【孤独死をめぐるQ&A】Q32 引き取った遺骨の扱いー遺骨遺棄罪、送骨・散骨

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【孤独死をめぐるQ&A】Q32 引き取った遺骨の扱いー遺骨遺棄罪、送骨・散骨についての記事です。

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【Q32】遠縁の親族が孤独死したらしく、自治体から遺骨を引き取ってほしいという連絡が来ました。
生前の交流はありませんでしたが一応親族だからと遺骨は引き取ったものの、骨壺が家にあるのも悩ましいです。
遺骨をゴミ収集日に出してしまってよいのでしょうか。出してはいけない場合、どうにか遺骨を手放すことはできないでしょうか。

【A】遺骨を捨てると遺骨遺棄罪となり刑事罰の対象になります。また、一度引き取った遺骨の所有権を放棄することはできません。
ただ、遺骨をお墓や納骨堂に納骨する義務まではありません。最近は安価な供養方法がありますので、それを選択することをお勧めします。

【解説】

1 遺骨遺棄罪

① 刑法190条は「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」と定めています。
② 遺骨を遺棄した場合、刑法190条の遺骨遺棄罪に問われる可能性があります。令和2年1月22日の報道でも、遺骨を男子トイレの個室に置いてきた人が遺骨遺棄罪で逮捕されたということがありました。これ以外にも、度々遺骨遺棄での逮捕の報道はされています。
③ どのような理由であっても、遺骨を遺棄しては犯罪になってしまいます。例えば、自宅で保管するにしても少量の遺骨でよいので、残りは廃棄したいと考えても、一度自宅に持ち帰った遺骨は祭祀のための祈念すべき遺骨にあたると考えられますので、供養に必要ない遺骨と考えたからといって廃棄することは許されないと考えられます。

2 納骨義務はあるか

① 遺骨を引き取ったからといって、お墓や納骨堂に納骨をする義務まで負うわけではありません。捨てるわけではなく、骨壺のまま、自宅に保管していれば、それが法に触れることはありません。
② 自宅に保管しておけば特に供養をしなければいけない法的な義務はありませんので、遺骨を引き取ってしまったが、特に費用をかけて供養はしたくないという場合は、単に自宅に保管することになります。
③ 最近では、供養をする目的で自宅に骨壺を保管している人もいます。自宅供養を前提としたスタイリッシュな仏壇も用意されていますので、もし自宅で保管したい方は調べてみるとよいかと思います。
④ なお、自宅に保管しておけば法には触れませんので、特に供養をすることなく倉庫にしまっておいても問題ありません。ただし、自宅の庭であっても埋めると焼骨の埋蔵(墓地埋葬法4条1項)になってしまいますので、埋めないようにしてください。

3 遺骨が自宅にあると不吉だという場合

① 遺骨を自宅に持ち帰ったが、自宅に遺骨があることを疎ましいと思う方もいます。現に、遺骨遺棄罪についてのニュースでも、遺骨を捨てた動機として、女性と同棲することになり遺骨が邪魔になったからと報じられていました。
② このように自宅に遺骨はおいておきたくはないが、お金をかけてまで納骨はしたくないという場合には、どのような対応をとればよいのでしょうか。

⑴ 送骨
ⅰ まず考えられるのは「送骨」という方法です。送骨は、お寺に遺骨を送るとお寺で合葬してくれるというものです。知る限りでは、安価でかつ宗教的に供養してもらう方法としては送骨が一番良い手段だと思います。
ⅱ なお、お寺に送る際には、日本郵便のゆうパックを用いることになります。代表的な宅配業者であるヤマト運輸や佐川急便などは「紛失時の責任が取れない」として遺骨の配送は受けていません。
ⅲ 墓地埋葬法14条は、「墓地の管理者は、第8条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋蔵又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。」とあるため、お寺に送骨する際は、遺骨だけでなく火葬許可書(火葬済印があるもの)を同封します。

