【相続・遺言について】遺言能力

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言能力について考えてみたいと思います。

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【Q】①父が遺言書を作成しようとしているのですが、遺言書は誰でも作れるのでしょうか?

②父に視覚機能障害がある場合、遺言書を作成することはできるのでしょうか?
また、言語機能障害や聴覚機能障害がある場合はどうでしょうか?

③父も高齢になり、認知症が進行して、1年前、後見開始の審判を受けました。父は遺言書を作成することはできないのでしょうか?
仮に父が後見ではなく、保佐開始や補助開始の審判を受けていた場合であれば、遺言書作成に関して、何か違いがあったのでしょうか?

【A】◆1.遺言書を作成できる者
遺言を作成するには、民法上遺言作成能力が必要とされており、法律上は、満15歳になった者は遺言を作成することができるとされています。
もっとも、遺言をするときに、判断能力(法律上は意思能力という)がなければならないと規定されています。そのため、判断能力がない状態で遺言を作成しても、その遺言は無効となります。
したがって、ご質問のお父さまは判断能力に問題がなければ、有効に遺言を作成することができ、判断能力がないときには遺言が作成できないということになります。

◆2.視覚機能障害、言語障害、聴覚障害のある場合
①お父さまに視覚機能障害がある場合
普通方式の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

ア)自筆証書遺言は、遺言者が遺言書全文を自書しなければなりません。ここで、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力を自書能力といいます。
視覚機能障害がある方でも、自分で字が書ける場合であって、遺言書のすべてを自書した場合には、遺言は有効に成立すると言われています。

イ)公正証書遺言は、遺言者が遺言内容を口頭で、公証人へ伝え、公証人がこれを筆記し、公証人がその内容を遺言者に読み聞かせ、または閲覧させることで、内容を確認してもらうことで作成されます。そのため、視覚機能障害がある方でも、遺言の内容を公証人へ伝え、公証人から遺言の内容を聞いて、内容を確認する能力があれば、遺言書は有効に作成することができます。

ウ)秘密証書遺言は、公証人1人および証人2人の前に封印した遺言書を提出して、遺言の存在は明らかにしながら、内容は秘密にして遺言書を保管することができる方式です。この場合遺言者は、公証人と証人の前に遺言書に使用した印と同じ印を使用して封印した封書を差し出し、自己の遺言である旨と、遺言者の住所と氏名を述べなければなりません。
この秘密証書遺言の場合、封印した遺言書には遺言者の署名と押印が必要ですが、それ以外の記載には法律上制限がありません。そのため視覚機能障害がある方が、全文自書された場合やパソコンで本文を作成されても、又は、他人に代筆を頼んで作成しても、遺言能力があれば、これは有効なものとなります。

②お父さまに言語障害、聴覚障害がある場合

ア)ます、自筆証書遺言は自書能力があれば、有効に作成することができます。

イ)公正証書遺言は作成につき、遺言者は遺言内容を口頭で公証人に伝えなければなりません。しかし、遺言者が言語障害や聴覚障害の方の場合、口頭で伝える代わりに、通訳人の通訳(手話通訳等)により申述し、又は筆談で公証人に伝えることで、遺言書を作成することができます。
公証人が作成した遺言書を読み聞かせなければなりませんが、これも通訳人を介して行えば問題はありません。

ウ)秘密証書遺言の場合、遺言者が自書やパソコンで遺言書を作成できれば、有効な遺言書が作成できます。
公証人と証人に遺言者が遺言書を作成した旨と、氏名と住所を申述しなければなりませんが、通訳人を介して申述するか、封印をした封筒に自書することで有効に秘密証書遺言を作成することができます。

◆3.判断能力に問題がある場合
①お父さまが後見開始の審判を受けている場合
判断能力が常にない者に対して後見開始の審判話されます。そのため、後見開始審判を受けた者(成年被後見人)は、原則として遺言を作成しても、有効なものと判断されません。
一時的に判断能力を回復した時に遺言を作成する場合には、医師2名の立ち会いがあれば、有効に遺言を作成することができます。
成年被後見人が遺言を作成する場合、その後見人や後見人の配偶者や子に対して利益となる遺言を作成しても無効と規定されています。もっとも、後見人などが、成年被後見人の配偶者や直系血族や兄弟姉妹であった場合にはこの規定は適用されず、遺言は有効となります。

