、平成29年の調査では高齢者の54.2%が生活が苦しいと回答しています。
③ 仮に月額所得が22万円で、支出が27万円とすると、毎月5万円が不足します。すると、たとえば定年後20年間では毎月5万円×12か月×20年=1200万円の補填が必要になり、定年後30年では1800万円の資金が必要になります。
④ そこで、金融庁金融審議会「市場ワーキング・グループ」は老後に備えるには、年金以外に、約2000万円必要になるという報告書を出しました。これが老後2000万円問題として、高齢者の間で老後資金に対する不安が広がっています。

【2】老後の生活設計

① 相談者がまだ40代や50代で、収入に余裕があるなら、資産の効率的な運用をファイナンシャルプランナーに相談する事を勧めます。
② しかし、相談者は67歳。自宅以外にさしたる資産がなく、収入を年金に頼らざるを得ない場合には選択肢が限られます。家計簿をつけ、無駄な支出を見直しながら、年金の範囲で暮らせるように節約してもらうしかありません。
③ 相談者の場合の平均余命は18年ですが、その間に不測の出費も考えられますから、現在残っている蓄えには手を付けないよう心掛けて頂きたいところです。

【3】高齢者雇用

① 年金以外にも稼働収入や不動産収入があれば、生活はぐっと楽になります。平成25年に改正された高年齢者(55歳以上の者のことを指す)等の雇用の安定等に関する法律で、定年の撤廃・延長・再雇用や高年齢者の雇用を確保する措置、シルバー人材センターの設置等が定められました。
② 令和3年4月1日に改正された同法では、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入、定年制の撤廃などの努力義務が定められました。
③ しかし、実際に仕事がなければどうしようもありませんし、再雇用では賃金が下がり、高齢になればなるほど就業は困難になります。

【4】リバースモーゲージ(不動産担保型生活資金貸付制度)

① リバースモーゲージとは、自ら所有する自宅に抵当権を設定して生活資金の融資を受け、利息のみを支払いながら、死亡時の不動産処分で元本を一括返済するという制度です。
② 自宅はあるが、生活するための現金がないという高齢者のために有益とされ、社会福祉協議会等でも相談を受け付けています。
③ しかし、自宅がマンションの場合は適用外とか、推定相続人全員の承諾が必要とされるなど、厳しい条件がありますし、これを利用できたとしても、思いのほか長生きして自宅を失うとか、金利上昇に伴って利息が上がるというリスクがあると指摘されています。
④ 次にリースバックとは、セール&リースバックの略で、自宅を売却すると同時に新所有者から自宅を借り直し、賃料を支払いながら住み続けるという方法です。(定期借家契約になることが多いです。)この方法でも、自宅売却時にまとまった生活資金が得られますが、賃料支払いが滞れば、退去明渡しを求められますので、慎重に判断する必要があるでしょう。

【5】儲け話の落とし穴

① これだけ平均寿命が延びれば、高齢者も自分が何歳まで生きれるか見当がつきません。よって、多少の蓄財があったとしても、なお不安に感じておられます。
② その不安につけ込んで、利殖や儲け話を持ちかけ、虎の子の預貯金をだまし取るという事例が多発しています。「うまい儲け話が向こうから転がり込んでくる」ことはあり得ませんので、リスクを適切に判断し、できるだけ現有資産の範囲内で慎ましく生活するように勧めます。
③ また、それなりに資産があっても、高額な有料老人ホームに入居したり、墓地・霊園に多額の資金を投じたり、子や孫の求めに応じて散在していれば、同じことになります。

【6】生活保護

① 生活資金に窮した高齢者のセーフティネットは、生活保護です。生活保護を受けるための条件は、収入が最低生活費を下回っていること、活用できる資産(預貯金や不動産)がないこと、親族などから援助を受けられないことなどですが、これらの条件を満たしていると思われる場合でも、生活保護は思うほど利用されていません。
② その理由ですが、生活保護法4条2項は、「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行なわれるものとする」とし、同条3項は「前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない」と規定します。
③ つまり、扶助できる親族(直系血族及び同居の親族、民法730条)がいるなら生活保護を受けられない可能性があるので、生活保護の申請を受けた市役所等は、扶養義務者に対して義務履行の可能性を照会します。
④ しかし、たとえば独居の高齢者の中には、直系卑属や兄弟姉妹と絶縁しているケースも多く、(兄弟姉妹に対しては特に)自分が生活保護を受けようとしていることを知られることを望みません。よって、生活保護受給の要件を満たしているにもかかわらず、その申請を思いとどまり、あるいは撤回するケースが多いのです。
⑤ そこで、令和3年3月以降、本人が扶養義務者に借金を重ねている、扶養義務者と相続を巡って対立している等の事情がある、扶養義務者と縁を切っている(10年程度の音信不通)など、著しい関係不良があると認められる場合には、扶養義務者による扶養義務の履行が期待できないとして扶養義務者に対する照会は不要とされ、同年3月26日付の厚生労働大臣からの通知(事務連絡の改正)でも、この点が確認されました。
⑥ しかし、現実の市区町村の窓口では、旧態依然と扶養義務者への照会を行わないと申請を受け付けないという問題があるようです。
⑦ 法テラスの事業として、弁護士が生活保護申請等を援助する制度を用意しています。この制度によれば、生活保護の申請手続の相談や代理交渉が原則として無料で行えます。

【終活・遺言・相続相談】相談例21 生前整理

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【相談内容】
相談者(75歳男性)から、「1週間前の検査でガンの転移が見つかった。既に遺言書は書いているが、妻子に迷惑をかけないよう、他にやっておいた方がよいことを教えて欲しい」と相談された。

【検討すべき点】
遺産の処理については遺言書で対応できますが、それ以外にも相続開始後に遺族が難題に直面することがあります。いざというときに遺族や周囲の方が困らないよう、相続財産を明らかにし、身の回りのものを整理し、利用しない不動産・動産や海外資産などは処分し、これまで放置してきた問題を片付けるように勧めます。相談者本人がショックを受けているようであれば、説明には気遣いが必要です。

【1】財産の特定

① 一般に、高齢者は、推定相続人に対して自分の財産の内容を明らかにしない傾向があります。子供たちが財産を狙っているのではないか、財産が少なければ、ぞんざいに扱われるのではないかという不安が先立つからです(逆に現金を見せびらかして、関心を引こうとする場合もあります)。
② そのまま相続が開始すると相続人らは遺産の調査に手間取り、準確定申告や相続税申告が滞ったり、ほかの共同相続人(兄弟姉妹など)が被相続人の財産を隠している(あるいは生前贈与を受けた)のではないかと、疑い出すこともあります。
③ それは相続紛争の種になりますので、相続人に遺産の内容が分かるようにすることが望まれます。遺産は遺言書に明示しておくことが基本ですが、エンディングノートや手帳などに遺産の詳細を記載する方法もあります。

【2】エンディングノート

① 「エンディングノート」は、やがて迎える死に備える自身の希望などを書き留めておくもので、各種のエンディングノートが書店で販売されています。終活セミナーや社会福祉協議会や地域の高齢者の集いなどで配布されることもあります。
② エンディングノートに書き留める項目としては、財産の内容、葬儀の希望やその際の連絡先、自分史、感謝の気持ちなどが代表的です。
③ しかし、一人でエンディングノートを書いていると、つい、遺言めいた内容(たとえば、自社の株式は長男に譲りたいなど)を記してしまいがちです。そうなると、これは自筆証書遺言として有効か無効かという問題が生じますし、他に有効な遺言がある場合、その文言が不明確な場合には遺言内容の解釈指針として用いられる可能性があります。
④ また、相続人に対する不満や愚痴を書けば、争族の種になることもあるでしょう。したがって、エンディングノートを利用する場合には、そのようなリスクがあることを説明します。

