【終活・遺言・相続相談】相談例3 高齢の夫婦二人暮らしの方々の相談

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例3 高齢の夫婦二人暮らしの方々の相談ついての記事です。

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【相談内容】
相談者夫婦(夫85歳、妻80歳)から、「今のところ自宅で二人暮らしをしているが、週刊誌やTVを見ると終活などが必要と言われて、今後のことが気になったきた。何から準備すればよいのか」との相談。

【検討すべき点】
高齢者世帯のうち、夫婦二人暮らしの世帯数は800万を超え、その人数は1600万人おられる計算になります。高齢の夫婦そろっての相談というのはあまり多くはないのですが、このことはご夫婦がお互いを気遣いサポートし、生活も安定していると考えても良いのではないでしょうか。しかし、そのようなご夫婦が相談に来られたということは、何らかの動機があり、必要に迫られていると考えた方がよいでしょう。

【回答・解説】

【1】生活・健康に関するお悩み

① 多く見られるのは、夫婦どちらか一人の健康が損なわれ、二人で暮らすことが困難になり、どうすればよいかと心配する生活自立のお悩みです。高齢の夫婦がお互いを支え合い何とか生活しているところ、片方が健康を害すると、途端にその生活が成り立たなくなることがあります。

② そのようなお悩みに関する相談であれば、地域包括支援センターの存在を紹介し、そちらへの相談や支援の要請をお勧めすることが大切になります。ちなみに地域包括支援センターは各自治体で別の呼称の場合もあり、世田谷区では「あんしんすこやかセンター」と呼称されます。

③ また、介護保険サービスの概要、施設入所、任意財産管理契約、成年後見制度などの説明も必要になろうかと思います。また、配偶者名義の家に配偶者死亡後にも住めるのかという相談も良くみられますが、条件はありますが、民法改正により創設された、「配偶者居住権」の説明も必要になります。

【2】子供のいない夫婦の相続に関するお悩み

① 高齢の夫婦が揃っての相談でよく聞かれることの一つに、「自分が先に亡くなった場合、配偶者はどうなるのか」というものがあります。特に子供がいない夫婦の場合にはこのお悩みは多く聞かれます。

② また、この相談をされる方の多くの方に、「自分が亡くなった後の遺産は全て配偶者が相続するから、お金の心配はない」という危険な思い違いをされている方が見受けられますので、注意が必要です。

③ 子供のいない夫婦のどちらかが亡くなられれば、先に死亡した配偶者の兄弟姉妹(又は甥・姪の場合もある)が相続人として登場することになります。仮に亡くなった配偶者の直系尊属(親・祖父母)が存命であれば、その直系尊属が相続人になります。

④ 夫婦二人暮らしの方々が、それぞれの兄弟姉妹や甥姪と親戚付き合いをしていればまだしも、疎遠であることが多く見受けられるので、残された配偶者は遺産分割協議で苦労することになります。したがって、残される配偶者に遺産の全てを相続させ、疎遠な親戚との遺産分割協議を回避するには、遺言を残すべきです。

【3】子供がいる夫婦に関するお悩み

① 子供がいる夫婦の場合、子供への相続に関するお悩みが多くなります。子供と遺産の扱いに関して意見に隔たりがある(老親は自宅に住み続けたいが、子供は売却して現金で相続したいなど)場合や、そもそも残された配偶者と子供に血縁関係がない(前妻・前夫の子や養子縁組した子)場合などです。

② 相続人である配偶者に認知症がみられる場合や、子供が複数いる場合で子供の間で遺産を巡る意見の相違がみられる場合なども、相続が争族(争いのある相続)状態になる可能性があります。

③ このような事情の有無をよく聞き取り、まずは、被相続人となる先に亡くなるであろう方の意向を確認して、それに沿った形で推定相続人間での話し合いや、遺言書の作成を勧めることになります。また、認知症や怪我や病気で判断能力が欠ける状態への備えとして、任意後見契約や家族信託の検討も必要になるかもしれません。

【4】夫婦そろっての遺言

① 夫婦間に年齢差がある場合は特にそうですが、統計的に男性の寿命の方が短いので、夫が亡くなった場合についてのみを検討され、夫のみ遺言を作成されるケースが多く見受けられます。しかし、どちらが先に亡くなるかは分かりませんので、夫婦そろっての遺言書作成をお勧めします。

