【孤独死をめぐるQ&A】Q25 遺体の腐敗防止 エンバーミング

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【Q25】兄は離婚をしていますが、子どもとは交流をしていました。先日、兄が急死したのですが、兄の子は海外赴任しており、私に連絡が来ました。
兄の子に死亡を伝えたのですが、帰国までに数日、時間がかかってしまうようです。葬儀は兄の子が帰国してから行いたいのですが、夏なので、その間に遺体が腐敗してしまわないか心配です。

【A】エンバーミングという方法で腐敗防止処置をとることができます。
エンバーミングの対応ができる葬儀社に依頼して、腐敗防止処置をしてもらえば、遺体を腐敗させずに保全できます。

【解説】

1 エンバーミングとその法的問題点

① エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法をいいます。
② エンバーミングをすれば、遺体は腐敗しませんので、事実上、死体を永続的に保存出来てしまいます。
③ しかし、日本では、死体解剖保存法という法律で、死体の保存について規制がされています。医学大学や病院が医学教育、研究のために必要があるとして死体の保存をする場合以外は、死体解剖保存法19条により、遺族の承諾だけでなく、保存しようとする地の都道府県知事(政令指定都市では市町、特別区は区長)の許可が必要とされています。
④ また、エンバーミングを行うためには、遺体を切開して血液と保存液を入れ替えるのが一般的ですが、それは遺体を損壊しているとも思えます。遺体を損壊した場合、死体損壊罪(刑法190条)に該当する可能性があります。

2 厚生労働省による研究報告

① 上記のようにエンバーミングについては、一見すると法的に疑義がある行為に思えます。
② この点については、エンバーミングが日本で紹介された平成3年頃に厚生省(現厚生労働省)が法医学者、検察庁、警視庁、弁護士などの専門家によるエンバーミングに関する研究班を設置し、平成4年3月に「わが国におけるエンバーミングのあり方に関する研究」という研究結果を公表しています。
③ この報告書において、エンバーミングについては、⑴刑事訴訟法による手続が完了していること、⑵死亡診断書(検案書)が交付されていることにより死因が確定していること、⑶遺族の承諾があること、⑷技術的にも死者への礼節の点からも適切なエンバーミングが行なわれていることの4項目を満たした適切なエンバーミングが行なわれる限りは、エンバーミングが違法性を構成するケースはないと報告されています。

3 業界団体による自主規制

① 平成6年には、エンバーミングの業界団体である一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が以下のような自主基準を設けています。
② ⑴本人または家族の署名による同意に基づいて行うこと、⑵IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持った技術者によってのみ行われること。
③ ⑶処置に必要な血管の確保及び体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後に縫合・修復すること、⑷処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬又は埋葬すること。
④ 死体解剖保存法により無許可で遺体を保存することはできませんので、遺体保存期間を50日までと定めています。

4 エンバーミングの違法性

① 上記のように、エンバーミングは直ちに違法というわけではありませんが、やり方によっては違法になる可能性をはらんでいます。
② もっとも、エンバーミングは平成29年には4万2760件実施されているようですが(IFSA「遺体衛生保全概論」)、現状、自主基準にのっとったエンバーミングについて遺体損壊罪や死体解剖保存法に違反して刑事事件化したということは聞いたことはありません。
③ このような状況に照らせば、IFSAの自主基準にのっとっているエンバーミングは、現状では違法とまでは判断されていないと言えます。
④ IFSAの自主基準にのっとっていないエンバーミングは、そのすべてが違法ということではありませんが、業界団体が自主基準を設けており、違法と判断されていないのであれば、エンバーミングを希望する方は、自主基準に従ったエンバーミングを選択しておいた方がよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q24 遺体の搬送

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【Q24】高齢の兄が自宅で亡くなり、遺体が警察に安置されています。警察から遺体を引き取るように連絡が来て警察へ行ったところ、霊安室からは後4時間以内に遺体を搬送してほしいと言われました。
突然のことですので、遺体搬送をする方法も遺体搬送をする先もありません。霊安室にはどの程度いられるのでしょうか。また、遺体搬送や遺体保管に当たって気を付けることはありますでしょうか。

【A】霊安室からは、短期間で遺体を搬送するように求められます。
遺体搬送は自身で行うことは可能ですが、遺体搬送業者に依頼することが通常かと思います。
遺体搬送業者に依頼した場合、遺体搬送に伴う葬儀社とのトラブルも報告されており、適切な業者に依頼することが重要です。

