成年後見無料相談会

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをします。

成年後見に関する無料相談会を、東京都行政書士会の行政書士で構成される、公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの世田谷地区主催で、開催いたします。私もメンバーとなっております。

会場は世田谷区民会館別館【三茶しゃれなーどホール】5階集会室スワン。三軒茶屋駅徒歩3分(世田谷区太子堂2-16-7)

日時は令和元年9月5日 13:00~16:30

予約電話番号03-3426-1519(受付:東村)

予約なしでも相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

【成年後見制度について】知的障がいのある子供の将来の生活が心配な場合には「親なき後の財産管理」2

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「知的障害のある子供の将来の生活が心配な場合は。親なき後の財産管理」の続きを考えてみましょう。

【Q】私には子供が2人います。45歳になる長男には知的障がいがあります。自宅に夫と3人暮らしで、夫婦で長男の面倒を見てきましたが、昨年夫が亡くなり、私も今年70歳になりました。今後いつまで長男の面倒をみることができるのか、日々不安に感じています。長女は結婚しており、長男のことも気にかけてくれてはいますが、生活に余裕があるわけではなく、私の様に自宅で長男の面倒をみるというのは不可能です。そう思って、夫婦でつましい生活を送り、預貯金は4000万円ほどあり、賃料収入のあるアパートを一軒持っています。私が死んだあと、なんとか長男が暮らしていけるようにしたいと思いますが、どのようにすればよいでしょうか。

【A-3】日常生活自立支援事業を活用する

お子さんが、一人暮らしはできるけれども重要な契約ができないとか、お金の管理ができないというようなタイプの場合は、どうでしょうか。このような場合には、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の援助を利用する方法をおすすめします。

日常生活自立支援事業は、福祉サービスの利用援助を柱とし、年金や福祉手当がきちんと振り込まれているかどうかの確認、預金からの生活費の引き出し、医療費、社会保険料、電気・ガス・水道料金などの公共料金、日用品の購入代金の支払いなど日常的な金銭管理を手伝ってもらえます。また、預貯金の通帳や年金証書、保険証書、不動産の権利証、契約証、実印、銀行印、カードなどの重要な書類等を社会福祉協議会に預かってもらうこともできます。

あなたのお子さんに、ある程度の生活費があり、きちんと生活していける状態であれば、こうした援助を利用しながらある程度の年齢になるまで一人暮らしが可能だと思います。

日常生活支援事業を利用するには、まず市区町村の社会福祉協議会に相談し、まず、あなたとお子さんの状況を理解してもらいます。お子さんがお金の管理ができないというようなこともきちんと話し、子どもと日常的な金銭管理、書類の預かり等、必要な援助を内容とする契約を結んでもらい、日々の生活を見守ってもらいます。

例えば、病気が進んで一人暮らしが難しくなってくれば、そのときには、日常生活支援事業の福祉サービスの利用援助を利用して、施設に入ることなども可能でしょう。もちろん、すべて社会福祉協議会や行政まかせというわけにはいきません。成年後見人の選任が必要になったりする場合には、後見人ではないにしても、兄弟姉妹の助けを借りることなどが不可欠になります。兄弟姉妹とはよく話をして、そのような協力については了解を得ることが望ましいと言えましょう。

【A-4】ある程度の判断能力がある場合には

お金だけをきちんと渡せば生活できるが、きわめて体が弱いというようなことも考えられるかもしれません。そのような場合には、信託を利用する方法もあります。生前に親が信託契約を締結し、一定の財産を信託財産として受託者に委託し、親の死後一定額を受託者から子どもに支払わせるという方法です。信託を利用するのは、海外では多くみられるようですが、日本ではまだ歴史も浅く、財産の名義が受託者に移ることもあって、事例は多くはないようです。

