【孤独死をめぐるQ&A】Q46 葬儀等の生前予約の注意点

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【孤独死をめぐるQ&A】Q46 葬儀等の生前予約の注意点についての記事です。

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【Q46】亡くなった後に親族に迷惑をかけないように、葬儀や遺品整理などについて生前予約をしておこうかと思います。
生前予約に当たって何か気を付ける点はありますでしょうか。

【A】内容が明確になっているかを確認してください。また、実際に費用まで前払いしてしまうときには、その業者の経営が安心か、生前契約の内容、特に契約の見直し、死亡時の連絡、契約の終了などが適切な内容になっているかなどを確認してください。

【解説】

1 生前予約とは
① 葬儀社や遺品整理業者の中には、亡くなった後に備えて、葬儀や遺品整理について生前に契約を締結しておく、生前予約サービスを提供している業者がいます。
② このような生前予約をしておけば、葬儀や遺品整理がいくらくらいかかるかが分かるし、基本的には自身の希望通りの葬儀や遺品整理をしてもらえます。
③ 葬儀は、亡くなった後すぐに手配をしなければならず、検討や準備のための時間があまりありません。そのため、思っていたのと費用や内容が異なり、葬儀社とトラブルになるということもまま生じてしまいます。
④ 国民生活センターが発表している「大切な葬儀で料金トラブル発生!後悔しない葬儀にするために知っておきたいこと」においても、後悔しない葬儀にするために知っておきたいこととして、「事前に相談できる葬儀社を見つけてみましょう。もしもの時に慌てないように、事前に相談をしてみましょう。」
⑤ 「あらかじめご遺体の搬送や葬儀の依頼をする葬儀社を決めておくと安心です。葬儀社を決めていれば、もしもの時に落ち着いて準備をすることができます。」と挙げています。葬儀の事前相談は、国民生活センターもお勧めしています。

2 内容の明確化
① 生前予約をする場合、その内容や金額が明確でないと、結局は後々トラブルの火種が残ってしまいます。
② そのため、しっかりと希望している内容を伝え、費用を見積もってもらうことが重要です。ただ、生前予約の場合、予約をした人がいつ亡くなるか分からず、実際に葬儀や遺品整理などのサービスが提供される時期が生前予約のために見積もった時期からずいぶんと期間が空くということも想定し得ます。
③ その間に物価が急激に変動してしまえば、当時の料金ではサービスの提供ができなくなってしまうという可能性もあります。
④ そのような場合に備えて、生前予約するときには、例えば、長生きをしたらどの程度、料金が変動する可能性があるのかの目安など聞いておいた方がよいでしょう。

3 契約の見直し
① 葬儀や遺品整理の生前予約の場合、いつ亡くなるのかが分からず、生前予約からサービスの提供までに長い期間が空く可能性があるという特殊な事情があります。
② その間に、もともと生前予約を必要としていた理由がなくなることもあり得ます。例えばですが、生前予約した時点では親族と仲違いをしていて親族に依頼ができなかったが、亡くなるまでの間に仲直りをして必要性がなくなるということもあり得ます。
③ そのような場合、生前予約の内容を変更したり、キャンセルしたりする可能性があります。それに備えて、生前契約が生前予約内容の変更やキャンセルができるような規定になっているか確認した方がよいでしょう。
④ なお、サービス提供前にも関わらず、キャンセルができないという内容の契約や多額のキャンセル料がかかるという内容の契約は認められません。
⑤ 消費者契約法9条1号は、事業者と消費者との契約において、違約金が、解除の事由、時期等の区分に応じ、当該事業者に生ずべき平均的な損害を超える額の場合、超える部分は無効としています。
⑥ 葬儀や遺品整理の生前予約の場合、結婚式や旅行などと違い、サービスの提供日があらかじめ決められておりません。そのため、ある客が予約していたことにより、サービス提供日に他の客の予約を受けられずに機会損失となったという損害は発生し得ません。
⑦ そうなると、生前予約の変更やキャンセルによって事業者に生じる損害は、せいぜい事務手数料程度と考えられ、高額なキャンセル料が認められることはないと考えます。
⑧ この点については、大阪高判平成25年1月25日の判例では、会員制の冠婚葬祭業者と会員との間の契約の途中解約における解約返戻金を制限する条項について、月掛金の振替費用、会員向けニュースや入金状況通知の作成・送付費用のみが平均的な損害であり、それを超える部分は消費者契約法9条1号により無効と判断しています。