【解説】

1 霊安室について

① 霊安室は、人がなくなった場合に搬送されるまで遺体を安置しておく部屋をいいます。多くの警察や病院には霊安室が設置されています。
② 霊安室を使用する権利というものはなく、遺族への配慮から設置、利用ができているのすぎませんので、時間を限られれば遺体を搬送する必要があります。

2 遺体搬送について

① 遺体については、旅客自動車運送事業運輸規則により、タクシーで搬送することはできません。
② また、公共交通機関では規約により遺体の持ち込みを禁止していることが通常です。
③ 自家用車であれば遺体を搬送することは可能ですが、通常は遺体搬送業者に依頼をすることになります。
④ 遺体搬送は、霊柩車を保有し、遺体を搬送したり安置したりできる施設を保有している霊柩自動車の許可を得ている業者に依頼する必要があります。
⑤ 自身で遺体搬送業者を探して依頼するほか、実態としては、病院や警察から遺体搬送業者のリストを配布され、そのリストから選ぶというのも多いと聞きます。
⑥ 近時、都市部では自宅で火葬までの間、自宅に遺体を安置することが困難な事情もあり、その場合、民間の遺体安置施設を利用するケースもあります。
⑦ 民間の遺体安置施設は遺体ホテルやフューネラルアパートメントなどと呼ばれていますので、検索の際は、そのようなキーワードで探すのも良いと思います。

3 遺体搬送業者に対する葬儀の発注

① 独立行政法人国民生活センターは、度々、葬儀におけるトラブルを公表していますが、その中には遺体搬送を端緒とするトラブルもありますので、注意が必要です。
② 例えば、「増加する葬儀サービスのトラブル」では、「病院から自宅までの搬送を頼んだのに、勝手に葬儀の準備に入って」しまい、その結果、高額な葬儀費用を請求されたというトラブルが掲載されております。
③ また、消費者契約法専門調査会に提出された資料においても「病院より紹介された葬儀社に遺体搬送のみ依頼。葬儀に関しては後でとの話で後に断ったところ、キャンセル料として7万円請求された」という事例が紹介されております。
④ 葬儀社からすると、遺体搬送は葬儀契約に結び付く機会のものであるため、葬儀会社の中には依頼者が希望した以上の営業行為を行うケースも散見されます。
⑤ 親族の死亡により突然警察の霊安室に呼ばれ、動転し、そのすきに高額な契約を締結させられるということもありますので、ご注意ください。

【孤独死をめぐるQ&A】Q23 死体検案、死体解剖の拒否

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【Q23】一人暮らしをしていたおじが自宅で死亡しているのが発見されました。
死因が分からないので解剖をすると言われたのですが、亡くなった後まで切り刻まれるのはしのびないです。解剖を拒否することはできるのでしょうか。

【A】残念ながら解剖の拒否はできない場合があります。

【解説】

1 司法解剖、行政解剖、病理解剖

① 死因が分からずに解剖をする場合としては、大きく分けて司法解剖、行政解剖、病理解剖があります。
② 司法解剖とは、一般に、犯罪性のある死体またはその疑いのある死体の死因などを究明するために行なわれる解剖を指します。
③ 行政解剖とは、犯罪性はないが死因が判明しない場合に、行政目的で解剖されることを指します。
④ 病理解剖とは、病気で死亡した人について臓器、組織、細胞を直接観察し、詳しい医学的検討を行うために解剖することを指します。

2 司法解剖について

① 死体解剖については、死体解剖保存法という法律で規制されています。
② 原則として、死体解剖をする場合には、解剖しようとする地の保健所長の許可を受ける必要があります(死体解剖保存法2条1項)。
③ しかしながら、2条1項各号に列挙されている解剖については、保健所長の許可は不要となります。死体解剖保存法2条1項4号に、刑事訴訟法129条、168条1項、225条1項の規定により解剖する場合が挙げられており、司法解剖について、保健所長の許可は不要です。
④ また、解剖については、原則として遺族の承諾が必要とされていますが、司法解剖については同法の規定により不要とされています。
⑤ これにより司法解剖は遺族の承諾なくして行われますので、遺族は解剖が嫌だとしても拒否はできません。

3 行政解剖について

行政解剖についても死体解剖保存法に規定されています。

⑴監察医による解剖
① まず、死体解剖保存法8条で監察医による解剖を定めています。
② これは、政令で定める地(東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市)、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするために行なう解剖をいいます。
③ 監察医による解剖も死体解剖保存法により遺族の承諾は不要とされており、遺族が拒否することはできません。

⑵食品衛生法による解剖
① 食品衛生法64条1項は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具又は容器包装に起因し、又は起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を解剖することができると定めています。
② そして、同条2項は、死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼすおそれがあると認められるときは、遺族に通知さえすればその同意を得ないでも解剖ができるとしています。

