【孤独死をめぐるQ&A】Q47 納骨堂の事前購入の注意点

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q47 納骨堂の事前購入の注意点についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q47】私には子もおらず、亡くなったとしても墓を継ぐ人はいません。かといってきちんと供養はしてもらいたいので、納骨堂を事前に購入しておこうと思っています。
納骨堂の事前購入に当たって何か気を付ける点はありますでしょうか。また、事前購入した後、不要になった場合にはキャンセルできるものでしょうか。

【A】機械搬送式納骨堂は、運営維持コストがかかります。納骨堂の運営主体が安心かどうかについて、より一層厳しく確認する必要があります。
購入をする際には、キャンセルを禁止する内容の契約になっているかの確認が必要です。禁止する規定がないのであれば、キャンセルは認められるのが通常です。
キャンセルできない、キャンセルしても一切お金が帰ってこないという内容の規定の場合がありますが、そのような規定は消費者契約法上無効の可能性もあります。

【解説】

1 納骨堂の事前購入
① 自身が亡くなった後に遺骨を納骨するために、生前に納骨堂を購入しておくという方もいます。
② 納骨堂の購入の場合、葬儀や遺品整理の事前予約と異なり、事前に納骨堂の区画を購入し、その購入代金を全て支払うという契約が一般的です。
③ 葬儀や遺品整理の生前予約は、事前予約からサービス提供までの期間が長いといっても、生前予約から生前予約者が亡くなるまでの期間です。
④ これに対して、納骨堂は、購入者が亡くなった後もお付き合いをすることになります。また、最近主流の機械搬送式の納骨堂は、維持コストや修繕コストもかかります。
⑤ そのため、葬儀や遺品整理の生前予約よりも、より一層安定した運営主体を選択する必要があります。

2 納骨堂購入後のキャンセル
① 納骨堂を購入した後、実際に自分が亡くなり、遺骨を納骨するまでの間には期間が空きます。その間に納骨堂を必要とする事情がなくなってしまった場合、解約はできるのでしょうか。
② この点、納骨堂の使用関係について特に細則や利用規約が定められていない事例ですが、契約後、死亡前に永代供養、納骨壇使用契約を解除し、事前に支払った永代供養料、納骨壇申込金の返還を求めて争われた訴訟があります。
③ 同判決は、永代供養契約は供養という事実行為の準委任契約であり、別段の合意がない限り、民法656条、651条1項の規定により、各当事者は本件永代供養契約をいつでも解除することができるとしました。
④ そして、「被供養者の死亡によって初めて委任事務が開始されるものとされていることが認められるから、永代供養契約が被供養者の死亡前に解除された本件では、いまだ被告の負担する債務の既履行部分はない」とし、契約解除に伴う原状回復義務として永代供養全額の返還義務を認めています。
⑤ また、納骨壇使用契約については、納骨壇使用契約は建物賃貸借契約の性質を中心としつつ、準委任契約の性質を併せ有する混合契約であり、使用者は、いつでも本件納骨壇使用契約の解約の申入れをすることがでい、解約申入れの日から3ヵ月経過後(民法617条1項2号)に同契約は終了するとしました。
⑥ そして、納骨壇使用契約を解除した場合、納骨壇申込金の扱いについて、「納骨壇使用契約の締結から上記解約まで、5年7カ月~7年7カ月程度の期間が経過しており、その間はいずれの納骨壇においても実際に遺骨は収蔵されていないものの、被告において、原告のために各納骨壇を割り当て、碑銘を入れた金属プレートを納骨壇の扉に取り付ける等して、原告らによる使用に委ねていたのであり…、これに見合う対価相当部分は返還義務の対象とならない」としながらも、現実に遺骨を収蔵するという納骨壇としての本来的な意味での使用はいまだ開始していないこと、半永久的とされる期間を合理的に画して仮に100年だとしても、経過期間は5~7%にすぎないことなどを理由に納骨壇申込金の1割に相当する金額を控除してこれを返還させるのが相当という判断をしました。
⑦ この裁判例の判断によれば、規約がない場合、納骨堂を購入しても実際に遺骨が収蔵されるまでキャンセルは可能と言えます。

3 納入された費用は返還しないという条項について
① 納骨堂の使用契約も、事業者と消費者との契約ですから、消費者契約法が適用される可能性があります。適用される場合、消費者契約法9条1号により、事業者と消費者との契約において、違約金が解除の事由、時期等の区分に応じ、当該事業者に生ずべき平均的な損害を超える額を超える場合、超える部分は無効となります。
② この点について、適格消費者団体である公益社団法人全国消費生活相談員協会では、納骨堂を購入する契約において、既に納入した使用権料及び管理費の返還は請求することができないという使用規定について差止めを申入れ、その結果、当該条項が修正されたという事例を公表しています。
③ 納骨堂の使用契約については、「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日生衛発1764号)において、埋蔵管理委託型標準契約約款が公表されています。 
④ この埋蔵管理委託型標準契約約款8条は、使用者からの解除について定めています。同条の解説の中で、「墓石の設置も焼骨の埋蔵もしていない、つまり実質的に何ら墓地を使用していない場合においてまで高額な負担を全額負わせることは妥当ではないと考えられる」との指摘はされております。

4 キャンセルできるとしても契約は慎重に
① このように納骨堂を事前購入し、その後、キャンセルをしようとする場合、訴訟で争えばキャンセルが認められ、一定程度の申込金が戻ってくる可能性は高いと思われます。
② しかし、納骨堂の運営主体にとっては、事前購入し実際に遺骨が収蔵されるまでは比較的自由にキャンセルができ、かなりの金額を返金することとなると、購入者は、亡くなるまでの間に新たな納骨堂ができてしまうと、キャンセルをしてそちらを購入するということが容易になってしまいます。そのため、キャンセルや返金については争いになることが予想されます。
③ また、上記裁判例や適格消費者団体の指摘を受けて、もし、納骨堂契約が解約されても可能な限り返金する金額が少なくなるよう工夫している例もあります。
④ 購入後に返金をめぐってトラブルになることを避けるためにも、納骨堂の購入は慎重に吟味して決定した方がよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q46 葬儀等の生前予約の注意点

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q46 葬儀等の生前予約の注意点についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q46】亡くなった後に親族に迷惑をかけないように、葬儀や遺品整理などについて生前予約をしておこうかと思います。
生前予約に当たって何か気を付ける点はありますでしょうか。

