【終活・遺言・相続相談】相談例59 相続税申告

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例59 相続税申告についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

【相談内容】
相談者(64歳男性)から、「3ヶ月前に父(89歳)が他界したが、少し調べたところ、2億円を超える遺産がある。今から、妹(58歳)と遺産分割の話をするが、相続税はどうすればいいのだろうか。また、税理士はどうやって選べばよいのか」と相談された。

【検討すべき点】
相続税の申告は税理士に任せるべきですが、遺産分割の相談でも相続税の話は避けて通れません。相続税申告の基本的な事項を理解し、申告期限、未分割申告の効果、税理士への依頼方法なども押さえてください。

【1】相続税申告

① 相続税は、相続開始後10か月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署長に対して申告・納付します。よほど自信がない限り、相続税申告は税理士に任せるべきです。
② 相続税の申告をしないでいると、数か月後に、税務署から「無申告理由のお尋ね」が送られてくることがあります。これを無視した結果、調査され、申告漏れを発見されると期限後申告・決定となり、延滞税や加算税が課されます。
③ 遺言がなく、遺産分割協議もまとまらないまま相続税の申告期限を迎えてしまった場合は、課税相続財産を法定相続分に応じて相続したものと仮定して相続税を申告・納付します(未分割申告)。未分割申告では、その時点では配偶者税額軽減や小規模宅地の特例の適用を受けられませんが、3年以内に遺産分割協議を成立させれば適用を受けられます。もっとも、逆に遺産分割が成立した場合でも、相続税申告(ゼロ申告)をしないでいると、これらの特例の適用を受けられません。

【2】準確定申告

① 相続税申告と一緒に語られることの多いものに、準確定申告があります。「準確定申告」とは、年の途中で死亡した被相続人の相続人(包括受遺者を含む)が、本来であれば被相続人が行なうべきであった所得税の確定申告を被相続人に代わって行うもので、申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
② たとえば、令和4年2月5日に死亡した被相続人が、令和3年分の確定申告をしていなかった場合には、相続人は、令和4年6月5日までに、被相続人の令和3年(令和3年1月1日から同年12月末日まで)の所得に対する所得税の準確定申告と、令和4年の所得(令和4年1月1日から同年2月5日まで)に対する所得税の準確定申告をすることになります。
③ なお、準確定申告をすることにより、被相続人が納めていた予定納税や、給与所得や雑所得における源泉徴収分の所得税が還付されることがあります(還付金は相続財産となります)。
④ そして、相続開始後、もっとも早くやってくるのが準確定申告の申告納付期限ですから、税理士への依頼や遺産調査の契機にもなります。

【3】相続税の計算

【3-1】相続税の計算方法

① 相続税の計算方法は以下のとおりです。
a.相続財産の総額を計算する(みなし相続財産なども含む)
b.債務、税金、葬儀費用、基礎控除額を控除する(課税相続財産とよぶ)
C.相続人が法定相続分どおりに相続したと仮定して、各相続人の取得財産を計算する
d.相続人ごとに相続税率を乗じて仮の相続税額を算出して合計する(=相続税の総額)
e.遺言や遺産分割などにより実際に分けられた財産(具体的相続分)の割合に応じて、各相続人に相続税の負担額を割り振る(=各人の相続税額)
f.個別の事情により税額の軽減又は控除を行う(配偶者税額軽減、未成年者控除など)

② 注意を要するのは、いったん相続税の総額を算出してから。各相続人の具体的相続分に割り振って各相続人の負担額を算出する点です。

【3-2】課税相続財産

① 課税の対象となる相続財産(課税相続財産)としては、まず。被相続人の不動産、預貯金等の金融資産、自動車や貴金属などの動産、貸付金や交通事故死の場合の損害倍書請求権などの債権が挙げられます。
② 次に、相続以外の原因、すなわち遺贈、死因贈与、みなし相続によって相続人や受遺者が財産を取得する場合も、その財産は課税相続財産に含まれます。
③ 相続税法上の「みなし相続財産」とは、相続等によって取得した財産とは言えないが実質的にこれと同視して課税対象とするもので、具体的には、死亡保険金、死亡退職金が挙げられます。
④ また、相続開始前3年以内の生前贈与は、相続税法上の「みなし相続財産」ではありませんが、相続税の課税財産に算入されます。
⑤ なお、遺産分割で「みなし相続財産」といわれるのは、特別受益・寄与分による具体的相続分の修正要素であり(生前贈与が特別受益に当たるときはこれに該当します)、相続税法上の「みなし相続財産」とは一致しません。