② ただし、夫婦そろっての遺言と言っても、「共同遺言」(同じ遺言書に夫婦連名で作成した遺言)は無効とされているので、注意が必要です。

③ 遺言で配偶者にすべての財産を相続させるとしても、その配偶者が先に死亡してしまっているケースも考えねばなりません。この場合亡くなった配偶者に相続させるとした遺産は宙に浮く形となり、相続人間で遺産分割協議が必要になってきます。

④ 配偶者が死亡した時点で、遺言を書き換えることも考えられますが、その時点で遺言能力を喪失している危険性を考えると、遺言作成時に、相続させるとした配偶者が死亡した場合を想定した、予備的遺言にしておくことをお勧めします。
具体的には、宙に浮くことになる遺産の行先を考えておくということです。兄弟姉妹などの他の相続人でも、どこかの団体への遺贈(寄付)も考えられます。その場合、遺言執行者を定めることや、遺贈先の了解を取り付けることが必要となってきます。

【終活・遺言・相続相談】相談例1 終活等の漠然とした不安に関する質問

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【終活・遺言・相続相談】相談例1 終活等の漠然とした不安に関する質問についての記事です。

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【相談内容】
夫が他界してから、長男一家と同居している。今のところ生活に支障はないが、終活や相続について雑誌やテレビを見ると、先のことが心配になる。

【検討すべき点】
相談内容が具体的ではないことは、ままあるケースです。法的な問題ではないことも多くみられます。しかし、相談されるということは、何か問題や悩み事を抱えておられるかもしれませんので、事情を伺っていくことになります。

【回答・解説】

【1】追加で伺うべき点

① まずは相談者本人の氏名、年齢、性別、家族関係を今少し伺うことが必要になります。同居されているのが長男一家ということですから、他にもお子様がいることが考えられます。

② 生活の状況もお聞きする必要があります。二世帯住宅で、生活は別になっているのか、完全な同居生活か、生活費の収支、貯えの額、預貯金の管理者(本人か家族か)など。

③ 相談者の健康状態も、伺うべき点です。年齢、持病、入院歴、介護認定など。健康に関する話題は特に高齢者との会話の接点となることが多く、介護認定や財産管理の状況は、任意財産管理、任意後見や家族信託の検討の有無にかかわってきます。

④ 日常生活のスケジュールも伺います。これにより生活ぶりが想像でき、問題点やお悩み事を把握しやすくなります。

⑤ 相談に来られたきっかけを伺います。告知の媒体もそうですが、何に興味を感じてこられたかがわかることで、問題点やお悩み事を把握しやすくなります。

【2】同居家族との関係

① お話を伺い、把握できた相談者の抱える問題やお悩み事や又はその可能性を考えます。長男一家と同居しているとのことでしたが、なぜ一人で相談に来られたのか、生活に支障がないとお話しされていますが、同居している長男家族に言えない悩みがあるのではと考えられます。

② 長男一家との関係がうまくいっているのであれば、迷惑をかけないため、又はお世話になっているお礼をしたいと終活のご相談に来られるケースがあります。相談者自身に介護が必要になった場合や、将来に備えて遺言を用意する必要があるのではと、考えられることが多く見受けられます。

③ 長男一家との関係がうまくいっていないので、そっと一人で相談に来られたのかもしれません。長男一家が冷たい、恩着せがましい、嫁には財産を渡したくない、孫の教育について不満がある等。これらの場合、愚痴を聞いてほしいだけのケースも多々見受けられます。

【3】遺言・相続

① 長男以外の子供など、推定相続人がいる場合、長男と他の子供との関係が悪いとか、同居していない子供にも財産を遺したいとか、遺言・相続の問題を抱えているケースも見られます。

② 一般的に同居の子供と、非同居の子供の間で争族状態になるケースは多くみられます。同居の子供は親の面倒を見ているという意識が働き、非同居の子供は同居の子供が居住費を浮かせている等、同居により得をしていると考えやすいものです。同居者と非同居者がだんだんと疎遠となると、相談者の死後その配偶者を巻き込んでの遺産の争いとなることが考えられます。

③ そのような心配があるので、一人で相談に来られるケースも多くみられます。子供達のいさかいを何とか取り持つ方法を知りたい場合、法律的な相談ではなく、他の方法を考えるしかないのですが、相談者の死後の争族を防止するために遺言を用意する等の相談となっていきます。