②お父さまが保佐開始の審判、補助開始の審判を受けた場合
判断能力が低下した場合、その判断能力を補うために、保佐開始の審判や補助開始の審判がなされることがあります。その場合、一定の行為について、保佐人や補助人の同意が必要となることがあります。同意がない行為は保佐人や補助人によって取り消されることとなります。
しかし、法律上被保佐人や被補助人が遺言を作成するときには、保佐人や補助人の同意は必要ありませんので、被保佐人や被補助人は有効に遺言を作成することができます。

 

【相続・遺言について】遺言書の書き直し

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言書の書き直しについて考えてみたいと思います。

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【Q】私は、今、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成するつもりです。しかし、遺言書作成後に事情が変わって、次男に自宅を相続させたいという場合、一度作成した遺言書を書き直すことはできるのでしょうか?
また、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成した後に、自宅を売却することが必要になった場合、自宅を売却することはできるのでしょうか?

【A】◆1.遺言書の書き直しについて
遺言とは、遺言者の最終意思を法律上も尊重しようという制度ですので、生前にその意思が変わった場合には、何らの理由無く、いつでも書き直すことができますし、前にした遺言を撤回することもできます。
そしてその撤回権を放棄することはできません。つまり遺言書に「この遺言は今後絶対に取り消さない」と書いてもそのような記載に効力はなく、自由に撤回できます。
遺言の撤回をするときは、その旨の遺言書を作成するのが一般的です(撤回遺言による撤回)。その際、撤回の対象となった遺言書と同一の方式による必要はありません。つまり、公正証書遺言を撤回するのに、自筆証書遺言でも撤回できるということです。遺言書の内容は「遺言者〇〇は令和〇年〇月〇日付で作成した自筆証書遺言を全部撤回する」といった条項を盛り込むのです。
ここで注意しておくこととして、撤回遺言も遺言ですので、民法に定めのある遺言の方式を守らなければいけないということです。撤回遺言が方式を満たしていないときには、撤回遺言が無効となります。

◆2.遺言書を作成した後の抵触行為について
遺言の撤回は、撤回遺言を作成しなければならないわけではありません。遺言書を作成した後に、その内容に抵触する行為があった場合には、その抵触する部分については、遺言書の内容を撤回したとみなされます。これは抵触行為をした遺言者の意思を考えれば、前の遺言の効力の存続を望まないことが明らかであると言えるからです。
①.抵触遺言
前にした遺言と抵触する内容の遺言がなされた場合、その抵触する部分については撤回があったものとみなされます。撤回遺言と似ていますが、抵触遺言の場合、遺言の条項中に「撤回する」という文言がなくても、また遺言者が前にした遺言内容を忘れていた場合でも、撤回の効力が生じます。
例えば、前の遺言で「甲不動産をAに遺贈する」としておきながら、後日「甲不動産をBへ遺贈する」との遺言を作成した場合は、Aへの遺贈は撤回されたものとみなされます。この場合、後の遺言書に「Aへの遺贈を撤回する」と書く必要はありません。
②.抵触する生前処分
遺言者が遺言をしたのちに、その遺言内容に抵触するような行為をした場合、その抵触する部分について遺言書の記載は撤回されたものとみなされます。例えば「遺贈する」と遺言書に書いておいた物を、第三者へ売却した場合などです。
また、抵触する行為には身分行為も含まれるとされています。裁判例では、遺言者が、妻に財産を相続させる旨の遺言をした後に、協議離婚した場合や、終生扶養を受ける前提で養子縁組をし、財産を養子に遺贈する旨の遺言をした後に、協議離縁をし、かつ実際に扶養を受けていない場合に遺言の撤回を認めたものがあります。
③.遺言書または遺贈の目的物の破棄
遺言者が故意(わざと)に遺言書や遺贈の目的物を破棄した場合に、その破棄した部分について遺言が撤回されたものとみなされます。
遺言書の破棄とは通常は、遺言書を捨てたり、切断したり、文字を塗りつぶしたりして、内容が判別できないようにしますが、最高裁判例では、遺言者が自筆証書遺言の文面全体の左上から右下に斜めに赤色ボールペンで斜線を引いた場合に、文字が読めるとしても、行為一般の意味に照らすと、遺言書全体を不要とし、かつ、遺言全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるとして、「故意に遺言書を破棄したとき」に該当すると判示したものがあります。
遺贈の目的物の破棄とは、例えば、遺贈するとしていた建物を取り壊すなどを言います。