【A】内容が明確になっているかを確認してください。また、実際に費用まで前払いしてしまうときには、その業者の経営が安心か、生前契約の内容、特に契約の見直し、死亡時の連絡、契約の終了などが適切な内容になっているかなどを確認してください。

【解説】

1 生前予約とは
① 葬儀社や遺品整理業者の中には、亡くなった後に備えて、葬儀や遺品整理について生前に契約を締結しておく、生前予約サービスを提供している業者がいます。
② このような生前予約をしておけば、葬儀や遺品整理がいくらくらいかかるかが分かるし、基本的には自身の希望通りの葬儀や遺品整理をしてもらえます。
③ 葬儀は、亡くなった後すぐに手配をしなければならず、検討や準備のための時間があまりありません。そのため、思っていたのと費用や内容が異なり、葬儀社とトラブルになるということもまま生じてしまいます。
④ 国民生活センターが発表している「大切な葬儀で料金トラブル発生!後悔しない葬儀にするために知っておきたいこと」においても、後悔しない葬儀にするために知っておきたいこととして、「事前に相談できる葬儀社を見つけてみましょう。もしもの時に慌てないように、事前に相談をしてみましょう。」
⑤ 「あらかじめご遺体の搬送や葬儀の依頼をする葬儀社を決めておくと安心です。葬儀社を決めていれば、もしもの時に落ち着いて準備をすることができます。」と挙げています。葬儀の事前相談は、国民生活センターもお勧めしています。

2 内容の明確化
① 生前予約をする場合、その内容や金額が明確でないと、結局は後々トラブルの火種が残ってしまいます。
② そのため、しっかりと希望している内容を伝え、費用を見積もってもらうことが重要です。ただ、生前予約の場合、予約をした人がいつ亡くなるか分からず、実際に葬儀や遺品整理などのサービスが提供される時期が生前予約のために見積もった時期からずいぶんと期間が空くということも想定し得ます。
③ その間に物価が急激に変動してしまえば、当時の料金ではサービスの提供ができなくなってしまうという可能性もあります。
④ そのような場合に備えて、生前予約するときには、例えば、長生きをしたらどの程度、料金が変動する可能性があるのかの目安など聞いておいた方がよいでしょう。

3 契約の見直し
① 葬儀や遺品整理の生前予約の場合、いつ亡くなるのかが分からず、生前予約からサービスの提供までに長い期間が空く可能性があるという特殊な事情があります。
② その間に、もともと生前予約を必要としていた理由がなくなることもあり得ます。例えばですが、生前予約した時点では親族と仲違いをしていて親族に依頼ができなかったが、亡くなるまでの間に仲直りをして必要性がなくなるということもあり得ます。
③ そのような場合、生前予約の内容を変更したり、キャンセルしたりする可能性があります。それに備えて、生前契約が生前予約内容の変更やキャンセルができるような規定になっているか確認した方がよいでしょう。
④ なお、サービス提供前にも関わらず、キャンセルができないという内容の契約や多額のキャンセル料がかかるという内容の契約は認められません。
⑤ 消費者契約法9条1号は、事業者と消費者との契約において、違約金が、解除の事由、時期等の区分に応じ、当該事業者に生ずべき平均的な損害を超える額の場合、超える部分は無効としています。
⑥ 葬儀や遺品整理の生前予約の場合、結婚式や旅行などと違い、サービスの提供日があらかじめ決められておりません。そのため、ある客が予約していたことにより、サービス提供日に他の客の予約を受けられずに機会損失となったという損害は発生し得ません。
⑦ そうなると、生前予約の変更やキャンセルによって事業者に生じる損害は、せいぜい事務手数料程度と考えられ、高額なキャンセル料が認められることはないと考えます。
⑧ この点については、大阪高判平成25年1月25日の判例では、会員制の冠婚葬祭業者と会員との間の契約の途中解約における解約返戻金を制限する条項について、月掛金の振替費用、会員向けニュースや入金状況通知の作成・送付費用のみが平均的な損害であり、それを超える部分は消費者契約法9条1号により無効と判断しています。

4 死亡時の連絡確保
① 葬儀や遺品整理の生前予約をしたからといって、葬儀社や遺品整理業者が自ら申込者が亡くなったことを把握して、自主的にサービスを提供するわけではありません。
② 生前予約が実現されるには、生前予約者が亡くなったことを把握して、葬儀社等に連絡する人を確保する必要があります。
③ 通常は親族や友人を想定しますが、協力を求めることができない場合、遺言に記載して遺言執行者に葬儀社等への依頼をしてもらう、葬儀等の手配について死後事務委任契約を締結しておくなどの準備が必要となります。

5 契約の終了
① 生前予約をしていても、実際には、遺族の希望により、生前予約をしていた葬儀や遺品整理が実行されない場合があります。そのような場合も、キャンセルと同様に考えることになります。
② また、遺族が生前予約の存在を知らずに業者に連絡がこないというケースや、遺族が生前予約の存在は知っていても依頼するつもりがなくあえて連絡をしてこないというケースも想定できます。
③ そのような場合に備えて、いつまでに連絡が来ない場合にはキャンセルとして扱うというような条項が定められているのかどうかを確認することが必要です。
④ また、連絡が来ないことによるキャンセルに備えて、あらかじめ返金先口座を指定しておいた方がよいでしょう。もちろん、連絡が来ない場合のキャンセル料についても、平均的な損害額を超えることはできません。

6 生前予約においてお金を支払う場合
① 生前予約は、単なる予約の場合から予約申込金や予約事務手数料として数万円だけ支払っておく場合、見積金額の全てを先に支払っておく場合など様々です。
② 独居の高齢者の中には、お金を先に支払っておいた方が安心するから先に支払いたいと希望する方も一定数います。しかし、先に支払ってしまう場合には注意が必要です。
③ 葬儀は数十万円から数百万円もする高額なサービスです。そのような高額な費用を一民間会社である業者に支払っても、実際にその業者が生前予約者が亡くなるまでの間存続しているとは限りません。もし生前予約した業者が倒産してしまえば、支払ったお金はほとんど戻ってこないことになります。
④ 現に、高齢者から将来の葬儀代として預託金を集めていた公益財団法人が、預託金を流用した結果、破産をしたという事件もありました。破産した法人は、預託金については弁護士ら第三者の事務所で預託金を管理するとうたいながら、実際にはそうした管理をせずに流用していたと報じられています。
⑤ 本当に、前払いしたお金が保全されているかを外から確認することは困難です。特に規制がされていない現状では、生前予約はしても、費用全額の前払いはしない方がよいといわざるを得ません。
⑥ この点、千葉県消費者行政審議会が公表している「前払い型生前契約による葬儀サービスに係る消費者被害防止に向けた提言」においても、「生前契約は、契約当事者の死亡後履行されるものであり、履行の時期が不確定であり、一括前払いによる契約は、消費者のリスクが高いのではないか。」と前払い型の生前予約のリスクの高さを指摘しています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q45 エンディングノートを書く際の注意点