【3】身の回りの動産の整理

① 高齢になるほど身の回りの整理が上手く出来なくなり、不要な物が増えます。ゴミ屋敷のような状態になる前に不要なものを整理しておくべきでしょう。
② 特に80歳を超えると自分で物を捨てることが困難になってきますが、相談者はまだ75歳と若いので、自分でできるはずです。年賀状の打ち切りの挨拶や、利用していない契約の解約処理なども検討すべき点です。ペットの世話については、負担付遺贈やペット信託といった方法もあります。

【4】不動産の生前整理

① 郷里に先祖伝来の実家や田畑があるが、しばらく帰っておらず、現状が分からないといったこともよくあります。しかし、放置しておくと、遺産分割では相続人が郷里の不動産の取得を嫌がり、その不動産の押し付け合いになります。
② 郷里の実家が倒壊等の危険のある特定空き家等となった場合には、市町村が立入調査し、指導、勧告、命令等の経過を経て強制的に解体を代執行されるという手段が用意されています(空家等対策の推進に関する特別措置法)、令和3年民法改正により、管理不全土地管理命令や管理不全建物管理命令の制度が用意されましたが、手間がかかることには違いありません。
③ 先々代、先代の相続で土地の所有権移転登記手続をしていなかったというケースもあります。これに対しては、登記名義人の死後長期間に渡り相続登記されていない土地につき、登記官が法定相続人を探索し、職権で長期間相続登記未了である旨を登記に付記して法定相続人の登記手続を促す等の措置が講じられました(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法等)。
④ 令和3年民法改正により、所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令が創設され、相続登記や住所変更登記も義務化され(不動産登記法改正)、相続土地国庫帰属法により、条件次第で相続土地を国庫に帰属させる道も用意されましたが、いずれも相当手間がかかります。
⑤ 共有不動産の処理、私道・里道・水路敷の処理、筆界特定なども将来問題になります。したがって以上のことに心当たりがあるのであれば、使用されていない建物は解体し、土地は先代の相続を原因とする所有権移転登記を経て、郷里の不動産を隣家などに譲渡又は贈与するなどして、身軽になることをお勧めします。

【5】祭祀承継

① 郷里に相談者の父母や祖父母の眠るお墓がある場合、相談者もそこに入るのか、入るのならその祭祀承継はどうするのかも考えておく必要があります。
② 相談者は郷里のお墓に思い入れがあったとしても、子どもたちは都会に住んでいて里帰りすることもないし、村落共同墓地の場合そこの掃除も期待できないなら、いっそ墓じまいして、子どもたちが訪問しやすい場所で永代供養しておくことが望ましいかもしれません。

【6】デジタル遺産に関する生前整理

① 比較的新しい問題ですが、デジタル遺産があるのであれば、その対応も必要です。オンラインのデジタル遺産には、SNSアカウント、ブログアカウント、暗号資産(仮想通貨)、メールアカウント、アフィリエイトアカウント、FX取引アカウント、蓄積データなどが挙げられます。これらには所有権や著作権を観念できませんし、債権というわけでもありませんが、それに経済的価値があれば相続財産に含まれます。
② しかし、相続人がデジタル遺産の存在に気づかない可能性がありますし、パソコンやスマホ等の端末のパスワードやアプローチの方法が分からなければ、デジタル遺産を捕捉し、現金化できません。
③ したがって、生前整理としては、あらかじめ金融資産化するか、相続人に対してデジタル遺産の存在を知らせ、パスワード等と共に現金化や名義変更の具体的な方法を指示するように勧めます。
④ オンライン上のデータの消去や処分を希望する場合には、エンディングノート、死後事務委任契約などにより必要な情報を添えてデータ処分(抹消)を依頼すべきですが、それも生前に行なっておく方が確実です。

【7】海外資産

① 相談者が海外資産を所有しているときも、その内容を明らかにしておく必要があります。本来相続については被相続人の本国法によりますが(法の適用に関する通則法)、遺産たる不動産には所在地法が適用されることもあります(英米・中国法など)。
② その場合は現地の裁判所で検認裁判を受ける必要があり(プロベート手続き)、当地在住の弁護士に依頼するなど複雑な手続きが必要です。よってこのような海外資産もあらかじめ処分することをお勧めします。

【8】特別受益の整理

① 相続では、頻繁に特別受益が問題になりますが、数十年も前の贈与では、遺言者もはっきり覚えていないことが多いでしょう。そこで、いつ、だれに、何のために、いくら贈与したのか、持戻し免除するのか否かについて、整理して記録を残すように相談者にお勧めします。

【9】債務の整理

① 相続開始時に債務が残っていると、その負担を巡って相続人がもめるリスクがあります。ですから、できるだけ繰上弁済しておくべきです。例えば、その借入金がアパートなどを建築する費用に使われたなら、遺言で建物を取得する相続人に負担させるのが合理的です。
② 借入金返済が厳しいなら、自己破産、任意整理などの方法により債務整理しておくことをお勧めします。相続開始時に債務が上回るのなら、迅速に相続放棄できるよう相続人に知らせておきます。

【終活・遺言・相続相談】相談例20 もめない相続

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【相談内容】
2年前に妻を亡くしたという一人暮らしの相談者(79歳男性)から、「4人の子(長女(53歳)、次女(52歳)、三女(47歳)、長男(39歳))はそれぞれに仲が悪い。遺言書を書いておけば、自分の他界後、4人がもめないようにできるのか」と相談された。

【検討すべき点】
高齢者の心配の一つは、子どもたちによる相続争いです。遺言書がそれを防ぐ方法として有効であることは確かですが、遺言書さえ書いておけば足りるというものではありません。これまでの経緯、財産の内容、妻の相続時の遺産分割の状況などをよく伺った上で、問題点を指摘し、相談者と一緒に対策を考える必要があります。

【1】遺言の限界

① 遺言があれば、基本的に相続人が相続内容を争うことはできません。しかし例外もあります。
② 遺言が無効とされる可能性です。これを防止するためには、遺言書作成時における遺言者の遺言能力を疑われないように証拠(診断書や作成の様子を録画する等)を残す必要があります。
③ 自筆証書遺言では「これは父の筆跡ではない。父がこんな遺言をするはずがない」などと遺言内容に不満を持った者から訴えられることがありますので、公正証書遺言を勧めます。
④ 遺言が有効でも、「4人の子に4分の1ずつの遺産を相続させる」という内容(相続分の指定)なら、誰が何を取るかを決めるために、遺産分割協議が必要になり、争いが生じる可能性があります。遺産の一部の処分だけを決め、処分を決めていない遺産がある場合(一部遺言)も同様です。
⑤ 遺言内容が一義的に明らかでなく、遺言者の意思解釈が必要になる場合には、解釈を巡って争いが起きる可能性もあります。
⑥ このようなリスクを排除するには、士業に遺言書を起案してもらうか、文面をチェックしてもらうべきであると説明します。
⑦ 各相続人の遺留分を侵害する遺言だと、遺留分侵害額請求の問題が生じます。特定財産承継遺言を多用する場合でも、流動資産以外の遺産についてはその評価が問題になる場合があります。
⑧ 具体的相続分の修正要素である特別受益や寄与分でも揉めることもあれば、相続債務の承継、葬儀費用の負担、固定資産税の負担、祭祀承継問題などで揉めることもあります。
⑨ 遺言が効果を持つのは相続開始後です。すなわち遺言者が亡くなる将来の話ですので、その時点までに現在と財産や推定相続人の状況も変わっている可能性があります。よって、将来の状況を仮定して遺言をすることになるので、遺言を残せば相続紛争が起きないという保証はありません。

