【成年後見制度に関して】私たちにもできることがある!「高齢者虐待を発見した場合どうするか?」1

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「私たちにもできることがある!「高齢者虐待を発見した場合どうするか?」について考えてみましょう。

【Q】高齢者の虐待を発見した者には、通報する義務があると聞きました。それは本当でしょうか?本当だとすると何が虐待にあたるのかを知っておきたいと思いますが、具体的にはどんな行為が虐待なのでしょうか?

そして通報すれば市町村はちゃんと対応してくれるのでしょうか?

また、通報したことによって不利益を受けるようなことはないでしょうか?

【A】◆ケアマネージャーが発見した虐待事例

最近、児童虐待と並んで高齢者虐待という言葉がよく聞かれるようになりました。本来、高齢者が虐待されるなどといった事態はあってはならないことですが、実際には、家庭内や施設内で、暴力を振るわれたり、食事を十分に与えられなかったり、挙句の果てには、本人の財産を同居の家族が勝手に費消してしまうといったことが、しばしば見受けられます。

例えば、B市に住む重度認知症のAさん(女性80歳)は、夫を亡くした後、一人息子(50歳)とその妻と同居していましたが、息子夫婦は、自分たちの借金返済のために、母親の年金とアパート収入を勝手に使っていました。そればかりか、自分たちの生活費を捻出するために、母親には必要な介護サービスを利用させず、時折暴力を振るったりもしていました。食事も十分に与えておらず、このため母親は栄養失調状態になっていました。

このケースでは、ケアマネージャーが、母親の身体にできたあざの様子等から虐待を発見し、B市に通報しました。

◆通報を受けた市町村の対応

B市では、事実を確認後、緊急に保護が必要と判断し、母親を老人ホームに入所させました。そしてその後、市長が、母親のために成年後見の申立てを家庭裁判所に行いました。

このようにして、母親は息子夫婦の虐待から保護され、家庭裁判所が選任した成年後見人によって自分の財産を保全され、さらに成年後見人が改めて老人ホームとの間で本人に代わって入所契約を締結することにより、適切な身上監護も受けられるようになりました。

◆通報義務は国民の義務!

心身の能力が低下した高齢者は虐待を受けても、それを虐待とは認識していなかったり、認識していても、救済を求める事ができないでいる場合が少なくありません。

また、家の中の恥は外にさらせないという意識が強く、なかなか高齢の方の虐待は表に出てきませんでした。

そのため、高齢者虐待は、多くの場合、ケアマネージャーやヘルパーといった人たちによって発見されます。しかし、介護の専門職でない一般の人であっても、身近で高齢者虐待を発見する場合もあるでしょう。そのような時は、すぐに、お住いの市町村(市役所、町村役場、地域包括支援センター等)に虐待の事実を通報してください。これは「国民の義務」と言われるもので、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)に、「養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」と明記されています。

通報義務が国民の義務であることは、まだなかなか知られていませんが、私達が地域で目を光らせることで、虐待の被害に遭っている高齢者の方が保護されるきっかけを作ることができるのです。皆さんが通報することによって、市町村が関係機関と連携・協議して、虐待を受けている高齢者にとって最も適切な保護措置をとってくれます。

この点、もし通報したら虐待した側から仕返しされるのではないかといったご心配もあるかもしれません。ですが、市町村には法律で、通報者の情報に関する守秘義務が課されています。また、養介護施設従事者等による虐待を通報したことを理由として解雇その他の不利益を受けないとされていますので、ご安心ください。

虐待は、早期発見が何よりも重要です。これからの高齢社会では、「私達にもできることがある!」という意識で、社会を支えていきたいものです。

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