⑵ 遺骨を自身で撒くことができるか
ⅰ 送骨も一定の費用はかかってしまいます。それでは、遺骨を自身で散骨してしまうということは許されるのでしょうか。
ⅱ 私見ですが、山中や森の中に自身で遺骨を撒くことは避けた方がよいのではないかと思います。まず、山中で遺骨を撒き、その上から土や落ち葉をかける行為は、一般的には「焼骨の埋蔵」に当たります。そのため、山中で遺骨を撒き、その上から土や落ち葉をかける行為は行ってはいけません。
ⅲ 焼骨を山中などで散骨した場合、上に土や落ち葉をかけることはできませんので、第三者が遺骨を発見してしまう可能性があります。第三者が発見した場合、第三者からするとその遺骨が廃棄されたのか散骨されたのかの区別はつきません。一般に、焼骨をそのまま山中に散骨するという行為は、社会通念上埋葬と認められる態様での埋葬とはいえませんので、遺骨遺棄罪に該当すると判断される可能性が高いと思われます。
ⅳ また、通常、山であっても森であっても、誰かの所有地になっています。通常は、自身の土地に知らない人の遺骨を撒かれるのは嫌でしょうし、知らない人の遺骨が撒かれている土地ということが分かれば、土地の評価も下がる可能性があります。そのため、土地の所有者の承諾なしに、勝手に遺骨を撒くということは民事上の不法行為に該当する可能性があると考えます。
ⅴ そうなると、山中や森林に散骨をする場合、第三者から見て遺骨と分からない程度に粉末化すること(粉骨)、散骨をした後に、土や落ち葉をかけないこと、土地の所有者の承諾を取ることという条件は最低限満たす必要はあるかと思います。そのような条件を満たすことも難しいので、自身で山中に散骨をするということはあまりお勧めできません。
ⅵ なお、散骨については、葬送方法には強い地域差があることから条例で定めることが適当とされており、現に散骨について、秩父市や長沼町のように条例で禁止している自治体もあります。よって民間が経営している散骨場を利用し、お金がかからないからというような理由で安易に山中に散骨することは避けるべきです。
ⅶ 他方で、海は、土地と違って誰のものでもありません。最高裁の判決で、海は公共用物であり、公法的な支配管理に服するとして、海を所有権の対象とすることを否定していますので、海の所有者はいません。
ⅷ また、海での散骨であれば、遺骨は比重の関係で沈むので、第三者に発見されるという可能性も極めて低いかと思われます。そして、現在のところ海洋散骨は規制されていませんし、海洋散骨をする許可というものは想定されていませんので、海洋散骨業者でないとできないということもありません。したがって、海洋散骨をすること自体は自由かと思います。
ⅸ ただ、海洋散骨を良しとしない方々もいます。とりわけ漁業や観光業の方々とトラブルになる可能性もありますので、可能な限り専門業者に依頼するべきかと思います。もし、個人で行うにしても、粉骨する、人目につかない場所で行う、漁場や海水浴場、ダイビングスポットなどは避けるなどの配慮をすることが望ましいと考えます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q31 遺骨引取義務の有無

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【Q31】遠縁の親戚が孤独死し、自治体が火葬をし遺骨を預かっているようです。自治体から私に対して遺骨を引き取ってくれないかという連絡が来ました。
親戚だというだけで遺骨を引き取る義務はあるのでしょうか。

【A】遺骨の引取りを法的に義務付けることは難しいと考えます。

【解説】

1 遺骨は所有権の対象になる

① 遺骨も動産であり、所有権の対象になります。
② 自らに故人の遺骨を引き渡して欲しいと主張する者が、自身が遺骨の所有者であると主張し、遺骨の所有権をめぐって紛争になったという例があり、裁判所は遺骨の所有者が誰になるかという判断をしています。
③ そのような訴訟において、故人の祭祀承継者に当たる者が遺骨の所有権者になると判断されます。
④ 祭祀承継者は、故人による指定、慣習、家庭裁判所による決定で決まります(民法897条)。
⑤ このことからすると、故人の遺骨の所有権者は、祭祀承継者であると言えます。

2 遺骨引取義務を負うか

① 祭祀財産の承継には、相続の承認や放棄の規定は適用されません。祭祀承継者は、祭祀財産を放棄することはできないとされています。
② そうなると祭祀承継者は、遺骨の所有権者となります。
③ 所有権は他人を害する形で一方的に放棄できないとされています。遺骨を自治体が管理するとなるとコストもかかりますので、自治体に迷惑をかけるような形で遺骨の所有権を一方的に放棄することができないと考えれば、自治体は祭祀承継者に対して、その所有物である遺骨を引き取るように請求することも認められそうです。
④ ただ、自治体が故人の親族に対して遺骨を引き取るように請求してみても、実際に祭祀承継者ではないと主張され遺骨の引取りを拒否された場合、自治体が親族に対して、遺骨の引取りをさせることは困難かと思います。
⑤ というのも、遺骨の所有者は祭祀承継者であるところ、祭祀承継者が明らかでない場合には、祭祀承継者を定める審判によりそれを定めることになるからです。
⑥ この祭祀承継者を定める審判の申立権者は、当該祭祀財産の権利承継につき利害関係を持つ親族またはこれに準じる者(例えば内縁の妻、事実上の養子)と解されていることから、他人の遺骨を管理しているにすぎない者から、祭祀承継者を定める審判を申立てられない可能性があり、遺骨の所有者を定めるということは難しいかもしれません。
⑦ そうなると、自治体から遺骨の所有者=祭祀承継者を特定して、遺骨の引取りを求めることは、事実上、難しいのではないかと思います。

【孤独死をめぐるQ&A】Q30 葬儀費用の負担者、葬儀費用不払への対応(葬儀費用の先取特権)

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【Q30】孤独死した方の遺体を親族が引き取り、当社に葬儀を依頼しました。故人に相続人はなく、生前に交流はありませんでしたが警察に言われてやむなく遠縁の親族が遺体を引取り、葬儀を依頼することになったようです。
葬儀が終わり、葬儀費用を請求したところ、「故人の預金があるのだから、そこから回収して欲しい。私は相続人でもないし葬儀費用は支払いたくない」と支払いを拒否されてしまいました。葬儀費用は誰が負担するものなのでしょうか。また、相続財産から回収することはできないものでしょうか。

