世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q80 祭祀主宰者の範囲と承継手続についての記事です。
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【Q80】私たち兄妹3人で、兄の私と妹2人です。妹2人は他家に嫁いでいます。私は未婚で子供もいません。そんな時、父が亡くなりました。お墓は承継者のいない人は継げないとお寺から言われています。妹たちに頼みましたが、いずれも夫のお墓があるので、父のお墓はいらないと言っています。どうしたらよいでしょうか。
【POINT】
① 祭祀主宰者となれる者の範囲
② 墓地使用券の承継手続
1⃣ 祭祀主宰者となれる者の範囲
⑴ 墓地使用権の承継
① 通常、お墓を承継するといった場合、承継の対象は、墳墓(墓石やカロート)そのものの所有権と、墓地使用権に分かれます。墓地使用権とは、墳墓の所有者が、墳墓所有のために、他人の所有する墓地のうち、限定された区画を利用することができる権利をいいます。
② そして、墓地使用権は、墳墓の所有権と一体となる権利として、「祭祀財産」に含まれ、祭祀主宰者がこれを承継することになります。
③ 被相続人が祭祀主宰者を指定した場合には、その指定された者が、祭祀主宰者として祭祀財産を承継し、被相続人による指定がない場合には、慣習によって祭祀を主催すべき者が、祭祀財産を承継します。また、被相続人による指定がなく、かつ慣習が明らかでないときには、最終的には家庭裁判所が審判を行うことによって、祭祀主宰者を指定することになります。
④ そして、祭祀主宰者として指定された者は、承諾するしないとは関係なく法律上当然に祭祀財産を承継します。しかし、その地位を放棄することは自由ですし、さらに別の者に承諾させることも自由です。
⑵ 祭祀主宰者となれる者
① 上記⑴のいずれかの方法によって祭祀主宰者が指定される限り、法律上は誰でも祭祀主宰者になることができます。例えば、未婚で子供のいない者や、結婚や養子縁組をして氏を変えた者であっても、祭祀主宰者になることは可能です。
② さらには、成年被後見人を祭祀主宰者に指定した例、共同墓地の共有持分権を有する者が相続人なくして死亡した事案において、その者と親族関係にはない墳墓を管理する者を祭祀主宰者として指定した例もあります。したがって、承継者がいる場合でなければ祭祀主宰者とはなれないというような法律上の制限は存在しません。
2⃣ 墓地使用権の承継手続
⑴ 墓地管理者への届出
① 祭祀主宰者が指定された場合、祭祀主宰者は、当然に墳墓の所有権と墓地使用権を承継しますが、事務手続の問題として、墓地使用権については、墓地管理者に承継の届出をする必要があります。
② 墓地の使用権は、通常、墓地使用権者が墓地管理者から永代使用権を取得して使用しているため、名義変更手続きをしないと誰が承継したのかがわからず、管理料を誰に請求したらよいかが不明になってしまうためです。
⑵ 墓地使用に関する標準契約約款
① もっとも、この届出に対する墓地管理者の承諾は不要です。この点については、平成12年12月6日に厚生省が、事業用墓地を対象に墓地使用契約の内容の明確化等を図ることを目的として各都道府県知事らに対して発した「墓地経営・管理の指針等について」が参考になります。
② この別紙2「墓地使用に関する標準ん契約約款」7条1項は、「使用者の死亡により、使用者の祭祀承継者がその地位を承継して墓所の使用を継続する場合には、当該祭祀承継者は、すみやかに別記様式による地位承継届出書に住民票の写しを添えて経営者に届出を行うものとする」と定める。
③ 同条項の解説は、「墓地使用権については当然に祭祀承継者に承継されるものであるから、本契約約款では特に承継に際しての経営者の承認等の関与は定めていない。それよりも、経営者としては、だれが承継して墓所を使用するのかを把握しておくことが重要であるから、承継者が住民票の写しを添えて必要な事項を書面をもって届け出るべきことを明確に義務付けた」としています。
④ 上記約款は、公益法人などの事業者が経営する事業型墓地について、特定の階層だけではなく多数の利用者を予定しているというその公共性に鑑みて、あるべき契約約款を示したものであるため、ご質問のケースのような寺院が経営する寺院型墓地に直ちに当てはまるものではありません。
⑤ しかし、寺院型墓地においても「墓地をめぐる権利義務関係を明確にする」という観点から取り入れることができる部分については、上記趣旨を可能な限り参考とするべきであるとされています。
⑥ もっとも、寺院型墓地の場合には、檀家という宗教による特殊な結びつきも無視できないため、お墓を承継する者は、檀家としての地位も承継することになります。
3⃣ 結論
① ご質問のケースは、兄妹3人で妹2人は他家に嫁いでいるということですが、法的には、ご兄妹誰でも祭祀主宰者としてお墓を承継することは可能です。そして、その祭祀主宰者の指定方法として、亡きお父様が兄妹のうち誰かを祭祀主宰者に指定していた場合には、その者が祭祀主宰者となり、そのような指定がない場合には、慣習によって祭祀主宰者となるべき者が承継することになります。また、お父様による指定がなく、慣習も明らかでない場合は、最終的には家庭裁判所が審判によって祭祀主宰者を指定することになります。
② このような手続によって、ご質問者が祭祀主宰者となれば、ご質問者が当然に祭祀財産を承継することになり、お寺としても、ご質問者の祭祀主宰者としての地位を尊重すべきことになります。
③ なお、上記のように、祭祀主宰者となれる者の範囲は、相続人に限られません。そのため、ご質問者の後にお墓を承継する者として、同じお寺の檀家となっている親族を指定することも可能ですので、未婚で子供がいないことが直ちにお墓の承継者になれないということを意味するわけではありません。また仮にご自身の承継者がいないとしても、永代供養の手続をとることによって、ご質問者の死後の祭祀も可能になります。
④ したがって、あらかじめご自身の後にお墓を承継する者を指定してその旨をお寺に申し出るか、あるいは、永代供養の手続をとるべきかについて、まずはお寺と話し合いをされてみてはいかがでしょうか。