◆3.本件について
相談者は一度作成した遺言書を自由に書き直す(撤回する)ことができます。よって、長男に自宅を相続させるという内容の遺言を撤回する旨の遺言(撤回遺言)、または、次男に自宅を相続させるという内容の遺言(抵触遺言)をすれば、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。
また、相談者が生前に自宅を処分することは自由ですので、次男に自宅を贈与すれば「抵触する生前処分」に該当するため、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。

【相続・遺言について】遺言書の作成

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言書の作成について考えてみたいと思います。

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【Q】
①私も高齢になって来たので、相続について考えるようになりました。私には妻と子供2人がいますが、皆仲が良いので私の死後財産を巡ってもめるようなことはないと思います。私のような場合遺言書を作成する必要性はあるのでしょうか?
②遺言書を作成しようと思うのですが、遺言には種類があると聞きましたが、どのようなものでしょうか?
③私は、妻と相続について話し合っています。妻と一緒に同一の書面で遺言書を作成することは構わないのでしょうか?

【A】◆1.遺言は有益なもの
遺言書を作るか、作らないかは、あなたの自由ですので、奥さんとお子さんとの間で争いがおきるおそれがないと思われるのであれば、作らなくてもかまいません。
しかし、遺産をどのように分けるのか、特に不動産、預貯金、有価証券、現金、貴金属、骨董品など多くの種類がある場合、誰がどの遺産をどのくらい相続するか、話し合って決めるのはかなり手間と時間がかかります。その間にもめごとが起こる可能性もあります。
あなた自身で、ご自分の財産を誰にどのように相続してもらいたいかを決めて遺言書に記しておくことは、それなりの意味を持つと思われます。
その際に、付言事項という、遺言書として法的な効力はないものの、あなた自身の気持ちを遺族に伝える項目を記すこともできます。
この付言事項によって、残された遺族がもめることなく、遺残を相続できるとも言えます。

◆2.遺言の種類
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式による遺言があります。この中で、特別方式による遺言は、危急時遺言、隔絶地遺言があります。以下では、利用されることが多い、自筆証書遺言、公正証書遺言を説明します。

①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が、全文、日付、及び氏名を自書し、印を押すことによって出来上がります。
全文、日付、氏名を全部自分で書かねばならず、パソコンを使用したり、他人に代書してもらったりは、無効です。ただし、今回の民法改正により、平成31年1月13日からは、相続財産の目録については、自書でなくともよくなりました。パソコンで作成したり、代書を頼んだり、預貯金の通帳のコピーを使用したり、不動産登記の全部事項証明書を目録として使用することもできます。
この場合、偽造などを防止するために、目録の各葉に署名と押印が必要です。
印は実印でも、認印でも構いません。
このように自筆証書遺言は自分一人で作成できるメリットがありますが、紛失したり、変造されるといったデメリットもあります。
この点、令和2年7月10日より法務局が自筆証書遺言を預かってくれる法制度が開始されます。

