【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q50 墓地・墓石と税金

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【Q50】我が家には家墓がありませんので、墓を購入しようと思いますが、墓の購入には税金がかかるのでしょうか。また、私が死亡して子供が墓を承継する場合、相続税はかかるのでしょうか。

【POINT】
① 墓の購入と消費税等
➁ 墓の管理と消費税等
③ 墓と相続税

1⃣ 墓の購入と税金
⑴ 墓購入時の税
① 一般的に墓を新規に購入する場合、その寺院に納める墓地代(永代使用料)と石材業者に支払う墓石代および工事費が必要になります。
➁ 墓地代(永代使用料)は消費税等が非課税となり、墓石代および工事費には10%の消費税等が課税となります。
Ⓐ 墓地代(永代使用料)
① 「永代使用料」は、一般的に、永代にわたりその墓地を使用する権利の代金のこととされています。墓地として土地を購入するのではなく、あくまで使用する権利の代金です。
➁ つまり寺院からみれば、永代使用料を受領して行う墳墓地の貸付けということになります。消費税法上は「土地の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の一定の場合を除く)」を非課税取引と規定します。
③ それゆえ墓地代(永代使用料)は原則として、消費税法において非課税とされるのです。

Ⓑ 墓石代および工事費
① 墓石代および工事費は、消費税の非課税取引として規定されていません。
➁またこの墓石代および工事費は、国内において事業者が行なった資産の譲渡等に該当するため課税対象外(不課税)取引にも該当せず、課税対象取引として消費税の課税対象となります。

⑵墓の管理と税
① 墓地代(永代使用料)と墓石代および工事費は、墓の購入時にのみかかる費用です。しかし、その後、墓の「管理費」を継続して支払うことが求められます。
➁ この「墓地、霊園の管理料」は、非課税取引、課税対象外(不課税)取引のいずれにも該当しません。したがって消費税が課されることになります。

2⃣ 墓の承継と税
⑴ 墓と相続税
① 墓を承継すると税金はかかるのでしょうか。相続税法は非課税財産として、「墓所、霊びよう及び祭具ならびにこれらに準ずるもの」と規定します。ですから墓を相続しても相続税はかかりません。
➁ これは墓が「祭祀財産」とみなされるためです。「祭祀財産」とは、一般的に神や祖先をお祀りするためのものをいい、民法では具体的に系譜、祭具および墳墓を挙げ、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が継承する」と規定します。
③ つまり、これらを一般財産とは切り離し、別個に承継されるべき旨を規定するのです。相続税法は、「墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を相続税の非課税財産としているのです。
④ 系譜とは一体何でしょうか。一般的に系譜とは、血縁関係、系統関係のつながりをいい、これを図式的に記したもので家系図などがこれにあたります。
⑤ 祭具とは、祭祀に用いられる道具のことです。墳墓は、遺体や遺骨などを埋めて供養する墓所のことといわれます。墓石のほか、その敷地となる墓地もこれに含まれます。
⑥ 相続税法では、「これらに準ずるもの」とは、「庭内神し、神棚、神体、神具、仏壇、位牌、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているもの」がこれに該当するものとして扱われています。
⑦ 「墓所、霊びよう」についても「墓地、墓石およびおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件を含むもの」として取り扱いを定めています。
⑧ ただし、「これらに準ずるもの」、すなわち、庭内神し、神棚、神体、神具、仏壇、位牌、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものであっても、商品、骨とう品または投資の対象として所有するものはこれに含まれず、相続税の課税対象となる場合があるので、注意が必要です。

⑵ 墓の購入費用に係る借入金
① 相続税法は、相続税額の計算にあたり、「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む)」を債務控除として、控除することを認めています。
② では、生前に墓を金融機関からの借入金により取得し、相続開始の時点でこの借入金に残高がある場合、この借入金残高は債務控除として控除できるのでしょうか。
③ 墓は相続税の非課税財産でした。このような生前に被相続人が購入した墓の借入金などといった相続税の非課税財産に関する債務は、相続税の計算上、債務として差し引くことができません。
④ 債務控除の規定では、「被相続人に係る葬式費用」も控除の対象としています。しかし、葬式費用には、墓碑および墓地の買入費並びに墓地の借入料は含まれません。