【改正民法債権編】組合契約

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、組合契約について考えてみたいと思います。

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組合契約

これまで解釈で認められてきた事項の多くを明文化

 

◆組合契約とは
組合契約とは、各当事者が出資をして、共同の事業を営むことを目的とする団体を作る契約です。組合契約に関する改正では、これまで解釈で認められていた事項の多くが明文化されました。

 

◆契約総則の規定の不適用
組合契約には、他の民法上の契約とは異なり、団体的な性格があります。
そのため、同時履行の抗弁権や、債務不履行解除の規定は適用されません(新法667条の2第1項)。
他の組合員が組合契約に基づく債務を履行しないことを理由に組合契約を解除することもできません(同2項)。

 

◆組合員の1人についての意思表示の無効、取消し等
組合員の1人につき、錯誤など意思表示の無効等を導く原因があっても、他の組合員との間では組合契約の効力は妨げられません(新法667条の3)。

 

◆組合の業務執行、組合代理
組合業務の決定と執行は、1人または数人の組合員または第三者に委任でき、委任を受けた者を「業務執行者」といいます。業務執行者が数人あるときは、その過半数で決定し、各業務執行者が執行できます(新法670条)。

各組合員は、組合員の過半数の同意を得たとき、他の組合員を代理して組合業務をを執行できます(新法670の2第1項)。ただし、業務執行者があるときには、業務執行者だけが組合員を代理できます(同2項)。

 

◆債権者による権利行使
組合の債権者は、組合財産について、その権利を行使することができます(新法675条1項)。

そして、債権者は、債権発生時に各組合員の損失分担割合を知っていた場合を除き、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合または等しい割合で権利を行使することができます(同2項)。

他方で、各組合員の債権者は、組合財産について権利行使することはできず、当該組合員に対する請求ができるにとどまります(新法677条)。

 

◆組合に関するその他改正
(1)組合員の持分の処分
組合財産は、「合有」(組合財産は、1個の財産として総組合員に帰属する)の性質を持つと考えられています。そのため、組合員は、組合財産を処分しても、それを組合等に対抗できず、組合財産の分割請求もできません。また、組合財産である債権について、各組合員が持分について単独で権利行使することもできません(新法676条)。

(2)組合員の加入
組合員は、組合員全員の同意または組合契約の定めにより、新たな組合員を加入させることができます(新法677条の2第1項)。
組合成立後に加入した新組合員は、その加入前に生じた組合の債務について弁済の責任を負いません(同2項)。

(3)脱退した組合員の責任等
脱退した組合員は、脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内で責任を負います。ただし、債権者が全部の弁済を受けない間、組合に対して担保提供や自己の免責の請求ができ、また組合の債務を弁済すれば組合に対して求償権も取得します(新法680条の2)。

(4)組合の解散
組合は、①事業の成功または成功の不能、②組合契約で定めた存続期間の終了、③組合契約で定めた解散の事由の発生、④総組合員の同意のいずれかによって解散します(新法682条)。

【改正民法債権編】寄託契約

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今回は、【改正民法債権編】に関して、寄託契約について考えてみたいと思います。

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寄託契約

要物契約から諾成契約への変更、混合寄託の新設など

 

◆寄託契約とは
寄託契約とは、当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために物の保管をすることを内容とする契約です。

旧法下では、「要物契約」(委託物を実際に受け取ることで効力を生ずる契約)とされていましたが、新法では「諾成契約」(物の委託の約束だけで効力を生ずる契約)に変更されたほか、「混合寄託」が新設されました。

 

◆寄託物受取り前の解除
契約の性質が諾成契約となったことで、契約成立後から寄託物受取り前までの法律関係が明確化されました(新法657条の2)。

【寄託物受取り前の解除】
①寄託者(新法657条の2第1項)/受寄者の寄託物受取りまで解除できる(受寄者は、その解除で損害を受けた場合には賠償請求できる)

②無報酬の受寄者(同2項)/書面による寄託の場合を除いて、寄託物受取りまで解除できる

③上記以外の受寄者(同3項)/寄託物受取時期経過後に寄託者が引き渡さない場合、催告の上で解除できる

 

◆受寄者の保管に関する義務
受寄者は、寄託者の承諾がなければ寄託物の使用はできず、寄託者の承諾や、やむを得ない事由がなければ、寄託物を第三者に保管させることもできません(新法658条1項、2項)。

