世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約の登記 任意後見契約の終了の登記1について考えてみたいと思います。
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【1】任意後見契約の終了原因
任意後見契約が終了する原因としては、①任意後見契約の解除、②任意後見人の解任、③本人又は任意後見人(受任者)の死亡などがありますが、任意後見契約が終了したときは、任意後見契約の本人、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人は、終了の登記を申請しなければなりません(後見登記法8条2項)。
ただし、家庭裁判所の書記官によって嘱託登記がされる場合は申請をする必要がありません。例えば、任意後見人が解任され、解任の審判が確定した場合は、家庭裁判所の書記官からの嘱託により、任意後見契約の終了の登記がされます。
【2】終了登記の必要性
任意後見契約が終了するのは、①任意後見監督人の選任前(任意後見契約の効力発生前)に終了する場合と、②任意後見監督人の選任後(任意後見契約の効力発生後)に終了する場合とがありますが、いずれの場合にも、終了の登記をしておく必要があります。
(1)任意後見監督人の選任後(任意後見契約の効力発生後)の終了の登記の必要性
任意後見監督人が選任された後(任意後見契約の効力が生じた後)に任意後見契約が解除などにより終了したにもかかわらず、任意後見契約の終了の登記をしないで、そのまま放置しておくと、事情を知らない者に代理権が消滅したことを主張することができません(善意の第三者に対抗することができません)。
したがって、取引の相手方が善意であれば(事情を知らなければ)、本人は、任意後見人であった者が代理する権限なしで行った取引の効果について責任を負わなければならないことになり、本人に不利益が生ずる可能性があります。
そのような不利益を避けるためにも、任意後見監督人が選任された後に任意後見契約が解除などにより終了した場合には、必ず終了の登記をしておく必要があります。
(2)任意後見監督人の選任前(任意後見契約の効力の発生前)の終了の登記の必要性
任意後見監督人を選任する前に解除などにより任意後見契約が終了した場合(つまり、将来認知症等により判断能力が低下したら任意後見を始めてもらう旨を約束したのに、その時期が来る前に契約が解消(撤回)されてしまう場合)には、まだ任意後見人の代理権は効力を生じていませんから、取引上、特に問題は生じませんが、本人や任意後見受任者は終了の登記を申請しなければならないことになっています(後見登記法8条2項)。
また、任意後見契約を締結した際に、公証人からの嘱託によって「任意後見」契約の登記がされていますから、将来、本人の判断能力が不十分になり「法定後見」の開始の審判申立てをしたときに古い任意後見契約の登記が放置されていますと、すでに終了した任意後見契約がいまだに存続していると家庭裁判所が誤信して法定後見の開始の必要性を審判する(任意後見契約法10条1項)おそれがありますから、そのような弊害を避けるためにも、速やかに終了の登記をしておく必要があります。
(3)契約を解除した場合、任意後見契約終了の登記申請手続きをする義務がある(後見登記法8条2項)ことについては、任意後見契約締結時においても、公証人から本人と任意後見受任者の双方に説明がなされているはずですが、契約時においては解除は将来のしかも通常は想定外の事実ですから、終了登記の必要性が十分に周知されているかは疑問のあるところです。