【A-5】親自身が能力の低下に不安を感じたときは

死ぬまで子どもの面倒を見るつもりでも、病気などでそれが難しくなることもあると思います。親自身の判断能力の低下に備えておくことも考えておいた方がいいかもしれません。そのときには、親が誰か信頼のおける人と財産管理契約や任意後見契約を締結しておくことが考えられます。これらの財産管理人として弁護士や司法書士、行政書士などを選び、自分が亡くなった後には兄弟姉妹と連絡を取ってもらい、子どもの後見開始申立ての力になってもらうことなども考えられるでしょう。

親なき後の財産管理には、お子さんの状態をみながら、いくつかの方法を組み合わせ、成年後見や、遺言、任意後見契約などの制度を使い、社会福祉協議会や行政の手も借りて、親がある程度安心できるような準備をすることになります。その時には弁護士や司法書士、行政書士等の法律家の知恵も利用してもらいたいと思います。

【成年後見制度について】知的障がいのある子供の将来の生活が心配な場合は「親なき後の財産管理」1

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「知的障害のある子供の将来の生活が心配な場合は。親なき後の財産管理」について考えてみましょう。

【Q】私には子供が2人います。45歳になる長男には知的障がいがあります。自宅に夫と3人暮らしで、夫婦で長男の面倒を見てきましたが、昨年夫が亡くなり、私も今年70歳になりました。今後いつまで長男の面倒をみることができるのか、日々不安に感じています。長女は結婚しており、長男のことも気にかけてくれてはいますが、生活に余裕があるわけではなく、私の様に自宅で長男の面倒をみるというのは不可能です。そう思って、夫婦でつましい生活を送り、預貯金は4000万円ほどあり、賃料収入のあるアパートを一軒持っています。私が死んだあと、なんとか長男が暮らしていけるようにしたいと思いますが、どのようにすればよいでしょうか。

【A】障害のあるお子さんを持つ親が一番気にしているのは、自分がいなくなったあとの子供の行く末でしょう。誰が世話をしてくれるのか。お金はどうするのか。福祉は頼りになるのか。考えると眠れないという気持ちになる話はよく伺います。このようなケースでは障害の程度も、親の財産の程度も様々です。いくつかの方法が考えられますので、ご紹介します。

【A-1】自分が死んだ後、財産を障害のある子供に多く残しておきたい

そのためには遺言をすることが必要です。遺産は、子どもたちには平等に分けられるのが原則です。このときにもらえる遺産を法定相続分といいます。しかし法定相続分とは異なる形で、誰かに多くあげることもできます。遺言書を作成することでそれが可能になります。例えば、長男に不動産と現金3000万円を相続させるなどの遺言をするのです。

遺言の方法としては、自分で書く自筆証書遺言や、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」があります。公正証書遺言であれば、遺言書によって不動産の登記名義の変更や、預貯金の解約、名義書換などがスムーズにできます。また遺言執行者を指定しておくことで、障害のある子の手を煩わせずに遺言の内容を実現させることができます。

ただ、全部をその子に残したい場合でも、他の子どもには遺留分がありますので、他の子も遺産を譲り受けたいと思う場合には、遺留分相当額の財産の分配を求められる可能性があります。遺留分とは、法定相続人が必ずもらうことのできる財産で、子どもたちだけが相続人の場合は全部で法定相続分の2分の1となります。

本件の場合ですと、長女は相続財産の4分の1の遺留分を取得する権利があります。したがってトラブルを避けるためには、遺留分を持つ子たちには遺留分相当額を残すことにした方が賢明です。

【A-2】日常生活をどうするか

遺言によって、財産を残すことができたとしても、親としては子供が日常生活をどうするかということの方が気になるものです。また、ご自身も、病気をしたり弱ったりして、いつまでも二人で自宅で生活することは難しいこともあるかもしれません。

一つの方法として、ご自身とお子さんと一緒に介護付のホームに入所することが考えられます。最近は、40代~50代の独身者が親の介護をしている場合などを想定した介護付の親子同居型賃貸住宅なども出てきていますので、そのようなタイプの施設利用を考えることも可能だと思われます。