【2】家庭の事情の聞き取り

① 遺言書を作成するだけでなく、そもそも4人の子が争わないように気を配る必要があります。そのためには、4人の子の仲が悪い理由など相談者の家庭の事情を伺わなければなりません。しかし、このような話になると、相談者の口が重くなったり、逆に延々と昔話や愚痴を話し始める方もおられます。
② このような場合、伺った情報から推測を立てて、相談者に質問をする形で話を伺います。例えば、相談例では長女と次女は1歳違いですので、受験、就職、結婚などで事あるごとに比較されて長年反目していたのではとか、三女はそれを見て育ったので、二人と距離を置くようになったとか、長男は相談者40歳の子なので溺愛され、姉たちから嫉妬されていたのではないかなどを推定して質問を進めます。
③ 子にとって親の愛情は絶対的で、幼少期や思春期の心の傷はなかなか拭えませんが、それができるのは親である相談者だけですので、心当たりがあれば、配慮が足りなかったと素直に謝罪をするなど、今できることをすべきです。
④ 次に妻が亡くなった際のことと、その後2年間の起きたことを伺います。妻の遺産分割の結果が偏ったものであるならば、相談者の相続発生時に合わせて考えて公平でなければ、子は納得しません。どの子が最後まで母の看病や介護をしたのかなどの情報も必要です。
⑤ 他の事情も伺います。例えば、多額の自宅購入資金を出してもらった子はいるか、事業に失敗した際の援助や、なかなか実家に帰ってこない子や、長男は後継ぎなのに実家に寄り付かない(相談者側の視点)などの様々な事情を伺いアドバイスをすることになります。

【3】実質的な公平

① 遺言による財産の分け方について、相続で揉めないことを第一にするのであれば、法定相続分を基調としながら事情に応じて各相続人の取得分に若干の差をつける程度にとどめる方が賢明です。4人の子が「これなら仕方ない」と思える遺言であれば、相続紛争の危険は限りなく小さくなります。
② 遺留分を侵害しないためにも、生前贈与(特別受益)は必ず確認して考慮すべき点です。
③ 相続開始後、遺言者は当然にこの世にいません。相続人は遺言者に直接文句を言えませんので、悔しさや憎しみは他の相続人に向かうことになります。防止するためにも、相談者の言動次第でこの誤解を解いたり、関係を修復できるのであれば、是非試みてもらうように説明します。
④ 逆に、親が目の前の子に媚びたり、他の子に対する不平や不満を口にしていたのでは、揉めない相続を実現するなど到底望めません。
⑤ 相談者は一人暮らしですが、将来この誰かに面倒を見てもらう考えかもしれません。親の介護の有無は相続紛争の大きな問題になりますので、当然今後の生活の希望についても伺う事項になります。

【終活・遺言・相続相談】相談例18 死後事務委任契約

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【相談内容】
相談者(67歳女性)から、「介護していた知人男性(88歳)から、「自分が死んだら葬儀・埋葬を頼む。息子は呼ばないで欲しい。入院費用を払い、アパートを引き払って、お金が余れば世話になった友人に(75歳)に謝金をあげて欲しい。あなたしか頼る人はいない」と懇願され、断り切れずに現金300万円を預かった。あとで問題にならないだろうか」と相談された。

【検討すべき点】
最後が近づいてきた場合に、信頼できる人に後事を託すのはよくあることです。ただし、善意で引き受けたことを相続人から問題にされることがあります。そのようなトラブルを避けるためには、依頼された内容を死後事務委任契約書の形ではっきりと残すことが必要です。内容によっては認められないこともあるので注意が必要です。

【1】死後事務委任契約の性格

① 「死後事務委任契約」とは、委任者が、受任者に対して、死亡後に生じる事務(葬儀・埋葬・死亡に伴う各種手続き)の代理権を与える委任契約です。家族がいなかったり、家族に負担をかけたくない場合や、家族の世話になりたくない場合に、こうした契約が必要になります。
② 委任者の死亡は委任契約の終了原因(民法653条1項)ですから、相続開始と同時に委任契約が終了するとも考えられますが、委任者の死亡後における事務処理を依頼する旨の委任契約は有効と解されています。
③ その契約は、委任者の死亡によっても契約を終了させない旨の合意を抱合し(最判平成4年9月22日金法1358号55頁)、委任者の地位を承継した相続人は、契約を履行させることが不合理と認められる特段の事情がない限り、委任契約を解除することが許されないと解されます(東京高判平成21年12月21日判時2073号32頁)。

【2】死後事務委任契約で出来る事

① 財産管理契約や任意後見契約は委任者の生存が前提ですので、葬儀・埋葬等の死後事務の処理は対象になりません。また、葬儀・埋葬等は遺言事項ではありません。よって遺言書に記載しても法的効力を持ちません。そこで、任意後見契約や遺言書とは別に死後事務委任契約書を作成する意味があります。
② 平成28年民法改正で、成年後見人に被後見人の死亡後の保存行為や債務弁済の権限が認められたので(民法873条の2第1号、2号)、死後事務委任契約の効力を考えるうえで参考になると思います。
③ ただし、債務弁済については、本来、債務を承継する相続人に任せるべきですから、相続開始直後の事務処理に付随するもの(葬祭費など)は弁済できるとしても、一般的な相続債務の弁済は原則として委任できないと考えるべきでしょう。

【3】相談者へのアドバイス

① 死期が近づいた高齢者が自分の死後について依頼する気持ちはわかりますが、しかし、依頼内容が明確でなければ、後日、相続人との間で問題が起きるリスクがあります。よって、相談者には、至急、知人男性の要望を記録化するようにアドバイスします。(公正証書化するのがベストです。)
② 知人男性の依頼の趣旨が明確であれば、知人男性が亡くなられた場合の葬儀や埋葬についてはその手続きをとることができます。
③ 入院費の支払や、賃借物件の明渡しなどは相続債務ですから、原則は相続人に任せるべきですが、相続人に連絡がつかないといった事情がある場合には、相談者が預かったお金で対応しても良い(違法性・損害・利得などがない)と考えられます。
④ 友人に対する謝金は遺贈(遺言事項)になりますので、相談者がそれを実行すると相続人から損害賠償請求を受けかねないことを説明し、思いとどまっていただき、知人男性に遺言書を作成するように案内すべきです。
⑤ なお、死後事務委任契約受任者には、死亡届を出す権限はありません(戸籍法87条)。この場合、入院先で死亡した場合は、その病院の管理者、賃借物件内で死亡した場合は、管理者が届出人となり、死亡届出の書類自体は、相談者が使者として役所へ提出する形になると思われます。
⑥ また、知人男性は「息子を呼ばないで欲しい」としてますが、相続開始には相続人による対応が必要ですから、どこかの時点では連絡せざるを得ない状況になると思われます。