【3-3】課税相続財産の評価方法

① 現金以外の相続財産の評価方法は以下のとおりです。
② 土地の評価は、相続開始年度の「路線価」によります。路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(道路)ごとに付した1㎡あたりの標準金額で、国税庁が7月に公表します。
③ 宅地の価額は、宅地の形状などに応じた各種補正率で補正し、面積をかけて算出します(地価公示法に基づく公示地価の8割程度)。路線価がない地域では固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価します(倍率地域)。
④ 家屋は固定資産税評価額で評価し、預貯金については相続開始時の残高が課税評価額となります。
⑤ 上場株式は、相続開始日、相続開始前3ヶ月の平均額などを参照し、もっとも低い価額で計算します。取引相場のない株式は、会社の大小・株主構成により、同族株主等は、1.類似業種比準方式、2.純資産価額方式、3.両者の併用方式により、非同族株主等は配当還元方式によって計算されることが多いです。

【3-4】相続財産からの控除

① 墓所、霊廟、祭具などは、非課税財産です。この規定を悪用して黄金製の仏壇を作り、非課税にしようとして否認された例は有名です。
② 民法上は相続債務も相続財産ですが(民法896条)、相続税法では、積極財産だけが課税相続財産となり、相続債務は債務控除として処理されます。なお、連帯保証債務はほかに主債務者がいるので確実な債務とはいえず、原則として債務控除の対象とならないことに注意が必要です。

【3-5】基礎控除

① 改正相続税法の施行により、平成27年1月1日の相続から、基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の人数となりました。なお、平成26年末までに相続が開始した場合の基礎控除額は、5000万円+1000万円×法定相続人の人数でしたから、相続税法改正により、相続税が課税される相続案件の数は倍増したと言われています。

【4】税理士の関与

【4-1】税理士による相続税申告

① 相続税は相談者から税理士に依頼していただくのが基本です。しかし、税理士なら誰でも相続税申告に精通しているわけではありません。
② 税理士登録者は全国で約75,000人といわれますが、そのうち税理士国家試験合格者は約45%、免除者(税務署出身者)が約40%、公認会計士とのダブル登録が10%、弁護士が約0.7%です。
③ ただし、税理士国家試験合格者の選択科目は、消費税法、法人税法、相続税法などであり、相続税を選択せずに国家試験に合格される税理士も少なくありません。また、国税庁(国税庁・税務署含む)職員約5万人の内、相続税・贈与税を担当する資産税部門の人員は約4000人しかいないので、税務署OBの税理士が相続税に精通しているとも限りません。
④ 我々行政書士は、相続税をよく取り扱っている税理士と提携し、いつでも税理士の相談し、あるいは依頼者に税理士を紹介できるよう準備しております。

【4-2】税理士による遺言書作成

① 被相続人が税理士に遺言書の作成を頼むケースも少なくありません。特に、被相続人が会社経営していたり、不動産収入があった場合、顧問税理士に法人税や所得税の申告を任せている場合には、毎月顔を合わせている顧問税理士を信頼し、「遺言も頼むよ」となるのは自然な流れです。
② しかし、税理士にとって、遺言書作成は日常業務ではありませんし、相続税申告がない場合の遺言書の作成については、税理士は関与できません(弁護士法・行政書士法)。
③ 一方、相続税申告がある場合の遺言について、顧問先の要望に「できません」とは答えにくいのも事実でしょう。こうして作成された遺言書では、節税については考慮されていますが、遺言の確定性などについて問題があることがあります。

【4-3】税理士による遺産分割

① 会社経営者の相続開始後、その跡を継ぐ相続人が、顧問税理士に遺産分割のとりまとめを任せることがあります。なるほど顧問税理士であれば会社や被相続人の所得税申告を引き受けていたでしょうし、遺産の内容や生前贈与のみならず、相続人の人間関係も掌握されているでしょう。
② ただし、会社の顧問税理士は完全に中立な立場ではなく、後継者たる相続人の意向を忖度しがちです。また、税理士は遺産分割の専門家ではありませんし、顧問税理士自身が高齢になっておられることもあります。
③ そうすると包括条項が抜けていたり、計算が合わなかったりという可能性が生じます。したがって、遺産分割交渉は弁護士が、遺産分割協議書の作成は行政書士が、顧問税理士の意見を伺いながら担当する事が重要です。

【4-4】複数の税理の関与

① 相続人の全員が一人の税理士に相続税申告を依頼すれば、遺産の範囲に関しては、相続人のコンセンサスを形成しやすくなります。
② これに対して、相続人同士の中が険悪な場合など、ある相続人が依頼した税理士は信用できないと、別の税理士に相続税申告を依頼することもあります。この場合、税理士同士の間でトラブルが生じることもあります。
③ 相続人間で遺産の範囲や生前贈与、名義預金などについて合意できなければ、それぞれの税理士は依頼人たる相続人の意向に従わざるを得ないので、その結果、異なる内容の複数の相続税申告書が税務署に提出されることになり、税務署の興味を引くことに繋がります。
④ それぞれの相続人が自分の主張を税務署にすることに繋がり、税務署は税務調査を通じて実態の確認を行い、往々にして税額が上がることに繋がります。したがって、依頼人には一人の税理士に全員が依頼するように助言することになります。