【孤独死をめぐるQ&A】Q5 相続人が行方不明の場合 不在者財産管理人

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【孤独死をめぐるQ&A】Q5 相続人が行方不明の場合 不在者財産管理人ついての記事です。

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【Q5】相続人が行方不明の場合 不在者財産管理人

一人暮らしをしていたおじが亡くなり、私が相続人になります。
相続人調査の結果、私以外にも相続人がいることが分かりましたが、住所を調べても行方が分かりません。相続人の一部が行方不明の場合、どうすればよいですか。

【A】生死不明で7年間経過している場合には、家庭裁判所に失踪宣告を申立てます。特定の外国に住んでいるらしいが住所が分からないという場合には、当該国の総領事館に所在確認をしてみます。それ以外の場合には、不在者財産管理人の選任申立てを行い、不在者財産管理人が行方不明の相続人の代理人となって遺産分割手続きを進めていきます。

【解説】

1遺産分割協議は全ての相続人が参加する必要がある

① 遺産分割協議は一部の相続人だけで行うことはできず、相続人全員で行う必要があります。
② 相続人が行方不明の場合、相続人探し出す、行方不明の相続人を死亡したことにして相続手続から除外する、行方不明の相続人の代理人を立ててその者と遺産分割協議をするなどの方法をとる必要があります。

2孤独死の方の相続の特徴

① 配偶者や子がいる方の孤独死もありますが、やはり多いのは配偶者も子も親もいないという方かと思います。
② そのような場合、兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹が相続人になります。高齢な故人の兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹も高齢です。兄弟姉妹が高齢だと認知症を患っており、既に意思能力がないという問題が生じることもあります。
③ また、高齢者の方は、兄弟姉妹の人数が多いという方も多いかと思います。そして、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、甥・姪が相続人になります。
④ もともと、兄弟姉妹が多いところにその甥・姪まで相続人になるので、相続人が多くなることもあります。相続人の人数が多くなれば、行方不明の方がいることもあるのです。
⑤ 相続人が行方不明ということなどあるのかと思われるかもしれませんが、典型的なのは相続人の一人が海外に行ってしまったというケースです。外国には日本のように住民票という制度がない国もあります。
⑥ 国外に転出した際には最初は住所を伝えていたが、その後、外国内で引越しをしたらしく、郵便物が届かず、どこに住んでいるのか分からないということがままあるものです。

3国外に住んでいる住所不明な相続人がいる場合

① 国外に転出した場合、転出先の国が住民票の除票に記載されます。転出先の国は分かりますが、外国には日本のような住民票がない国があり、国外に転出した方のその後の住所が分からないことがあります。
② また、一度転出した後で、また他の国に引越しをしていた場合、もう住民票では追えなくなります。そのような場合、滞在している外国の日本領事館に所在確認の手続き(外務省が実施する「所在調査」)を依頼することができます。
③ この所在調査は滞在している国が判明している場合のみ利用可能で、不明な場合は調査することができません。所在調査は三親等内の親族のみ利用が可能で、所在調査申込書を記入して依頼します。
④ 本事例でいえば、行方不明者が他のおじ、おばであれば三親等ですので、所在調査を利用できます。しかし、いとこの場合は四親等になるので、所在調査は利用できません。
⑤ アメリカ合衆国限定ですが、居住者データベースサイトも存在し、全員が登録されているわけではありませんが、行方不明者の探索の端緒になる可能性はあります。

4行方不明の方が生死不明の場合

① 行方不明となった相続人が生死不明であり、生死不明になった時から7年間経過している場合、家庭裁判所に「失踪宣告」の申立てをすれば死亡したものとみなされます。
② この場合は、行方不明者以外の相続人で手続きを進めていくことができます。行方不明の者に子がいた場合は、代襲相続して子が相続人となります。
③ なお、生死不明になった時から7年間経過していても、失踪宣告を申立てずに不在者財産管理人選任を申立てることも可能です。

5行方不明の方が生死不明ではない又は生死不明になってから7年間経過していない場合

① 住民票や戸籍の附票を取りよせても所在が確認できず、又は生死不明な状態から7年間は経過していないという場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任申立てを行い、管理人に行方不明者の相続人の代理人となってもらって相続手続きを進めていくことになります。

1)不在者財産管理人とは

① 不在者財産管理人とは、従来の住所又は居所を去り容易に戻る見込みのない者(不在者)の財産を管理する人をいいます。
② 遺産分割において行方不明となっている相続人がいる場合、裁判所に行方不明の相続人の不在者財産管理人を選任してもらい、不在者財産管理人を交えて遺産分割協議を行うことになります。
③ 不在者財産管理人選任の申立ては、不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に対して行います。不在者財産管理人の申立ては、利害関係人(不在者の配偶者、相続人に当たる者、債権者など)と検察官が行なうことができます。
④ 本ケースのように遺産分割の相手方が行方不明という場合には、他の相続人は利害関係人として不在者あ財産管理人選任の申立てができます。

2)不在者財産管理人選任の手続き

① 家庭裁判所は、申立書や所在不明となった事実を裏付ける資料を確認した上で、申立人から事情を聴いたり。不在者の親族に照会したりして、所在不明かを判断します。
② 所在不明であり、不在者財産管理人を選任する必要があると判断した場合、不在者財産管理人選任の審判をします。
③ 不在者財産管理人は、不在者財産管理人選任申立書に申立人が候補者を推薦することは可能です。しかし、申立人が推薦した候補者が必ず選任されるわけではありません。不在者との関係や利害関係の有無などを考慮して、適格性が判断され、場合によっては、弁護士、司法書士などの専門職が選ばれます。

3)不在者財産管理人との遺産分割協議

① 遺産分割協議のために不在者財産管理人を選任してもらうのですが、不在者財産管理人は不在者の財産を管理する権限しかないので、遺産分割協議により財産を取得するには、権限外行為許可を得る必要があります。
② この点、不在者の不利になるような遺産分割協議をすることは許可されませんので、不在者の法定相続分を確保した遺産分割協議を行う必要があります。

4)不在者財産管理人選任申立ての管轄について

① 不在者財産管理人選任の申立ては、原則として不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
② しかし、不在者財産管理人を交えて遺産分割調停を行うことが必要なケースもあります。現に遺産分割協議が遠方の家庭裁判所で行われているような場合、不在者の住所地の家庭裁判所管内で不在者財産管理人が選任されると、遺産分割調停の出席のために遠方の家庭裁判所に出かけるなどして交通費などがかかってしまうこともあります。
③ そのような場合、遺産分割調停が行なわれている家庭裁判所に管轄外申立てをすることを検討しても良いかもしれません。
④ 裁判所によっては、遺産分割調停が係属しているような紛争性が高い案件ついては、申立人が推薦する候補者を選任しない運用をしているところもあるようです。
⑤ そのような場合、不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てても、家庭裁判所から、管轄内での不在者財産管理人選任は不都合なので、遺産分割調停が係属している家庭裁判所に移送申立てをするように促されることもあります。