【終活・遺言・相続相談】相談例17 財産管理契約・見守り契約

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【終活・遺言・相続相談】相談例17 財産管理契約・見守り契約についての記事です。

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【相談内容】
相談者(80歳女性)から、「終活セミナーの講師から、任意後見契約をするなら、財産管理契約や見守り契約を公正証書で作っておけば安心ですよと勧められた。財産管理契約とか見守り契約も、結んでおいた方がよいのでしょうか」と相談された。

【検討すべき点】
任意後見契約と財産管理契約、見守り契約はよくセットでの利用が推奨されています。任意後見契約については前回述べましたので、今回は、財産管理契約と見守り契約について説明します。
財産管理契約にも任意後見契約と同じいくつかの問題点があります。事案に応じてカスタマイズする必要があり、場合によっては見守り契約やホームロイヤーの利用をお勧めします。

【1】財産管理契約

① 財産管理契約(財産管理等委任契約とか任意代理契約ともいわれます)は、文字通り、委任者が受任者に対して委任者の財産の管理を委託する契約です。しかし、自分で財産管理できるなら、それを人に任せる必要はありません。
② したがって、委任者は、現に財産管理できない状態にあるか、その状態が予想される状態にある方で、通常は初期の認知症だったり、介護を必要とする高齢者です。
③ これに対して、受任者は、財産管理を業務として扱う専門職やコンサルタントとなることが多いはずです(親族が受任者となる場合でも、専門職がサポートすることが多くなるでしょう)。
④ そうすると、契約内容に関する委任者の理解が十分でないまま、受任者側が主導して財産管理契約を締結させる可能性がありますから、受任者側による不当な勧誘がないかには注意が必要です。

【2】財産管理契約の問題点
財産管理契約に関する問題点は以下のとおりです。

【2-1】授権の範囲

① 財産管理契約における授権の範囲は広く設定されがちです。たとえば、財産管理契約の公正証書に添付される「代理権目録」のひな型には、「不動産、預貯金、動産等すべての財産の管理、保存、処分」など一切の行為を含む代理権が挙げられていますが、本当にそれが必要なのか疑問です。
② 移行型の財産管理契約締結の際には、「認知症等によって任意後見契約が必要になる前でも、身体が不自由になって動けなくなった場合に備えて、財産管理の事務について代理権を与える契約が必要だ」と説明されるようです。
③ その目的は入通院、介護サービス等を含む日常生活に必要な事項(いわば保存行為)に限られ、全ての財産の処分に関する代理権までは不要ではないでしょうか。

【2-2】財産管理の始期

① そもそも自立している高齢者が誰かに財産管理を任せる必要はありません。であれば、高齢者本人が財産管理できなくなった時点からの財産管理契約が望まれるはずですから、即効型でない限り、どのような状態になったら財産管理契約を発効させるのか始期を明らかにすべきです(将来型)。
② たとえば、委任者が同契約の発効を希望し、かつ、委任者が要介護1又は2の要介護認定を受け、親族の指定者や担当する介護関係者が同意した場合といった具体的な条件を設定するべきでしょう。

【2-3】財産管理契約の終期

① 財産管理契約と任意後見契約を併用する場合(移行型)、多くの財産管理契約では、「任意後見監督人選任の審判が確定したとき」(任意後見契約の発効時)を財産管理契約の終期としてあげます。連続性を確保するために、この規定は合理的です。
② しかし、任意後見契約では、任意後見受任者(財産管理受任者兼任)の任意後見監督人選任の請求については、「判断能力が不十分な状況になったときは、すみやかに任意後見監督人選任の申立てを行うものとします」といった緩やかな規定しか置かれず、適時における任意後見監督人選任の請求が確実に行なわれるとまでは期待できません。また、財産管理の始期のおいて明晰であった委任者も、その終期においては判断能力が低下しているはずですが、これを数値化することはできません。
③ そこで、任意後見契約や財産管理契約の中で、たとえば、3ヶ月に1度はかかりつけ医を受診して長谷川式簡易知能評価スケールを行ってもらい、「同検査の結果が2回連続で20点を下回った場合、又は医師が重要財産の処分に関する意思決定ができないと判断した場合は、1ヶ月以内に家庭裁判所に対して任意後見監督人選任を求める」といった具体的基準を取り入れることが必要ではないかと考えます。
④ もちろん、そうして行なわれた任意後見監督人選任請求が要件を満たさないとして、あるいは、本人の同意を得られない(任意後見契約に関する法律4条3項)として却下される可能性はありますが、それはそれで正常な過程だと思います。

【2-4】財産管理者の義務

① 一般に、財産管理契約のひな型では、財産管理受任者は、定期的に財産目録、会計帳簿、預貯金目録等を作成し、委任者に報告するといった規定が置かれています。しかし、委任者が完全な事理弁識能力を保持しているなら問題はありませんが、そうでなければ委任者は報告を受けても内容が理解できませんし、監督者も不在ですから、この義務が確実に履行されるかは甚だ疑問です。
② せめて代理出金機能付信託のように、委任者以外の第三者(子や親族)への報告義務を課すべきでしょうし、専門家が財産管理の監督者になることも推奨されるべきでしょう。

【3】見守り契約

①「見守り契約」とは、高齢の委任者が、受任者に対して、面会等の適宜の方法による定期的な様子伺いを依頼し、それによって委任者の健康状態(事理弁識能力を含む)や生活ぶりを確認し、必要に応じて委任者の生活に関する相談にのる契約のことです。そして、財産管理契約でカバーしきれない病院、施設、介護事業者との契約の事務処理や保証人への就任などについても対応できるとして、任意後見契約や財産管理契約とセットで推奨されます。
② 見守り契約は高齢者のサポートのために有益だと思いますし、費用面でのハードルはありますが、高齢者も歓迎してくれるはずです。財産管理受任者や任意後見受任者が、同時に見守り契約の受任者を兼ねることが通常です。見守り契約の受任者を別の専門家(弁護士)などにすることも可能です。その場合、先程の財産管理受任者が義務を果たすように、監督機能を持たせる契約にすることができると思います。

【4】相談者へのアドバイス

① 相談者に対しては、財産管理契約、任意後見契約、見守り契約、死後事務委任契約などのセット活用が推奨され、入院・入所時の保証人サービスから、葬儀・埋葬までワンストップで引き受けると謳われるケースがあるけれども、全てを同一人物に頼るワンストップ・サービスでは監督者がいないので、不祥事を防止するには十分ではないことも説明します。
② 相談者から「全部やって欲しい」と頼まれた場合、財産管理契約と任意後見契約、見守り契約と遺言書作成や死後事務委任契約等を複数の専門職が受任する等して、不祥事防止の体制を構築することが大切でしょう。

【終活・遺言・相続相談】相談例16 任意後見契約

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例16 任意後見契約についての記事です。

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【相談内容】
一人暮らしの相談者(81歳男性)から、会社を経営している甥(65歳)から、「おじさんは今後のことを考えて財産管理契約と任意後見契約をしたほうがいい。自分が引き受けるから」と繰り返し勧められている。よくわからないので、詳しいことを教えて欲しいと相談された。

【検討すべき点】
任意後見契約では、法定後見と違い、本人が信頼できる人を後見人に指名できる利点がありますが、実際には多くの問題があり、あまり活用されていない実態もあります。任意後見契約のどこに問題があり、その結果どのようなことが起きているかを相談者に説明します。

