世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約の注意点 任意後見監督人の職務内容を制約できるかについて考えてみたいと思います。
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【1】任意後見監督人の職務の制約はできない
任意後見監督人の最も重要な仕事は「任意後見人の事務を監督すること」(任意後見契約法7条1項)です。任意後見人の事務の監督とは、本人(委任者)から任された任意後見人(受任者)の事務が間違いなく行われているか、本人から与えられた代理権が適正に行使されているかを確認・チェックすることであり、任意後見人の事務に関し定期的に家庭裁判所に報告することです(同条1項2号)。
任意後見契約で定められた任意後見人に任された事務及び与えられた代理権の行使すべてが任意後見監督人の調査・監督の対象です。例えば、任意後見契約の条項中に、「不動産の処分については、任意後見監督人の監督は及ばないものとする。」という内容の契約を結んだとすると、これは有効な契約と言えるでしょうか。
このような内容の契約はおそらく公証役場での契約書作成段階で公証人から指摘を受け条項中に盛り込まれることはないと思いますが、仮に契約書として作られたとしても、そこの部分については無効と解されるでしょう。
任意後見契約が委任契約に基づくもので契約自由の原則といっても、強行規定である任意後見契約法によって、そこは当然に制限を受けることになり、同法7条1項1号の「任意後見人の事務を監督する」ことに関し、本人及び任意後見人が事務の範囲などに何らかの制限を加えることは認められないことになります。
【2】任意後見監督人の職務は増やせる
任意後見契約法における任意後見監督人の職務については、「任意後見人の事務を監督する。」と定めてあるだけで、具体的な事務については明らかではありません。しかし、任意後見監督人の置かれた意味は、もはや自分では監督できなくなった本人(委任者)に代わって任意後見人を監督し、任意後見人の事務の適正を確保するものであることから、この制度の趣旨に合致する任意後見監督人の行為(職務)であるならば認められるべきであると考えられます。
例えば、法定後見では、民法864条で後見人が不動産その他重要な財産に関して権利を取得したり、失ったりすることを目的とする行為をするときは後見監督人にその同意を得なければならないことになっています。
ところが任意後見契約法にはそのような規定がないので、任意後見契約の中でその条項中に任意後見人の代理権を行使するにあたり、事前に任意後見監督人の同意を必要とすることを入れることは認められるものと考えます。現に、本人(委任者)が所有する不動産を任意後見人が委任事務として処分するときは、任意後見監督人の同意を要することなどは、公証実務においてもしばしば行われていることです。
なお、代理権の全部又は一部について任意後見人が代理権を行使する際、その行為について、本人又は第三者の同意(承認)を要する旨の特約を付した場合は、「同意(承認)を要する旨の特約目録」を登記嘱託書に添付する必要があります。