④ 一方で、同居している不動産の名義が相談者の場合、同居している子どもに生前贈与や遺言で相続させたいという希望をお持ちの方もいらっしゃいます。しかし、このようなケースで多いのは、遺言を書けば問題が起こらないと遺言の効力を過信している方です。

⑤ すべての財産を、すべての推定相続人に分配する内容であればまだしも、同居している子どものみに対して、同居している不動産のみを相続させるという内容で、他の財産や他の推定相続人に全く触れていない遺言でも、遺言書を書けば問題がなくなると、思い違いをされている方がまま見受けられます。非常に危険な遺言内容となることが想像できます。

【4】親(相談者)自身の言動

① 加齢に伴い心細くなった高齢の親は、多かれ少なかれ、子に対して愚痴をこぼすことがあります。他の子に対する愚痴をこぼし、自分の寂しさを理解してもらいたいという心情からですが、子供達が皆別居しているなど、一定の距離にあればいいのですが、同居の子供と非同居の子供がいる場合、この言動が大きな問題を引き起こすことになります。

② 認知症等の影響や寂しさから、自分に関心を持ってもらいたいと、同居の子供に対する不満や、食事をさせてもらっていない、預貯金を取り上げられた、財産を狙われている等の事実ではないことを、非同居の子供に対して言う場合があります。これは自分を大事にして欲しいという気持ちからの、他愛もない話という意識かもしれませんが、非同居の子供にしてみれば、看過できない重大な事案です。

③ 一方同居の子供に対しては、非同居の子供が頼りにならない、顔も見せず情けが薄い等の不満を漏らし、自分の面倒を見てくれるお前に、すべての財産を譲りたいなどと話すケースが多くみられます。このような言動は罪の意識はないのでしょうが、兄弟姉妹で争え、憎しみあえと言っているようなものです。
このような事例をお話しして、相談者には自重していただくように諭すことも大事な点になります。

④ 仮に相談者が自分の財産の管理を巡って、同居の子供と非同居の子供に争いが起きるのを防止したいという意向があるのであれば、同居の子供と、任意財産管理契約と任意後見契約を締結し、相談者名義の預貯金の異動等財産の状況を明らかにしておき、非同居の子供に開示することで相互の不信感を解消するという方法もあります。

【相続・遺言Q&A】

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相続・遺言Q&Aについての記事をまとめました。
以下のタイトルよりお選びください。

 

・相続人と相続分

1相続人の範囲

2様々なケースにおける相続人該当性

3相続人とならないケース

4法定相続分(相続の割合)

5養子・非嫡出子・相続放棄の場合の相続分

6相続放棄

・遺産の範囲と評価

7相続財産①(預貯金)

8相続財産②(生命保険)

9相続財産③(死亡退職金など)

10相続財産④(借地・借家の場合)

11相続財産⑤(債務の場合)

12遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲

13不動産評価と基準時

14遺産の評価方法

・特別受益と寄与分

15特別受益がある場合の相続分

16特別受益者

17不動産の無償使用と特別受益

18寄与分の認められる範囲

19寄与分を主張できる者の範囲

20寄与分の決定

21相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

・遺言の方式と遺言事項

22遺言書の作成

23遺言書の書き直し

24遺言能力

25自筆証書遺言

26公正証書遺言

27秘密証書遺言

28財産の信託

29遺言の記載と効力

30遺言による認知・保険金受取人変更の可否

31遺言書の書き方

・遺言の執行

32遺言の開封、遺言執行者

33遺言執行者を指定していなかった場合の手続きの流れ

34問題のある遺言

・遺留分

35遺留分制度の概説

36遺留分侵害額請求権者

37遺留分侵害額請求の相手方

38遺留分侵害額請求権行使の時期的制限

39遺留分侵害額請求権行使の方法

40遺留分侵害額請求権に関する紛争解決手段

41遺留分侵害額請求の効果

42遺留分侵害額の算定(総論)

43遺留分侵害額の算定(各論)

44遺留分侵害額の負担

45事業承継に関する制度

・遺産分割手続

46共同相続における権利の承継の対抗要件

47遺言がある場合の分割手続き

48遺言がない場合

49未成年者・認知症の方などへの遺産分割

50協議中の遺産の管理

51遺産分割協議書の作成

・配偶者居住権

52配偶者の居住権を短期的に保護するための方策

53配偶者の居住権を長期的に保護するための方策

・相続税

54相続税の申告と期限

55被相続人の所得税の申告と納税

56相続税が課税される財産

57相続税の基礎控除額

58贈与税と相続税

59相続時精算課税制度

【相続法改正について】

東京都世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

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相続法改正についての記事をまとめました。
以下のタイトルよりお選びください。