【1】任意後見契約

① 任意後見契約に関する法律は、成年後見制度と同じく、平成12年に施行されました。
② 任意後見契約は、委任者(本人)が、受任者(任意後見受任者)に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状態における自己の生活、療養監護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部をあらかじめ委託し、代理権を付与する旨の委任契約で、任意後見監督人が選任された時からその効力を生じます(任意後見契約に関する法律3条、4条1項)。
③ 成年後見と異なる任意後見契約の最大のメリットは、委任者が元気なうちに自分の意思で任意後見受任者を指名できることです(委任できる権限の範囲も必要に応じて決められます)。成年後見制度の様々な問題を回避するための便法としても用いられてきました。

【2】任意後見契約の利用実態

① 弁護士、司法書士、公証人らが任意後見契約の長所を強調し、同契約を推奨してきたこともあり、令和元年の任意後見契約の新規登録件数は14,102件、同年7月29日時点での累計登録件数は120,962件にのぼりました(令和2年日本弁護士連合会・任意後見制度の利用促進に向けた運用の改善及び法改正の提言)。
② ところが、登記された類型120,962件のうち、本人死亡により閉鎖された登記を除く、100,504件の中で、「任意後見監督人の選任登記」がされたのは3,510件(約3%)しかありませんでした。
③ 任意後見契約を締結(登記)する人は多いけれども、多くの任意後見契約では、任意後見監督人が選任されず(したがって契約も未発効)、事実上、任意後見契約は利用されていません。

【3】任意後見契約の問題点

【3-1】委任者側の理解能力

① 令和元年12月の法務省調査では、任意後見契約時の委任者の平均年齢は80歳で、もっとも契約締結件数が多いのは83歳でした。この年代になると多かれ少なかれ判断能力が衰えますから(80歳~84歳の認知症有病率は21.8%)、委任者は任意後見契約の内容を正確に理解していない可能性があります。
② もともと高齢になると理解不足を疑われるのが嫌で、「わかった」といいがちですし、特に任意後見契約については「まだ先のことだ」を考えて同意しやすいのです。
③ したがって、任意後見契約は、もっぱら受任者側の主導によって取り決められやすいと言えます。

【3-2】財産管理契約との併用

① 任意後見契約の利用形態としては、即効型、移行型、将来型の3種類がありますが、令和元年のそれぞれの利用割合は1%、75%、24%でした(法務省民事局調べ)。つまり、任意後見契約が締結される4件のうち3件は、同時に財産管理契約が締結されているのです。
② しかし、このようなケースでは、財産管理受任者は、広範な権限に基づいて委任者の財産を管理しますから、本人の事理弁識能力が低下しても、わざわざ任意後見監督人による監督を求める必要がありません。むしろ、任意後見監督人がいない方が融通が利き、都合がよいのです。

【3-3】任意後見受任者の属性

① 法務省の調査によれば、任意後見受任者の割合は、親族70%、専門職17%、知人等6%、その他6%でした。しかし、もともと法律や経理に疎い親族が、財産管理受任者及び任意後見受任者としての職務を果たせるとは思えません。
② 専門職(弁護士、司法書士、税理士、コンサルタント)が親族に助言を与えて財産管理受任者に就任させ、その職務を代行しているのではないかと思われます。そうであれば、それら専門職にとっては家庭裁判所が選任する任意後見監督人は不要の存在です。

【3-4】任意後見監督人選任の請求権者

① 家庭裁判所に任意後見監督人を請求できるのは、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者ですが(任意後見契約に関する法律4条1項)、事理弁識能力の低下した本人、高齢者の配偶者、近くにいない親族などにこの役割を期待することは難しいと思われます。
② そうすると、本人(委任者)の状態をよく知っている任意後見受任者自身が任意後見監督人の選任を請求するしかありませんが、財産管理受任者を兼ねている任意後見受任者なら、その必要を感じないでしょう。

【3-5】任意後見契約に対する無理解

① 任意後見監督人が選任されなければ、任意後見契約が発効しないというのは(任意後見契約に関する法律2条1号)、弁護士や司法書士、行政書士にとっては常識ですが、世間ではそうではありません。
② そのため、代理権目録を添付した任意後見契約の公正証書と登記事項を見せられると、多くの方が(任意後見監督人選任前でも)成年後見人と同じ権限を持っていると誤解します。
③ 財産管理契約では認めないはずの出金を認める金融機関もあるそうです。そうした意味でも、任意後見受任者は、任意後見監督人選任の必要を感じません。
④ 任意後見受任者(=財産管理受任者)は、第三者(任意後見監督人)の監督を受けないまま、財産管理契約に基づいて本人の財産を管理するという状態が続き、任意後見契約はいつまでたっても日の目を見ないことになります。

【3-6】適時における任意後見監督人の選任

① 任意後見監督人選任の申立てをする時期についても、任意後見監督人選任の要件である、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況にあるとき」(任意後見契約に関する法律4条1項)の判断は容易ではありません。
② 事理弁識能力は法律行為の結果が自己にとって有利か不利かを判断する能力であり、それが「不十分である」とは、民法13条1項規定の需要な財産行為について自分一人で行うことは不可能ではないが、適切に行えないおそれがあるため、他人の援助を受けていていた方が安心であるといった程度の判断能力をいうとされます。
③ この要件は、補助開始の要件とほぼ同じであるので、後見開始の要件や保佐開始の要件よりは手前の状態で足り、「一人にしておけない」「判断が危なっかしい」と思われる状態であれば該当するはずです。
④ ただし、客観的な判断と委任者本人の認識は往々にして食い違い、その意味でも任意後見監督人の選任請求の判断は遅れがちになります。

【3-7】本人の同意

① 任意後見監督人を選任するには本人の同意が必要です(任意後見契約に関する法律4条3項)。しかし、本人は自分の事理弁識能力の低下を認めませんし、財産にも執着しますから、「任意後見監督人の選任を申立てて財産管理に着手しますが、いいですか」と問われて素直に承諾するとは限りません。
② なお、本人の同意が得られない場合でも「本人がその意思を表示することができないとき」であれば任意後見監督人を選任できますが(同項但書)、家庭裁判所の調査官調査時にはっきり「いやだ」といわれてしまうとそれまでです。
③ そうなると、例外的に「本人の利益のため特に必要があると認められるときに限り」の要件を満たすものとして、家庭裁判所に後見開始の審判を求めるしかなくなります(同法10条1項)。

【4】相談者へのアドバイス

① 相談者は、甥から任意後見契約と財産管理契約の併用(移行型)を勧められているわけですが、甥に何か思惑がありそうな場合には、移行型には濫用の危険性があることを説明して、慎重に判断するようにアドバイスします。
② 弁護士が相談者の代理人として、これらの契約締結交渉を担当することができることも説明するとよいかもしれません。
③ 相談者から相談を受けた弁護士や行政書士に対して任意後見契約の受任者になるように求められた場合には、●任意後見契約に関する相談者の理解を確認し、●財産管理契約を伴わない将来型の任意後見契約を検討し、●任意後見監督人の選任申立てに関する具体的基準を相談者と協議して、●その申立てに対して同意しない場合は任意後見契約を解除することを確認する(任意後見契約に関する法律9条1項)などの手順で引き受けるべきだと考えます。