お子さんが、介護がなければ生活できないというような場合には、介護施設への入所前に、お子さんについて成年後見の申立てをし、あなたが後見人となって施設に入所することができるでしょう。

またお子さんが、一人暮らしができないわけではないけれども、財産管理がきちんとできないとか、財産的な被害にあう可能性があるというタイプの障害であれば、お子さんはあなたが亡くなった後に自宅に住むことを選んでも、食事がきちんとできないとか家の清潔が保てない等の問題や、詐欺被害にあうといった事態になることも考えられます。それでも、そのお子さんが自宅に愛着を持ち、介護施設に入所することには応じないこともあるでしょう。ですが、今、あなたと一緒であれば引越しに応じることは考えられます。したがって、どこかの時点で自宅で二人で暮らすことに見切りをつけ、一緒に介護付のホームに入るというのはひとつの選択となります。この場合でも、介護施設への入所前に、お子さんについてあなたが成年後見人となることも考えられます。

いずれの場合も、入所後は、施設の方たちと連携をとりながら、あなたが後見人となっていない場合には、後見開始の申立権限のある人に、あなたが亡くなった後に後見開始の申立てをしてもらうことや、後見人候補者となることなどを頼んでおくとよいでしょう。また、あなたが亡くなったときに備えて、あなたの他にも成年後見人を選任してもらっておくということも有効でしょう。

【成年後見制度について】任意後見制度の落とし穴「任意後見制度利用上の注意事項」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「任意後見制度の落とし穴。任意後見制度利用上の注意事項」について考えてみましょう。

【Q】私の隣に住んでいるAさん(70歳)は、一人暮らしの上に、足が不自由で外出が難しいこともあり、日常の支払い等を含めた将来にわたる財産管理を、Eさんに任せることにしました。Aさんは、公証役場で、Eさんを受任者とする委任契約及び任意後見契約を結び、通帳などの管理を含めた財産管理全般をEさんに任せました。

契約当初は、何も問題はなかったようですが、Aさんが認知症を患い、判断能力を失ったところで事件は起きました。委任契約及び任意後見契約では、本人が判断能力を失ったときに、受任者が、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求することになっていたそうです。ところがEさんは、Aさんが判断能力を失っても、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求しませんでした。そして、Aさんが何も分からない状態であるのをいいことに、Aさんの定期預金1000万円を勝手に解約して使ってしまいました。この事実は、Eさんの行動を不審に思ったAさんの親族が、いろいろ調べた結果分かったことです。

委任契約及び任意後見契約は、利用する側にメリットがあると聞きますが、受任者の権限濫用によって本人が不利益を受ける場合があることを、Aさんの例で知りました。任意後見制度の利用に際して、本人が不利益を受けないためには、どのような点に注意すればよいでしょうか。

【A】任意後見制度は、判断能力が不十分となったときに備えるために創設された制度ではありますが、判断能力が衰える前から信頼できる人に財産管理を依頼して、本人の判断能力が不十分となった時点で、その同じ人が引き続き任意後見人に就任するという例が多くみられます。これは、財産管理を依頼する側にそのような要望があることと、本人の判断能力に関係なく同一人物が対応することで財産管理が円滑になるというメリットがあるからです。

判断能力に問題がない時点で第三者に財産管理を任せる質問のような例では、公証役場において、委任契約及び任意後見契約を結ぶことになります。ただ、委任契約及び任意後見契約では、質問の場合のように、受任者(任意後見人)に選んだ相手に不行跡があると、本人が著しい不利益を受けます。現実に、月額3万円の報酬で財産管理業務を行う契約をしたにもかかわらず、受任者が日当などと称して498万円の報酬を請求・受領した例や、預貯金の2割とそれ以外の財産を受任者の夫に遺贈する遺言を本人に作成させ、本人死亡後に347万円の遺贈を受けたという例もあります。