 

【遺産分割等に関する相続法改正:特別受益の持戻し免除の意思表示推定】

【遺産分割等に関する相続法改正:遺産分割前の払戻し制度創設等】

【遺産分割等に関する相続法改正:相続開始後の共同相続人による財産処分について】

【遺留分制度に関する相続法改正について】

【相続の効力等に関する相続法改正について】

【相続人以外の者の貢献を考慮する方策についての相続法改正について】

【配偶者の居住権保護に関する相続法改正について(配偶者短期居住権)】

【配偶者の居住権保護に関する相続法改正について(配偶者居住権)】

【相続・遺言について】相続時精算課税制度

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続時精算課税制度について考えてみたいと思います。

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【Q】相続時精算課税制度の利用を考えていますが、具体的にはどのようなメリット、デメリットがありますか?

 

【A】◆1.相続時精算課税制度の概要

相続時精算課税制度は平成15年度より設けられました。

この制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、その名のとおり、相続時に税額を精算する制度です。

具体的には、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときに、すべての贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

この制度を利用した場合、贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分について一律20%の課税となります。

 

◆2.メリット

①必要な時期に財産移転ができる。
相続はいつ発生するかわかりませんが、相続時精算課税制度を利用すると、子がお金を必要とする時期に贈与することができます。贈与する財産の評価が変わらなければ、相続時精算課税による贈与をしても、相続時まで贈与をしなくても、結果的に税額は変わりません。相続時に相続税がかからないと想定される場合には、相続を待たずに早めに財産を移転できます。

②一度にまとまった金額を贈与できる。
相続時精算課税制度では、2500万円まで贈与税がかかりません。また、2500万円を超えた金額に対しても、一律20%の課税となります。例えば、父から20歳以上の子が一度に2500万円の贈与を受けた場合、暦年課税制度では、贈与税が810万5000円「計算式:(2500万-110万)×45%-265万」となりますが、相続時精算課税制度では、贈与税がかかりません。

③アパートなどの収益物件や、将来値上がりしそうな財産を贈与すれば相続税対策になる。
アパートなどの収益物件は、賃料が入ってくるため、その分相続財産が蓄積されていきます。早期にアパートを子に贈与すれば、その後の賃料は子の収入となりますので、相続財産の増加を防ぐことが出来ますし、子にも収益を帰属させることが出来ます。

また相続時精算課税制度において、相続時に相続財産と合計される贈与財産の価額は、贈与時の価額ですので、株式や土地といった将来値上がりしそうな財産を、価格の低い時期を選んで生前贈与すれば、相続財産の評価額を低く抑えることができ、相続税対策になります。

④生前に財産の分割が出来る
いままでは、遺言をすること以外に、親が相続に関して意思を表示することができませんでした。相続時精算課税制度を利用すれば、遺言によらず、生前に親の意思に即した財産の分配を行うことができ、相続時のトラブルを回避することができます。ただし、遺留分の考慮をする必要があります。

 

◆3.デメリット

①いったん相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税制度には戻れない
相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者については従来からある暦年課税制度に戻ることはできず、年間110万円の基礎控除が使えなくなります。
従って、少額の贈与でも、必ず贈与税の申告が必要になります。また、2500万円の非課税枠を使い切っていれば、20%の贈与税を納めなければなりません。

②相続財産を減らせるわけではない
相続時精算課税制度での贈与財産は、相続時に相続財産に加算されますので、生前贈与をしても直接的な相続財産の減少にはなりません。これに対して、暦年課税の贈与税には、受贈者1人につき1年間に110万円の基礎控除があるため、少ない税負担で確実に財産を減らすことができ、しかも相続財産には加算されません。

③生前贈与した財産が値下がりしたときは不利になる
相続時精算課税制度において、相続時に加算される金額は、贈与時の評価額ですから、財産の価値が相続時に値下がりしていても贈与時の高い評価額で相続税が計算されますので不利になります。

④小規模宅地等の特例の適用を受けることができない
小規模宅地等の特例の適用を受けることができるのは、相続や遺贈により居住用住宅地等や事業用宅地等を取得した場合です。相続時精算課税制度により生前贈与した財産が居住用住宅地等や事業用宅地の場合には、その取得原因が贈与ですから、相続時において小規模宅地等課税価格の特例は適用されません。