【A】葬儀費用は原則として喪主が支払います。そのため、葬儀社としては喪主に葬儀費用を請求することになります。喪主は、相続人でないなどという理由で支払いを拒否することはできません。
とはいえ、複数の葬儀社の顧問弁護士に聞くと、葬儀費用不払対応をしていると同案件では、縁が遠い方が期せずして葬儀をしなければならなくなった例が多いと感じるそうです。
本事例のように喪主から葬儀費用の支払いを拒否されているが故人に財産があることが分かっている場合、葬儀費用の先取特権を用いて回収できる可能性があるため、その方法を検討しても良いかもしれません。

【解説】

1 葬儀契約の主体は喪主

① 葬儀契約は、何か特殊な契約というわけではなく、葬儀という儀礼を行うことや葬儀のために必要な業者を手配・取り次いでもらうことを依頼する準委任契約にすぎません。
② したがって、葬儀契約の主体は、喪主と葬儀社であり、葬儀社は契約の主体である喪主にしか葬儀費用を請求することはできません。
③ この点、喪主が負担した葬儀費用を相続人間でどのように分担するかについては喪主負担説や相続財産負担説など諸説ありますが、葬儀社が誰に請求できるかというとそれは契約主体である喪主にしか請求できないということになります。
④ なお、葬儀社によっては、宗教的な葬儀の主宰者である「喪主」と契約主体として葬儀費用を負担する「施主」と表現を使い分けていることがあります。そのような場合、契約主体は「施主」と認定されるのではないかと思います。

2 先取特権

① 葬儀によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有します(民法306条3号)。
② 葬式費用が先取特権とされた趣旨は、「葬式の際に…相手方がいちいち債権実現の可能性を検討したり、担保を徴したりする余裕はないのが通常であるから、債権者のために債権実現を保障することにより債務者が葬式をあげることを容易にする」ことにあるとされています(加藤一郎・林良平編「担保法大系第2巻」347項金融財政事情研究会1985)。葬儀は亡くなってすぐに行われなければなりませんので、葬儀社としては、喪主に資力も故人の資力も分からないままに受注せざるを得ません。そのため、葬儀費用債権には特別の保護が与えられています。
③ この点、東京高決平成21年10月20日は、民法309条1項の「債務者」とは死者自身を指すべきものと解されており、葬式費用の債権者は本来的には葬儀社であって、「債務者」の総財産である遺産の上に相当額について先取特権を有することになると判示しています。
④ 本事例では、葬儀社は葬儀によって生じた債権を有する者に当たりますし、債務者は死者自身を指すので、故人の預金は債務者の財産に当たります。
⑤ そのため、葬儀費用先取特権により、預貯金を差し押さえて回収をすることが可能と考えます。債務者は死者自身を指すと解されていますが、死者自身は当事者にはなりませんので、債務者は相続財産法人となります(民法951条)。
⑥ そして、相続財産管理人が選任されておらず相続財産法人に代表者がいないため、民事訴訟法35条の準用により特別代理人を選任して、手続きを進めます。本事例と異なり、相続人がいる場合は、亡き誰々相続人○○が債務者になります。
⑦ なお、不動産に対する先取特権の行使の場合には、民法335条1項により不動産以外の財産から弁済が受けられないことが必要になります。
⑧ 葬儀費用の先取特権は、葬儀費用全額ではなく、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額のみだけが対象になります(民法309条1項)。そのため、葬儀費用が相当額の範囲内であることを資料を添付して明らかにする必要があります。

【孤独死をめぐるQ&A】Q29 身元は判明しているが遺体の引取手がいない場合の葬儀

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【Q29】孤独死した方の遺体を警察が引き取りました。判明した遺族に連絡をしましたが、生前に関わりがないのに遺体は引き取りたくないといって、遺体の引取りを拒否しています。
その様な場合、葬はどのようになるのでしょうか。

【A】身元が判明している遺体が引き取られない場合も、死亡地の地方自治体が火葬することになります。

【解説】

1 墓地埋葬法の定め

① 身元が判明していない場合には、行旅死亡人とみなされ、行旅病人及行旅死亡人取扱法により死亡地の地方自治体が火葬することになります。
② 本事例のように、身元が判明している場合、遺体の引取手がいなくても、行旅死亡人とはみなされないので、行旅病人及行旅死亡人取扱法は適用されません。
③ この点、墓地埋葬法9条1項には、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」との定めがあります。
④ 遺体の引取手がいないということは、死体の埋・火葬を行う者がいないということですので、引取手がいない遺体については、死亡地の市町村長が、火葬・埋葬をすることになります。
⑤ なお、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないとき」とは、親族である必要はなく、現実に埋葬、火葬を行う人がいないことを指します。
⑥ 親族が遺体の引取りをしないから親族に代わって友人や地域の人が引き取るので、埋・火葬の費用だけ地方自治体に負担して欲しいと考えても、友人や地域の人が葬儀を挙げてくれる場合は、死体の埋葬火葬を行う者がいない場合には当たりませんので、墓地埋葬法9条1項は適用されません。