②公正証書遺言
公正証書遺言は、法務大臣が任命監督する、公証人(元裁判官や元検察官等)が作成するもので、遺言者が、成年に達した証人2人の立会いの下、公証人に遺言の趣旨を口述し、公証人がそれを筆記し、公証人がそれを遺言者及び証人に読み聞かせ、閲覧させ、筆記が正確であることが確認されたら、それぞれが署名押印し、最後に公証人が署名押印をすることによって出来上がります。
公正証書遺言は、原本を公証役場で保管しますので、紛失や変造の恐れはありません。
公正証書遺言を作成する際に、公証人が遺言者の意思や判断能力(遺言能力)を確認してくれますので、後日無効と判断されにくいというメリットがあります。

◆3.共同遺言の禁止
共同遺言(同一の書面で複数の人が遺言を作成すること)は禁止されています。
その理由として、遺言は遺言者の最終の意思の基づき、自主独立になされるべきであり、また撤回の自由を認められているので、共同遺言は他人の意思の影響を受けていると疑いを生ずる余地があり、撤回の自由を妨げる恐れがあるからです。

【相続・遺言について】相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策について考えてみたいと思います。

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【Q】夫の父が亡くなりました。私は、夫の父の生前、長期間夫の父を介護してきました。私は夫の父の相続人ではありませんが、夫の父の相続に関して何らかの権利を主張することはできないのでしょうか?

 

【A】特別寄与料の支払い請求が認められる場合があります。
今回の民法改正により、被相続人の親族が、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、相続人に対し、寄与に応じた額の金銭(特別寄与料と言います)の支払いを請求することができるようになりました。

◆1.請求できる人
特別寄与料を請求できる人は、「被相続人の親族」です。被相続人の子の配偶者や被相続人の兄弟姉妹及びその配偶者などが含まれます。ただし、相続人、相続の放棄をした者、相続人の欠格事由に該当する者及び廃除により相続権を失った者は含まれません。

 

◆2.特別の寄与とは
特別の寄与と言えるためには、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をすることが必要です。
①無償
ある程度のお礼を被相続人から受け取っていた場合、特別寄与料の請求ができなくなるかは難しいところです。お礼の額やその内容などによっては、実質的に「無償」であるとして、特別寄与料の請求が認められる可能性はあるように思われます。
②療養看護その他の労務の提供
療養看護とは、病気療養中で介護が必要な状態にある被相続人を介護することを言うと考えられています。労務の提供が様々な形が考えられますが、その典型例は、被相続人が営んでいる事業に協力した場合を挙げることができます。
③財産の維持又は増加
財産の維持の例としては、農家の長男が家業である農業を無償で行い、被相続人の財産である農地を手放さなくて済んだ場合があげられます。
単に、被相続人の相談に親身に乗るなど、相続人の精神的ケアに尽くした場合等は、財産の維持又は増加がありませんので、特別の寄与をしたとは認められないでしょう。
④「特別」の寄与
寄与の程度としては、「特別の」寄与とされていることから、何らかの寄与があったというだけでは足りず、一定程度以上の寄与が必要となると思われます。ただし、どのような場合に「一定程度の寄与」があったと認められるかは、現在において明確な基準はありません。

◆3.今回のケースについて
今回のケースでは、あなたは被相続人の子の配偶者ですから「親族」に含まれます。
あなたは長期間被相続人を介護してきていますから、その介護が無償であり、その介護により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと言えるのであれば、特別寄与料の請求が認められることになります。

◆4.どのようにして請求するか
まずは、相続人との話し合い(協議)により、特別寄与料のの額や支払い方法などを決めることになります。ただし、特別寄与料の額は、被相続人が死亡時に持っていた財産から遺贈の価額を差し引いた残額を超えることができません。
話し合いがまとまらないときや、話し合いができないときは、家庭裁判所に対し協議に代わる処分を請求することになります。
この場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めることとされています。

◆5.いつまでに請求するか
被相続人が死亡したことと相続人とを知った時から6か月を経過するまでか、被相続人の死亡の時から1年を経過するまでに、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求しなければなりません。
相続人と話し合いをしているうちに期限が過ぎていたということにならないように気を付ける必要があります。

【相続・遺言について】寄与分の決定

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分の決定について考えてみたいと思います。

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【Q】寄与分はどのようにして決めるのですか?手続きを教えてください?