委任契約及び任意後見契約は、便利である反面、このようなリスクもありますので、注意が必要です。受任者(任意後見人)を決める際には、本当に信頼できる人を選ぶことが大切ですし、判断能力が衰えてきたと思われる場合には、任意後見監督人の選任を申立てて、確実に任意後見契約を発効させることが重要です。

そのためには、委任契約及び任意後見契約を締結した事実を受任者以外の親族等にも知らせ、任意後見契約発効の時期を失することがないよう、見守りの体制を整えるとよいでしょう。また、任意後見契約には任意後見人の報酬についての定めがおかれていますが、任意後見監督人の報酬は、裁判所が決めることになっているため契約上にはあらわれてきません。そのため、契約締結後に任意後見監督人の報酬が発生することまで考えずに任意後見人の報酬を決めてしまい、後で経済的に苦労するということも起こりえますのでこの点にも注意が必要です。

【成年後見制度について】任意後見制度ってどんな制度なの?「任意後見制度の内容」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「任意後見制度ってどんな制度?任意後見制度の内容」について考えてみましょう。

【Q】判断能力等が低下してきた場合に利用できる制度には、法定後見制度だけではなく、任意後見制度があると聞きました。それは、どのような制度でしょうか。

【A】法定後見制度は、家庭裁判所への申立てによって始まり、本人の保護・援助の内容は、法律と家庭裁判所の判断に従って、客観的な視点から決定されます。そのため、補助の場合を除いて、保護・援助の内容に、本人の要望が必ずしも反映されません。

その一方で、「判断能力が低下したときの援助の内容は、自分自身で決めておきたい。」「将来の財産管理は信頼している人に託したい。」と考える人も多いと思います。そこで定められたのが任意後見制度です。この制度では、何らかの援助が必要となった場合においても、自分のことは自分で決める、即ち、自己決定権の尊重を基本理念としています。

この制度の具体的な内容としては、まず本人の判断能力に問題がない段階で、本人と本人が将来任意後見人になって欲しいと考えて選んだ人(受任者)との間で、任意後見契約を締結します。この契約の中で、本人の判断能力が不十分となった際に、任意後見人に任せる事務の内容や範囲等について、決めておきます。ただし、この契約については、本人の真意に基づくことを明確にするため、法務省令で定める様式に従った公正証書とする必要があります。

また、任意後見人を誰にするかについても、本人の意思が尊重されます。親族でも、弁護士・司法書士・行政書士といった専門職の人でも、友人・知人でも、就任の承諾さえあれば誰でも構いません。

その代わり、任意後見人は、家庭裁判所が選任した任意後見監督人の監督を受けることになっています。この監督の目的は、任意後見人の権限濫用を防止して、本人の保護を図ることにあります。そのため、任意後見人(受任者)の配偶者、直系血族(親・子等)及び兄弟姉妹は、任意後見監督人になることができません。そして、任意後見契約は、家庭裁判所が、この任意後見監督人の選任をしたときから効力が生じます。その選任方法は、本人の判断能力が不十分となった際に、受任者が、任意後見契約に基づき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求するというのが一般的です。

このように、任意後見制度は、判断能力に問題がない段階での自らの意思を、将来、判断能力が不十分となった際の財産管理等に反映させたいと考えている人によって利用されることを、予定しています。自らの意思を反映させるということから、任意後見契約は、公証役場において、自由に解約をすることができます。ただ、任意後見監督人が選任された後の解約は、正当な理由と家庭裁判所の許可が必要です。

任意後見制度を利用することで、信頼できる人に任意後見人への就任を依頼し、その人との間で任意後見契約を結んで、例えば、福祉施設への入所契約、介護契約、預貯金の取引、不動産管理や税金の申告などを委任しておくことが可能ですので、判断能力が不十分となったときの不安を払拭できるものと考えられます。

このように、任意後見制度は、自分自身で内容を決めることができるため、制度創設当初は広く普及するものと考えられていましたが、利用数は伸び悩んでいるのが現状です。そのため、平成28年4月、政府は、任意後見制度が積極的に活用されることを目指して、同制度の利用状況の検証や必要な制度の整備などの各施策を実施することになりました(成年後見制度の利用の促進に関する法律第11条)。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年8月4日(日)13:00~16:30