2 遺体の引取手がいない場合の埋葬・火葬費用の負担

① 墓地埋葬違法9条2項は「前項の規定により埋葬又は火葬を行ったときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用する」と規定しています。
② 結果としては、遺体の引取手がいない場合も、行旅死亡人の場合と同様の処理になります。
③ すなわち、行旅死亡人の遺留品に現金や有価証券があれば、それを費用に充てることになります。それで足りなければいったん死亡地の市町村が費用を立て替えます。
④ その後、相続人が判明した場合には、相続人に対して弁償請求をすることになります。相続人がいない、また相続人による弁償がされない場合、死亡人の扶養義務を果たすべき人に弁償を請求することになります。
⑤ それでも弁償がされない場合、当該市町村は、遺留品を売却して得た代金を費用に充てることができます。それでも足りない場合、死亡地の都道府県がその費用を弁償することになります。

3 遺体の引取りの説得

① このように親族が遺体の引取りを拒否しても、葬儀費用を負担した地方自治体は相続人や故人に対して扶養義務を負っていた者に対して、葬儀費用の弁償請求をする余地はあります。
② そのため、地方自治体側として遺体の引取拒否事案に直面した場合、遺体の引取拒否の理由が葬儀費用の負担を避けるためであるのであれば、遺体引取りを拒否しても結局は葬儀費用が求償され費用の支出を余儀なくされる可能性があること、葬儀費用については埋葬費や葬祭扶助の対象になり得ることなどを説明して、応じるように説得を試みても良いかもしれません。
③ 他方で、遺体引取拒否の理由が費用面の問題ではなく、心情的な理由である場合もあります。例えば、幼い頃に離婚をきっかけにそれ以来会っていないとか、親が多額の借金をしたまま夜逃げをして残った家族は苦労していたなどの状況で遺体の引取要請が来て、拒否したという場合が考えられます。
④ そのような心情的な理由の場合、費用的なことを説明しても引取りは拒否されてしまう可能性も高いかと思います。
⑤ このような場合、遺体を引取り火葬する義務というものはないと考えられますので、心情的な理由から拒否する場合には、やむを得ず墓地埋葬法、行旅病人及行旅死亡人取扱法に従って処理を進め、相続人や扶養義務を負う者への弁償請求を試みることになるでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q28 身元不明の故人の葬儀

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【Q28】一人暮らしをしていた高齢者が亡くなり、遺体を警察が引き取りました。どうやら偽名を使って生活していたらしく、故人の身元が分かりません。
身元が分からない場合、葬儀はどのようになるのでしょうか。

【A】死亡地の地方自治体が火葬します。

【解説】

1 身元の分からない遺体の火葬

① 行旅病人及行旅死亡人取扱法という明治32年にできた法律があります。この法律により「行旅死亡人」とは、「行旅中死亡シ引取者ナキ者」と定義されています。
② つまり、行き倒れて亡くなった人が本来的な行旅死亡人です。明治時代ですから、旅行は徒歩で何日もかけていたので、行き倒れで亡くなる人も一定数いたのでしょう。
③ 現代では旅行中に行き倒れで亡くなる人などほとんどいないかと思いますが、行旅死亡人という表現は現在もよく使われます。
④ というのも、行旅病人及行旅死亡人取扱法1条2項に「住所、居所若ハ氏名知レス且引取者ナキ死亡人ハ行旅死亡人ト看做ス」との規定があり、身元不明の方が死亡した場合、行旅病人及行旅死亡人取扱法により、死亡推定日時や発見された場所、所持品や外見などの特徴などが死亡地の市町村長名義にて、官報に掲載され公告されます。
⑤ そして、行旅死亡人の遺体については、死亡地の各地方自治体が発見された場所、所持品や外見などの特徴を記録した後、死体を埋葬または火葬しなければなりません。日本ではほとんど埋葬(土葬)されませんので、通常は火葬されることになります。火葬後の遺骨については、法律上取扱いが決められておらず、各地方自治体に委ねられています。

2 火葬の費用

① まず、行旅死亡人の遺留品に現金や有価証券があれば、それを費用に充てることになります。それで足りなければいったん死亡地の市町村が費用を立て替えます(行旅病人及行旅死亡人取扱法15条)。
② その後、相続人が判明した場合には、相続人に対して弁償請求することになります。
③ 相続人がいない、また相続人による弁償がされない場合、死亡人の扶養義務を果たすべき人に弁償請求することになります(同法11条)。
④ それでも弁償がされない場合、当該市町村は、遺留品を売却して得た代金を費用に充てることができます(同法13条1項)。
⑤ それでも足りない場合、死亡地の都道府県がその費用を弁償することになります(同法5条、行旅病人死亡人等ノ引取及費用弁償ニ関スル件1条1項)。
⑥ ただし、政令指定都市や中核市の場合、県に準じるので、都道府県への請求はできません。(行旅病人及死亡人取扱法5条、13条)。

【孤独死をめぐるQ&A】Q27 葬儀を挙げる義務と葬儀費用の公的扶助

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【Q27】身寄りのない親族が亡くなり、警察から遺体を引き取るように連絡がありました。
遺体の引取りを拒否できるとは知らずに遺体を引き取ったのですが、生前まったく交流がなかったのに、親族という理由だけで葬儀費用をかけて葬儀するのも納得がいきません。
遺体を引き取った以上は葬儀をしないといけないのでしょうか。