【A】寄与分の決定は、まず共同相続人間で話し合ってみて、まとまらないときには、家庭裁判所の手続きである調停や審判によることになります。

◆1.協議(相続人間での話し合い)

寄与分に関する話し合いは、遺産分割協議と同じく共同相続人全員で行わなければなりません。寄与分は相続開始後、遺産分割協議が成立する前までに決定されておくべきものですので、遺産分割協議の中であわせて話し合いで決めるのが普通です。

 

◆2.調停

共同相続人間の話し合いでまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停の場で寄与分について話し合いで決めることになります。

調停手続きは、裁判所を利用して話し合うための手続きです。調停委員の方々が各相続人の言い分を調整してくれる分、当事者だけでの協議よりまとまる可能性は高いと言えますが、共同相続人全員が合意に至らなければ、調停成立となりません。

寄与分についての調停を申し立てる場合には、遺産分割の調停も併せて申し立てるのが普通ですが、実際には、寄与分の調停をあえて申立てるのではなく、遺産分割調停の中で、寄与分について主張することが多いです。

寄与分の調停は、寄与分を申し立てる相続人が申立人となり、他の共同相続人全員が相手方になります。

管轄(どこの裁判所で扱うか)は、原則として相手方の住所地の家庭裁判所もしくは当事者が合意で定める裁判所になります。遺産分割調停が既に行われている場合、その遺産分割調停が行われている裁判所が管轄裁判所になります。

 

◆3.審判

共同相続人間での協議や調停で合意できないときは、家庭裁判所に寄与分を定める旨の審判の申立てをすることになります。

審判手続きは、裁判官が当事者から提出された証拠等に基づいて判断する手続きです。

寄与分を定める審判の申立ては、遺産分割の審判事件の申立てがなされていることが要件とされていますので、遺産分割審判が申し立てられていない場合、寄与分の審判の申立てと一緒に遺産分割の審判を申し立てる必要があります。

なお、調停を申し立てることなく、ただちに寄与分の審判の申立てを行うことも可能ですが、ただちに審判が開始されることは少なく、裁判所により職権で調停に付されるのが普通です。

管轄は遺産分割審判が申し立てられている場合には、遺産分割の審判事件が扱われている裁判所になります。遺産分割審判と同時に申し立てる場合には、相続が開始した地(被相続人が亡くなった場所)を管轄する裁判所になります。

 

◆4.定め方

寄与分が認めれれるには、寄与行為をした時期、その方法、態様、通常の扶養義務の範囲を超える程度の特別の寄与であったこと、その結果どのようにして財産が維持され増加したのかの関連性が明確に示されなければなりません。

したがって、調停手続・審判手続きの中で、寄与分を主張する人は、上記事情を裏付けるための立証活動をしなければなりません。例えば、扶養型や財産給付型では、扶養金額や財産給付を裏付ける領収書や預貯金通帳等の動きから立証すべきこととなります。

新年のご挨拶

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

昨年中は大変お世話になりました。本年も一層のご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

本年の営業は本日1月6日より開始いたしております。

年末年始家族が集まり、様々な話に花が咲いたことでしょう。相続や遺言、終活についてのお話しもあったかと存じます。

当事務所では、世田谷区内を中心とした都内の皆様からの、相続、遺言、終活についてのご相談を承っております。

初回相談60分無料とさせていただいておりますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

お問い合わせは事務所03-3416-7250または携帯電話090-2793-1947まで。

自動車販売店様も新春の仕事始めを迎えられていることと存じます。
東京都内の車庫証明のご用命は弊所へお申し付け下さい。

お問い合わせは携帯電話090-2793-1947まで、お待ちしております。

年末年始の営業のご案内

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言の得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本年も残りわずかとなってまいりました。

当事務所の年末年始の営業についてご案内いたします。

・事務所の手続き業務は、12/28~1/5までお休みをさせて頂きます。

・お電話でのお問い合わせやご相談につきましては、上記期間内も受付させていただきます。

車庫証明のご依頼や、相続・遺言・成年後見等のご相談は、携帯電話へどうぞ。

携帯電話番号【090-2793-1947】

年始の仕事始めは1/6からとなりますので、よろしくお願い申し上げます。

【相続・遺言について】寄与分を主張できる者の範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分を主張できる者の範囲について考えてみたいと思います。

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【Q】寄与分は誰でも主張できるのでしょうか?