⑶検疫法による解剖
① 検疫法13条2項は、検疫感染症の検査のために必要があるときは死体の解剖を行うことができると定めています。
② そして、同条後段で、死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾は不要としています。

⑷身元調査法による解剖
① 警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律6条1項は、死因を明らかにするため特に必要があると認められるときは、医師等の意見を聴いた上で、解剖を実施することができると定めています。
② そして、同条2項は、遺族の所在が不明であるとき又は遺族への説明を終えてから解剖するのではその目的がほとんど達せられないことが明らかであるときには、遺族の承諾は不要としています。

4 病理解剖

① 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師などで厚生労働大臣が適当と認定した者が解剖をする場合、医学に関する大学の解剖学、病理学又は法医学の教授又は准教授が解剖する場合には、保健所長の許可は不要です。
② しかし、それら以外の者が病理解剖目的で解剖を行うには保健所長の許可が必要となります。
③ また、死体解剖保存法7条1項2号により、「2人以上の医師(うち一人は歯科医師であってもよい)が診療中であった患者が死亡した場合において、主治の医師を含む2人以上の診療中の医師又は歯科医師がその死因を明らかにするため特にその解剖の必要性を認め、かつ、その遺族の所在が不明であり、又は遺族が遠隔の地に居住する等の事由により遺族の諾否の判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかな場合」には承諾が不要とされています。
④ それ以外の場合には原則どおり遺族の承諾が必要です。
⑤ 遺族が判明しており明確に拒否をしていたら、解剖ができないことになりますので、病理解剖は遺族が拒否できることになります。

5 承諾を得る遺族

① 一般社団法人日本病理学会では、病理解剖に関する遺族の承諾書のモデル書式を公表しています。
② 承諾を得るべき遺族の範囲は明確ではないですが、死体解剖後の保存については、死体解剖保存法の遺族の承諾は公法的な意味での承諾であり、その際に、遺族と病院との間で遺体に関する寄付(贈与契約)または使用貸借契約が締結されていることが私法上の根拠になっているとされています。(東京地判)
③ このことからすれば、解剖や保存に関する承諾は、遺体の所有者となるべき者から得るべきと言えるかと思います。
④ 遺体の所有権は祭祀継承者が有すると考えても良いかと思いますので、遺体の解剖や保存についても、配偶者や親、子などの故人の祭祀継承者となるべき方から承諾をもらうのがよいと考えます。

6 遺体への礼意

① 死体解剖保存法20条は、「死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱いに当たつては、特に礼意を失わないように注意しなければならない」としています。
② この点、司法解剖の際、体液漏れを防ぐために、使用済みコンビニエンスストアのレジ袋を遺体の頭部に被せるという処置をとった行為が、遺族に対する遺体の処置について礼意を失しないように注意する不法行為上の義務に反するとして損害賠償請求が認められた例もあります(神戸地判)。
③ このようなことからわかるとおり、遺体に礼意を失わないようにすることは単なる理念ではなく、法的な義務といえるでしょう。

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【携帯】:090-2793-1947

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【孤独死をめぐるQ&A】Q10 遺言書の探し方③ 自筆証書遺言の探し方、貸金庫の開扉 

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【Q10】遺言書の探し方③ 自筆証書遺言の探し方、貸金庫の開扉

一人暮らしをしていたいとこが孤独死をしました。いとこには相続人がいないのですが、いとこと私は生前仲がよかったので、もしかしたら遺言を書いているかもしれません。
公正証書遺言も法務局に預けた自筆証書遺言もなかったのですが、他にはどのような場所を探せばよいでしょうか。

【A】自筆証書遺言は、金融機関の貸金庫や自宅の金庫に保管されていることもあります。
その他、自宅の貴重品が入っている引き出しの中、仏壇や神棚の周辺、本棚、タンスの中、化粧台などに入っていたこともあるので、遺品整理の際に細かく探してみてください。

