【成年後見制度について】知的障がいのある子供の将来の生活が心配な場合は「親なき後の財産管理」1

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「知的障害のある子供の将来の生活が心配な場合は。親なき後の財産管理」について考えてみましょう。

【Q】私には子供が2人います。45歳になる長男には知的障がいがあります。自宅に夫と3人暮らしで、夫婦で長男の面倒を見てきましたが、昨年夫が亡くなり、私も今年70歳になりました。今後いつまで長男の面倒をみることができるのか、日々不安に感じています。長女は結婚しており、長男のことも気にかけてくれてはいますが、生活に余裕があるわけではなく、私の様に自宅で長男の面倒をみるというのは不可能です。そう思って、夫婦でつましい生活を送り、預貯金は4000万円ほどあり、賃料収入のあるアパートを一軒持っています。私が死んだあと、なんとか長男が暮らしていけるようにしたいと思いますが、どのようにすればよいでしょうか。

【A】障害のあるお子さんを持つ親が一番気にしているのは、自分がいなくなったあとの子供の行く末でしょう。誰が世話をしてくれるのか。お金はどうするのか。福祉は頼りになるのか。考えると眠れないという気持ちになる話はよく伺います。このようなケースでは障害の程度も、親の財産の程度も様々です。いくつかの方法が考えられますので、ご紹介します。

【A-1】自分が死んだ後、財産を障害のある子供に多く残しておきたい

そのためには遺言をすることが必要です。遺産は、子どもたちには平等に分けられるのが原則です。このときにもらえる遺産を法定相続分といいます。しかし法定相続分とは異なる形で、誰かに多くあげることもできます。遺言書を作成することでそれが可能になります。例えば、長男に不動産と現金3000万円を相続させるなどの遺言をするのです。

遺言の方法としては、自分で書く自筆証書遺言や、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」があります。公正証書遺言であれば、遺言書によって不動産の登記名義の変更や、預貯金の解約、名義書換などがスムーズにできます。また遺言執行者を指定しておくことで、障害のある子の手を煩わせずに遺言の内容を実現させることができます。

ただ、全部をその子に残したい場合でも、他の子どもには遺留分がありますので、他の子も遺産を譲り受けたいと思う場合には、遺留分相当額の財産の分配を求められる可能性があります。遺留分とは、法定相続人が必ずもらうことのできる財産で、子どもたちだけが相続人の場合は全部で法定相続分の2分の1となります。

本件の場合ですと、長女は相続財産の4分の1の遺留分を取得する権利があります。したがってトラブルを避けるためには、遺留分を持つ子たちには遺留分相当額を残すことにした方が賢明です。

【A-2】日常生活をどうするか

遺言によって、財産を残すことができたとしても、親としては子供が日常生活をどうするかということの方が気になるものです。また、ご自身も、病気をしたり弱ったりして、いつまでも二人で自宅で生活することは難しいこともあるかもしれません。

一つの方法として、ご自身とお子さんと一緒に介護付のホームに入所することが考えられます。最近は、40代~50代の独身者が親の介護をしている場合などを想定した介護付の親子同居型賃貸住宅なども出てきていますので、そのようなタイプの施設利用を考えることも可能だと思われます。

お子さんが、介護がなければ生活できないというような場合には、介護施設への入所前に、お子さんについて成年後見の申立てをし、あなたが後見人となって施設に入所することができるでしょう。

またお子さんが、一人暮らしができないわけではないけれども、財産管理がきちんとできないとか、財産的な被害にあう可能性があるというタイプの障害であれば、お子さんはあなたが亡くなった後に自宅に住むことを選んでも、食事がきちんとできないとか家の清潔が保てない等の問題や、詐欺被害にあうといった事態になることも考えられます。それでも、そのお子さんが自宅に愛着を持ち、介護施設に入所することには応じないこともあるでしょう。ですが、今、あなたと一緒であれば引越しに応じることは考えられます。したがって、どこかの時点で自宅で二人で暮らすことに見切りをつけ、一緒に介護付のホームに入るというのはひとつの選択となります。この場合でも、介護施設への入所前に、お子さんについてあなたが成年後見人となることも考えられます。