⑤生前贈与で取得した財産は物納できない
暦年課税制度では、相続開始3年以内の贈与財産は相続財産に加算されますが、物納の申請は可能です。これに対し、相続時精算課税制度で生前贈与した財産については、贈与時の時価で相続財産に合算されますが、物納対象とはなりません。

⑥将来、相続税の税制改正があり、相続税が課税される可能性がある
現行法のもとで相続税がかからないと見込んで相続時精算課税制度を利用したとしても、将来、相続税法が改正され、相続税が課税される可能性があります。

⑦生前贈与された現金等を消費して相続税が払えない可能性がある
生前贈与された現金等の財産を消費して無くなっていたとしても、相続時精算課税制度を選択して贈与した財産には将来相続税が課税されますので、注意が必要です。

【相続・遺言について】贈与税と相続税

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、贈与税と相続税について考えてみたいと思います。

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【Q】生前贈与を受けた場合と相続の場合とでは、税の控除においてどのような差がありますか。

 

【A】生前贈与を受けた場合には、贈与税がかかりますが、財産を生前に贈与して贈与税を支払っておくことにより、将来相続が生じたときにかかる相続税を抑えることが出来ます。そこで、贈与税は相続税の補完税であるとも言われます。

贈与税はいわゆる暦年課税制度が採用されています。これは、1年間に贈与を受けた全ての財産の価額を合計し、その金額から基礎控除額を控除した金額に税率を乗じて、1年間の贈与税額を計算する方式です。ただし、相続開始前3年以内に生前贈与を受けていた場合には、その財産が相続税の課税価格に加算されますから、相続税の課税と関係しています。

生前贈与を受けた場合に、かかる贈与税の基礎控除額は、贈与を受けた1人について1年に110万円です。これに対して、相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となります。
例えば、相続税では相続人が4人の場合、全体で5400万円が基礎控除額の合計額であり、1人当たり1350万円になります。これに対して、贈与税の基礎控除額は、毎年1人当たり110万円ですから、相続税の基礎控除額とほぼ同額になるには、12年間続けて贈与しなければならない計算になります。

また、贈与税は、相続税に比べて税率が高くなっています。例えば、基礎控除後の課税価格が1億円の場合、相続税の税率は30%ですが、贈与税の税率は55%となっています。

このように、贈与税は相続税と比べて、基礎控除額の違いだけでなく、税率が非常に高くなっていますので、一度に多額の財産を生前贈与することが出来ません。

そこで、贈与税の負担を大幅に軽減し、高齢者世代が保有する資産をより早い時期に次世代に移転させることにより、経済の活性化を図ることを目的として、相続時精算課税制度が平成15年度より設けられました。

この制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、その名のとおり、相続時に税額を精算する制度です。

具体的には、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときに、すべての贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

この制度を利用した場合、贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分について一律20%の課税となります。

【相続・遺言について】相続税の基礎控除額

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税の基礎控除額について考えてみたいと思います。

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【Q】今後、私が死亡した場合、妻と息子1人しか相続人がいません。遺産が3億円以上あるので、なにか節税対策をしたいと思っております。
①養子をすれば、節税対策になると聞いたのですが、息子の嫁を養子とすることは節税となりますか?
②さらに、節税対策のため、仲の良い親戚の子がいるのですが、この子をもう1人養子とすることはできますか?

 

【A】◆1.相続税の基礎控除額
相続税は、課税価格の合計額から遺産にかかる基礎控除額を控除した課税遺産総額を計算し、その課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したと仮定して各相続人の取得金額を計算し、その取得金額に相続税の税率を適用して算出した各金額を合計して、相続税の総額を算出します。
そして、相続税法によれば、遺産にかかる基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)とされています。したがって、ご質問の事例においては、現時点での遺産にかかる基礎控除額は、3000万円+(600万円×2)=4200万円になります。

 

◆2.養子縁組による節税効果
上記のように、遺産にかかる基礎控除額は、法定相続人の人数が多ければ多いほどその金額が大きくなります。そのため、法定相続人の人数を増やすことができればそれだけ相続税の負担を軽減することができることになります。
民法には、養子縁組の制度が定められており、この制度を活用すれば法定相続人を増やすことができますので、養子縁組を行うことで遺産にかかる基礎控除額を大きくすることが可能です。