【解説】

1 金融機関の貸金庫の場合

(1)相続人の場合

① 金融機関との間の貸金庫契約は、「当該貸金庫の場所(空間)の賃貸借」とされます。
② 賃貸借契約ですので、死亡に因っては当然に終了せず、貸金庫契約上の地位は相続人全員で準共有されているという状態になります。
③ 貸金庫契約上の地位は、相続人全員で準共有している状態ですので、相続人全員の同意があれば、遺産分割未了の間であっても、金融機関は内容物の確認をさせてくれます。
④ 他方で、相続人全員の同意がない場合、内容物の確認が拒否されるというケースもあります。この点、貸金庫内の遺産がどのようなものか判明しなければ、相続をするかしないかの判断ができない場合もあり得るので、相続人の遺産の調査権(民法915条2項)に基づき、一部の相続人からだけであっても、内容物の確認を要求できてもよいとも思えます。
⑤ しかしながら、多くの金融機関では、貸金庫の開扉を認めると内容物を持ち出されてしまうおそれがあることから、全相続人の同意を要求するという内規にしており、一部の相続人のみでの貸金庫内の内容物の確認は拒否されることが多いというのが実情です。
⑥ ただ、相続人の人数が多い、相続人の一部が行方不明などの状況により相続人全員の承諾が直ちにもらえないということもあります。
⑦ そのような場合、相続人に遺産調査権があることを前提に、全相続人の同意を直ちにもらえない事情を金融機関に説明すれば、金融機関職員立ち会い、弁護士の立会い、公証人を立ち会わせて内容物の確認について事実実験公正証書を作成するなど内容物の持ち出しがされないような条件を付けたうえで、一部の相続人の同意のみで貸金庫の内容物の確認を認めてくれることもあります。

(2)相続人ではない場合

① 相続人がいない場合、いとこなどの親族は貸金庫契約者の地位を相続していません。金融機関から見れば貸金庫契約の契約者でもないただの親族であり、貸金庫の内容物を確認させる必要はありません。
② したがって、相続人ではない親族は、原則として内容物の確認はできません。
③ しかし、貸金庫内にもし自筆証書遺言があれば、自身が受遺者になっている可能性もあります。また、相続人がいない場合には相続財産管理人選任申立てをすることになりますが、申立には高額な予納金が必要なことが多いのが実情です。
④ 相続財産管理人を選任してもらい、相続財産管理人が貸金庫を開扉したら自筆証書遺言が見つかったとなると、せっかくの相続財産管理人申立費用も無駄になってしまいます。
⑤ このように貸金庫内の他の内容物は確認できなくてよいので、貸金庫内に自筆証書遺言があるかだけでも知りたいという実情があります。
⑥ 原則として相続人でない親族は、貸金庫内の内容物の確認はできないのですが、諦めずに交渉をした結果、貸金庫内に自筆証書遺言があるかだけは確認させてもらえたというケースはあります。
⑦ 相続人以外の場合、原則としては貸金庫内の内容物の確認は困難ですが、諦めずに金融機関と交渉をした方がよいでしょう。

2 自宅を調べる場合

① 自筆証書遺言が自宅で保管されているか否かは、とにかく故人の自宅内を探してみるしかありません。
② 貴重品が入っている引き出しに一緒に保管されているほか、仏壇や神棚、化粧台なども調べてみてください。また、自宅に金庫があるという方もいます。
③ 自宅金庫の中に自筆証書遺言が保管されている可能性があるので開けたい場合、多くの金庫は暗証番号を入れたり、ダイヤルを回したりする必要があります。
④ 故人が予期せず亡くなった孤独死のケースでは、誰も自宅金庫の開け方を教えてもらっておらず、開け方を控えてもいないので、開けたくても開けられないということも多いかと思います。
⑤ 何度かそのような場面に遭遇したことがありますが、いずれのケースでも鍵業者に依頼し、開扉してもらえました。

【終活・遺言・相続相談】相談例63 空き家問題

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【相談内容】
相談者(44歳男性)から、「隣家に住んでいたおばあさんが亡くなって6年経つが、誰もその家を管理しておらず、屋根や塀が崩れかけ、屋内も覗ける状態で、さらに大木の枝が張り出して通行の邪魔になっている。何とかならないものか」と相談された。

【検討すべき点】
放置された空き家は、近年、大きな問題になっています。現時点では空家の問題点や空き家等対策の推進に関する特別措置法について説明し、市町村の担当部署に相談いただくとともに、行政を経由しない解決策の可能性について検討することになります。令和3年民法改正に管理不全の土地・建物に対する手当が盛り込まれましたので、これが施行されれば、空き家問題を解決できる方法が一つ増えることになります。

【1】空き家問題

① 全国の空き家は平成30年時点で約849万戸でしたが、その後も確実に増え、都市部でも、一見しただけでそれとわかる空き家が目につくようになってきました。
② きちんと管理されている空き家であれば問題ないのですが、相談例のように朽ち果てて幽霊屋敷になっている空き家は、防災、衛生、景観などの点で近隣住民の悩みの種です。
③ このような空き家が生まれる原因は様々で、建物所有者の相続が開始したものの相続人がいないケース、相続人はいるものの遺産分割がまとまらず放置しているケース、その建物には利用価値がなく税金の負担だけがかかるため、相続人間で建物の押し付け合いになっているケースなどが挙げられます。
④ また、相続人が建物を相続したものの、もともと被相続人がため込んでいた建物内動産(ゴミ)の処分に手間取っていたり、相続人自身が倉庫代わりに使っているケースや、再建築不可物件で建物の再築ができず、かといって取り壊すためにも数百万円の費用がかかるため、建物を潰すに潰せないといった事情があるケースもあります。