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q45 エンディングノートを書く際の注意点についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q45】一人暮らしの高齢者はエンディングノートを書くとよいと聞きました。
どのようなエンディングノートを選べばよいのでしょうか。また書く時の注意点はありますでしょうか。

【A】市販のエンディングノートの中から簡単に書けそうなものを選んで書いてみるということで良いかと思います。
書く際は、最初からすべてを埋めようとせず、書ける部分から書いていくとよいでしょう。ただ、解説に紹介した項目については、できるだけ書いておいてもらえると、残された人が迷うことが少なく助かります。
エンディングノートには法的拘束力がないので、財産の分け方など法的拘束力を持たせたい事項については、遺言を作成して下さい。

【解説】

1 エンディングノートとは
① エンディングノートとは、特に決まった定義があるわけではないですが、大辞林によれば、「自分の終末期か死後について、その方針などを書き留めておくノート」とされます。その歴史は平成15年頃から使われ始めたようです。
② 平成23年に「エンディングノート」というタイトルの映画が公開されたことや、平成24年に「終活」という言葉が新語・流行語大賞のトップテンに選出されたことなどから、同年頃から急速に存在が知られ、世間に広まりました。

2 エンディングノートにはどのようなことを書けばよいか
① エンディングノートは、様々な事業主体が発行しており、発行主体により記載内容は少しずつ異なっています。
② 人生を振り返って見つめ直すような内容も多く、頭から書いていくと結構悩んでしまって、エンディングノートを書こうと思って購入したが、なかなか筆が進まないという声も多く聞きます。
③ エンディングノートは、もともとは、家族が困らないようにするために書いておくものです。意思能力がなくなってしまったり、亡くなってしまうと、残された家族や友人は、どのようなことを希望していたかを聞くことができません。
④ そうなると、本当はどのように考えていたのだろうと悩んだり、必要な情報がどこにあるか探したりと苦労をかけることがあります。
⑤ そのため、介護が必要になった場合にどのような施設を希望するのか、延命治療はするのかしないのか、どのような葬儀を希望するのか、葬儀には誰を呼んでほしいか、お墓はどうしたいか、どのような遺産があるかなどをあらかじめ分かるようにしておき、存命中や死後の負担をできるだけ減らすということがエンディングノートのそもそもの趣旨です。
⑥ その趣旨からすれば、エンディングノートに色々な項目があったとしても、介護や終末期治療、葬儀、墓、遺産などについて優先的に記載した方がよいかと思います。
⑦ また、全てのエンディングノートに項目があるか分かりませんが、ペットや遺品、デジタルデバイスやSNSなどについても記載しておくことが望ましいと考えます。

Ⅰ 看護・介護・告知・終末医療について
① 告知、延命治療の方針、臓器提供の希望など終末期における介護、治療の方針について記載します。
② また介護について、誰に又はどのような業者に依頼したいか、介護方針はどのようなものを希望するか、アレルギーの有無などを記載します。
③ これらの項目は、介護が必要になった時点ですでに希望を第三者に伝えることができない状態になっていることがあるため、希望をまとめておいた方が、周りの人が助かります。

Ⅱ 葬儀のこと
① 葬儀について、どのような葬儀を希望しているのかを予算感とともに書いておくと、残された人たちが迷わずに済みます。
② また、一人暮らしの場合、交友関係が分からないことが多いため、亡くなったことを誰に伝えて欲しいかを書いておくとよいでしょう。
③ 誰にも伝えなくてよいという場合も、その旨書いておくと周りの人は迷わずに済みます。
④ 葬儀の生前予約や生前相談をしている場合、その旨も書いておいてください。残された人が生前予約を知らないで他の葬儀社に依頼してしまうこともあり得ます。

Ⅲ お墓のこと
① お墓の有無、お墓に関する事前準備の有無、事前に準備をしていない場合、墓地、納骨堂、合祀墓、散骨などどのような遺骨の供養方法を希望するのか、予算感とともに書いておくとよいでしょう。

Ⅳ 財産
① 相続財産の調査はとても難しいのが現状です。一生懸命調査はしますが、正直に申し上げて全部見つけられているかどうかわかりません。
② 相続財産については、リスト化してもらえると漏れがなくなり、スピーディーに遺産調査ができます。特に、ネット上の預金口座や証券口座については、把握するのが困難なので、存在することを記しておくとよいでしょう。
③ 不動産については、自宅不動産は把握しやすいですが、それ以外の場所にある不動産は存在を知らないと把握しにくくなります。特に、先の相続手続が行なわれず、共有状態の不動産や私道持分などは相続手続が漏れやすいので、記載しておくとよいでしょう。
④ 借金も相続の対象になります。借金があることを知らずに相続してしまうと、相続人は自身の財産からその借金を返済する必要が生じます。
⑤ 金融機関や消費者金融、カード会社の債務については、信用情報を調査すれば存在が分かりますが、連帯保証については、調査が困難です。
⑥ 覚えている限り連帯保証をしている債務についても記載して下さい。漏れやすいのは身元保証や賃貸借契約の保証人ですので、誰かの連帯保証人になっていないか思い出して下さい。