再受寄者が選任された場合、再受寄者は、寄託者に対して、受寄者と同様の権利義務を直接負うことになります(同3項)。

受寄者は、寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えの提起等をした場合には、寄託者がすでに知っている場合を除いて通知義務を負います(新法660条1項)。

受寄者は、第三者から権利主張されている場合でも、寄託者の指示がない限り、原則として寄託者に寄託物を返還する義務を負います(同2項)。
受寄者は、この義務に従って寄託者に寄託物を返還したことにより第三者に損害が生じても、その賠償責任は負いません(同3項)。

 

◆寄託に関するその他改正
(1)寄託者の返還請求
寄託者は返還時期を定めた場合であっても、いつでも寄託物の返還を請求できます。ただし、返還時期前の返還請求で受寄者に損害が生じた場合、受寄者はその損害の賠償を請求できます(新法662条)。

(2)損害賠償請求等の期間制限
寄託者による損害賠償請求、受寄者による費用償還請求の可能期間は、寄託物の返還時から1年以内です。そして、寄託者による損害賠償請求権については、寄託物に損害等が生じた時期にかかわらず、返還から1年を経過するまでは時効が完成しません(新法664条の2)。

(3)混合寄託
混合寄託とは、受寄者が複数の寄託者の承諾のもと、寄託された種類と品質が同一の物を混合して保管し、寄託されたのと同数量を返還するというもので、新たに明文化されました(新法665条の2)。

(4)消費寄託
消費寄託とは、当事者間の契約で、受寄者が寄託物を消費できると定める場合をいいます(新法666条)。
旧法下では、消費貸借の条文を包括的に準用していましたが、消費貸借が主に借主の利益を目的とするのに対し、消費寄託は寄託者の利益を目的とする点で異なるため、必要な範囲での準用に改められました。

【改正民法債権編】雇用契約

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今回は、【改正民法債権編】に関して、雇用契約について考えてみたいと思います。

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雇用契約

履行割合に応じた報酬の請求、契約解除などの規定を整備

 

◆雇用契約とは
雇用契約は、労働への従事と、それに対する報酬の支払いの約束によって成立する契約です。労働基準法・労働契約法が適用される労働契約は、労働基準法・労働契約法が優先的に適用されますが、民法にも一般法として雇用の定めが置かれています。

 

◆履行割合に応じた報酬の請求
労働者は、約束した労働を終わった後でなければ報酬の請求ができないのが原則です。また、期間によって報酬を定めた場合には、期間経過後でなければ報酬の請求はできません(法624条)。

ただし、今回の改正で、使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事できなくなったときや、雇用が履行の中途で終了したときには、すでにした労働の履行割合に応じて報酬を請求できることが明文化されました(新法624条の2)。

「使用者の責めに帰することができない事由」とは、言い換えれば、次のいずれかの事由です。
①当事者双方の責めに帰することができない事由
②労働者の責めに帰すべき事由

また、「雇用が履行の中途で終了したとき」とは、たとえば労働者死亡の場合や、労働契約が中途解約された場合などが想定されます。

他方、使用者の責めに帰すべき事由によって労働に従事できなくなった場合の規定はありません。この場合、労働者は、新法536条2項の法意に照らし、対応期間の報酬の全額を請求できると解釈されています。旧法下でも、判例は、このような解釈で労働者の報酬請求権を認めていました。

 

◆期間の定めのある雇用の解除
5年を超える雇用期間を定めた場合や、雇用期間の終期が不確定の場合には、雇用期間が5年を経過した後、当事者の一方はいつでも契約を解除できます(新法626条1項)。ただし、契約を解除しようとする場合には、使用者は3か月前に、労働者は2週間前に、その予告が必要です(同2項)。

 

◆期間の定めのない雇用の解約申入れ
雇用期間を定めなかった場合や、報酬だけを期間によって定めた場合に、各当事者は、解約の申入れをすることができます。

雇用期間の定めがない場合、各当事者はいつでも解約の申入れができます。この場合、解約申入れから2週間の経過で雇用契約は終了します。
雇用期間は定めず、報酬を期間によって定めていた場合、労働者からの解約申入れは原則通りいつでも可能です。他方で、使用者からの解約申入れは、当期の前半において、次期以降についての解約のみ可能とされています。また、6か月以上の期間で報酬を定めた場合には、使用者からの解約申入れが認められるのは3か月前までです。

このように、解約申入れについては、使用者と労働者で一定の差があります。この差は、使用者からの解約申入れを制限すると同時に、労働者の辞職の自由を保護しようという考えに基づいています。