【2】空家等対策の推進に関する特別措置法

① こうした空き家問題に対応するため、多くの地方自治体で独自の空き家条例を定めていましたが、平成27年2月、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下空家法といいます)が施行されました。空家法の要点は以下のとおりです。
② 第一に、空家法2条1項で「空家等」とは、建築物又はこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理する物を除くと定められ、建物のみならず、敷地も立木も塀も同法の対象となりました。
③ 第二に、空家法3条で空家等の所有者又は管理者(以下所有者等)という)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとするとされました。したがって、抽象的ですが、所有者だけではなく、管理者にも努力義務があります。
④ 第三に、空家法では特定空家等という概念を設け、特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保全上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいうとし、市町村長は、特定空家等の所有者等に対して、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令ができ、さらに行政代執行法による強制執行も可能になりました。なお、命令違反や立入調査拒否等に対しては過料の制裁があります。
⑤ 第四に、空家法は国、都道府県、市町村の役割分担を定めました。空き家対策も中心的役割は市町村が負うこととしましたので、各市町村に担当部署が置かれました。

【3】行政書士や弁護士の関与

【3-1】行政に対する働きかけ

① 相談例の隣家は特定空家等に該当しそうで、そうであれば、現行法下では、空家法による指導等を求めて市町村に相談してもらうよう相談者に勧めることになります。ただし、市町村がすぐに動いてくれる保証はありませんし、実効性があるとも限りません。
② そこで、行政書士としては、相談者や周辺住民から依頼を受け、他の事例の調査や被害や懸念の内容を文書にまとめるなどして、市町村に対応を働きかけることを検討すべきでしょう。

【3-2】相談者個人としての請求

① 空き家問題の解消を行政に頼らざるを得ないのは、周辺住民から空き家所有者等に対する具体的な請求権を観念するのが困難だからです。
② しかし、空き家からのゴミや木の枝等が相談者の土地に侵入している場合には、直接、隣家の所有者等に対し、妨害排除請求権や損害賠償請求権を行使することが考えられます。
③ また、訴訟に至らずとも、内容証明郵便などでその旨の通知や督促が届けば、空き家の所有者等が自発的に管理してくれるようになる可能性はあります。

【3-3】義務者の特定

① 空き家等の所有者等の特定は、一筋縄ではいかないことがあります。
② まず、空き家の土地・建物の全部事項証明書で各所有者を確認し、被相続人から相続人に対する相続登記がされていればその相続人が相手方になります。
③ 次に、相続登記が経由されていなければ、被相続人の住民票、除籍謄本から遡って相続人とその住所を特定し、相続人に対して空き家の管理を求めることになるでしょう。
④ 相続人全員が相続放棄していたり、相続人がいなかった場合には、現行法では、相続財産管理人の選任を申立てるしかありません。また、所有者等の死亡も確認できなければ、不在者管理人の選任を申立てることになります。そしてこれらの方法では、おおむね50万円から100万円の予納金が必要になります。
⑤ なお、相談例で、建物の所有者と土地の所有者が別の場合には、塀や大木の枝に関しては、その土地の所有者に対して適切な管理を請求できる可能性があります。また、隣家を管理している不動産管理業者がいるなら、適切な管理を求めることができるかもしれません。

【3-4】管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令

① このような空き家問題に対し、令和3年民法改正では、相談例のような場合で隣家の所有者が不明なときは所有者不明土地管理命令や所有者不明建物管理命令が、隣家の所有者が明らかなときは管理不全土地管理命令や管理不全建物管理命令が認められることになりました。
② ただし、このような場合も費用の予納が必要ですし、その費用を回収できるかどうか不明です。また、これらの管理命令が認められるかどうか、その後、管理人がどのように対応してくれるのかも明らかではありません。

【終活・遺言・相続相談】相談例20 もめない相続

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例20 もめない相続についての記事です。

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【相談内容】
2年前に妻を亡くしたという一人暮らしの相談者(79歳男性)から、「4人の子(長女(53歳)、次女(52歳)、三女(47歳)、長男(39歳))はそれぞれに仲が悪い。遺言書を書いておけば、自分の他界後、4人がもめないようにできるのか」と相談された。

