【相続・遺言について】遺言による認知・保険金受取人変更の可否

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言による認知・保険金受取人変更の可否について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①私には妻と子供がいます。家族には隠してきたことですが、実は、私は妻以外の女性と交際していた時期があり、その女性との間に子供を授かっています。これまでその子には苦労をかけてきましたので、私が死亡する際には、認知をし、その子にも私の財産を分けてやりたいと考えています。遺言によって認知はできますか?
②私は、生命保険に入っており、加入時は生命保険の受取人を長男と指定していましたが、現在は、私や妻の面倒をよく見てくれる次男に、生命保険金を受け取ってほしいと思っています。遺言によって生命保険金の受取人を変更することはできますか?

 

【A】◆1.遺言による認知
遺言によって認知をすることはできます。
あなたが、奥さん以外の女性との間のお子さんに財産を残すことだけを希望されるのであれば、遺言でそのお子さんに財産を遺贈することを書いておけば足ります。
しかし、あなたがそのお子さんを法律上もあなたのお子さんにしたいと希望されるのであれば、認知という手続きが必要です。
あなたと奥さん以外の女性との間のお子さんは、そのままですと法律上はあなたのお子さんではありません。認知をすることではじめて法律上もあなたの子供(非嫡出子)になります。

認知の方法は、戸籍法の定めに従って届出することとされていますが、遺言によってもすることができます。ただし、遺言を書く上で注意点があります。
まず、お子さんの母親が誰であるのか、氏名や生年月日を明らかにします。
次に、認知したいお子さんの住所・氏名・生年月日・本籍・戸籍筆頭者も明らかにする必要があります。これらの記載がないと、お子さんの戸籍への記載の手続きができず、認知ができない恐れがあります。
これらを明記した上で、「私の子供として認知する。」と書きます。

また、遺言の中で、遺言を実行する人(遺言執行者)を指定します。なぜなら、役場への届出など実際の認知の手続きは、あなたの死後遺言執行者が行うことになるからです。遺言執行者が指定されていない場合、あなたの死後、妻や子供などあなたの相続人や利害関係人が、家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めなければなりません。
この手続きが円滑に行われず、遺言の実行がうまく進まないケースが散見されますので、ご注意ください。

さらに、遺言で認知するだけですと、認知されたお子さんは、あなたの妻や子供を相手にだれがどの財産をもらうかという、遺産分割協議をしなければなりません。そのような遺産分割協議を行うのは、認知されたお子さんには精神的に大きな負担となるので、遺言には遺産分割協議をしなくてもよいように、具体的にどの財産を誰に相続させるかまで、書いておくことが大切です。
◆2.遺言による生命保険金受取人の変更
平成22年4月に保険法が施行され、遺言によって受取人を変更することが法律で認められました。ただし、できれば今のうちに受取人を次男さんに変更しておくことをおすすめします。
遺言で受取人を変更する場合、まず、対象となる生命保険を明らかにする必要があります。保険会社名、証書番号、現在の受取人、変更後の受取人等を明記します。その上ではっきりと「受取人を変更する。」と書いてください。「保険金を受け取らせる」などとあいまいな表現は禁物です。受取人を変更する意味に解釈されない場合があります。

ところで、遺言で受取人を変更する場合、注意しなければいけないことがあります。
それは、保険法が、相続人が保険会社に対して遺言により受取人が変更されたことを通知しない限り、受取人の変更の効果が発生しないと定めていることです。
つまりあなたの死後、次男が保険会社に遺言の存在を知らせる前に、保険会社が長男に生命保険金を支払った場合には、次男は保険金を受け取ることができなくなります。
このような問題がありますので、できれば遺言ではなく、今のうちに受取人変更の手続きをすることをおすすめします。
あくまで遺言で受取人を変更することを希望されるのであれば、あらかじめ、次男さんに遺言の内容を伝え、あなたの死後直ちに保険会社に連絡するよう依頼しておいてください。

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