【改正民法債権編】委任契約

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委任契約

復受任者の選任や委任者の任意解除権などを明文化

 

◆委任契約とは
委任契約は、委任者が、受任者に対して何かしらの法律行為をすることを委託するという内容の契約です。

法律行為ではない事務の委託をする場合は「準委任」と呼ばれ、「委任」と同様の規律に服します。

旧法下では、復受任者の選任や委任者の任意解除権など、解釈や判例法理に頼る部分がありました。
新法では、これらが明文化されるとともに、受任者の報酬形態についても新たに整理されました。

 

◆復受任者の選任
新法644条の2第1項は、受任者は、「委任者の許諾を得たとき」または「やむを得ない事由があるとき」でなければ、復受任者を選任することができないとしています。

受任者が復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において受任者と同一の権利義務を負います(同2項)。

 

◆受任者の報酬
委任契約では、受任者は無報酬が原則です。この点は、新法でも変更はありません。しかし、実際の委任契約は有償で結ばれることが多いことから、受任者の報酬請求時期については常に問題となってきました。

新法では、この受任者の報酬請求時期について、委任契約の内容に応じて次のように整理し直されました(新法648条、648条の2)。
①受任者の事務処理の労務に対し報酬を支払う場合(原則型・履行割合型)
②受任者の事務処理の成果に対し報酬を支払う場合(成果完成型)

委任契約では、①が原則型になります。新法では①の場合の報酬について「雇用」と同様の規律とし(新法648条2項、同3項)、②の場合の報酬について「請負」の規定を準用しています(新法648条の2第2項、634条)。

【受任者の報酬請求の要件・時期】
①原則型(履行割合型)
・【原則ルール】委任事務履行後に報酬請求可(期間により報酬を定めた場合には期間経過後に報酬請求可)
・【中途挫折の場合】・委任者の帰責事由によらずに委任事務が履行不能となった場合と、委任事務が履行途中で終了した場合→いずれも、委任事務の既履行割合に応じて報酬請求可

②成果完成型
・【原則ルール】成果の引渡しを要する場合は、引渡しと同時に報酬請求可
・【中途挫折の場合】・委任者の帰責事由によらずに委任事務が完成できなくなった場合と、完成前に契約が解除された場合→いずれも、すでに完成された委任事務の成果のうち、「可分」な履行によって委任者が受ける利益の限度で報酬請求可

 

◆委任の解除
委任は、当事者双方の信頼を基礎に成り立つため、両当事者は、いつでも委任関係を解除することができます(法651条1項)。

ただし、次の場合には、やむを得ない事由があるときを除き、解除した者が相手方の損害を賠償する必要があるとされています(新法651条2項)。
①一方が、相手方に不利な時期に委任を解除したとき
②委任者が、受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき

【民法改正債権編】請負契約

【改正民法債権編】使用貸借契約

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今回は、【改正民法債権編】に関して、使用貸借契約について考えてみたいと思います。

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使用貸借契約

物の貸し借りについての合意のみで成立する契約に変更

 

◆諾成契約への改正
使用貸借契約は、無償での物の貸し借りについて規定した契約類型です。
旧法では実際に物の受け渡しがあることが契約の成立要件でしたが、新法では物の受け渡しは成立要件ではなくなり、貸し借りについての合意だけで成立する諾成契約となりました(新法593条)。

この改正は、次のような理由によります。
①使用貸借の目的物が借主にとって重要な意味を持つ場合があること(たとえば、赴任中無料で居住場所を借りられるという話だったが、実際には提供されなかった場合など)
②消費貸借契約において諾成的消費貸借契約の成立が認められたこと(新法587条の2)との均衡

 

◆契約の終了
使用貸借の期間を定めた場合は、その期間が満了することで契約が終了します(新法597条1項)。
使用貸借の期間を定めなかった場合で、使用収益の目的を定めたときは、この目的に従って使用収益を終えた場合に契約が終了します(同2項)。
借主が死亡した場合も、契約が当然に終了します(同3項)。

 

◆契約の解除
使用貸借の期間を定めなかった場合でも、使用収益の目的を定めたときは、使用収益するのに足りる期間を経過すれば、借主は契約を解除することができます(新法598条1項)。

使用貸借の期間も、使用収益の目的も定めなかったときは、貸主は、いつでも契約を解除することができます(同2項)。
これに対して、借主は、いつでも契約を解除できます(同3項)。

 