①内縁関係の夫や妻は、妻や夫が亡くなった場合、寄与分を主張できますか?

②相続放棄した人は、寄与分を主張できますか?

③祖父母の相続の時に、代襲相続人(孫)は被代襲者(親)が祖父母の財産の維持に貢献したとして、寄与分を主張できますか?

 

【A】寄与分は誰でも主張できるわけではありません。民法上主張できる人が制限されています。

◆1.内縁関係の夫又は妻

従来、寄与分の主張は、相続人に限定されていました。そのため、相続人でない内縁関係の夫や妻は、寄与分を主張できませんでした。

この点について、相続人以外の者は、寄与分の主張が認められない点で、公平を欠くとの指摘がありました。

そこで、被相続人に対して、特別の寄与をした被相続人の親族(特別寄与者)が、一定の要件を満たした場合、相続人に対し、寄与に応じた金銭(特別寄与料と言います)の支払の請求ができるようになりました。この規定は、令和元年7月1日以降に相続が発生した場合に、施行されます。

親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が範囲となります。

血族とは血のつながっている人です。養子も、血族に含まれます。姻族とは配偶者の血族のことです。

内縁関係の夫や妻は、それだけでは、親族とはなりません。内縁関係の夫や妻が、被相続人の6親等内の血族か、3親等内の姻族でなければ、寄与分も特別寄与料も主張できません。

 

◆2.相続放棄をした人

相続放棄をした人は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。よって、寄与分の主張はできません。

特別寄与料においても、相続放棄した人は、特別寄与者から除外する規定があります。ですので、相続放棄をした人は、寄与分も特別寄与料も主張できません。

 

◆3.代襲相続人

祖父母の相続の時に、代襲相続者(孫)は被代襲者(親)が祖父母の財産の維持に貢献したとして、寄与分を主張できます。

このことは、民法に直接の規定はありません。

この場合に被代襲者(孫)に寄与分を認めないと、親が存命であった場合と比べ、不公平が生じます。代襲相続者は被代襲者の寄与分を主張できるという立場をそのまま受け継ぐと考えることができます。

このような、寄与分の主張を認めた判例も存在します。

【相続・遺言について】寄与分の認められる範囲

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今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分の認められる範囲について考えてみたいと思います。

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【Q】遺産分割の際に寄与分というものがあると聞きました。

①寄与分とは、どのようなものでしょうか?また、どのような場合に認められるのでしょうか?

②私の父は、長年にわたって寝たきりの状態でしたが、先日、亡くなりました。私は、病気の父の世話をしてきましたが、このような場合に、寄与分は認められるのでしょうか?

③私の亡き父は、自営業者でしたので、私は、父が亡くなる3年程前から父の仕事を手伝っていました。父から給料はもらっていたのですが、その場合でも寄与分は認められるのでしょうか?

 

【A】◆1.寄与分とは

寄与分とは、共同相続人の中に相続財産の維持または増加に特別の寄与(貢献)をした者がいる場合は、その寄与相当額(維持又は増加分)を法定相続分に上乗せすることで、共同相続人間の衡平を図る制度です。

なお、民法改正により、共同相続人以外の被相続人の親族についても、特別の寄与という制度が新たに創設されました。

一般的に寄与分が認められる類型として、家事従事型(例:被相続人の事業を無報酬またはそれに近い状態で従事するような場合)、金銭出資型(例:被相続人の借金を肩代わりして支払うような場合)、療養看護型(例:相続人が被相続人の療養看護をして医療費などの支出を免れるような場合)、その他扶養型、財産管理型などがあります。

