【孤独死をめぐるQ&A】Q32 引き取った遺骨の扱いー遺骨遺棄罪、送骨・散骨

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【Q32】遠縁の親族が孤独死したらしく、自治体から遺骨を引き取ってほしいという連絡が来ました。
生前の交流はありませんでしたが一応親族だからと遺骨は引き取ったものの、骨壺が家にあるのも悩ましいです。
遺骨をゴミ収集日に出してしまってよいのでしょうか。出してはいけない場合、どうにか遺骨を手放すことはできないでしょうか。

【A】遺骨を捨てると遺骨遺棄罪となり刑事罰の対象になります。また、一度引き取った遺骨の所有権を放棄することはできません。
ただ、遺骨をお墓や納骨堂に納骨する義務まではありません。最近は安価な供養方法がありますので、それを選択することをお勧めします。

【解説】

1 遺骨遺棄罪

① 刑法190条は「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」と定めています。
② 遺骨を遺棄した場合、刑法190条の遺骨遺棄罪に問われる可能性があります。令和2年1月22日の報道でも、遺骨を男子トイレの個室に置いてきた人が遺骨遺棄罪で逮捕されたということがありました。これ以外にも、度々遺骨遺棄での逮捕の報道はされています。
③ どのような理由であっても、遺骨を遺棄しては犯罪になってしまいます。例えば、自宅で保管するにしても少量の遺骨でよいので、残りは廃棄したいと考えても、一度自宅に持ち帰った遺骨は祭祀のための祈念すべき遺骨にあたると考えられますので、供養に必要ない遺骨と考えたからといって廃棄することは許されないと考えられます。

2 納骨義務はあるか

① 遺骨を引き取ったからといって、お墓や納骨堂に納骨をする義務まで負うわけではありません。捨てるわけではなく、骨壺のまま、自宅に保管していれば、それが法に触れることはありません。
② 自宅に保管しておけば特に供養をしなければいけない法的な義務はありませんので、遺骨を引き取ってしまったが、特に費用をかけて供養はしたくないという場合は、単に自宅に保管することになります。
③ 最近では、供養をする目的で自宅に骨壺を保管している人もいます。自宅供養を前提としたスタイリッシュな仏壇も用意されていますので、もし自宅で保管したい方は調べてみるとよいかと思います。
④ なお、自宅に保管しておけば法には触れませんので、特に供養をすることなく倉庫にしまっておいても問題ありません。ただし、自宅の庭であっても埋めると焼骨の埋蔵(墓地埋葬法4条1項)になってしまいますので、埋めないようにしてください。

3 遺骨が自宅にあると不吉だという場合

① 遺骨を自宅に持ち帰ったが、自宅に遺骨があることを疎ましいと思う方もいます。現に、遺骨遺棄罪についてのニュースでも、遺骨を捨てた動機として、女性と同棲することになり遺骨が邪魔になったからと報じられていました。
② このように自宅に遺骨はおいておきたくはないが、お金をかけてまで納骨はしたくないという場合には、どのような対応をとればよいのでしょうか。

⑴ 送骨
ⅰ まず考えられるのは「送骨」という方法です。送骨は、お寺に遺骨を送るとお寺で合葬してくれるというものです。知る限りでは、安価でかつ宗教的に供養してもらう方法としては送骨が一番良い手段だと思います。
ⅱ なお、お寺に送る際には、日本郵便のゆうパックを用いることになります。代表的な宅配業者であるヤマト運輸や佐川急便などは「紛失時の責任が取れない」として遺骨の配送は受けていません。
ⅲ 墓地埋葬法14条は、「墓地の管理者は、第8条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋蔵又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。」とあるため、お寺に送骨する際は、遺骨だけでなく火葬許可書(火葬済印があるもの)を同封します。

⑵ 遺骨を自身で撒くことができるか
ⅰ 送骨も一定の費用はかかってしまいます。それでは、遺骨を自身で散骨してしまうということは許されるのでしょうか。
ⅱ 私見ですが、山中や森の中に自身で遺骨を撒くことは避けた方がよいのではないかと思います。まず、山中で遺骨を撒き、その上から土や落ち葉をかける行為は、一般的には「焼骨の埋蔵」に当たります。そのため、山中で遺骨を撒き、その上から土や落ち葉をかける行為は行ってはいけません。
ⅲ 焼骨を山中などで散骨した場合、上に土や落ち葉をかけることはできませんので、第三者が遺骨を発見してしまう可能性があります。第三者が発見した場合、第三者からするとその遺骨が廃棄されたのか散骨されたのかの区別はつきません。一般に、焼骨をそのまま山中に散骨するという行為は、社会通念上埋葬と認められる態様での埋葬とはいえませんので、遺骨遺棄罪に該当すると判断される可能性が高いと思われます。
ⅳ また、通常、山であっても森であっても、誰かの所有地になっています。通常は、自身の土地に知らない人の遺骨を撒かれるのは嫌でしょうし、知らない人の遺骨が撒かれている土地ということが分かれば、土地の評価も下がる可能性があります。そのため、土地の所有者の承諾なしに、勝手に遺骨を撒くということは民事上の不法行為に該当する可能性があると考えます。
ⅴ そうなると、山中や森林に散骨をする場合、第三者から見て遺骨と分からない程度に粉末化すること(粉骨)、散骨をした後に、土や落ち葉をかけないこと、土地の所有者の承諾を取ることという条件は最低限満たす必要はあるかと思います。そのような条件を満たすことも難しいので、自身で山中に散骨をするということはあまりお勧めできません。
ⅵ なお、散骨については、葬送方法には強い地域差があることから条例で定めることが適当とされており、現に散骨について、秩父市や長沼町のように条例で禁止している自治体もあります。よって民間が経営している散骨場を利用し、お金がかからないからというような理由で安易に山中に散骨することは避けるべきです。
ⅶ 他方で、海は、土地と違って誰のものでもありません。最高裁の判決で、海は公共用物であり、公法的な支配管理に服するとして、海を所有権の対象とすることを否定していますので、海の所有者はいません。
ⅷ また、海での散骨であれば、遺骨は比重の関係で沈むので、第三者に発見されるという可能性も極めて低いかと思われます。そして、現在のところ海洋散骨は規制されていませんし、海洋散骨をする許可というものは想定されていませんので、海洋散骨業者でないとできないということもありません。したがって、海洋散骨をすること自体は自由かと思います。
ⅸ ただ、海洋散骨を良しとしない方々もいます。とりわけ漁業や観光業の方々とトラブルになる可能性もありますので、可能な限り専門業者に依頼するべきかと思います。もし、個人で行うにしても、粉骨する、人目につかない場所で行う、漁場や海水浴場、ダイビングスポットなどは避けるなどの配慮をすることが望ましいと考えます。