【終活・遺言・相続相談】相談例14 判断能力に疑問がある高齢者と金融機関

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【相談内容】
相談者から「これまで父(85歳)の生活費を父名義の預金口座からカードで引き出してきたが、預金残高が少なくなったので、父と一緒に銀行へ行って1年前に契約した投資信託の解約を銀行に申し込んだ。ところが、待たされた末、銀行は成年後見人をつけないと解約に応じられないという。銀行を訴えられないか」と相談された。

【検討すべき点】
銀行が成年後見人の選任を求めたのは、預金名義人(父)の認知判断能力に疑問を持ったからでしょう。銀行を訴えたとしても、解約に応じるよう銀行に命じる判決が出る可能性は低そうです。父の投資信託を解約するためには後見開始を申立てるしかないと思われます。なぜそのようなことが起きるのか、これからどうすればよいかについて、相談者に説明します。

【1】高齢者に対する金融機関の対応

① 金融機関にとって高齢者は投資信託等金融商品売り込みのターゲットですが、逆に、高齢者による預金の引き出しや投資信託の解約は難題の一つです。
② 認知判断能力が低下したと思われる高齢者との取引に応じたのでは、後日、金融機関の責任を追及されかねないからです。預金名義人のキャッシュカードと暗証番号を利用してATMから出金される場合はともかく、やや頼りない高齢の預金名義人が直接窓口に来られて多額の預金や投資信託の解約を申し込まれた場合には、この問題が顕在化します。
③ 金融機関は預金名義人の認知判断能力に疑問があれば、受領権者としての外観を有する者への弁済(民法478条)の要件を満たさない可能性があるため、ほぼ例外なく、「成年後見人を付けてください」という対応をとります。
④ 相談者としては、後見開始を申立て、成年後見人から金融機関に対して投資信託の解約を申し入れるしかありません。
⑤ 最高裁判所事務総局家庭局作成の「成年後見関係事件の概況」によれば、法定後見の審判の申立ての動機として、「預貯金の管理・解約」を挙げるものが37.1%で最多です。つまり、金融機関がこのように対応するため、認知判断能力に疑いありと見受けられる場合には成年後見等を申立てせざるを得ない状況です。
⑥ しかし、相談例では、1年前に投資信託契約を締結しているので、相談者が納得できないものも当然です。

【2】金融機関の取り組み

① このような問題に対応するため、金融庁は、令和2年7月、高齢者に金融商品を頻繁に売買させて手数料を稼いだり、投資信託を勧誘する場合に他の商品と比較させないといった金融機関の手法を問題視するとともに、高齢者の預金の引き出しについても、それが医療や介護など明らかに預金名義人本人のための支出であれば柔軟な対応が望ましいとして、行政指導に乗り出しました。
② 全国銀行協会も、令和3年2月18日、認知判断能力が低下した高齢者らに代わって親族などが預金を引き出すことを条件付きで認めるとの見解を発表しました。
③ これによると、預金引き出しには原則として預金者本人の意思確認は必要で、依然として認知判断能力に問題がある場合には法定後見制度の利用を促すものの、医療費や介護施設の費用の支払など預金者本人の利益になることが明らかな場合には、引き出しにも柔軟に応じるよう全国の銀行に促すようです。
④ そうだとしても、診断書や主治医の意見書は必要か、医療機関等への直接振込に限って認めるのか、投資信託などの金融商品の解約はどのような条件下で認めるのか等の詳細はまだ決まっていません。

【3】代理出金機能付信託

① 金融機関でも、認知判断能力が減退した高齢者の預金の出金について、代理出金機能付信託という商品を用意しています。
② 「代理出金機能付信託」とは、預金契約者の認知判断能力が低下した場合に備え、契約者が金融機関に預金を信託し、契約者が指定した家族等の代理人が契約者の信託預金を引き出せるという信託商品です。
③ 大手銀行のどの信託も仕組みはほぼ同じですが、契約者は一定額以上の預金を信託銀行に信託し、その際に信託額の1~2%程度の管理手数料を支払い、出金の権限を持つ代理人と閲覧者を指定します。信託された預金を引き出せるのは代理人のみで、閲覧者が監視するというシステムで、代理人が預金を引き出した際には、閲覧者に通知されるため、不正の防止に役立つとされています。
④ このシステムを導入すれば、契約者が自分の意思を表示できず預金を引き出せなくなっても、代理人が生活費などを契約者の口座から支払うことができるということになります。

【4】代理出金機能付信託の問題点

① 代理出金機能付信託は契約行為ですから、その契約を行う時点では、預金契約者に契約を締結する意思能力が備わっていることが前提です。したがって、父の言動が怪しくなってきたと気づいたときには手遅れかもしれません。
② 代理出金機能付信託の長所は、後見開始の申立てと比べれば、比較的簡単であり、長男が代理人、次男を閲覧者と指定すれば、、家族の中で完結することです。それは専門職後見人や成年後見監督人に介入されることがないことを意味しています。
③ 受託者である銀行に対しては管理手数料を支払う必要がありますが、月額の利用料は少額に抑えられるので、専門職後見人等に支払う報酬に比べれば割安と思われます。
④ しかし、代理出金機能付信託は、家族の中で完結するが故に心許ない点があります。出金されたお金の使途は限定されませんので、閲覧者(次男)にも、代理人(長男)が出金したお金を何に遣ったかはわかりません。また、閲覧者に指定されなかった推定相続人(たとえば三男)には、出金の事実は通知されないので、蚊帳の外に置かれるような状態になります。このことが将来の争族(相続紛争)の原因になる可能性があります。

【5】相談者への説明

① 今回の相談例では、父に認知判断能力に問題があると思われる事情があるなら、銀行の言う通り、後見開始の申立てをするしかないと説明せざるを得ません。
② 仮に医師の診断書などで、父の認知判断能力が投資信託の解約に必要な判断能力を保持しているとされた場合は、その診断書などで金融機関と交渉することになります。

【終活・遺言・相続相談】相談例13 「借家人がおひとり様」大家さんの悩み

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【相談内容】
相談者(41歳男性)から「父が亡くなり、祖父の代から部屋を貸している長屋を相続したが、借家人の1人(88歳女性)は身寄りがなさそうだし、認知症が始まっている感じもするので、先のことを心配している。今のうちにできることはないか」と相談を受けた。

【検討すべき点】
高齢者に部屋を貸している貸主もサ高住のケースと立場が似ています。ただし、サ高住の場合、入所者の生活を観察・把握しているのに対して、高齢の借家人は孤立しており、貸主も気づかないうちに孤独死されていることもあります。さらに、古くからの借家の場合は契約書がないことも多く、貸主は相続開始後の対応に苦労します。

【1】貸家の相続

① 昭和20年代は戦災で住居を失った方々の多くが長屋(木造1階建て壁共通の建物)の借家人になりました。都市開発により少なくはなってきましたが、今でも長屋は残っており、賃貸人も借家人も代替わりして借家契約が存続している例があります。
② このような借家契約は・「建物賃貸借契約書が見当たらない」・「契約書があり連帯保証人の署名と押印があるが、その保証人はすでに他界している」・「賃貸人と借家人の相続が繰り返されることにより両者の関係が疎遠になっている」・「不動産管理業者に借家の管理を委託せず、賃貸人が自ら集金する形態が多い」・「借家人が高齢化し孤独死の可能性が高くなる」等の問題が予想できます。