◆損害賠償請求の行使可能期間
契約の本旨に反する使用収益によって生じた損害賠償請求と、借主が支出した費用の償還は貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(新法600条1項、旧法600条)。

このうち、損害賠償請求権について、消滅時効に関する一般規定の適用を受けてしまうと、権利を行使できる時から10年間行使しない場合、消滅時効が完成してしまいます(新法166条1項2号)。

貸主は、通常、自らの手もとに目的物が返ってきてからでないと損害に気付くことができません。
そこで、損害賠償請求権について、貸主が返還を受けた時から1年間が経過するまでの間は時効が完成しないとして、貸主に猶予期間を与えました(新法600条2項)。

【改正民法債権編】消費貸借契約

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消費貸借契約

合意だけで契約が成立する諾成的消費貸借を明文化

 

◆諾成的消費貸借を明文化
借主が借りた物をいったん使い切って、貸主に同種類のものを返す契約が消費貸借契約です。典型例として、お金の貸し借り(金銭消費貸借)があります。

消費貸借契約は、目的物の受け渡しがあって初めて契約が成立します(法587条)。しかし、旧法下でも、貸し借りについての合意だけで成立する諾成的消費貸借は有効と解釈され、法律の規定でも、特定融資枠契約に関する法律2条に規定する融資枠契約の法的性質について、諾成的消費貸借であると説明されてきました。

そこで、新法では、書面でする消費貸借契約については、契約の成立要件として目的物の交付を不要とし、諾成的消費貸借を明文化しました(新法587条の2)。

 

◆書面でする消費貸借
書面でする消費貸借は、物の受け渡しを要件としていません。そこで、受け渡し前に消費貸借をやめようと思った場合の規定が整備され、借主についてのみ、受け渡し前に解除権が認められることとなりました(新法587条の2第2項前段)。

解除に伴い貸主が損害を受けたときは、貸主は借主に対して損害賠償請求ができることも規定されました(同2項後段)。
電磁的記録によってされたときも、書面によってされたものとみなす規定が置かれたので、広く諾成的消費貸借が認められることとなりました(同4項)。

 

◆利息に関する規定の整備
旧法下では、民法上、消費貸借に利息に関する規定はなく、無利息が原則と解釈される一方、取引実態としては、金銭融資をはじめとして消費貸借の大部分が利息付きでした。
そこで、新法では利息に関する規定を設けて、無利息を原則としつつ、利息の発生原因として当事者の合意による特約が必要であることが明文化されました(新法589条1項)。

 

◆返還時期
消費貸借の目的物について、返還時期の定めがなかったときは、貸主は相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(法591条1項)。

借主は、いつでも返還することができるとされてきましたが(旧法591条2項)、新法では「返還の時期の定めの有無にかかわらず」いつでも返還できると明示的に規定されました(新法591条2項)。

また、返還時期を定めた場合に、貸主は、借主が定めた時期の前に返還したことによって損害を受けたときは、借主に損害賠償請求ができることも規定されました(新法591条3項)。

 

◆準消費貸借の原因
準消費貸借とは、たとえば、代金支払債務を借入れに切り替えることなどを指します。
旧法588条では、当初から借主の側が負っている義務について、「消費貸借によらないで」と消費貸借を明文では除外していました。しかし、解釈上、当初の義務が消費貸借であっても、準消費貸借の目的とすることが許されてきました。
そこで、解釈で認められていた消費貸借上の債務をもとの債務とする準消費貸借を、明文で認めることとしました(新法588条)。

【改正民法債権編】贈与契約

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贈与契約

他人物贈与の有効性を明文化、贈与者の引渡義務等を規定

 

◆贈与の対象になる財産
贈与の対象になる財産について、旧法では「自己の財産」と規定され、贈与者の財産に限るという規定になっていました。

しかし、旧法下においても、贈与契約の時点で自分の物ではなく第三者の物であったとしても、当事者が合意すれば贈与契約が成立すると解釈されてきました。これを「他人物贈与」(他人の財産を目的とする贈与契約)といいます。

そこで、新法では、贈与の対象となる財産の解釈を明文化して、他人物贈与も有効であることを明らかにするため、贈与の対象について「ある財産」と規定しました。
なお、贈与に関する次の規定については、従来の規定がそのまま維持されています。
・定期の給付を目的とする定期贈与が贈与者または受贈者の死亡によって効力を失うという条項(法552条)
・負担付贈与(たとえば、借入れがまだ残っているローン付きで、不動産を贈与する場合)について原則として双務契約の規定が準用されるという条項(法553条)
・贈与者の死亡によって効力を生ずる死因贈与は性質に反しない限り遺贈の規定が準用されるという条項(法554条)