予約番号 080-7025-8357(中村由美子)

【成年後見について】判断能力の低下に備えて何かできることはないか「任意後見制度の活用」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「判断能力の低下に備えて何かできることはないか?任意後見制度の活用」について考えてみましょう。

【Q】先日、何十年ぶりかの同窓会に出かけたところ、将来への不安という話から、認知症等を患ったときの財産管理の話が出ました。友人たちのうち何名かは実際に悩んでおり、Aさんは「配偶者に先立たれて、子どももおらず、親族も死亡した。」、Bさんは「子どもはいるが、外国で暮らしており、面倒を見てもらうことができない。」、Cさんは「子どもはいるが、サラ金からの借金を繰り返しており、とても財産管理を任せられる状態にはない。」というのです。このような悩みを抱えている友人たちが、認知症等を患う前に、将来の財産管理の方法を、今から決めておくことができますか。

【A】任意後見制度の利用をお薦めします。この制度は、判断能力に問題がない段階での自らの意思を、将来、判断能力が不十分となった際の財産管理等に反映させたいと考えている人によって利用されることを予定していますので、質問にあるような悩みを持つ方の場合でも利用できます。

それは、任意後見制度では、財産管理を任せる相手を限定しておらず、成人であれば、誰でも財産を管理する人=任意後見人になることができるからです。つまり、親族に頼らなくても、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士に、任意後見人への就任を依頼できるということです。もちろん、友人でも可能です。また、社会福祉協議会等の社会福祉法人も任意後見人に就任できることになっています。

あなたの友人たちは、このような第三者の中から、信頼できる人を選んで、判断能力が不十分になったときに備えて、任意後見契約を結んでおくのがよいでしょう。

また、あなたの友人たちのなかには、判断能力が不十分になる前から第三者に財産管理を任せたいと考える人もいるかもしれません。そのような場合には、任意後見人に就任する予定の人と通常の委任契約も同時に結んでおくと便利です。そのため任意後見契約だけではなく、委任契約を付け加えた任意後見契約を結ぶ例が多いようです。

この委任契約及び任意後見契約を結ぶと、本人の判断能力の衰えに関わらず、同一人物が財産管理を継続しますので、日常の契約や支払いなどが円滑に処理できるというメリットがあります。

【成年後見制度について】日常生活に不安を感じている場合は?「補助制度の利用」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「日常生活に不安を感じている場合は?補助制度の利用」について考えてみましょう。

【Q】私は、今年90歳になります。軽度の認知症があるとの診断を受けていましたが、自分ではまだ大丈夫だと思っていました。ところが、先日、家で転倒し、2ヶ月間の入院を余儀なくされました。入院してみてはじめて、夫に先立たれ、子どものいない一人暮らしの私には、こんなとき、私に代わって、入院費や治療費の支払いや福祉サービスの利用契約をしてくれる人が身近にいないことに気がつきました。しかたなく、普段はあまりつきあいのない他県で暮らす姪に無理を言って、私の自宅から銀行の通帳やキャッシュカードを持ってきてもらい、ATMでの現金の払戻しや病院への支払い等を頼みました。ようやく退院し、自宅での生活に戻ることになりましたが、自分の年齢を考えると、これからの生活が心配でなりません。一人暮らしが困難となった場合には、夫が残してくれた預貯金で有料老人ホームに入りたいと考えていますが、認知症の進行を考えると、一人で適切に決められるか不安です。かといって、何かと口うるさい姪には、私の多額の財産の管理や日常生活に干渉されたくありません。何かいい方法はないでしょうか?

