1⃣ 「善意の第三者」である場合 ① 基本的には、使用者であるあなたは、いわゆる「善意の第三者」です。ですから、「墓地(納骨堂)が無許可である」というような、提供側の瑕疵、もしくは故意に起因し、あなたの墓所(納骨壇)を移転するなどを強いられた場合、その補償を求めることができます(求める相手は原則、経営主体になります)。 ➁ しかし、その場合、誰から、どの段階(たとえば、墓地であれば、区画を求めた際、あるいは墳墓の建立の際、もしくは後、あるいは納骨する際…等)で、当該区域(施設)が無許可である旨の事実をあなたが知り得たかで、補償の行方も異なります。 ③ もし、仮に墓地であれば墓所区画を求めた段階、あるいは納骨堂であれば、使用する納骨壇を決めた段階で、当該区域(施設)が無許可であることを知った場合、その時点で、直ちに相手側(墓地や納骨堂の経営者、提供者等)の履行不能を理由とした契約の解除を行うべきですし、その場合にはすでにやり取りされた金員に加え、新たな墓地(納骨堂)を探しなおさねばならない、といった実害も被ることになるのですから、相応の「損害賠償」を請求するということも可能でしょう。
2⃣ 「無許可」を知っていた場合 ① しかし、無許可であることを知りつつもなお、墳墓の建立や納骨壇への刻字などに踏み切ったのだとしたら、他日になって無許可であることが明らかとなり、行政の命令により、現状復旧、施設の取り壊し、つまりは、墳墓や納骨壇の取り壊しが行われざるを得なかったとしても、あなたは、もはや「善意の第三者」であるとは言い難いでしょう。 ② そうしたケースにおいては、すでにやり取りされた金員の返還請求は難しいと考えるべきでしょうし、場合によっては、現状復旧に要した費用、わけても使用者自身の墳墓、納骨壇の撤去に要した費用が新たに求められることも考えられます。
3⃣ 現実的な「無許可」に対する行政の対応 ① 無許可墳墓、あるいは納骨堂の存在が明らかになっても、相当程度の事由が認められない限り、特に、既に使用者が存在する場合、墓地や納骨堂の経営者、提供者等に対して、一定のペナルティを課すか、整備・改善を指示するにとどまることが多いようです。 ② 無論、これはあくまで「考え得る状況」です。何より行政が公営墓地区域内に納骨堂を設ける場合であっても、行政自身、合葬墓、合祀墓などがあらわれてきたことから、墳墓と納骨堂の区別について定義があいまいになっていることが少なくありません。 ③ そうしたことを考えると墓地経営者と対立するのではなく、既存の施設の活用に行政側と歩調を合わせるという考え方もあるのではないでしょうか。 ④ しかし、前述のように現状復旧が求められる場合が皆無ではありません。墓地であれば墓所区画を求めた段階、あるいは納骨堂であれば、使用する納骨壇を決めた段階で、当該区域(施設)が無許可であることを知った場合、あなた自身のコンプライアンス(遵法主義)のレベル、見識が問われることとなります。
1⃣ 霊園の破産と墓地使用契約 ① 霊園の経営主体が破産した場合m、霊園の経営管理を継続できなくなり、その財産は、破産法の手続きに従って管理・処分され、債権者は破産法の手続きによってのみ債権の回収が許されることとなります。 ② この点、破産法は、双方未履行の双務契約、すなわち、破産者およびその相手方が破産手続開始の時においてともにその履行を完了していない契約について、破産管財人が当該契約を解除することができると定めています。 ③ どのような場合に破産管財人が契約解除できるのかについては議論が分かれていますが、例えば、賃貸借契約における賃貸人の破産した場合、破産管財人による契約解除を認めると、賃借人は、賃貸人の破産という自己に関係のない事由によって賃借権を失うことになるので、公平の観点から、賃借人が第三者対抗要件を備えている場合には、破産管財人の解除権が否定されています。この趣旨は、賃借人がすでに財産権として確定的に保持している利益を解除によって失わせることは公平に反する、という点にあります。 ④ 墓地使用者は、墓地を使用するため、霊園との間で墓地使用契約を締結するのが通常です。使用権の内容は、墓地使用契約によって定まりますが、一般的には、墓地使用契約は、賃貸借契約類似の契約であると思われます。 ⑤ また、墓地が祖先崇拝の対象であり、永久性・固定性という性質を有していることからすれば、墓地使用権は、賃貸借契約よりも強固な継続性が求められていると言えます。 ⑥ したがって、墓地の永久性・固定性および公平の観点から、墓地使用契約についても破産法53条1項の適用を否定し、霊園の破産管財人による契約解除を否定すべきと考えます。 ⑦ 墓地使用契約の解除が否定された場合、同契約は、霊園の経営主体が破産した後も孫座櫛、霊園が換価された場合、墓地使用権の負担付で換価されることとなります。 ⑧ そして、墓地使用権は、墓地使用権が墓地の永久性・固定性という社会通念に裏付けられた物権に準ずる性質を有すると考えられることから、墳墓が存在する以上対抗要件を備えているとして墓地使用権を買受人に対抗できると解されています。加えて、墳墓は、刑法上も保護されており、これを侵害することは、犯罪として処罰の対象となります。このように、墓地の使用者の権利は、十分に保護されており、霊園の経営主体の破産によっても、特段の事情がない限り排斥することはできません。
2⃣ 管理料の値上げ ① ご質問は、誰かあら管理料の値上げを請求されているのか判然としませんが、以下、適法に霊園の経営を行い得る者からの値上げ請求であることを前提に検討します。なお、霊園の買受人が墓地の経営をするためには、自ら墓地経営の許可を取得する必要があります。 ② 霊園の経営が第三者に承継された場合、墓地使用契約等の墓地使用に関する契約も当該承継者に引き継がれます。そして、墓地使用契約等に「社会情勢の変動等により管理料が不均衡となったとき、管理者は管理料を改定できる」旨の条項がある場合、霊園の承継者は、当該条項に基づき管理料の値上げをすることができます。 ③ また、このような条項がない場合であっても、管理料が墓地内の共用部分や共益施設の維持管理、環境整備、墓地全体の運営、事務等に要する費用を補填する料金で、共用的費用の分担と解され、定期的に支払われるべきものであることからすれば、借地契約における地代と同様、公平の原則により、経済情勢の変動に応じ相当額に変更できると解されています。 ④ したがって、墓地使用者は、相当額の値上げ請求である場合、これに応じなければなりません。なお、管理料の値上げをしない旨の特約等がある場合は値上げできません。墓地使用者が値上げ額に納得できない場合など、管理料の値上げに関し紛争が生じた場合、まずは、当事者間で協議をすることが望ましいでしょう。 ⑤ 借地借家法11条2項は、地代の増額について当事者間での協議を前提としていますが、管理料の場合も、同条の規定に準じて協議することが望ましいと言えます。 ⑥ 協議が調わない場合は、地代に関する借地借家法11条2項に準じて、民事調停や裁判によって相当額の確定を求めることができます。協議や民事調停、裁判によって相当額が確定した場合、これらに従って、霊園に相当額を支払う必要があります。
3⃣ 霊園の破産と管理料の不当値上げ ① 霊園の経営主体が破産した場合、霊園の経営に乗り出してきた債権者等によって、管理料が不当に値上げされてしまうといった事態が考えられます。ご質問の場合も、不当に管理料の請求・値上げがなされる可能性もありますので、霊園の承継関係等について破産管財人に確認するのがよいでしょう。