 

◆書面によらない贈与の解除
書面によらない贈与は、贈与について履行の終わった部分を除いて、各当事者が解除することができます(新法550条)。

新法では「解除」となっている規定が、旧法では「撤回」となっていました。撤回とは、民法上、通常は意思表示の効力を消滅させる意味で用いられてきました。
本規定については、旧法時代から他の契約類型では解除と規定されるべき法的効果と解釈されていたため、改正に際して「解除」と規定し直したものです。これは旧法550条と同趣旨の規定であり、改正によって法的効果に変更があるものではありません。

 

◆贈与者の引渡義務等
新法551条1項は、贈与者の引渡義務等について、「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。」と規定しました。

新法では、特定物(「この絵画」といったように特定された物)は贈与契約時の状態、種類物(「ボールペン10本」のように特定のない物)は特定した時の状態の品質で引き渡すこととされています。推定規定(みなし規定とは異なり反証が認められる規定)なので、反証がない限り、それぞれの段階の品質で引き渡します。これと異なる合意があったと主張する側がその合意を証明できて初めて、合意をベースにした主張ができます。

なお、負担付贈与について、売買における担保責任の規定を準用する規定(法552条1項)は、旧法と同じ内容で維持されています。

【改正民法債権編】賃貸借契約の終了等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借契約の終了等について考えてみたいと思います。

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賃貸借契約の終了等

賃貸借の終了等につき、主として従来の考え方を明文化

 

◆賃借物の一部消滅等による賃料の減額等
賃借物の一部滅失等について、従来は賃借人に過失がない場合、賃借人からの賃料減額請求を待って初めて減額されましたが、新法では、賃借人に帰責事由がない限り、当然に減額されることになりました(新法611条1項)。

また、従来は一部滅失の場合、賃借人に過失がない場合のみ解除を認めていましたが、新法では、一部使用・収益ができない場合で、かつ、賃借人に帰責事由があっても解除を認めました(同2項)。

問題は、一部滅失の場合だけでなく、「その他の事由」により、一部の使用・収益ができなくなった場合にも減額や解除が認められている点です。
たとえば、災害により一時的に使用ができなくなった場合、賃料の減額や解除が認められるか今後争いが出てくる可能性があります。

減額は、「使用・収益をすることができなくなった部分の割合」に応じて認められます。たとえば、2LDKのマンションのキッチンだけが雨漏りで使えなくなった場合、家族で生活していて自炊する賃借人であれば使用に著しい影響が生じるでしょうし、1人暮らしで自炊をまったくしない賃借人であればほとんど生活に影響がないかもしれません。こういった賃借人の個別事情も加味して割合を算定するのか、それとも面積の割合で算定するのかなどを、契約書であらかじめ定めておくことが必要になると考えられます。

 

◆賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
賃借物の全部滅失等について、従来は明文の定めはありませんでしたが、新法は、賃借物の全部滅失等の場合、賃貸借契約は当然に終了するとする判例法理を明記しています(新法612条の2)。当然に終了するため、賃借人は解除の意思表示をする必要はないことになります。

 

◆賃借人の原状回復義務
新法では、「通常の使用・収益によって生じた賃借物の損耗ならびに賃借物の経年変化(いわゆる通常損耗)」については、賃貸人が負担するものとし、それ以外の「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷」でかつ、賃借人に帰責事由が認められるものに限り、賃借人が原状回復義務を負うことを明記しました(新法621条)。

賃貸住宅については原状回復等の範囲に関してトラブルが多く、国土交通省は、平成5年に「賃貸住宅標準契約書」を、平成10年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定し、その後も判例などを踏まえて改定してきました。新法は、これらガイドラインや判例法理を明確化したものであり、不動産実務への影響はそれほどないと考えられます。

 

◆敷金
従来、敷金については不動産賃貸借の実務上、当然のように授受がされていましたが、その定義や法律関係を定める規定はありませんでした。
新法では、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」ことが明記されました(新法622条の2第1項)。

また、賃借人に敷金返還請求権が発生するのは、①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき(同項1号)と、②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき(同項2号)であることを明記しました。さらに、目的物の明渡し時までに発生した未払いの賃料や原状回復費などの敷金への充当は賃貸人の権利であり、賃借人が賃貸人に求めることはできないことが明記されました(同条2項)。