【2】借家人の死亡に関する問題

① 相談例の場合で建物賃貸借契約書が見当たらず、かつ、何も対策を講じないまま借家人が死亡した場合には、以下の問題が生じます。
第1 借家人(被相続人)の相続人が不明で、親戚・縁者にも連絡がつかなければ、相談者は葬儀、火葬、埋葬について対応できません(無縁仏になる可能性が高いでしょう)。
第2 借家人が死亡しても借家契約は相続人に承継されますし、厳密にいえば借家契約の合意解除には相続人全員の同意が必要ですから、弁護士や司法書士などによる相続人調査(職務上請求)が必要です(借家契約は一代に限るという契約書があれば別です)。
第3 借家契約を解約できても明渡しや原状回復の問題は残ります。サ高住のような介護施設の貸室ならば部屋も狭く動産も限られますから、貴重品を役所や警察に預かってもらって現状回復ができますが、長年の借家で荷物が多ければ遺品整理業者に原状回復を依頼するため数十万からの費用がかかります。
第4 借家人に相続人がおらず、又は相続人全員が相続放棄をすれば、相続財産管理人の選任申立てが必要になり、この申立てにも予納金が必要です。
したがって、相談者が貸家を相続した直後なら、この機を逃さず、新たな借家契約を締結し直すべきでしょう。

【3】孤独死

① 「孤独死」とは、一人暮らしの者が誰にも看取られることなく、自宅での突発的な事故や疾病により、助けを呼ぶこともできないまま死亡することを言います。
② 借家人が孤独死された場合は発見が遅れるため、ご遺体は腐敗や腐乱が進み、部屋そのものにダメージが及びます。したがって、家主は腐敗後の痕跡を消し、死臭を消臭するなどのため特殊清掃業者にクリーニング(特殊洗浄)を依頼せざるを得ず、全面改装が必要になることもあります。
③ 孤独死のあった部屋を新たに賃貸する場合、それが心理的瑕疵に当たるほどのものなら、貸主は告知義務を、仲介業者は重要事項として説明する義務を負いますので、次の借り手を探すのは困難です。したがって家主は借家人がどうやって生活しているのか気になって当然ですし、頻繁に借家人の安否を確認しなければなりません。

【4】借家人とのコミュニケーション

① 建物賃貸借契約書と連帯保証人を確認します。次に借家人から四親等内の親族を聞き出し、一度連絡を取って借家人の状態を知らせておくべきでしょう。また、借家人の認知症が進行するようでしたら、成年後見人をつけてもらうようお願いします。
② もちろん88歳の借家人が41歳の家主に親族を教えてくれるとは限りませんが、借家人も、常に孤独死の恐怖を感じておられるはずです。そうであれば、相談者自ら足しげく借家人を訪問し、思い出話などを交えて健康を気遣えば心を開いてくれるかもしれません。
③ 機械警備を行っている警備会社も、一人暮らしの高齢者の異変を察知できる見守りサービスを展開しています。これは、高齢者が体調の異変を感じたときに警備会社を呼び出したり、高齢者からの通報がなくとも、人感センサーなどを設置して緊急事態を感知するといったサービスで、月額数千円程度の基本料金がかかりますが、借家人やその家族のみならず、家主にとっても利用価値があるサービスです。

【終活・遺言・相続相談】相談例12 おひとり様の入所者の終活

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【相談内容】
サービス付高齢者向け賃貸住宅(サ高住)の担当者から、「身寄りがなく認知症の入所者(95歳女性)の病気が進行し、余命いくばくもないと分かった。連帯保証人がいないので、これから先の、財産の管理、延命治療、ご遺体の引取り、葬儀埋葬、賃料の請求、貸室の明渡し等について、どうすればいいかわからず困っている」と相談を受けた。

【検討すべき点】
介護施設も、身寄りのない入所者にもしものことがあった場合には、対応に苦慮します。認知症が進行して事理弁識能力がないなら、財産管理契約も遺言もできません。利害関係人である施設は、後見開始の申立権者ではありませんので、本人申立てを検討します。

【1】サ高住の実情

① サ高住は高齢者の居住の安定確保に関する法律によって創設された民間施設で、比較的健康な高齢者向けの住まいとしてスタートし、特別養護老人ホーム待機者の受け皿として発展してきました。
② 様々な業者が参入して過当競争状態になり、令和元年度は53施設が倒産又は廃業しました。サ高住は賃料だけでは経営が成り立ちにくいので、約8割の施設が訪問介護ステーションやディサービスを運営し、これらのサービスと併せて収益を上げています。

【2】介護施設の立場

① サ高住の経営的な視点だけで考えれば、要介護度が高く、自社が提供する介護サービスで売上を稼ぐことができ、かつ、手のかからない高齢者で部屋が埋まっているのが理想です(介護サービスが不要な自立した方は割に合いません)。その上、入所契約の際に保証人(推定相続人)がいれば安心できます。
② しかし、空室が多いと経営が苦しくなるので贅沢は言えず、保証人がなく、身寄りもない高齢者でも生活保護受給者でも、とりあえず入所させることがあります。そのような入所者が死亡した際には、ご遺体の引取り、賃料等の請求、貸室の明渡しなどの処理に窮します。
③ ちなみに、縁者がいないケースでは、市町村長に申告することによって無縁仏として処理してもらえますが、財産はあるが、相続人が不明な場合、その後の処理も問題になります。

【3】成年後見の活用

① 認知症の入所者について後見が開始すれば、施設(サ高住)は成年後見人に入所者の財産管理を任せることができます。
② 入所者死亡時には、成年後見人が死亡届を提出し、火葬及び埋葬に関する契約の締結に関する家庭裁判所の許可を得て、火葬、埋葬手続きを行うこともできます。
③ しかし、被後見人の葬儀については民法873条の2第3号に例示されておらず、成年後見人が葬儀を執り行うことまでは認められていませんので、葬儀は直葬になります。
④ 被後見人の相続開始後、成年後見人は貸室の明渡しや入院費通院費の支払いも弁済期の到来した債務の弁済(民法873条の2第2号)として行うことができます(残置物の廃棄や保管のための寄託契約の締結は「その他相続財産の保存に必要な行為」(同条3号)として、家庭裁判所の許可を得て行ないます)。
⑤ 成年後見人には延命治療の同意権はありませんが、相続開始すれば相続人に管理財産を引き渡す義務があるので、事前に入所者の戸籍を調べて親族(推定相続人)の有無や所在を確認し、連絡を取ってくれると期待できます。そうすれば、延命治療、葬儀及び埋葬などについて、親族の意見を伺うこともできます。このように身寄りのない入所者の成年後見人が選任されることは施設(サ高住)にとっては好都合になります。

【4】後見開始の申立て

① 後見開始の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人等に限られており、介護施設などの利害関係人は含まれません(民法7条、11条、15条1項)。そこで、身寄りのない入所者でも、多少なりとも事理弁識能力が残っているなら、その入所者本人からの後見開始の申立てを試みることになります。
② しかし、入所者が意思表示できなかったり、あるいは「自分はまだ大丈夫だ。金を他人に任せる気はない。」と主張するならば、この方法は使えません。そうなると、四親等内の親族を探し出し、事情を説明して後見開始の申立てをお願いすることになります。
③ 四親等の親族も判明しないときは、市町村長から後見開始の申立てをお願いするしかない(老人福祉法32条)ので、市区町村の老人福祉課に相談することになります。

【終活・遺言・相続相談】相談例11 施設入所に関する相談

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【終活・遺言・相続相談】相談例11 施設入所に関する相談についての記事です。