【A】葬儀をする義務はありませんが、遺体をそのままにしておくわけにはいかないので、事実上火葬はしないといけません。

【解説】

1 葬儀を挙げる義務はないが事実上火葬をする必要はある。

① 遺体を引き取った以上、葬儀をしなければいけない義務を負うかというとそのような義務はありません。しかし、それは儀式としての葬儀のことであり、遺体の措置とは別問題です。
② 葬儀は、葬送儀礼の略語とも言われており、通夜や告別式、火葬、四十九日などを含む広い概念です。
③ このうち儀礼の部分である通夜や告別式、四十九日などは、故人の希望や経済的な状況に応じて決めてよく、儀礼は一切しないという方もいます。
④ しかし、葬儀のうち、遺体の処遇である火葬(宗教や地域によっては土葬)については、事実上、遺体を引き取った者が行なう必要があります。というのも、遺体を引き取った後、遺体を埋葬、火葬しないでそのまま放置しておくと腐敗してしまいますので、公衆衛生上の問題が生じてしまいます。
⑤ そして、遺体を引き取りながら、葬儀費用をかけたくないからと、埋葬、火葬をしないで遺体を放置し腐敗させた場合、死体遺棄罪に問われる可能性もあります。
⑥ もちろん、遺体を引き取った後、他の人に埋葬、火葬を委ねることができれば、それもよいでしょう。しかしながら、遺体を引き取る人がおらず、遺体を引き取った人に代わって火葬をしてくれるという人はなかなかいないでしょう。
⑦ そのため、遺体を引き取ったのであれば、埋葬、火葬をしなければいけなくなります。日本では99.9%火葬されると言われており、通常は遺体は火葬して焼骨にすることになるでしょう。

2 費用の問題

① 心情的な問題であれば、そもそも遺体を引き取らないでしょうから、遺体を引き取りながら火葬、埋葬をしたくないということは、それは費用が原因のことが多いことかと考えられます。
② お金がないから火葬できないという場合、もし生活保護受給者であったり、生活保護基準に満たない収入の場合は葬祭扶助(生活保護法18条)を受けることができます。葬祭扶助をうけることができれば、検案、遺体の運搬、火葬又は埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものについての費用が扶助されます。
③ また、加入している健康保険の種類に応じて、埋葬料や家族埋葬料、葬祭費が支給されます。それを費用の一部に充てることができます。

⑴ 埋葬料
① 故人が国民健康保険以外の健康保険の被保険者だった場合、あるいは全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者だった場合で、業務外の事由で亡くなった場合、故人により生計を維持してきた方には埋葬料として5万円が支給されます。
② なお、業務上の理由で亡くなった場合には、労災保険により葬祭給付が支給されます。

⑵ 埋葬料
① 上記の場合で埋葬料を受けられる方がいない場合、実際に埋葬を行った方に、埋葬料(5万円)の範囲内で、霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼等実際に要した費用が埋葬費として支給されます。

⑶ 家族埋葬料
① 上記の場合で、被扶養者が亡くなった場合、被保険者に家族埋葬料として5万円が支給されます。

⑷ 葬祭費
① 故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度の被保険者であった場合、その葬祭を行った方に支給されます。給付額は自治体や加入している組合によって異なりますが、3万円から10万円ほどのようです。
② ただし、葬祭費は、火葬のみの場合は支給されないこともあるので、火葬のみで葬祭費の申請をしようとするなら、事前に自治体や組合に確認した方がよいでしょう。

⑸ 申請手続
① いずれも自動的に支給されるわけではなく、支給を受けるには申請が必要になります。期間制限もあるので、忘れないうちに早めに支給申請をした方がよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q26 死亡届は誰が出すか

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【Q26】不動産管理会社を営んでいますが、当社で賃貸しているマンションで一人暮らししていた方が自宅で亡くなりました。
故人と生前に付き合いがあったという弁護士から、遺族と連絡がつかないので管理会社として死亡届に捺印して欲しいと言われたのですが、管理会社が死亡届に捺印できるものなのでしょうか。

【A】死亡届を出せる人は法律で決まっています。
マンションの管理会社は、家屋の管理人として死亡届に捺印できます。

【解説】

1 死亡届とは

① 死亡届は戸籍法86条により死亡の事実を市区町村の役所に届出る手続きです。
② 死亡届の提出により戸籍に死亡の事実が記載され、また住民票が抹消されることになります。
③ 死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に出す必要があります。死亡届の期限を守らない場合、5万円以下の過料に処せられる可能性があるため、期間を遵守する必要があります。
④ 死亡届出書の用紙は、死亡診断書/死体検案書と一体となっています。死亡診断した医師に死亡診断書/死体検案書部分を記入してもらい、死亡届出義務者が死亡届を記入し、署名捺印することで死亡届を出せるようになります。

2 死亡届義務者

① 死亡届は誰でも出せるというわけではなく、戸籍法87条に規定された者が出せます。
② まず、届出義務を負う者として、同居の親族、その他の同居者、家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人が挙げられています。
③ また、届出義務までは負わないが届出ができる者として、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者が挙げられています。
④ 通常は、親族が死亡届を出しますが、親族がいないというケースもあります。「家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人」は、死亡者が死亡した場所である土地または家屋の所有者または管理人を指すとされています。
⑤ 例えば、自宅で亡くなった場合、賃貸アパートやマンションの賃貸人や分譲マンションの管理会社がそれにあたります。
⑥ また、介護老人保健施設や有料老人ホーム、私立病院などで亡くなった場合、その施設長が届出人となることもあります。公立病院は、戸籍法93条、56条により届出義務が課せられます。
⑦ 死亡届の届出は条文で挙げられている順序によらず届出をすることができますし、届出義務者がいても戸籍法87条2項記載の者が死亡届を出すこともできます。