ただし、相続税法では、節税目的でのみ多数の者との間で養子縁組が行われ、養子縁組が租税回避に利用されることを防ぐ目的で、法定相続人の数に算入できる養子の数が制限されています。
被相続人に実子がいる場合には1人、被相続人に実子がいない場合には2人までしか法定相続人の数に算入されません。

以上の説明を前提にご質問にお答えします。あなたには息子さんがいらっしゃるので、上記の実子がいる場合に該当し、遺産にかかる基礎控除額の計算に算入することのできる養子の数は1人のみです。
質問事項①で、息子さんのお嫁さんを養子とするとのことですので、お嫁さんがあなたの養子となることで法定相続人の数が増加し、その分基礎控除額が大きくなって節税になります。

しかし、質問事項②では、息子さんのお嫁さんだけでなく、仲の良い親戚の子も養子にするとのことですので、これでは、遺産にかかる基礎控除の計算に算入することのできる養子の数の制限を超えてしまいます。制限を超えた養子の数の分については、遺産にかかる基礎控除額は大きくなりませんので、この場合節税にはなりません。

 

◆3.注意すべき点
上記のように養子縁組をすることによって節税効果が生じますが、注意すべき点があります。それは、養子縁組をすると、養子も相続人となりますので、養子も相続分と遺留分を取得し、その反面として養子縁組以前から存在していた相続人の相続分と遺留分が減少するという点です。

質問事項①のような状況であれば、息子さんと息子さんのお嫁さんは生計を一つにしていると思われますので、問題は生じにくいと思われますが、息子さんのお嫁さんではなく、別の親族を養子にするような場合には、息子さんの相続分と遺留分が実質的に減少してしまいますので、相続が起こったときにトラブルになる可能性があります。
また、息子さんが離婚する可能性がまったくないとも言い切れません。息子さんが離婚しても、養子縁組の効果は当然にはなくなりませんので、相続が起こったとき、息子のお嫁さんは、あなたの相続人として相続財産を受け取る権利があることになります。

養子縁組は、養子にしようとしている人との合意のみで成立させることもできますが、上記のようなトラブルを避けるため、相続人全員で協議のうえ、養子縁組を実行するほうが無難と思われます。
実際に養子縁組をされる場合には、専門家に相談し、節税効果のみならず、その他のメリット・デメリットを総合的に検討して実行されることをお勧めします。

【相続・遺言について】相続税が課税される財産

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税が課税される財産について考えてみたいと思います。

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【Q】相続税が課税される財産について教えてください。
①夫が死亡し、夫が生前に生命保険会社と契約していた生命保険契約により、死亡保険金が支払われ、妻である私が受け取りました。この死亡保険金について、相続税を支払う必要がありますか?
また、死亡保険金について相続税の課税対象とならない場合はありますか?

②夫が定年退職を前に病気で亡くなりました。夫が勤めていた会社から退職金が支払われ、妻である私が受け取りました。この退職金について、相続税を支払う必要がありますか?

 

【A】◆1.死亡保険金
夫が生前に契約していた生命保険契約の死亡保険金が支払われ、妻が一時金として受け取った場合、保険料の負担者が夫であれば、相続税の課税対象となります。(保険料の負担者が妻であれば、一時所得となります。)
但し、死亡保険金額のうち非課税限度額までは課税されません。
仮に、上記非課税限度額を超える場合であっても、相続税の非課税限度額や、配偶者の税額の軽減制度がありますので、相続税を払わなければならないかどうかは、一概には言えません。

◆2.死亡保険金
定年退職前に死亡し、死亡後3年以内に退職金の支給が確定し、これが支払われた場合、相続財産とみなされて、相続税の課税対象となります。
但し、死亡退職金額のうち、非課税限度額までは課税されません。
仮に、上記非課税限度額を超える場合であっても、相続税の非課税限度額や、配偶者の税額の軽減の制度がありますので、相続税を払わなければならないかどうかは、一概には言えません。

◆3.相続税について
①死亡保険金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数

②死亡退職金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数

③相続税の基礎控除額
3000万円+600万円×法定相続人の数

④配偶者の税額の軽減
被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度
(相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額控除の対象になりませんので注意が必要です)
(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分相当額

【相続・遺言について】被相続人の所得税の申告と納税

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、被相続人の所得税の申告と納税について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】被相続人の所得税の申告と期限について
①被相続人の所得税の申告義務があるのはどのような場合ですか?
②被相続人の所得税の申告が必要な場合、誰が、いつまでに申告する必要がありますか?
また所得税の計算方法について教えてください。