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【相談内容】
相談者(55歳女性)から、「同居している母(82歳)が転倒した際に腰椎を骨折し、介護が必要になった(要介護3)。母は自宅から離れたくないというが、自分たち夫婦にも仕事があるので、母の面倒を見るのが難しい。在宅介護するべきか施設入所させるべきか迷っている」と相談された。

【検討すべき点】
高齢者や家族にとって在宅介護か施設入所かは喫緊の課題です。できればケアマネジャーとも相談して解決方法を探します。在宅が無理ならば介護施設のパンフレットを取り寄せ、各施設のサービスの内容、費用、環境、本人の意思との適合性を考え、実際に現地を見学することも必要です。

【1】在宅介護の可能性

① 高齢者の家族から「親を施設に預けたい」と聞くことはよくありますが、ほとんどの高齢者は住み慣れた自宅を出て施設に入所することを希望されません。
② そこで、まずは、在宅のまま、介護サービスを受けて対応できないかを検討します。在宅の場合の介護サービスとしては、訪問型サービスと通所型サービスがあります。
③ まず、自宅への訪問型サービスとしては、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリなどの方法があります。また、施設への通所型サービスとしては、ディサービス、ショートステイ、等の方法があります。
④ それぞれのご家庭によって組み合わせは異なりますが、たとえば、月・水・金曜日は日中ディサービスを利用し、火・木曜日は在宅で訪問介護を利用し、平日の夜と週末は子が親と一緒に過ごすというパターンなどをとるご家庭もあります。それでも、高齢の親が一人で過ごす時間帯が残ります。

【2】在宅介護の危険性

① 在宅における介護者の負担は、重くなることはあっても軽くなることはありません。そして、その状態が長く続くと、介護者も被介護者とともに高齢になって「老々介護」や「認認介護」(認知症患者が認知症患者の介護をする状態)を招きます。
② そして、介護者が自分の役目をこれ以上果たせないと悲観して、自殺や心中などの結末に至ることもあります。そのような悲劇を避けるためには、いずれ、施設入所を決断するしかないでしょう。
③ 住み慣れた家から離れたくない、子と一緒にいたいといった親の気持ちや、頼りにしてくる親を見捨てられないという子の気持ちは理解できますが、共倒れは避けねばなりません。

【3】介護施設の種類

① 相談者の母親の状態、相談者の家族や仕事の負担などをケアマネジャーに説明し、在宅介護で対応できないなら、介護施設への入所を検討します。以下に介護施設の概要を記します。
●【特別養護老人ホーム】入居対象(要介護3以上):「特徴」終身対応可能な公的施設。認知症患者も受け入れ可。費用が安いので、入居待ちが多く、入所まで待たされる。
●【介護老人保健施設(老健)】入居対象(要介護1以上):「特徴」リハビリ目的の公的施設。費用が安く、認知症患者の受け入れも可。入所待ちが多く、入所まで待たされる。終身を予定していないため、帰宅可能になると退所を促される。
●【介護療養型医療施設】入居対象(要介護1以上):「特徴」公的施設。認知症患者も受け入れ可。現在このタイプの施設は廃止される流れである。
●【軽費老人ホーム】入居対象(自立~要介護3):「特徴」公的施設。認知症患者も事情によって受け入れるが、入所まで待たされる。
●【ケアハウス】入居対象(自立~要介護3):「特徴」公的施設。認知症患者も事情によって受け入れるが、入所まで待たされる。
●【介護付有料老人ホーム】入居対象(自立~要介護5)「特徴」民間施設で認知症患者も入所可。ケアマネジャー他のサービスを提供するが、通常その施設指定の介護サービス以外選択できない。
●【住宅型有料老人ホーム】入居対象(自立~要介護5)「特徴」民間施設で、認知症患者も事情により受け入れる。
●【グループホーム】入居対象(要支援2~要介護5)「特徴」民間施設で認知症患者も入所可。9人を1ユニットとして集団生活をさせる。
●【サービス付高齢者向け住宅(サ高住)】入居対象(自立~要介護3)「特徴」2001年施行の高齢者の居住の安定確保に関する法律により創設された民間施設。ケア専門家が常駐するバリアフリー構造の賃貸住宅。認知症患者の受け入れは要相談。入居まで待たされる傾向。国土交通省管轄で厚生労働省管轄の住宅型有料老人ホームと区別されるが、内容はほぼ同じ。
●【健康型有料老人ホーム】入居対象(自立のみ)「特徴」民間施設。認知症患者は入所できない。
●【シニア向け分譲マンション】入居対象(自立~要介護5)「特徴」民間施設。認知症患者も事情により受入可。設備が充実しているものは高額。売却時にはかなり値下がりする。

【4】施設の検討(費用の比較)

① 施設入所に当たっては、施設入所にかかる費用を検討します。施設利用料には、入居一時金、月額費用(施設利用料、食費、介護費用、管理費など)があります。
② いくつかの施設の10年間でかかる費用を比較します。なお、受給年金額での変動費や都市部での割増、個室使用料、医療費介護費用の変動などは考慮していません。
【特別養護老人ホーム】入居一時金0円、月額費用10万円、10年間費用1,200万円
【グループホーム】入居一時金20万円、月額費用18万円、10年間費用2,180万円
【サ高住】入居一時金20万円、月額費用18万円、10年間費用2,180万円
【介護付き有料老人ホーム】入居一時金200万円、月額費用27万円、10年間費用3,440万円
③ 特別養護老人ホームの安さが目立ち、希望者が殺到して順番待ちになる理由がわかります(公的施設は入居一時金がないことが多く、月額利用料も数万円に抑えられ、特養は最後まで面倒を見てくれます)。
④ 民間施設である「介護付き有料老人ホーム」などの「有料老人ホーム」は、入居一時金が高く設定される傾向があり、サービスが充実しているので、月額利用料であまり差がないように思えても、10年も利用すれば大きな差が出ます。
⑤ 最近主流になりつつある「サ高住」や「グループホーム」では、入居一時金を比較的安く設定され、賃料以外も含めた月額費用は約20万円が目安です。
⑥ 検討すべき点は、この費用を利用者本人の年金収入で賄えるのかという点です。相談例での母の年金収入が、老齢基礎年金と亡夫の遺族厚生年金だけであるとすれば、月額約12万円程度でしょう。サ高住やグループホームを利用すると、確実に赤字です。収入と施設利用料の差額を利用者の現有資産で賄えるのかが問題です。
⑦ 同居の親子でも、子が親の資産(預貯金額等)を把握しているとは限りません。「親の為だから、自分が負担すればいいや」という考えも浮かぶでしょうが、共倒れは避けねばなりません。

【5】施設の検討(費用以外の要素)

① 入所候補の施設が清潔で、職員を含め雰囲気が良いかどうかも検討すべき点です。経営がしっかりしていなければ、介護施設の倒産もあり得ます。
② 相談例の母がその施設を気に入るかどうか、家族が訪問しやすいかどうかも検討します。家族はケアマネジャーと相談して候補となる施設を選び、パンフレットなどを取り寄せ、実際に母と一緒に施設見学に行きます。もっとも、高齢者は、いろいろと気に入らない理由をつけて施設入所を拒む傾向があり、家族やケアマネジャーが協力して説得することになります。
③ なお、成年後見人に選任されている弁護士や司法書士が、家族やケアマネジャーから施設入所について相談された際、「身上監護には関知しない」と突き放すような対応があると批判されていますが、後見人も下見に同行して被後見人の説得に当たるべきです。