【検討すべき点】
高齢者の心配の一つは、子どもたちによる相続争いです。遺言書がそれを防ぐ方法として有効であることは確かですが、遺言書さえ書いておけば足りるというものではありません。これまでの経緯、財産の内容、妻の相続時の遺産分割の状況などをよく伺った上で、問題点を指摘し、相談者と一緒に対策を考える必要があります。

【1】遺言の限界

① 遺言があれば、基本的に相続人が相続内容を争うことはできません。しかし例外もあります。
② 遺言が無効とされる可能性です。これを防止するためには、遺言書作成時における遺言者の遺言能力を疑われないように証拠(診断書や作成の様子を録画する等)を残す必要があります。
③ 自筆証書遺言では「これは父の筆跡ではない。父がこんな遺言をするはずがない」などと遺言内容に不満を持った者から訴えられることがありますので、公正証書遺言を勧めます。
④ 遺言が有効でも、「4人の子に4分の1ずつの遺産を相続させる」という内容(相続分の指定)なら、誰が何を取るかを決めるために、遺産分割協議が必要になり、争いが生じる可能性があります。遺産の一部の処分だけを決め、処分を決めていない遺産がある場合(一部遺言)も同様です。
⑤ 遺言内容が一義的に明らかでなく、遺言者の意思解釈が必要になる場合には、解釈を巡って争いが起きる可能性もあります。
⑥ このようなリスクを排除するには、士業に遺言書を起案してもらうか、文面をチェックしてもらうべきであると説明します。
⑦ 各相続人の遺留分を侵害する遺言だと、遺留分侵害額請求の問題が生じます。特定財産承継遺言を多用する場合でも、流動資産以外の遺産についてはその評価が問題になる場合があります。
⑧ 具体的相続分の修正要素である特別受益や寄与分でも揉めることもあれば、相続債務の承継、葬儀費用の負担、固定資産税の負担、祭祀承継問題などで揉めることもあります。
⑨ 遺言が効果を持つのは相続開始後です。すなわち遺言者が亡くなる将来の話ですので、その時点までに現在と財産や推定相続人の状況も変わっている可能性があります。よって、将来の状況を仮定して遺言をすることになるので、遺言を残せば相続紛争が起きないという保証はありません。

【2】家庭の事情の聞き取り

① 遺言書を作成するだけでなく、そもそも4人の子が争わないように気を配る必要があります。そのためには、4人の子の仲が悪い理由など相談者の家庭の事情を伺わなければなりません。しかし、このような話になると、相談者の口が重くなったり、逆に延々と昔話や愚痴を話し始める方もおられます。
② このような場合、伺った情報から推測を立てて、相談者に質問をする形で話を伺います。例えば、相談例では長女と次女は1歳違いですので、受験、就職、結婚などで事あるごとに比較されて長年反目していたのではとか、三女はそれを見て育ったので、二人と距離を置くようになったとか、長男は相談者40歳の子なので溺愛され、姉たちから嫉妬されていたのではないかなどを推定して質問を進めます。
③ 子にとって親の愛情は絶対的で、幼少期や思春期の心の傷はなかなか拭えませんが、それができるのは親である相談者だけですので、心当たりがあれば、配慮が足りなかったと素直に謝罪をするなど、今できることをすべきです。
④ 次に妻が亡くなった際のことと、その後2年間の起きたことを伺います。妻の遺産分割の結果が偏ったものであるならば、相談者の相続発生時に合わせて考えて公平でなければ、子は納得しません。どの子が最後まで母の看病や介護をしたのかなどの情報も必要です。
⑤ 他の事情も伺います。例えば、多額の自宅購入資金を出してもらった子はいるか、事業に失敗した際の援助や、なかなか実家に帰ってこない子や、長男は後継ぎなのに実家に寄り付かない(相談者側の視点)などの様々な事情を伺いアドバイスをすることになります。

【3】実質的な公平

① 遺言による財産の分け方について、相続で揉めないことを第一にするのであれば、法定相続分を基調としながら事情に応じて各相続人の取得分に若干の差をつける程度にとどめる方が賢明です。4人の子が「これなら仕方ない」と思える遺言であれば、相続紛争の危険は限りなく小さくなります。
② 遺留分を侵害しないためにも、生前贈与(特別受益)は必ず確認して考慮すべき点です。
③ 相続開始後、遺言者は当然にこの世にいません。相続人は遺言者に直接文句を言えませんので、悔しさや憎しみは他の相続人に向かうことになります。防止するためにも、相談者の言動次第でこの誤解を解いたり、関係を修復できるのであれば、是非試みてもらうように説明します。
④ 逆に、親が目の前の子に媚びたり、他の子に対する不平や不満を口にしていたのでは、揉めない相続を実現するなど到底望めません。
⑤ 相談者は一人暮らしですが、将来この誰かに面倒を見てもらう考えかもしれません。親の介護の有無は相続紛争の大きな問題になりますので、当然今後の生活の希望についても伺う事項になります。