いずれの場合も、入所後は、施設の方たちと連携をとりながら、あなたが後見人となっていない場合には、後見開始の申立権限のある人に、あなたが亡くなった後に後見開始の申立てをしてもらうことや、後見人候補者となることなどを頼んでおくとよいでしょう。また、あなたが亡くなったときに備えて、あなたの他にも成年後見人を選任してもらっておくということも有効でしょう。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年8月4日(日)13:00~16:30

予約番号 080-7025-8357(中村由美子)

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

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【後見制度について】認知症の高齢者が遺産相続をするには「遺産分割のために成年後見人を選任」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「認知症の高齢者が遺産相続をするには」を考えてみましょう。

【Q】最近父が亡くなりました。86歳の母は認知症のために、父が亡くなったことさえ理解できていないようです。子である私と弟が父の相続手続きをするには、どのようにすればよいでしょうか。

【A】相続の手続きを進めるには、まずお父様が生まれてから亡くなったときまでの戸籍謄本等を取って、相続人が、妻であるお母様、子であるあなたと弟さんの3人であることを確定する必要があります。また、遺産として何があるのかも調査しなければなりません。銀行などでお父様の遺産を調査する場合にも、あなたが相続人であることを証明する資料として、これらの戸籍謄本等は必要になります。

このようにして、誰が相続人であるか(相続人の範囲)と、遺産としては何があるか(遺産の範囲)を確定させたうえで、相続人全員で遺産をどのように分けるのかの話し合い(遺産分割の協議)をすることになります。この遺産分割協議をするには、判断能力を備えていることが必要ですが、お母様にはこの判断能力が欠けているとみられますので、遺産分割の協議をする能力がありません。そこで、お母様が遺産分割で不利益を受けないように、お母様に代わってあなたたちと遺産分割の協議をする、お母様の代理人が必要になります。判断能力がない人の代理をするために法律が定めているのが成年後見人です。成年後見人を付けるには、あなたがお母様の住む家庭裁判所に、お母様について成年後見開始の申し立てを行うとよいでしょう。その場合に、何のために成年後見の申立てを行うのか、成年後見申立ての目的も記載します。

お母様の成年後見人を選任する家庭裁判所の審判が出て確定したら、あなたと弟さんとお母様の後見人とで遺産分割の協議をし、協議が整えば遺産分割協議書を作成します。この遺産分割の内容ですが、判断能力の欠けるお母様の利益保護のため、原則としてお母様の法定相続分(全体の遺産の2分の1)は確保させる必要があります。

遺産分割のために選任された成年後見人も、お母様の財産管理や身上監護の任にあたります。そのため、遺産分割協議にあたって紛争などの問題が生じるおそれがない場合には、親族であるあなたや弟さんが成年後見人に選任されることもあり得ます。ただし、相続人であるあなたが成年後見人に選任された場合には、遺産分割協議にあたってあなたがお母様の後見人としてお母様を代理することはできません。なぜなら遺産分割については、あなたもお母様も同じ相続人としてお父様の財産を分けることになるため、二人の利益が相反するからです。その場合には、公正を期してお母様の利益を守るために、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てを行い、遺産分割に関しては、相続人とえらばれた特別代理人との間で、遺産分割協議を行うことが必要です。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年6月30日(日)13:00~16:30

予約番号 080-7025-8357(中村由美子)

予約優先ですが、当日飛込みでのご相談も歓迎です。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

配偶者の居住権保護に関する相続法改正について(配偶者居住権)

世田谷区砧の書庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

令和2年4月1日から施行される配偶者の居住権保護に関する民法相続編の改正について、今回は相続の効力等に関する改正について解説していきたいと思います。

配偶者の居住権保護のための方策は,大別すると,遺産分割が終了するまでの間といった比較的短期間に限りこれを保護する方策と,配偶者がある程度長期間その居住建物を使用することができるようにするための方策とに分かれています。今回は、長期間保護する方策について見ていきます。

配偶者の居住権を長期的に保護するための方策 (配偶者居住権)

【要点】
配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として,終身又は一定期間,配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し,遺産分割における選択肢の一つとして,配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとするほか,被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができることにする。

【1.見直しのポイント】

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身又は 一定期間,配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利(配偶者居住 権)を新設する。➡① 遺産分割における選択肢の一つとして ② 被相続人の遺言等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができるようにする

【2.現行制度】

例: 相続人が妻及び子,遺産が自宅(2000万円)及び預貯金(3000万円)だった場合 妻と子の相続分 = 1:1 (妻2500万円 子2500万円)内訳、妻「自宅20000万円+預貯金500万円」子「預貯金2500万円」

妻:「住む場所はあるけど, 生活費が不足しそうで 不安」

【3.制度導入のメリット】

配偶者は自宅での居住を継続しながらその他の財産も取得できるようになる。

妻:「配偶者居住権(1000万円) 預貯金1500万円」
子:「負担付の所有権(1000万円) 預貯金1500万円」
妻:「住む場所もあって,生活費 もあるので,生活が安心」

配偶者の居住権保護に関する相続法改正について(配偶者短期居住権)

世田谷区砧の書庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

令和2年4月1日から施行される配偶者の居住権保護に関する民法相続編の改正について、今回は相続の効力等に関する改正について解説していきたいと思います。

配偶者の居住権保護のための方策は,大別すると,遺産分割が終了するまでの間といった比較的短期間に限りこれを保護する方策と,配偶者がある程度長期間その居住建物を使用することができるようにするための方策とに分かれています。今回は、短期間に限り保護する方策について見ていきます。

配偶者の居住権を短期的に保護するための方策 (配偶者短期居住権)

【要点】

ア 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合の規律: 配偶者は,相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間,引き続き無償でその建物を使用することができる。

イ  遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や、配偶者が相続放棄をした場合などア以外の場合:配偶者は,相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,居住建物の所有権を取得し
た者は,いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるが,配偶者はその申入れを受けた日から6か月を経過するまでの間,引き続き無償でその建物を使用することができる。

【1.見直しのポイント】

配偶者は,相続開始時に被相続人の建物(居住建物)に無償で住んでいた場合には, 以下の期間,居住建物を無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得する。
① 配偶者が居住建物の遺産分割に関与するときは,居住建物の帰属が確定する 日までの間(ただし,最低6か月間は保障)

② 居住建物が第三者に遺贈された場合や,配偶者が相続放棄をした場合には居 住建物の所有者から消滅請求を受けてから6か月

【2.現行制度】

最判平成8年12月17日の判例法理

配偶者が,相続開始時に被相続人の建物に居住していた場合には,原則として, 被相続人と相続人との間で使用貸借契約が成立していたと推認する。

判例法理では,配偶者の保護に欠ける場合がある。

第三者に居住建物が遺贈されてしまった場合や被相続人が反対の意思を表示した場合 → 使用貸借が推認されず,居住が保護されない。

【3.制度導入のメリット】

被相続人の建物に居住していた場合には被相続人の意思にかかわらず保護

被相続人が居住建物を遺贈した場合や,反対の意思を表示した場合であっても, 配偶者の居住を保護することができる。

他に,常に最低6か月間は配偶者の居住が保護されるというメリットもある。

 

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策についての相続法改正について

世田谷区砧の書庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

令和元年7月1日から施行される民法相続編の改正について、今回は相続の効力等に関する改正について解説していきたいと思います。

【要点】
相続人以外の被相続人の親族が,無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件の下で,相続人に対して金銭請求をすることができるようにする。

【1.見直しのポイント】

相続人以外の親族が,被相続人の療養看護等を行った場合,一定の要件のもとで, 相続人に対して金銭の支払を請求することができることとする。

【2.現行制度】

相続人以外の者は,被相続人の介護に尽くしても,相続財産を取得することができない。

例: 亡き長男の妻が,被相続人の介護をしていた場合

・ 被相続人が死亡した場合, 相続人(長女・次男)は,被相続人の介護を全く行っていなかったとしても,相続財産を取 得することができる。
・ 他方,長男の妻は,どんなに被相続人の介護に尽くしても,相続人ではないため,被相続人の死亡に際し,相続財産の分配にあずかれない。

【3.制度導入のメリット】

相続開始後,長男の妻は,相続人(長女・次男)に対して,金銭の請求をすることができる。 ➡介護等の貢献に報いることができ,実質的公平が図られる。

※ 遺産分割の手続が過度に 複雑にならないように,遺産分 割は,現行法と同様,相続人(長女・次男)だけで行うこととしつつ,相続人に対する金銭請求を認めることとしたもの。