 

【A】◆被相続人の所得税の申告と期限
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して、翌年2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。
しかし、被相続人は自ら所得税の申告をすることが出来ませんから、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、死亡した年分についての申告と納税をしなければなりません。
これを準確定申告と言います。

なお、被相続人が、3月15日までに死亡して、前年分の所得税の申告をしていない場合には、死亡した年の前年分の所得税についても、準確定申告が必要になります。
準確定申告が必要となるのは、確定申告が必要になる場合と同様です。
例えば、被相続人に事業所得や不動産所得などがあった場合、年間の給与収入が2000万円以上あった場合、2か所以上からの給与収入がある場合などです。

準確定申告が必要となる場合には、相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに、申告と納税をしなければなりません。準確定申告書の提出先は、相続税の場合と同様、被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署長となります。

なお、相続人が2人以上いる場合は、各相続人が連署により準確定申告書を提出するのが原則です。他の相続人の氏名を付記したうえで、各相続人が別々に提出することもできますが、この場合、申告書を提出した相続人は、他の相続人に対して申告した内容を通知する必要があります。

準確定申告における所得税の計算は、通常の確定申告の場合と同様の方法になります。ただし、医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません。また、社会保険料、生命保険料、地震保険料控除などの対象となるのも、死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額になります。
なお、配偶者控除や扶養控除等の適用の有無に関する判定は、被相続人の死亡の日の現況により行いますので、ご留意ください。

そして相続税と同様、申告期限内に準確定申告書を提出しなかった場合には、本来の所得税額に加えて、延滞税や無申告加算税などの負担が生じることがあります。準確定申告の申告期限は、相続税と比べて短いので、特に留意が必要です。

【相続・遺言について】相続税の申告と期限

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税の申告と期限について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①相続税の申告義務があるのはどのような場合ですか?
②相続税の申告が必要な場合、いつまでに申告する必要がありますか?

【A】◆1.相続税の申告と期限
相続税の納税義務者は、原則として、相続もしくは遺贈(死因贈与を含む、以下同じ。)により財産を取得した個人または、被相続人からの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けた個人です。
被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者の「課税価格の合計額」が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合において、納付すべき相続税額が算出される者は、相続税の申告書を提出しなければなりません。

「課税価格の合計額」は相続人及び受遺者の各人の課税価格を合計したものです。各人の課税価格は、相続又は遺贈により取得した財産のうち非課税財産を除いたものの価額と、相続や遺贈によって取得したとみなされる財産(例えば保険金や死亡退職金等)で非課税限度額を超える価額との合計額から、葬式費用等や債務の額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算して計算します。

「遺産に係る基礎控除額」は3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。

「課税価額の合計額」から「遺産に係る基礎控除額」を控除した残額を基に、相続税の総額を計算し、相続税の総額を、各人が取得した財産の額(割合)に応じ配分し、各人の算出税額を計算します。各人の算出税額から、各人に応じた各種の税額控除額を控除し、各人の納付すべき税額を計算します。

以上の計算の結果、納付すべき相続税額が算出された者は相続税の申告が必要です。
相続税の申告が必要な場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告と納税をしなければなりません。相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署長となります。

また、配偶者に対する相続税額の軽減や、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例など、相続税を軽減する特例が適用できる場合がありますが、このような特例の中には、申告書の提出を適用要件にしているものが少なくありません。このような特例を受ける場合には、その特例の適用により納付すべき相続税額が0円になる場合であっても、相続税の申告書を提出しなければならないことに留意してください。

そして、申告期限内に、相続税の申告書を提出しなかった場合には、本来の相続税額に加えて、延滞税や無申告加算税などの負担が生じることがあります。
申告期限を知らなかった、調査すれば把握できた遺産を調査しなかったために基礎控除額を超える遺産があることを知らなかった、相続人間で遺産分割について揉めており、調停や裁判手続で忙しかった等の理由は、期限内に申告書を提出しなかったことの正当な理由とは認められません。

また、申告期限内に遺産分割ができていない場合には、いったん、法定相続割合で取得したものとして申告期限内に申告書を提出した上、遺産分割協議が成立した後、その結果に応じて、修正申告などをする必要があります。
この場合、当初の申告書と共に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておかないと、配偶者に対する相続税額の軽減や、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例などの適用が受けられなくなりますので、留意してください。