3 エンディングノートには拘束力がない
① 勘違いしてはならないのは、エンディングノートには法的拘束力は一切ないということです。
② 例えば、父親が亡くなり、エンディングノートに自宅は長男が相続すると書いてあったとしましょう。当然、長男は、父親の希望通りに自宅は自分が相続したいと主張してくるでしょう。
③ しかし、遺産がそれしかなかった場合、次男はそれでは納得できないかもしれません。次男がきちんと平等に分けるべきだと主張してくれば、エンディングノートに書いてあっても、何の法的な拘束力はないので、「長男に自宅を相続させる」ということは実現できません。
④ 長男としては、父親の意思を次男のわがままでかなえることができなかったと次男に対する悪感情が生じますし、次男としては、自分は父親から愛されていなかったと悩んでしまうかもしれません。
⑤ エンディングノートに相続についての希望を書いておいたことで、かえって兄弟仲を裂いてしまい、相続紛争を助長するだけになることもあります。
⑥ エンディングノートは、あくまで残された者の負担を軽減するためのものです。自分の希望をかなえて欲しい、相続トラブルを防ぎたいというのであれば、エンディングノートではなく、遺言を書いておく必要があります。

【孤独死をめぐるQ&A】Q44 遺言② 遺言の執行

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q44 遺言② 遺言の執行についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q44】おひとり様から遺言執行者になるように依頼され、遺言執行者に指定されています。
遺言では、慈善団体に寄付をするとの内容になっています。おひとり様の遺言の執行者として特に気を付けておかなければいけないことを教えてください。

【A】おひとり様が慈善団体に寄付をするという遺言の場合、遺産を換価して現金化してから寄付をするといういわゆる清算遺贈の執行になることが想定されます。清算型の遺言執行は、登記変更や税金など気を付けなければならないことが多いので、専門家の助言を受けながら進めることをお勧めします。
また、遺言者が死亡した場合に、きちんと連絡が来るための工夫も必要です。

【解説】

1 財産処分の公平性
① 清算型遺言執行の場合、不動産を換価するという業務が発生することが多くあります。また、不動産に限らず、資産性の高いものを売却することになります。
② その際、遺言執行者の知り合いの業者に安値で売却するなどしたら、当然、遺族や関係者から疑念の目で見られることになります。
③ 複数業者に見積もりを取る、不動産を売却する場合、多数の不動産業者に声を掛けて一番高い不動産業者に売却する入札方式を採るなど、売却先や売却金額が公正であることを担保する方法を採用することをお勧めします。

2 遺留分への配慮
① 相続人に遺留分権者がいる場合、遺留分権者に連絡をし、遺留分を精算してから寄付することをお勧めします。
② そうしないと、寄付を受けた慈善団体が遺留分権者との間で紛争を抱えることになる可能性があるからです。
③なお、遺言執行者を業として行っている方もいます。その場合、遺言執行者と言えども、遺留分をめぐる紛争に関与すると非弁行為(弁護士法72条違反)に該当する可能性があります。

3 登記について
① 清算型の遺言執行において、遺言執行者が不動産を売却することは可能です。
② ただし、移転登記には注意が必要です。まず、死者である被相続人から直接買主に移転登記をすることはできません。いったん、法定相続人名義の登記に法定相続分の登記をし、それから買主への移転登記をすることになります。
③ この相続登記は、遺言執行者が単独で申請することができるので、相続人の協力は不要です。(昭和45年10月5日民事甲4160号民事局長回答)
④ 相続人が不存在の場合には、相続財産は法人となりますので、いったん相続財産法人への名義人表示変更登記を行うことになります。

4 譲渡所得税について
① 不動産の売却により不動産譲渡所得税が発生する場合、法定相続人に不動産譲渡所得税が課せられてしまいます。
② そのため、不動産譲渡所得税の発生の有無を確認し、不動産譲渡所得税が発生する場合、その分はあらかじめ控除して第三者への遺贈を実行する必要があります。
③ また、不動産売却に先立ち、相続人に連絡をし、税務署からのお知らせが来る可能性があることなどを相続人に伝えておいた方がよいでしょう。
④ 自らが取得したわけではないのに課税されたり、税務署からお知らせが来る可能性があることを知らなければ、感情的になることが予想されます。
⑤ この点東京地裁の判決では、遺言執行者が相続人に事前通知することなく不動産を処分したことにつき、相続人から遺言執行者への損害賠償請求を認めたものがあります。
⑥ また、遺言執行者が不動産譲渡所得税を控除することを失念して第三者に遺贈してしまった場合、不動産譲渡所得税を納税した相続人から求償される可能性があります。

5 遺言執行者への連絡の確保
① 遺言執行者を選任しておいても、亡くなった後、すぐに遺言執行者に連絡が来なければ故人の希望尾がかなえられない可能性があります。
② 病院に入院していて死亡するような場合、本人が病院に伝えていたり、入院した時点で連絡がきたりするので、亡くなった場合でも把握はしやすいと言えます。
③ しかし、自宅や外出先で亡くなってしまった場合、遺言者が死後事務まで依頼していることをすぐに周りが把握できず、遺言執行者に連絡が来ない可能性もあります。
④ 同居人がいる場合、同居人に伝えておけばよいでしょうし、親しい親族がいる場合、その人に伝えておけばよいでしょう。
⑤ ただ、死後の事務も含めて遺言を残しておきたいという場合、同居人や親しい親族がいないということもあり、工夫が必要です。
⑥ おひとり様の作成した遺言の遺言執行者に選任されている場合、遺言執行者宛の連絡依頼カードを作成して、遺言を書いた方に渡すとよいでしょう。
⑦ カードは名刺サイズで、ラミネート加工します。最低3枚渡しており、1枚は財布の中に入れてもらいます。外出先で亡くなった場合、身分確認で財布の中は確認されるはずです。
⑧ もう1枚は冷蔵庫に貼ってもらいます。自宅で亡くなった場合、冷蔵庫に貼って有れば、物に埋もれることはありません。
⑨ そして最後の1枚は、信頼できる友人や親族に渡しておいてもらっています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q43 遺言① 遺言の作成

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q43 遺言① 遺言の作成についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q43】私には、相続人もおらず、交流している親族もいません。私が死んだら、遺産は寄付をしたいのですが、遺言を書く際にどのような点に気を付ければよいでしょうか。
また、私が死んだ後の葬儀や納骨について、遺言に書いておくことはできるのでしょうか。

【A】遺言は公正証書遺言で作成することをお勧めします。寄付をしたい団体に事前に寄付の受付の有無などを問い合わせるようにしてください。
遺言で葬儀や納骨について記載することは可能ですが、その実効性確保のためには工夫が必要です。