【A】認知症であっても軽度であり、日常生活を送るうえで、特に支障がないほどの判断能力があれば、後見や保佐を利用する必要はありません。というより、このような判断能力のある人が、家庭裁判所に申立てをしても、後見や保佐の利用は認められません。

しかし、今はまだ、あなたには、財産の管理や福祉サービスの利用契約等を行うことができるだけの能力があるとしても、これから先、認知症がすすみ、自分で情報を収集、分析したうえで、適切な判断を下すことが、いつできなくなるか心配でならないというのであれは、補助という制度を利用することをお勧めします。これは、精神上の障害(認知症・知的障がい・精神障がい等)により、物事を判断する能力が不十分であるとして、自分の能力に不安を感じている人たちが、家庭裁判所に、財産管理などを行う援助者である補助人の選任を求めるという制度です。

後見や保佐とは異なり、判断能力が欠けているわけでも、著しく劣っているわけでもない人たちが利用する制度であるため、この手続きの開始には、本人の同意が必ず必要とされています。そして、申立ての範囲内で家庭裁判所が定める特定の法律行為について、本人が同意した場合には、補助人に、同意権や代理権を与えることができます。しかも、補助人の同意が必要とされた行為について、本人が補助人の同意を得ないでした行為は、取り消すこともできます。このように、補助では、本人が必要と考える行為に限定して、補助人に、同意権や代理権を付与することになります。

そのため、あなたのように、日常生活においては支障がないとはいえ、多額の財産の管理や有料老人ホームへの入所といった判断を適切に行うには、自分の能力に不安があるといった場合に、必要以上に、本人の権限(能力)を制約することなく、例えば預貯金の管理(口座の開設・変更・解約・振込依頼・払戻し)とか、福祉関係施設への入所に関する契約といった特定の法律行為に限り、補助人に同意権や代理権を与えて本人を保護し、援助することを可能にするという点で補助人は、有効な制度と言えます。

したがって、あなた自ら、補助開始の申立てを行い、補助人の選任を求め、多額の預貯金の管理や有料老人ホームへの入所契約について、補助人に、同意権または代理権を与えることにするとよいでしょう。ただし、どのような行為について、同意権と代理権のどちらを与えることが適切かに関しては、あなたの能力や財産の種類、額、生活態様等を踏まえ、慎重に検討したうえで、申立てを行う必要があります。法律行為の特定の仕方が悪いと、いざというときになって、補助人の同意権や代理権を否定される恐れもあるので、注意が必要です。

【成年後見制度について】保佐人と本人の意見が対立した場合には?「保佐人の同意に代わる方法」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「保佐人と本人の意見が対立した場合には?保佐人の同意に代わる方法」について考えてみましょう。

【Q】知的障害のある私の弟は、うまく物事を判断することができず、計算も苦手です。以前、悪質商法の被害にあったこともあります。だから、兄は、弟の財産を守るためだといって、保佐という制度の利用を家庭裁判所に申立て、兄が弟の保佐人に選任されました。

しかし、兄は、弟の行動を制限しすぎるように思います。最近、弟が、今は亡き両親が残していった弟名義の不動産を処分して、その金で、障害者仲間やボランティアの人たちと一緒に、毎年旅行に出かけたいと言い出した時も、保佐人である兄は、これに猛反対し、不動産の処分には絶対に同意しないと言ったそうです。幸い、弟には、親が残した十分な資産が他にもあるので、私としては、不動産を一つ処分するだけなら、弟の夢をかなえてやりたいと思うのですが、なんとかできないものでしょうか。

【A】保佐とは、精神上の障害により物事を判断する能力が著しく不十分な者に、家庭裁判所が、援助者として保佐人を付する制度です。保佐人がつくと、本人が、民法に定める一定の重要な行為を行う場合には、保佐人の同意を得ることが必要になります。そして、本人が保佐人の同意をえないでした行為は、本人または保佐人による取消の対象となります。さらに、民法所定の一定の重要な行為の範囲内の行為については、本人が同意しさえすれば、保佐人に代理権を与えることもできます。