【終活・遺言・相続相談】相談例19 家族信託

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例19 家族信託についての記事です。

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【相談内容】
相談者(54歳男性)から「先日参加した終活の講演会で、成年後見の問題点と家族信託の利点を教えてもらった。私の母(87歳)も認知症気味なので、家族信託を利用しようと思うが、どうだろう」と相談された。

【検討すべき点】
家族信託は民事信託の一種で、高齢者の認知症対策(成年後見の代替案)の一つとして注目されています。家族信託は、その家庭の事情に応じたオーダーメイドとなるので、信託行為の内容をどのように定めるかは財産管理契約と比べても難しく、専門家によるコンサルティングが不可欠です。相談者には家族信託の内容を説明し、家庭の事情を詳しく聞き取る必要があります。

【1】信託の基礎知識

① 信託とは、委託者が受託者に財産権(所有権など)を移転し、受託者が信託目的に従って受益者のために信託財産を管理・処分する制度です。
② 信託財産の権利が帰属するのは受託者ですが、経済的利益は受益者に帰属し、両者が分離しているところに特徴があります。また、信託目的・信託行為・信託財産・委託者・受託者・受益者が信託の要素とされます。
③ 他の制度との違いとして、以下の点が挙げられます。
●信託は、委託者ではなく受益者にに効果帰属する点と死亡により終了しない点で(財産管理契約などの)委任契約と異なる。
●財産権が受託者に移転する点で寄託契約と異なる。
●事実行為である身上監護を目的としない点で後見と異なる。
●相続開始前に発効する点、相続開始後の定期的給付を定めることができる点(遺言代用信託)、二次的承継を指定できる点(後継ぎ遺贈型受益者連続信託)などで遺言とも異なるとされています。
④ 信託は、商事信託と民事信託に分類されます。商事信託は、信託銀行などの受託者が営利目的で信託報酬(手数料)を得るもので、投資信託、後見制度支援信託、代理出金機能付信託などがこれに当たります。
⑤ 民事信託は信託報酬を目的としない信託で、平成18年の信託法改正により、営利目的でなければ、信託業免許を持たない法人や個人も受託者になれるものとされました。家族信託は営利を目的としない家族が受託者になる民事信託の一種です。
⑥ 信託を設定する方法としては、信託契約・遺言信託・自己信託があります(信託法3条)。ここでいう遺言信託は、金融機関の宣伝している遺言信託とは違い、遺言で信託内容を決める方式のことを差します。

【2】家族信託

【2-1】家族信託とは

① 「家族信託」とは、高齢者が信頼できる家族に財産を預ける信託のことで、民事信託の一種であり、通常、その方式は信託契約です。法令上、家族信託という用語は見当たらず、いわゆる「家族の中で完結する信託」という意味で用いられています。
② 家族信託は、高齢に差し掛かった委託者が、将来の判断能力の衰え(認知症)に備え、家族の生活の安定や相続紛争の防止、相続税対策、事業承継等の目的で、資産を活用する方法だと言えます。
③ それだけに、信託の内容も各家庭の事情により様々で、家族信託に明るい専門家の協力なく実現は困難であると言えます。
④ それゆえに、専門家に対する報酬(初期費用)や受託者の実質的なランニングコストがかさむため、ある程度の資産がある高齢者でなければ、選択肢の一つにはなりえません。

【2-2】家族信託の利点

① 家族信託の利点としては、次のような項目が挙げられます。
●認知症対策としてすぐにスタートできる
●財産管理と財産承継(相続)を同時に行なえる
●他界しても預金の封鎖といえる金融資産の凍結が避けられる
●財産管理に透明性が期待できる
●遺言の代わりになる
●遺言ではできない内容の承継方法を定めることができる
●財産管理を次代に承継できる
●相続税対策を委託者が認知症になった後も行うことができる
●家族以外の物が関与しない場合、管理費がかからない
② 家族信託ならば上記の項目すべての恩恵が受けられるわけではなく、それぞれの事情に応じて、信託契約の内容を検討することになります。