【解説】

1 おひとり様の場合は公正証書遺言がよい
① 遺言には大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言とがあります。秘密証書遺言は、実務上ほとんど使われていません。
② 自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があればすぐに作れます。特に費用もかからず、手軽です。
③ しかし、おひとり様が遺言を作成する場合、次の理由から自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成することをお勧めします。
④ 1点目は、公正証書遺言は検認が不要であり、すぐに遺言執行ができるということです。検認が必要となる場合、裁判所での手続きに1~2カ月かかるため、すぐに遺言執行をすることができないというデメリットがあります。
⑤ この点、自筆証書遺言も法務局に預けた場合には検認が不要になりました。ただ、遺言書内容の証明書を取得するには、相続人が確定する戸籍を添付するか法定相続情報一覧図を添付する必要があるため、その取得までの間、遺言書内容の証明書の発行が受けられないというタイムロスが生じます。
⑥ おひとり様の遺言の場合、葬儀や埋葬方法などすぐに遺言通りに行って欲しい事態が生じますので、すぐに執行できるというのは、公正証書遺言のメリットの一つです。
⑦ 2点目は、信用性の高さです。公正証書遺言の場合、遺言者がその遺言書を作成したことが公証されており、信用性が高いと言えます。財産処分以外の事実上の内容を記載していた場合、公正証書遺言に書いてあるからとその意を汲んでもらえることがあります。この点からも、おひとり様の遺言については、公正証書遺言をお勧めします。

2 遺言による寄付の注意点
① 遺言で相続人以外に寄付をするということは可能です。遺贈という扱いになります。
② 遺言で団体に寄付をしようとする場合、対象と考えている団体に寄付の受け入れをしているか確認をした方がよいでしょう。団体によっては寄付を受け入れていないことがあります。
③ また、寄付は現金のみで受け付けており、不動産では受付けていないということもあります。亡くなってから寄付を受付けていないことが判明したのでは、最後の遺志である遺言が実現できなくなります。
④ 遺贈による寄付という思いが実現できるよう、対象と考えている団体に受け入れの有無や寄付の対象について事前に確認することが重要です。
⑤ なお、相続人がいる場合、全額寄付をすると、相続人によっては遺留分があり、寄付の受け入れ団体側がトラブルを回避するために、寄付の受け入れを拒否することもあります。

3 清算型遺贈
① 遺言により寄付する場合、遺産を換価して現金化してから寄付することが多いかと思います。そのような場合、遺言に、遺言執行者を置いて、遺産の全部を換価し、被相続人の債務など必要な支払いをしたうえで、残ったお金を遺贈するという清算型遺贈をすることになります。
② 清算型遺贈の場合、遺言執行者が必要になりますので、あらかじめ遺言書で遺言執行者を定めておいた方がよいでしょう。

4 葬儀や納骨に関する記載
① 私がおひとり様から依頼されて遺言書原案を作成する場合、遺言者の希望があれば、葬儀や遺品整理、納骨等について遺言書に記載するということをしています。
② 死後事務委任契約を作成するのではなく、遺言に記載をするという方法もあります。葬儀の主催や遺品整理について、どの業者に依頼するということをあらかじめ記載し、その依頼について遺言執行者が行うように記載します。
③ また、遺体を引き取る親族がいない場合、遺体の引取りについても記載するようにしています。
④ 遺言には遺産をどう分けるかなどの法で定められた事項(遺言事項)にのみ法的効力があり、それ以外の事項については付言事項といい、法的な効力は生じません。
⑤ これまでのところ、公正証書遺言を作成する際には、葬儀の主催に関する指定を記載することで祭祀承継に関連する事項として、付言事項ではなく、遺言の本文として記載してもらえています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q42 孤立死の防止

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q42 孤立死の防止についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q42】一人暮らしの高齢者です。自宅で死ぬ可能性があることはある程度受け入れているのですが、誰にも気づかれずに腐敗してしまうという事態は避けたいです。
いわゆる孤立死を防止するためには、どのような方法があるでしょうか。

【A】一人暮らしである以上、自宅で一人で亡くなってしまうという孤独死を完全に回避することはできないかと思います。
ただ、万一、自宅で亡くなってしまった場合、誰にどのように発見してもらうかを具体的に考えて準備しておくとよいでしょう。
最近では、独居の高齢者同士が知り合いを作りやすい企画が用意されたり、見守りサービスも提供されていたりしますので、検討しても良いでしょう。

【解説】

1 新たな縁を作る
① 一人で生活している以上、居室内で亡くなってしまう可能性を完全に排除するということは不可能と思われます。
② それよりも、異常があった場合にはなるべく早く気付いてもらい、もし居室内で死んでしまったとしても、早い段階で発見してもらえるようにしておくというのが対策だと思います。
③ 人は、生まれてから死ぬまでずっと一人であるということはありません。血縁、地縁、社縁等の縁が必ずあります。ただ、高齢になっていくと、様々な事情からそれらの縁が機能しなくなってしまう方がいるのも事実です。死んでも誰にも気づいてもらえないと不安な方は「結縁」を試みてください。
④ もともと「結縁」は仏教用語なのですが、ある住職さんが新しい縁を作ることによって孤立することを防ぐための活動という意味でつかわれています。
⑤ 「墓友」が遺体を見つけてくれたというケースがあります。納骨堂や合祀墓を事前購入する場合、同じような境遇、つまり一人暮らしで墓の面倒を見てくれる人がいない方々が集まっていることが多く、事業者によっては、そのような方が横のつながりを持てるようなイベント等を開催しています。
⑥ そこで友人になった人が、イベントに参加していない方を不審に思い、自宅迄確認に来てくれて遺体が発見されたという経緯です。
⑦ その他、終活バスツアーなどを企画している旅行会社もあり、高齢者の一人暮らしの方々が新たな縁を作る機会が増えています。

2 見守りサービス
① 親族はいるけど、遠くに住んでいるし、働き盛りで忙しいからなかなか連絡は取れないと不安を抱かれる方もいます。
② そのような不安を解消するために、最近では自治体や企業が高齢者の見守り・安否確認サービスを提供しています。
③ 例えば、郵便局も「みまもり訪問サービス」を提供しています。ガスの利用状況を遠くの家族に配信するというサービスやインターネットにつながっているポットが、離れている家族にポットの利用状況を知らせるサービス等もあります。
④ このようなサービスを利用することで、高齢者の方がもし動けなくなったとしても、すぐに気づいてもらえます。
⑤ また、見守り契約というサービスを提供している会社や士業もあります。見守り契約は行政書士や司法書士等が、任意後見契約などと一緒に提供していることが一般的です。
⑥ 上記のようなITを用いた遠隔確認サービスも万が一の際にその連絡を受ける人がいないのであれば、利用できません。
⑦ そのような場合、連絡を受ける人についても死後事務委任契約を締結している方や、遺言執行者に指名している方などと見守り契約を締結し、連絡の受取先になってもらうのも一つの解決方法でしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q41 自動車の処分