ただしいずれの類型についても「特別の寄与」であることが必要です。特別の寄与であるかどうかは、①被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待できるような態様以上の貢献があったかどうか、②当該行為が無償で行われたかどうか、③当該行為が一定期間継続しているかどうか等の事情から判断されます。

 

◆2.療養看護型の場合

被相続人である父親の療養看護を行ったことによって寄与分が認められる可能性はありますが、前述の通り、それが「特別の寄与」と認められなければなりません。

療養看護型において、特別の寄与かどうかは、当該行為が親族が当然なすべき配慮の範囲(例:お見舞い、声掛け等)を超えていることが必要であり、老親の介護の場合、被相続人が要介護2以上の状態であることが一つの目安となります。

また、被相続人の療養看護を無償で行い、その期間も数日、数週間程度では足りず、数か月は必要と考えられます。

その結果、本来であれば被相続人の療養看護によって、被相続人がそれらの費用の支出を免れたのであれば、寄与分が認められる可能性はあります。

 

◆3.家事従事型の場合

被相続人である父親の仕事を手伝っていたとしても寄与分が認められる可能性は低いと思われます。このケースでもやはり当該行為が「特別の寄与」と認められる必要があります。

家事従事型において、特別の寄与かどうかは、当該行為が通常であれば第三者を雇用するであろう行為かどうか(簡単な帳簿付け、店番では特別な行為とまでは言えません。)3~4年以上は従事していること、そして、当該行為の対価が無償、あるいは、著しく低廉の給与であることが必要と考えられます。なお、給与が著しく低廉であっても、被相続人から生活費の負担を受けていたり、被相続人の持ち家に居住している等の場合は、実質的に労務の対価を得ているとして、寄与分が否定される場合もあります。

本件のケースでは、父親から給料をもらっていたということで、相続人が労務に対する相当の対価を得ていたということで「特別の寄与」は該当しないと判断される可能性が高いです。ただし、相続人が得ていた給料が労務に見合ったものかどうか、給料以外に実質的に被相続人から金銭的援助等があったのかどうかなど慎重に見極める必要があります。

【相続・遺言について】不動産の無償使用と特別受益

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、不動産の無償使用と特別受益について考えてみたいと思います。

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【Q】兄が父親の所有する建物に長年無償で居住していた場合、遺産分割に際してこの点は考慮されないのでしょうか?兄が所有する建物の底地が父親所有で、兄がこの土地を無償で使用させてもらった場合はどうでしょうか?この無償使用が、父親が営んでいた農業を兄が手伝うためのものだった場合はどうでしょうか?

【A】◆1.遺産分割における特別受益の調整

遺産分割は、遺産の分け方について共同相続人間の話し合いで全員が合意すれば、民法で定める相続分と異なった内容でも行うことはできます。したがって、亡きお父さんの遺産分割をどのようにするかの話し合いのなかで、お父さんの所有する土地や建物をお兄さんが無償で使っていたことを持ちだし、お兄さんも含めた共同相続人全員がそのことを考慮した遺産の分け方で、合意できれば、お父さんの遺産分割を行うことはできます。

もっとも、共同相続人間で遺産の分け方について話し合って合意ができなければ、最終的には裁判所の審判によって遺産の分け方は決められることになりますが、審判では民法に定める法定相続分や相続人の具体的な相続分を決める際に考慮する「特別受益」の有無などが問題となります。また、共同相続人間で遺産分割の話し合いをする際にも、法定相続分や特別受益の有無などを踏まえて話し合いをすることが多いです。

そこで、亡きお父さんの所有する土地あるいは建物を無償で使っていたお兄さんに特別受益があると言えるかが問題となります。特別受益の制度は、相続人間の公平を図るものですから、形式的には「贈与」とは言えなくても、相続人が被相続人から特別の財産的価値のある利益を得ていると評価できる場合には、特別受益を得ているとして遺産分割で考慮されます。

 