敷金か否かはその実質で判断されるので、保証金等の名目で金銭の授受があっても敷金と認定される可能性があります。たとえば、賃貸物件を購入した新所有者が賃貸人たる地位の移転を受けた場合、敷金返還債務も承継することになりますが、旧賃貸人が賃借人から受領していた金銭が保証金等の名目であったことから、敷金返還債務を承継しないと考えていたとしても、これを承継するリスクが生じることになります。
そのため、保証金等を敷金と区別するため、その内容をきちんと定めておく必要があります。

【改正民法債権編】賃貸人たる地位の移転等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸人たる地位の移転等について考えてみたいと思います。

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賃貸人たる地位の移転等

地位の移転等に関して、主に従来のルールを明文化

 

◆不動産の賃貸人たる地位の移転
不動産賃貸借に対抗要件が備わっている場合、賃借人の承諾がなくても、不動産の新所有者に賃貸人たる地位が移転します(新法605条の2第1項)。

たとえば、アパートやマンションの引渡しを受けている賃借人は、借地借家法31条の対抗要件を備えているので、オーナーが変わっても、当然に新しいオーナーとの間で従来と同じ賃貸借が存続することになります。
もっとも、不動産の売買当事者が賃貸人たる地位を旧所有者に留保し、当該不動産を新所有者が旧所有者に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は移転しません。

なぜ、このようなことをするのか疑問に思われるかもしれませんが、たとえば、賃貸による収益を目的とした商業用不動産を所有する事業者が、投資家に当該不動産の所有権を譲渡しつつ、当該投資家からマスターリース(一括の賃貸借)を受け、そのままサブリース(転貸借)によって不動産の管理を継続するような場合が想定されます。

ただし、この場合であっても、新旧所有者間(その承継人を含みます)との間で賃貸借契約が終了したときは、旧所有者に留保されていた賃貸人たる地位は、新所有者またはその承継人に移転します(同2項後段)。

賃貸人たる地位の移転が生じたことを新所有者が賃借人に対抗するには、所有権移転登記をする必要があります(同3項)。ただし、新所有者が所有権移転登記をしていなくても、賃借人のほうから新所有者を賃貸人と認めて賃料等を支払うことは認められます。

賃貸人たる地位の移転が生じたときは、費用償還債務(法608条)及び敷金返還債務(新法622条の2)を新所有者またはその承継人が承継することになります(新法605条の2第4項)。
特に敷金の承継については、敷金が差し入れられていることについて新所有者の認識の有無は問われません。また、不動産の譲渡にあたって新所有者が旧所有者から敷金相当額の補償を受けていたかも問われません。

これら不動産の賃貸人たる地位の移転に関する規律は、基本的には従来の判例法理を明記したものであり、不動産実務に影響はありません。
もっとも、賃貸人たる地位の留保については、新旧所有者の間で留保の合意があっただけでは、賃貸人たる地位の移転が生じない特段の事情には該当しないとする判例があったため、このような合意をしても賃貸人たる地位の移転が生じてしまうリスクがありました。そのため、実務では、すべての賃借人から、賃貸人の地位の留保の合意について承諾を受けるなどしていました。改正により、こうした不都合の開扉が期待されます。

 

◆合意による不動産の賃貸人たる地位の移転

借地借家法や農地法により対抗要件を備えることができない場合、実務上、不動産賃貸借の登記をすることは通常ないため、新法605条の2第1項を適用することができません。このような場合であっても、新旧所有者が合意すれば、賃借人の承諾がなくても、賃貸人たる地位を新所有者に移転させることができること等が定められました(新法605条の3)。
たとえば、駐車場の賃貸借などが想定されます。

 

◆転貸の効果
賃借人が目的物をさらに賃貸することを転貸といいます。従来、転借人が賃貸人に対して直接に義務を負うと定めるのみで、その範囲は解釈に委ねられていました。
新法では、「転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」として、その範囲を明記しました(新法603条1項)。

また、賃貸人と賃借人が賃貸借を合意解除した場合、その当時債務不履行による解除権を有していた場合を除いて、合意解除を転借人に対抗できないことが明記されました(同3項)。たとえば、本当は債務不履行解除ができるものの、円満に解決するために、あえて合意解除をすることも実務ではありますが、賃貸借契約の終了を転借人に対抗できることになります。
これらは従来の判例法理を明確化するものであり、不動産実務に影響するものではないと考えられます。