相続の効力等に関する相続法改正について

世田谷区砧の書庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

令和元年7月1日から施行される民法相続編の改正について、今回は相続の効力等に関する改正について解説していきたいと思います。

【要点】
特定財産承継遺言等により承継された財産については,登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされている現行法の規律を見直し,法定相続分を超える部分の承継については,登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないことにする。

【1.見直しのポイント】

相続させる旨の遺言等により承継された財産については,登記なくして第三者に対抗する ことができるとされていた現行法の規律を見直し,法定相続分を超える部分の承継については,登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないこととする。

【2.現行制度】

遺言の内容を知り得ない相続債権者等の利益を害する

(例)相続・遺贈により,長男が被相続人所有の不動産を取得することとされた場合

被相続人の債権者(A)が「不動産の登記は被相続人名義のままだから, 相続債務の回収のため,次男が相続した法定 相続分での差押をしよう」と考えた。

①長男:法定相続分を超える処分(本来1/2の相続分だが2/2相続する)

②:債権者Aが次男(実際には相続していない)に対して法定相続分で差押え

【①と②の優劣】

1)①が遺産分割の結果による場合→①と②の登記の先後で決まる。

2)①が遺贈の場合→①と②の登記の先後で決まる。

3)①が「相続させる旨の遺言」の場合→【常に①が優先】

上記の結論は、「遺言の有無及び内容を知り得ない相続債権者・債務者等の利益を害する」「登記制度や強制執行制度の信頼を害する」おそれがある。

【3.制度導入のメリット】

改正後の規律:相続させる旨の遺言についても,法定相続分を超える部分については,登記等の対抗要件を具備しなければ,債務者・第三者に対抗することができない。

【①と②の優劣】

1)①が遺産分割の結果による場合→①と②の登記の先後で決まる。

2)①が遺贈の場合→①と②の登記の先後で決まる。

3)①が「相続させる旨の遺言」の場合→【①と②の登記の先後】で決まる。

遺言の有無及び内容を知り得ない相続債権者・債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保※登記制度や強制執行制度の信頼を確保することにもつながる

遺留分制度に関する相続法改正について

世田谷区砧の書庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

令和元年7月1日から施行される民法相続編の改正について、今回は遺留分制度に関する改正について解説していきたいと思います。

【要点】
⑴ 遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し,遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにする。
⑵ 遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が,金銭を直ちには準備できない場合には,受遺者等は,裁判所に対し,金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができる。

【1.見直しのポイント】

① 遺留分減殺請求権から生ずる権利を金銭債権化する
② 金銭を直ちには準備できない受遺者又は受贈者の利益を図るため,受 遺者等の請求により,裁判所が,金銭債務の全部又は一部の支払につき 相当の期限を許与することができるようにする。

【2.現行制度】

① 遺留分減殺請求権の行使によって共有状態が生ずる。 ← 事業承継の支障となっているという指摘

② 遺留分減殺請求権の行使によって生じる共有割合は,目的財産の評価額等を基準に決まるため,通常は,分母・分子とも極めて大きな数字となる。 ← 持分権の処分に支障が出るおそれ

(事例)

経営者であった被相続人が,以下の内容で相続させる旨の遺言をし,死亡した (配偶者は既に死亡)。

①事業を手伝っていた長男に会社の土地建物(評価額1 億1123万円)

②長女に預金1234万5678円

これに対して、遺言の内容に不満な長女が長男に対し,遺留分減殺請求。

長女の遺留分侵害額 1854万8242円={(1億1123万円+1234万5678円)×1/2×1/2-1234万5678円}
(現行法) 会社の土地建物が長男と長女の 複雑な共有状態に。

➡持分割合

長男 9268万1758/1億1123万

長女 1854万8242/1億1123万

【3.制度導入のメリット】

① 遺留分減殺請求権の行使により共有関係が当然に生ずることを回避することができる。

② 遺贈や贈与の目的財産を受遺者等に与えたいという遺言者の意思を尊重する ことができる。

(改正後) 遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権となる。 同じ事例では,長女は長男に対し, 1854万8242円 請求できる。