【2-3】

家族信託の問題点

① 家族信託の問題点としては、次のような項目が挙げられます。
●設定行為(信託行為)が専門的かつ複雑になる
●安心して財産を預けられる家族が見当たらない場合家族信託ができず、手数料がかさむ信託銀行などに受託者を任せざるを得ない
●不動産に関して信託登記の費用が発生する
●財産の信託なので、身上監護を盛り込むことができない
●受託者の義務(善管注意義務・忠実義務・計算書類の作成・報告等)が複雑で面倒である(信託法29条以下)
●受託者である推定相続人とそうでない推定相続人間での争いの種になり得る
●意思能力が十分で信託契約ができる程度の高齢者が、形式的な名義変更であっても、財産の名義が移転することを拒絶するなど
② 上記以外の点として、信託終了事由や帰属権利者の確定、税金対策(受益者に課税される)、遺留分対策には注意が必要です。
③ 投資信託はそもそも信託なので、さらに家族信託の信託財産にする体制が、信託銀行や証券会社もそこまでの制度を構築できていません。
④ 受託者の横領、信託形式の悪用(強制執行の回避手段にする)にも注意が必要です。

【3】特殊な信託

家族信託だけでなく、以下のように相続対策として注目されている信託類型があります。

【3-1】遺言代用信託

① 遺言代用信託とは、委託者の死亡により受益権を取得する旨の定めがある信託のことです(信託法90条)。
② 例えば、委託者が生前の信託契約によって受託者(金融機関など)に資産(信託財産)を信託し、委託者が死亡した死亡した場合には認知症の配偶者や障害のある子(親亡き後問題)を受託者として、定期金を与えるという内容が考えられます。
③ 委託者の死後の財産処分につき遺言の代わりになることから、遺言代用信託とよばれます。

【3-2】後継ぎ遺贈型受益者連続信託

①後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは、受益者の死亡により当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託のことです(信託法91条)。
② たとえば、委託者が生前の信託契約や遺言によって受託者に資産を託し、その受益者(例えば配偶者)が死亡した後は、前妻の子である長男に受益権を与える(受益者を変更する)といった場合に利用できます。
③ 最初の信託契約では委託者が受益者になり、委託者が死亡すれば受益者を配偶者に変更し(この部分は遺言代用信託です)、さらに配偶者が死亡した場合には、受益者を子に変更するといった、複数の承継先を決めておくことができます。通常の遺言では、受遺者が死亡した場合の遺産の承継先までは決められないとされており、その点で意味があると言えます。
④ なお、信託契約で、家族信託と同時に、遺言代用信託や後継ぎ遺贈型受益者連続信託を設定することも可能ですが、契約内容が複雑になればなるほど、遺留分侵害、課税関係、信託の終了事由など様々な関係を整理する必要があります。

【3-3】空き家防止信託

① 空き家防止信託とは、高齢の親(委託者)が、信託契約によって実家(信託財産)を子(受託者)に信託し、子は親の認知症が進行した場合には自ら実家を修繕するなどして管理し、親が施設に入所して実家が不要になった場合には実家を処分することができるとするものです(受益者は親です)。
② これも家族信託の一種で、社会問題化している空き家問題の防止に効果があると説かれています。

【4】相談者へのアドバイス

① 任意後見契約や財産管理契約と同様に、家族信託が推奨されていますが、信託契約が複雑であることやコストがかかることから、家族信託にも利用しにくい面があります。
② また、高齢者に十分な事理弁識能力があることが前提ですから、既に本人の認知症が進行しているなら、家族信託を利用することは難しく、成年後見制度の一択となります。本人の健康状態をよく伺ったうえで、各方法の長短を検討していただくべきです。

謹賀新年2022年(令和4年)

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2022年(令和4年)仕事初めのご挨拶になります。

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旧年中は大変お世話になりました。多くのお客様からご愛顧賜り誠にありがとうございます。

本年も誠心誠意真心こめて対応してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

弊所の仕事始めは本日1月4日よりとなります。

遺言・相続・戸籍収集支援・任意後見・死後事務等のご相談、パスポート申請・車庫証明のご依頼も承っております。どうぞお気軽にお電話ください。

2021年(令和3年)仕事納めのご挨拶

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令和3年(2021年)も大変お世話になりました。今年もコロナ禍の影響が大きかった一年ですが、ようやく下火になりつつある昨今、新たなオミクロン株の脅威が報じられ、まだまだ、安心できない状況です。

今年も大変多くのお客様とのご縁をいただくことができました。誠にありがとうございました。また来年もよろしくお願い申し上げます。

本年の営業ですが、本日、12月27日を仕事納めとさせていただき、新春は1月4日を仕事始めとさせていただきます。月次支援金の事前確認業務につきましては、弊所では12月27日をもって終了とさせていただきました。

迎える新年が皆様にとって良い年となりますように心より祈念いたしております。

行政書士長谷川憲司事務所 特定行政書士 長谷川憲司