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q41 自動車の処分についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q41】おじが孤独死をしたのですが、生前に付き合いもなかったので相続放棄をしようと思っています。おじは自動車を所有していたらしく、駐車場の貸主からは自動車の処分をするように言われています。
相続放棄をする予定なのに自動車を処分してしまってもよいものでしょうか。

【A】相続放棄をする予定であれば自動車の処分には関与しない方がよいでしょう。ただし、対象となる自動車に財産的な価値がないのであれば廃棄処分をしたとしても単純承認とはみなされない可能性は高いので、処分に応じてもよいかもしれません。

【解説】

1 自動車の処分
① 自動車も動産であり相続の対象になります。そのため、自動車の所有権は相続人に帰属します。
② 自動車を処分する場合、本来的には、遺産分割手続きにより自動車の名義を相続人名義に変更し、その上で自動車を譲渡したり、廃車手続きをとったりすることになります。

2 相続放棄を予定している場合
① 相続放棄する場合、自動車の名義変更をして譲渡してしまうと「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」に当たり、単純承認をしたものとみなされる可能性があります。
② そのため、基本的には、相続放棄を予定している場合には、自動車の処分は自ら行わない方がよいと言えます。
③ 駐車場が賃貸の場合、遺品整理の場合と同様、賃貸人に法的手続きをとってもらい賃貸人に処分してもらうことになります。駐車場が被相続人の所有地であれば、自動車をそのまま置いておくことになります。
④ なお、自動車のローンが完済しておらず、所有権が販売会社やローン会社のままであれば、販売会社やローン会社に連絡をして、自動車を引き揚げてもらうという方法も考えられます。

3 どうしても自動車を処分したい場合
① 事情によっては、相続放棄をする予定であるがどうしても処分したいということもあるかもしれません。そのような場合、対象となる自動車に財産的価値がないのであれば処分は可能です。
② 一般的経済価値のない物の廃棄については、単純承認事由たる「処分」に当たらないという裁判例があります。
③ そのため、自動車に財産的価値がないのであれば、廃棄したとしても「処分」に当たらないと言えます。自動車の価値については、普通自動車(新車)の減価償却期間は6年ですので、減価償却期間が経過しているかが一つの参考になります。
④ 自動車を廃棄する場合、リサイクル業者に引き渡して解体処分をしてもらい、その上で管轄の運輸支局において永久抹消手続きを行うことになります。
⑤ 相続した自動車を永久抹消する場合は、財産の処分行為ではないため名義を変更せず故人名義のまま、相続人の代表者が単独で申請を行うことができるとされています。
⑥ 車検残存期間が1ヶ月以上の場合は、自動車重量税の還付を受けることができますが、自動車重量税の還付を受ける権利も相続財産ですので、相続放棄をするのであれば還付は受けない方がよいでしょう。
⑦ なお、軽自動車の場合には、軽自動車検査協会において手続きを行うことになります。

【孤独死をめぐるQ&A】Q40 居室内での孤独死の損害賠償

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q40 居室内での孤独死の損害賠償についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q40】一人暮らしの高齢者に賃貸物件を貸していたところ、貸室内で孤独死し、死体が腐敗して居室内が損傷しました。
その様な場合、相続人や連帯保証人に対し、損害賠償請求はできるのでしょうか。また、居室内で死亡した場合、次の賃貸人に対して、その旨を告知する必要があるのでしょうか。

【A】死因が自殺の場合の多くは、損害賠償が認められます。他方で、自殺以外の死因であった場合には、裁判所の判断が分かれる可能性はあります。
単に死亡しただけであれば告知する必要はないと考えますが、死体が腐敗して屍臭などが周囲に漏れていたような場合には告知義務が生じると考えます。

【解説】

1 死亡の原因が自殺の場合

① 賃貸借契約の賃借人は、居室の引渡しを受けてからこれを返還するまでの間、居室を善良な管理者の注意義務をもって使用収益する義務を負います。
② そして、上記善管注意義務には、本件居室を物理的に損傷しないことのみならず、同居室において自殺などの事故を起こさないことも含まれると解されています(東京地判平成29年4月14日)
③ したがって、入居者が自殺した場合には、債務不履行になり、損害賠償義務を負います。
④ その損害賠償義務は連帯保証の範囲内となりますので、賃貸人は連帯保証人に損害賠償請求することができます。また、損害賠償義務も相続されますので、賃貸人は相続人に対しても損害賠償請求できます。
⑤ 損害の範囲は、修繕費用の他、自殺した物件については心理的瑕疵がある物件となってしまい、自殺後相当期間成約できなかったり、賃料を大幅に減額しないと借り手がつかないという状況が続くこととなりますので、その逸失利益も損害賠償が認められます。(東京地判平成23年1月27日)

2 死亡の原因が自殺以外の場合

Ⅰ 否定例
① 東京地判平成19年3月9日は、建物の賃貸人が、当該建物を社宅として使用していた賃借人に対し、賃借人の従業員が当該建物内で脳溢血により死亡したことについて、当該従業員に履行補助者としての過失があるなどとして、主位的に債務不履行、予備的に不法行為に基づく損害賠償として建物の価値下落の損害等を請求した事案です。
② 同判決は、「住居内において事故などで死亡したりすることは、経験則上ある程度の割合で発生し得ることである。失火などは居住者の過失があるといえるとしても、人間の生活の本拠である以上、死が発生しうることは、当然に予想されるところである。したがって老衰や病気などによる借家での自然死について、当然に借家人に債務不履行責任や不法行為責任を問うことはできない」と判示。
③ そして、居室内で死亡したことについて、何らの過失や落ち度も認められないから、仮に、本件建物内において居住者が死亡したことにより、事実上本件建物の価値が減価したとしても、損害の賠償を請求することはできないとしました。
④ また、原状回復義務についても、借主側の故意過失による経年変化とは言えない損傷が発生していることは立証されていないとして借主の原状回復義務も否定しました。
⑤ この判決の判断の枠組みに従えば、賃貸建物で賃借人が自然死した場合には、自然史は義務違反や過失があるとは言えないので、損害賠償責任は発生せず、賃貸借契約の終了に当たっても、一般的な原状回復義務は生じるものの、死亡によって汚損した部分の修理やリフォームは含まないということになります。