3 死亡届の提出先

① 死亡届の提出先は、どこでもよいというわけではありません。届出先は、法律で定められており、⑴死亡者の本籍地の市区町村役場、⑵届出人の所在地の市区町村役場、⑶死亡者の死亡地の市区町村役場となっています(戸籍法25条1項、88条1項)。
② 死亡届の署名や捺印(押印は任意)は、死亡届の届出義務者がする必要があります。しかし、署名捺印された死亡届を実際に役所に持って行って提出するのは、必ずしも届出義務者である必要はありません。
③ 死亡届の提出とともに埋火葬許可の手続きもしますので、葬儀社が代行して提出してくれることも多いようです。ただ、これはあくまで提出を代行しているだけであり、葬儀社が死亡届に署名、捺印することが認められているわけではありません。
④ 死亡届は、役所の夜間窓口でも出すことができるので、夜間窓口が開いていれば、いつでも提出をすることが可能です。
⑤ しかし、夜間窓口に死亡届を提出した場合、死亡届の受理はしてはくれますが、埋火葬許可証の発行はしてもらえないので、結局は通常開庁時間内に役所に行かなければなりません。

4 死亡届を出す人がいない場合

⑴身元不明の場合
① 戸籍法92条により本籍不明の場合、死亡者の身元不明の場合、警察官が死亡地の市町村長に報告をすることになります(戸籍法92条1項、死体取扱規則7条1項)。具体的には、死亡報告書に本籍等不明死体調査書を添付して市町村長に報告することとされています。
② また、その後本籍が明らかになった際や、死亡者を認識した際にもその旨の報告をすることになります(戸籍法92条2項)。この報告は、死亡者の本籍等判明報告書により行うこととされています。

⑵身元が明らかであるが死体の引取人がいない場合
① 警察署が取り扱う死体で身元が明らかであるが引取人がいない場合も、死亡地の市町村に引き渡すことになります。
② その際、死体及び所持品引取書の写しを添付して死亡通知を行うことになり、この死亡通知を行った場合、死亡報告による戸籍記載をしてもよいという扱いになっています。

⑶知人からの死亡届
① 故人の知人において、戸籍に死亡事項の記載を求める申出書を市区町村に提出し、職権での戸籍記載を促すという方法もあります。
② その場合、便宜上死亡届を用い、届出義務者がいないので、知人からの申出をする旨の記載をすることが相当とされています。
③ その申出を資料として、管轄法務局の長の許可を得て職権で記載をすることになります(戸籍法44条3項、24条2項)。
④ このように身寄りがない方の場合、家屋管理人など親族以外の届出義務者が死亡届を提出することができます。また、誰も死亡届を出す人がいないという場合には、警察から地方自治体に対して死亡通知がされ、死亡届をする必要がなくなります。

【孤独死をめぐるQ&A】Q25 遺体の腐敗防止 エンバーミング

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【Q25】兄は離婚をしていますが、子どもとは交流をしていました。先日、兄が急死したのですが、兄の子は海外赴任しており、私に連絡が来ました。
兄の子に死亡を伝えたのですが、帰国までに数日、時間がかかってしまうようです。葬儀は兄の子が帰国してから行いたいのですが、夏なので、その間に遺体が腐敗してしまわないか心配です。

【A】エンバーミングという方法で腐敗防止処置をとることができます。
エンバーミングの対応ができる葬儀社に依頼して、腐敗防止処置をしてもらえば、遺体を腐敗させずに保全できます。

【解説】

1 エンバーミングとその法的問題点

① エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法をいいます。
② エンバーミングをすれば、遺体は腐敗しませんので、事実上、死体を永続的に保存出来てしまいます。
③ しかし、日本では、死体解剖保存法という法律で、死体の保存について規制がされています。医学大学や病院が医学教育、研究のために必要があるとして死体の保存をする場合以外は、死体解剖保存法19条により、遺族の承諾だけでなく、保存しようとする地の都道府県知事(政令指定都市では市町、特別区は区長)の許可が必要とされています。
④ また、エンバーミングを行うためには、遺体を切開して血液と保存液を入れ替えるのが一般的ですが、それは遺体を損壊しているとも思えます。遺体を損壊した場合、死体損壊罪(刑法190条)に該当する可能性があります。

2 厚生労働省による研究報告

① 上記のようにエンバーミングについては、一見すると法的に疑義がある行為に思えます。
② この点については、エンバーミングが日本で紹介された平成3年頃に厚生省(現厚生労働省)が法医学者、検察庁、警視庁、弁護士などの専門家によるエンバーミングに関する研究班を設置し、平成4年3月に「わが国におけるエンバーミングのあり方に関する研究」という研究結果を公表しています。
③ この報告書において、エンバーミングについては、⑴刑事訴訟法による手続が完了していること、⑵死亡診断書(検案書)が交付されていることにより死因が確定していること、⑶遺族の承諾があること、⑷技術的にも死者への礼節の点からも適切なエンバーミングが行なわれていることの4項目を満たした適切なエンバーミングが行なわれる限りは、エンバーミングが違法性を構成するケースはないと報告されています。