このように、保佐は、本人が重要な行為を行う場合に、原則として、同意という形で保佐人の判断を仰ぎ、仮に、本人が単独で、重要な法律行為をしてしまった場合には、本人または保佐人が、後日、保佐人の同意がないことを理由に当該行為を取り消すこともできるという制度です。ですから、判断能力に問題があるため、誤った判断をして、悪質商法の被害にあったり、計算が苦手なために、思いもかけない高額の買い物をしてしまいがちな人にとっては、大変有効な制度として機能します。

したがって、保佐人であるお兄さんが、弟さんの財産処分行為にうるさく口をだし、止めようとするのも、弟さんのことを心配すればこそかもしれません。まずは、お兄さんと弟さんが、よく話し合ってみるよう勧めるとよいでしょう。

しかし、保佐人であるお兄さんが、弟さんの不動産処分行為に断固として反対し同意せず、弟さんは、それに納得できないというのであれば、弟さんは、家庭裁判所に、保佐人の同意に代わる許可を求めることができます。家庭裁判所が、弟さんの利益を害する恐れがないにもかかわらず、保佐人であるお兄さんが同意を拒んでいると認めれば、弟さんは、保佐人の同意に代わる家庭裁判所の許可を得ることができます。

これは、保佐人が、適正に同意権を行使しないと、本人は、自分の財産でも処分することができなくなる等、自分のことすら自分で決めることができないという不当な制約を受けることになるため認められた制度です。これを利用することによって、弟さんの希望がかなえられる可能性がありますので、弟さんに、勧めてはどうでしょう。

 

【成年後見制度について】詐欺的商法から高齢の親を守るために「高齢者を見守る方法」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「詐欺的商法から高齢の親を守るために・高齢者を見守る方法」を考えてみましょう。

【Q】80歳の母は、父が亡くなってからも、気楽な生活がしたいからと、地方のマンションで一人暮らしを続けています。買い物や食事など、全て一人でこなし、これまで困ったことはありませんでした。ところが孫たちが夏休みに母のところを訪ねて行って、大変な事態になっていることに気付きました。

普段、客間として使っている和室に、一度も開封していない箱が山と積まれていて、その箱の大きさや印刷された文字から推測すると、着物が入っているのではないかというのです。その話を聞いてすぐに、私たち夫婦が母のもとを訪ね、和室を確認すると、孫たちの言う通り、足の踏み場もないほど沢山の箱が積んでありました。

そこで、母に箱のことを尋ねたのですが、母は「買ったのよ。」と答えるだけで、詳しい話をしません。中身や購入先を尋ねても、なかなか答えず、しばらくしてから、重い口を開き、マンションを訪ねてくる親切な若い男女がおり、その男女の勧めで、着物や宝石を購入したとのことでした。

それを聞いた私たち夫婦は、預金のことが心配になったので、押し問答の末に母の預金通帳を見せてもらったところ、父の遺産として母が受け取った数千万円の預金の大半が、50万円・100万円という単位で引き出されていました。母は一人暮らしをしているものの、足腰が弱く。何度も銀行に出かけるのは面倒だったはずですが、その若い男女が、母を連れ出してタクシーで銀行まで出かけ、母自身に預金を引き出させていたようです。

母は、その若い男女をとても信頼している様子で、このままでは、一度も袖を通すことのない着物や身につけることのない宝石に、残りの遺産や年金までも、つぎ込む可能性があります。これでは、母が病気を患った時などに、治療費の支払いにも事欠くのではないかと案じられます。

母が、大量の高価品を購入することを止めさせるには、どうすればよいでしょうか。

【A】その男女は、訪問販売業者の従業員と思われます。まず、あなたのお母さまが受け取った書類の中から領収書等を探し、業者の名称や住所を確認してください。質問からは、その男女がどのような売り方をしたのか、明らかではありませんが、高価品を買ってすぐであれば(法定の要件をみたした売買契約書等の書面を受領した日から8日以内)クーリングオフ制度により、理由を問わず無条件かつ一方的に契約を解除することができます。