Ⅱ 肯定例
① 東京地判昭和58年6月27日。同判決は、建物部分内において死亡し、死体が同室内に放置され腐乱死体となり、同死体から本件建物部分の床面に流失した悪臭に満ちた汚物・体液が床コンクリートまで浸み込み、屍臭が室内の天井・畳・建具その他に浸透すると同時に、同室に隣接する建物部分にまで悪臭が漂ったとして、相続人に対し、原状回復の不履行を理由とした損害賠償請求を求めた事案です。
② 居室内の修繕費について、単なる清掃にとどまらず、天井板、壁板、床板、ふすま等を取り換える必要がある、浴槽、便器などの住宅機器等も次の借主に対して嫌悪感を与えないために交換する必要があるとし、その費用を損害と認めました。
③ 賃料相当額について、悪臭のため使用できなかった期間の賃料相当額についても、損害と認めました。
④ 居室以外の原状回復費用について、原状回復の範囲は居室内に限られ、それ以外の部分には及ばないとし、居住していた部屋以外の修理の費用は認められませんでした。

⑤ 東京地判平成29年2月10日。同判決は死後1ヶ月経ち、遺体に由来する体液が貸室の木製フローリングの床板の広範囲にわたり、また、同床板の裏側の建材にまで浸み込んでおり、本件貸室には同体液によるとみられる強い異臭が生じており、腐敗物に起因するとみられる強い臭気が存在し、貸室内には多数の蠅や蛆虫が見られるという事案です。
⑥ 同事案について、本件貸室の汚損状況が通常の使用に伴い生じた損耗の程度を超えると言えることに照らすと、本件賃貸借契約に基づき、これを現状に回復すべき義務を負うというべきと判示。
⑦ 損害賠償として、汚損や臭気発生原因が残存していないかを確認する必要があるとして、居室を解体しスケルトンとした工事費用やオゾン脱臭費用を損害と認めました。
⑧ また、工事期間のみならず、新入居者が入居に至るには工事終了後1年はかかるとして、その期間の逸失利益も損害と認め総額790万円超の損害賠償を認めています。

⑨ 以上のように、下級審の判断は分かれているのですが、死体の腐乱が進んでいる事案では、自然死であっても損害賠償が認められる可能性は十分にあると言えます。

3 告知義務について

① 居室内で孤独死した場合、心理的瑕疵がある物件として、重要事項説明において告知義務があるのでしょうか。
② この点については、令和3年10月8日国土交通省から「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」が公表されました。
③ ガイドラインでは、他殺、自死、事故死その他原因が明らかでない死亡については告知対象とする一方で、老衰、持病による病死等、いわゆる自然死については、そのような死は当然に予想されるものであるから告知対象にする必要はないとされています。
④ もっとも、自然死であっても、長期間にわたって人知れず放置されたことに伴い、室内外に臭気・害虫等が発生して特殊清掃等が行われたような場合は、告知対象になるとしています。
⑤ また、告知期間については、特段の事情がない限り、事案の発生から概ね3年間という目安も定められています。
⑥ 孤独死の全てが告知事項になってしまうと、居室内で死亡するリスクの高い高齢者に対して居室を貸そうとする人が少なくなってしまいます。
⑦ そのため告知事項についてガイドラインが設けられ告知対象や告知期間が明確になることは、単身高齢者が住宅を借りやすくなることにつながると言えます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q39 賃貸物件の明渡し

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q39 賃貸物件の明渡しについての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q39】一人暮らしの高齢者に居室を貸していたところ、亡くなってしまいました。居室内の動産については、どのように処分すればよいでしょうか。

【A】自力救済は禁止されており、貸主が勝手に処分をすることはできません。相続人に処分をしてもらうか、法的手続により明渡しをしてもらうことになります。

【解説】

1 自力救済の禁止

① 貸室内で一人暮らしの方が亡くなった場合、遺族が居室内の動産を処分するまでの間、貸室を貸すことができなくなってしまいます。
② そのような場合、賃貸人が勝手に動産を処分してしまうことはできません。勝手に動産を処分してしまうと、器物損壊罪などの犯罪になりかねません。
③ 自力救済の禁止といい訴訟等の司法手続によらずに実力をもって権利回復を果たすことは認められていないのです。
④ 賃貸人が居室内の動産を処分するためには、動産の所有者となる相続人に動産を処分してもらって、居室を明渡してもらう、相続人から居室を明渡してもらい動産の処分について同意をもって処分をするなど相続人の協力を得るか、それができない場合には、訴訟等の法的手続により解決するしかありません。
⑤ なお、大阪高判令和3年3月5日は「原契約賃借人本人と連絡が取れない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ、賃借物件を再び占有使用しない原契約賃借人の意志が客観的に看取できる事情が存するときに、現契約賃借人が明示的に意義を述べない限り、賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を…付与する条項」を適法と判断しています。
⑥ 現在上告中のようですが、この判断が維持された場合、高齢者の死亡で相続人が居住しないと明言しているような場合に明渡しとみなす条項を設けることができる可能性はあります。

2 法的な手続

① 居室内の動産も賃貸借契約における賃借人の地位も相続人に相続されます。
② したがって、賃貸人としては、貸主の相続人に対して、賃料の不払いを理由に賃貸借契約を解除し、居室の明渡しを求めて訴訟提起するというのが基本的な手続きになります。
③ そして、訴訟により判決を取得した上で、強制執行により居室の明渡しを実現させることになります。

3 相続人がいない場合の法的手続 特別代理人の選任

① 当初から相続人がいない場合は勿論、相続人が全員相続放棄をした場合も相続人が不存在となり、賃借人の地位も動産の所有権も相続する人がいなくなってしまいます。
② そのような場合、相続財産管理人の選任を申立て、相続財産管理人から引き渡しを受けたり、動産の処分をしてもらうことになります。
③ ただ、相続財産管理人の選任には時間もかかり、また予納金などの費用もかかってしまいます。
④ そのような場合、相続人が誰もいないことを理由に特別代理人を選任してもらい、特別代理人相手に訴訟提起や強制執行申立てをすることができます。
⑤ 民法951条により相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は相続財産法人となります。そして、相続財産法人の代表者となる相続財産管理人が選任されていない場合、民事訴訟法37条、35条により、代表者のない法人たる相続財産に対し訴訟行為をしようとする者は受訴裁判所の裁判長に対し、特別代理人の選任を申請することができるのです。
⑥ 特別代理人選任の方が、相続財産管理人選任よりも費用も時間もかからないことから、単に明渡しを求めるような場合には、特別代理人選任の方がよいと考えられます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q38 遺品整理について