3 業界団体による自主規制

① 平成6年には、エンバーミングの業界団体である一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が以下のような自主基準を設けています。
② ⑴本人または家族の署名による同意に基づいて行うこと、⑵IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持った技術者によってのみ行われること。
③ ⑶処置に必要な血管の確保及び体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後に縫合・修復すること、⑷処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬又は埋葬すること。
④ 死体解剖保存法により無許可で遺体を保存することはできませんので、遺体保存期間を50日までと定めています。

4 エンバーミングの違法性

① 上記のように、エンバーミングは直ちに違法というわけではありませんが、やり方によっては違法になる可能性をはらんでいます。
② もっとも、エンバーミングは平成29年には4万2760件実施されているようですが(IFSA「遺体衛生保全概論」)、現状、自主基準にのっとったエンバーミングについて遺体損壊罪や死体解剖保存法に違反して刑事事件化したということは聞いたことはありません。
③ このような状況に照らせば、IFSAの自主基準にのっとっているエンバーミングは、現状では違法とまでは判断されていないと言えます。
④ IFSAの自主基準にのっとっていないエンバーミングは、そのすべてが違法ということではありませんが、業界団体が自主基準を設けており、違法と判断されていないのであれば、エンバーミングを希望する方は、自主基準に従ったエンバーミングを選択しておいた方がよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q24 遺体の搬送

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【孤独死をめぐるQ&A】Q24 遺体の搬送についての記事です。

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【Q24】高齢の兄が自宅で亡くなり、遺体が警察に安置されています。警察から遺体を引き取るように連絡が来て警察へ行ったところ、霊安室からは後4時間以内に遺体を搬送してほしいと言われました。
突然のことですので、遺体搬送をする方法も遺体搬送をする先もありません。霊安室にはどの程度いられるのでしょうか。また、遺体搬送や遺体保管に当たって気を付けることはありますでしょうか。

【A】霊安室からは、短期間で遺体を搬送するように求められます。
遺体搬送は自身で行うことは可能ですが、遺体搬送業者に依頼することが通常かと思います。
遺体搬送業者に依頼した場合、遺体搬送に伴う葬儀社とのトラブルも報告されており、適切な業者に依頼することが重要です。

【解説】

1 霊安室について

① 霊安室は、人がなくなった場合に搬送されるまで遺体を安置しておく部屋をいいます。多くの警察や病院には霊安室が設置されています。
② 霊安室を使用する権利というものはなく、遺族への配慮から設置、利用ができているのすぎませんので、時間を限られれば遺体を搬送する必要があります。

2 遺体搬送について

① 遺体については、旅客自動車運送事業運輸規則により、タクシーで搬送することはできません。
② また、公共交通機関では規約により遺体の持ち込みを禁止していることが通常です。
③ 自家用車であれば遺体を搬送することは可能ですが、通常は遺体搬送業者に依頼をすることになります。
④ 遺体搬送は、霊柩車を保有し、遺体を搬送したり安置したりできる施設を保有している霊柩自動車の許可を得ている業者に依頼する必要があります。
⑤ 自身で遺体搬送業者を探して依頼するほか、実態としては、病院や警察から遺体搬送業者のリストを配布され、そのリストから選ぶというのも多いと聞きます。
⑥ 近時、都市部では自宅で火葬までの間、自宅に遺体を安置することが困難な事情もあり、その場合、民間の遺体安置施設を利用するケースもあります。
⑦ 民間の遺体安置施設は遺体ホテルやフューネラルアパートメントなどと呼ばれていますので、検索の際は、そのようなキーワードで探すのも良いと思います。

3 遺体搬送業者に対する葬儀の発注

① 独立行政法人国民生活センターは、度々、葬儀におけるトラブルを公表していますが、その中には遺体搬送を端緒とするトラブルもありますので、注意が必要です。
② 例えば、「増加する葬儀サービスのトラブル」では、「病院から自宅までの搬送を頼んだのに、勝手に葬儀の準備に入って」しまい、その結果、高額な葬儀費用を請求されたというトラブルが掲載されております。
③ また、消費者契約法専門調査会に提出された資料においても「病院より紹介された葬儀社に遺体搬送のみ依頼。葬儀に関しては後でとの話で後に断ったところ、キャンセル料として7万円請求された」という事例が紹介されております。
④ 葬儀社からすると、遺体搬送は葬儀契約に結び付く機会のものであるため、葬儀会社の中には依頼者が希望した以上の営業行為を行うケースも散見されます。
⑤ 親族の死亡により突然警察の霊安室に呼ばれ、動転し、そのすきに高額な契約を締結させられるということもありますので、ご注意ください。

【孤独死をめぐるQ&A】Q23 死体検案、死体解剖の拒否

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【孤独死をめぐるQ&A】Q23 死体検案、死体解剖の拒否についての記事です。