クーリングオフ出来ない場合であっても、その男女が事実と異なる説明をして必要以上の着物や宝石をあなたのお母さまに売りつけていたのであれば、消費者契約法第4条に基づく契約の取消や特定商取引法第9条の2に基づく契約の解除ができますので、取消又は解除の意思表示と共に代金の返還を求める通知を、その業者に宛てて発送してください。この通知は、以降の訪問販売を中止させることも目的としていますので、後日の紛争防止のため普通郵便ではなく、内容証明郵便にした方がよいでしょう。

次に、お母様が、あなたの家族と同居することが考えられます。質問にある男女も、お母さまが一人暮らしをしていなければ、短期間に何十枚もの着物や大量の宝石を売りつけることは困難だからです。ただ、お母様の事情(転居により主治医を変えたくない。)や子ども側の事情(家がそれほど広くない。)など、同居が難しい場合があります。あなたの家族にそのような事情がある場合には、お母さまの判断能力の程度に応じて、次の制度の利用が考えられます。

①各都道府県の社会福祉協議会が行っている福祉サービス事業の一つである「定期的訪問による見守り」(見守りサービス)の利用です。このサービスを受けるためには、あなたのお母さまが、社会福祉協議会と契約を結ぶ必要があります。このサービスでは、契約の際に訪問の回数を決めることができますので、できれば1週間に1回以上の訪問を選択してください。これは前述した訪問販売における契約の解除等(いわゆるクーリングオフ)の期間が法定の要件をみたした売買契約書面等の受領日から8日と定められているからです。(特定商取引法第9条)

②あなたのお母さまが、信頼できる人との間で、委任契約及び任意後見契約を結ぶことも考えられます。そしてあなたのお母さまの判断能力に問題があって、内容を理解した上で契約を結ぶのが難しいと思われる場合には、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらい、任意後見を発効させます。

③任意後見人がいない場合や任意後見契約を結んでいない場合、成年後見制度を利用します。この制度では、家庭裁判所が、後見人等を選任しますが、その後見人等には、親族だけではなく、弁護士や司法書士、社会福祉士や行政書士といった第三者が就任することも認められていますので、質問の場合の様に、親族が離れて暮らしている本人のために後見等を開始することも、十分可能です。

成年後見制度は、保護されるべき人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の三段階に分かれます。後見は、物事を判断する能力が欠けている場合に開始されますが、保佐は物事を判断する能力が著しく不十分な場合に、補助は、物事を判断する能力が不十分な場合に、開始されます。

質問によれば、あなたのお母さまは、支障なく日常生活を過ごしているようですので、成年後見制度のうちの保佐・補助を利用できる可能性がありそうです。あなたのお母さまが保佐相当であれば、保佐人の同意を得ないで高価品の購入やそのための預金取引という民法13条で定める重要な財産行為をしたことになります。あなたのお母さまが補助相当であれば、補助の場合は、補助人の同意が必要な行為を選択し特定する必要がありますので、「高価品の購入」や「そのための預金取引」を補助人の同意を要する行為として定めておくとよいでしょう。

保佐開始・補助開始の審判が出ますと、保佐人・補助人の同意なくして行われた行為は、保佐人・補助人が取り消すことができるようになります。つまり、あなたのお母さまが高価な着物や宝石を購入しても、保佐の場合には重要な財産行為に該当するとして、補助の場合は上記のように定めておくことにより、保佐人または補助人が、購入契約を取り消すことが可能となるのです。

また、保佐人・補助人が、あなたのお母さまが口座を持っている金融機関に、保佐・補助の届出を済ませれば、あなたのお母さまが金融機関に出向いたとしても、預金の払い出しを受けることもできません。さらに、問題の業者に対しては、保佐人・補助人から、あなたのお母さまだけでは預金の引き出しや高価品の購入ができないことや、契約を結んでも取消の可能性があることを、内容証明郵便で通知してもらうことも重要です。