◆2.土地の無償使用の場合

まず、お兄さんが亡きお父さんの所有する土地に建物を建てて利用していた場合をみてみます。お兄さんは、建物が建っている土地(以下底地とします)をタダで使っており、そのことをお父さんが了承しておれば、お父さんとお兄さんとの間では建物所有のために底地を無償で利用すること(使用貸借)の合意があったとみることができます。

そして、建物所有目的の土地使用貸借権は、底地の更地価格の一定割合(1割から3割程度の範囲が多いとされています。割合は建物の作りや築年数その他の事情によって異なります)の財産的価値があります。

そうすると、今回の場合、お兄さんはお父さんから底地の使用貸借権を無償で設定してもらっていると言えますから、お兄さんはお父さんから財産的価値のある利益を得ているということができます。

ただ、具体的相続分を決める際の特別受益といえるかどうかは、特別受益制度が相続人間の公平のために、相続財産の前渡し的性格を持っているものを遺産分割の際に考慮しようとするものですので、形式的画一的に決めることは難しく、被相続人の資産の状況、贈与等された財産や利益の価格、それが被相続人の遺産に占める割合、利益を得ている相続人の負担、被相続人の生活状況、利益を得ている相続人の生活状況、被相続人が財産を贈与等した理由、他の相続人との比較など種々の事情を考慮して判断せざるを得ません。

したがって、お兄さんが亡きお父さんの所有する土地に建物を建てて利用していた場合、お兄さんはお父さんから底地の使用貸借権という財産的価値のある利益を得ているのですが、それが特別受益といえるかは、上記のような種々の事情も考慮して決めるということになります。

底地の無償使用が亡きお父さんが営んでいた農業を手伝うためのものだった場合についても、先に述べました事情や農業でのお兄さんの負担や農業で収入を得ていたかなどの事情も考慮して特別受益となるかを判断することになります。

なお、特別受益にあたるとしても、被相続人である亡きお父さんが持ち戻しの免除の意思表示をしていれば、特別受益として考慮することはできません。

 

◆3.建物の無償使用の場合

次にお兄さんが亡きお父さんが所有していた建物に長年無償で居住していた場合、お兄さんに特別受益があるといえるでしょうか?

この場合、お兄さんは建物居住の利益を得ています。お兄さんが、お父さん所有の建物に居住できないとなると、お兄さんは、例えば、居住用の建物を借りなければなりませんが、それをしないで住んでいるので、家賃相当額の財産的価値のある利益を得ていると考えることはできます。

しかし、特別受益といえるためには、被相続人の経済的負担で相続人が利益を得ている必要がありますが、建物の利用状況等からすると被相続人の経済的負担になっていない場合もあり、一概に、家賃相当額が特別受益になるとはいえません。また、相続人の一人と被相続人との間に建物を無償で利用すること(使用貸借)の合意があったとみることができる場合もありますが、建物の使用貸借権の経済的価値の算定は難しいという問題があります。

さらに、この問題をクリアーできたとしても、前に述べたとおり、特別受益にあたるかどうかは、種々の事情をもとに判断せざるをえません。

そしてご質問のような相続人の一人が被相続人所有の建物に居住していた場合と言っても様々なケースがありますので、前に述べた事情に加え、例えば、相続人が被相続人と同居していたか否か、同居していたとして建物の大きさや構造、同居するに至った経緯理由、相続人の負担の有無や内容、あるいは、同居していない場合でも、その建物が居住用か賃貸用か、相続人が居住するようになった経緯理由、相続人の負担の有無や内容など種々の事情を考慮して判断することになります。

建物の無償使用がお父さんが営んでいた農業を手伝うためのものだったという事情も特別受益があったかどうか判断する際の一つの事情と言えます。

ご質問のケースでは、お父さんの建物を無償で使用しているお兄さんに特別受益があるかどうか、あるとしてその価額はいくらかは、前に述べた事情を総合して考えざるを得ません。

また、お父さんが持ち戻しの免除の意思表示をしていれば、特別受益としては考慮されません。