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【Q23】一人暮らしをしていたおじが自宅で死亡しているのが発見されました。
死因が分からないので解剖をすると言われたのですが、亡くなった後まで切り刻まれるのはしのびないです。解剖を拒否することはできるのでしょうか。

【A】残念ながら解剖の拒否はできない場合があります。

【解説】

1 司法解剖、行政解剖、病理解剖

① 死因が分からずに解剖をする場合としては、大きく分けて司法解剖、行政解剖、病理解剖があります。
② 司法解剖とは、一般に、犯罪性のある死体またはその疑いのある死体の死因などを究明するために行なわれる解剖を指します。
③ 行政解剖とは、犯罪性はないが死因が判明しない場合に、行政目的で解剖されることを指します。
④ 病理解剖とは、病気で死亡した人について臓器、組織、細胞を直接観察し、詳しい医学的検討を行うために解剖することを指します。

2 司法解剖について

① 死体解剖については、死体解剖保存法という法律で規制されています。
② 原則として、死体解剖をする場合には、解剖しようとする地の保健所長の許可を受ける必要があります(死体解剖保存法2条1項)。
③ しかしながら、2条1項各号に列挙されている解剖については、保健所長の許可は不要となります。死体解剖保存法2条1項4号に、刑事訴訟法129条、168条1項、225条1項の規定により解剖する場合が挙げられており、司法解剖について、保健所長の許可は不要です。
④ また、解剖については、原則として遺族の承諾が必要とされていますが、司法解剖については同法の規定により不要とされています。
⑤ これにより司法解剖は遺族の承諾なくして行われますので、遺族は解剖が嫌だとしても拒否はできません。

3 行政解剖について

行政解剖についても死体解剖保存法に規定されています。

⑴監察医による解剖
① まず、死体解剖保存法8条で監察医による解剖を定めています。
② これは、政令で定める地(東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市)、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするために行なう解剖をいいます。
③ 監察医による解剖も死体解剖保存法により遺族の承諾は不要とされており、遺族が拒否することはできません。

⑵食品衛生法による解剖
① 食品衛生法64条1項は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を解剖することができると定めています。
② そして、同条2項は、死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼすおそれがあると認められるときは、遺族に通知さえすればその同意を得ないでも解剖ができるとしています。

⑶検疫法による解剖
① 検疫法13条2項は、検疫感染症の検査のために必要があるときは死体の解剖を行うことができると定めています。
② そして、同条後段で、死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾は不要としています。

⑷身元調査法による解剖
① 警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律6条1項は、死因を明らかにするため特に必要があると認められるときは、医師等の意見を聴いた上で、解剖を実施することができると定めています。
② そして、同条2項は、遺族の所在が不明であるとき又は遺族への説明を終えてから解剖するのではその目的がほとんど達せられないことが明らかであるときには、遺族の承諾は不要としています。

4 病理解剖

① 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師などで厚生労働大臣が適当と認定した者が解剖をする場合、医学に関する大学の解剖学、病理学又は法医学の教授又は准教授が解剖する場合には、保健所長の許可は不要です。
② しかし、それら以外の者が病理解剖目的で解剖を行うには保健所長の許可が必要となります。
③ また、死体解剖保存法7条1項2号により、「2人以上の医師(うち一人は歯科医師であってもよい)が診療中であった患者が死亡した場合において、主治の医師を含む2人以上の診療中の医師又は歯科医師がその死因を明らかにするため特にその解剖の必要性を認め、かつ、その遺族の所在が不明であり、又は遺族が遠隔の地に居住する等の事由により遺族の諾否の判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかな場合」には承諾が不要とされています。
④ それ以外の場合には原則どおり遺族の承諾が必要です。
⑤ 遺族が判明しており明確に拒否をしていたら、解剖ができないことになりますので、病理解剖は遺族が拒否できることになります。

5 承諾を得る遺族

① 一般社団法人日本病理学会では、病理解剖に関する遺族の承諾書のモデル書式を公表しています。
② 承諾を得るべき遺族の範囲は明確ではないですが、死体解剖後の保存については、死体解剖保存法の遺族の承諾は公法的な意味での承諾であり、その際に、遺族と病院との間で遺体に関する寄付(贈与契約)または使用貸借契約が締結されていることが私法上の根拠になっているとされています。(東京地判)
③ このことからすれば、解剖や保存に関する承諾は、遺体の所有者となるべき者から得るべきと言えるかと思います。
④ 遺体の所有権は祭祀継承者が有すると考えても良いかと思いますので、遺体の解剖や保存についても、配偶者や親、子などの故人の祭祀継承者となるべき方から承諾をもらうのがよいと考えます。

6 遺体への礼意

① 死体解剖保存法20条は、「死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱いに当たつては、特に礼意を失わないように注意しなければならない」としています。
② この点、司法解剖の際、体液漏れを防ぐために、使用済みコンビニエンスストアのレジ袋を遺体の頭部に被せるという処置をとった行為が、遺族に対する遺体の処置について礼意を失しないように注意する不法行為上の義務に反するとして損害賠償請求が認められた例もあります(神戸地判)。
③ このようなことからわかるとおり、遺体に礼意を失わないようにすることは単なる理念ではなく、法的な義務といえるでしょう。