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q38 遺品整理についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q38】一人暮らしのおじが亡くなりました。おじは賃貸物件に住んでおり、大家さんから遺品整理をして居室を開け渡すように言われています。
おじは大した遺産を持っていないので相続放棄をする予定ですが、遺品整理をしてもよいものでしょうか。

【A】相続放棄をする予定の場合、遺品整理は断ってしまった方が無難です。もし、やむを得ず遺品整理をする場合であっても、単純承認とみなされないように注意が必要です。

【解説】

1 遺品の処理方法

① 遺品も動産、つまり財産になります。相続は被相続人のすべての財産を一括して承継する包括承継であり、動産もすべて相続の対象になります。
② そのため、本来的には遺品も遺産分割の対象になり、相続人による合意がない限りは遺品の処理はできません。
③ もっとも、実務上は遺産分割調停や審判において、遺品が遺産分割の対象になることは極めてまれです。というのも、遺産分割調停、審判の対象とするには動産を特定する必要があります。
④ 雑多な遺品については特定性を欠くので遺産分割調停、審判の対象にはできないことが多いのです。
⑤ また、家財道具や生活道具については、財産的な価値に乏しく、かえって処分費用がかかってしまうことが通常です。そのため、骨とう品や宝飾品はともかくとして、それ以外の遺品については、遺産分割の対象とはせずに、形見分けをした後、廃棄してしまうということが一般的かと思います。
⑥ 遺品整理や処分を自身で行うことが大変という場合、遺品整理業者に依頼するという方法もあります。そのことの是非はともかくとして、遺品整理業者の多くは、相続人からの依頼であれば、遺産分割終了前後を問わず、依頼を受けてくれます。

2 遺品整理と相続放棄

① 上述のとおり、遺品は相続財産となります。相続放棄を考えている場合、相続人が遺品整理によって遺品を処分したら、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」(民法921条1号)に当たり、単純承認をしたものとみなされるとも思えます。
② この点について、大判昭和3年7月3日は、被相続人の衣類ではあっても一般に経済的価値を有しているものを形見分けをした時には、それが古来の習慣に基づく近親者に対する形見分けであっても単純承認とみなすとしていました。
③ しかし、東京地方裁判所平成21年9月30日判決は、「民法921条1号の規定にいう「処分」とは、一般的経済価額のある相続財産の法律上又は事実上の現状・性質を変ずる行為のことであり、一般的経済価額のない物の廃棄はもとより、経済的に重要性を欠く形見分けのような行為は、同号の「処分」には当たらないと解するのが相当」と判示したうえで、ノートパソコン、ブラウン管テレビについて、「廃棄したり、あるいは形見分けのような趣旨で自らこれを取得したり第三者に譲渡したりしたとしても、その行為が民法921条1号の「処分」に当たるとまでは認めるに足りない」としました。
④ 他方、東地判平成12年3月21日は、単純承認とみなされる事由の一つである民法921条3号の「隠匿」について「同条3号の規定する相続財産の「隠匿」とは、相続人が被相続人の債権者等にとって相続財産の全部又は一部について、その所在を不明にする行為をいうと解されるところ、相続人間で故人を偲ぶよすがとなる遺品を分配するいわゆる形見分けは含まれないものと解すべきである」としました。
⑤ しかし、毛皮のコート3着とカシミア製のコート3着を含む遺品の全てを持ち帰ったことについて、持ち帰った遺品は「一定の財産的価値を有して」おり、「その持ち帰りの遺品の範囲と量からすると、客観的にみて、いわゆる形見分けを超えるものといわざるを得ない」と判断し、単純承認したとみなしています。
⑥ このことからすれば、一般的経済的な価値がない物を廃棄すること、経済的に重要性を欠く物について形見分けをすること程度であれば、単純承認とはみなされませんが、全ての財産的価値がある動産を持ち帰るようなものは、形見分けの範囲を超えて単純承認とみなされてしまうといえます。

3 遺品整理業者に依頼する際の注意点

① 遺品整理業者に対する支払いを遺産からしてしまうと、故人の遺産を費消したとして単純承認とみなされてしまう可能性があります。そのため、相続放棄をする予定の場合、遺品整理費用は、遺族が負担した方がよいでしょう。
② また、遺品整理業者の多くは、遺品の整理業務や室内の清掃業務とともに古物買取をサービスに組み合わせています。遺品を売却すればその分遺品整理費用が安くなるので、通常は遺族にとってメリットなのですが、相続放棄を予定している場合には注意が必要です。
③ 遺品整理業者に遺品を売却してしまうということは、故人が有していた経済的価値のある動産全てを売却してしまうことになるので、単純承認とみなされてしまう可能性があります。
④ したがって、相続放棄をするつもりなのであれば、廃棄物の処分にとどめ、経済的価値がある動産については処分をせずに保管しておいた方がよいでしょう。
⑤ それでも遺品は整理して欲しいと言われたら、遺品の整理をせざるを得ないでしょう。早期に部屋を引き渡せば、その分賃料も押さえられますので、相続財産の減少を防ぐというメリットもあります。
⑥ 単に廃棄処分するよりも売却可能な動産を適正価格で換価し、その換価金を遺産として取っておく、又は、遺品整理費用に充当し、次順位の相続人又は相続財産管理人に引き継ぐ方が相続財産が保持されます。
⑦ 遺品整理の過程で単なる家財道具や生活用品に処分価値が付いてしまったのであれば、遺品整理の際に売却し換価金を分別管理しておき、債権者からの問い合わせがあった場合には隠匿せずにその旨回答する、相続人が確定したらその相続人に引継ぎ、相続財産管理人が選任された場合には相続財産管理人に遺品の処分内容を報告して換価金を引き継ぐという対応をしている限り、単純承認に当たるとして紛争になる可能性は低いのではと考えられます。