4 死亡時の連絡確保
① 葬儀や遺品整理の生前予約をしたからといって、葬儀社や遺品整理業者が自ら申込者が亡くなったことを把握して、自主的にサービスを提供するわけではありません。
② 生前予約が実現されるには、生前予約者が亡くなったことを把握して、葬儀社等に連絡する人を確保する必要があります。
③ 通常は親族や友人を想定しますが、協力を求めることができない場合、遺言に記載して遺言執行者に葬儀社等への依頼をしてもらう、葬儀等の手配について死後事務委任契約を締結しておくなどの準備が必要となります。

5 契約の終了
① 生前予約をしていても、実際には、遺族の希望により、生前予約をしていた葬儀や遺品整理が実行されない場合があります。そのような場合も、キャンセルと同様に考えることになります。
② また、遺族が生前予約の存在を知らずに業者に連絡がこないというケースや、遺族が生前予約の存在は知っていても依頼するつもりがなくあえて連絡をしてこないというケースも想定できます。
③ そのような場合に備えて、いつまでに連絡が来ない場合にはキャンセルとして扱うというような条項が定められているのかどうかを確認することが必要です。
④ また、連絡が来ないことによるキャンセルに備えて、あらかじめ返金先口座を指定しておいた方がよいでしょう。もちろん、連絡が来ない場合のキャンセル料についても、平均的な損害額を超えることはできません。

6 生前予約においてお金を支払う場合
① 生前予約は、単なる予約の場合から予約申込金や予約事務手数料として数万円だけ支払っておく場合、見積金額の全てを先に支払っておく場合など様々です。
② 独居の高齢者の中には、お金を先に支払っておいた方が安心するから先に支払いたいと希望する方も一定数います。しかし、先に支払ってしまう場合には注意が必要です。
③ 葬儀は数十万円から数百万円もする高額なサービスです。そのような高額な費用を一民間会社である業者に支払っても、実際にその業者が生前予約者が亡くなるまでの間存続しているとは限りません。もし生前予約した業者が倒産してしまえば、支払ったお金はほとんど戻ってこないことになります。
④ 現に、高齢者から将来の葬儀代として預託金を集めていた公益財団法人が、預託金を流用した結果、破産をしたという事件もありました。破産した法人は、預託金については弁護士ら第三者の事務所で預託金を管理するとうたいながら、実際にはそうした管理をせずに流用していたと報じられています。
⑤ 本当に、前払いしたお金が保全されているかを外から確認することは困難です。特に規制がされていない現状では、生前予約はしても、費用全額の前払いはしない方がよいといわざるを得ません。
⑥ この点、千葉県消費者行政審議会が公表している「前払い型生前契約による葬儀サービスに係る消費者被害防止に向けた提言」においても、「生前契約は、契約当事者の死亡後履行されるものであり、履行の時期が不確定であり、一括前払いによる契約は、消費者のリスクが高いのではないか。」と前払い型の生前予約のリスクの高さを指摘しています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q45 エンディングノートを書く際の注意点

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【Q45】一人暮らしの高齢者はエンディングノートを書くとよいと聞きました。
どのようなエンディングノートを選べばよいのでしょうか。また書く時の注意点はありますでしょうか。

【A】市販のエンディングノートの中から簡単に書けそうなものを選んで書いてみるということで良いかと思います。
書く際は、最初からすべてを埋めようとせず、書ける部分から書いていくとよいでしょう。ただ、解説に紹介した項目については、できるだけ書いておいてもらえると、残された人が迷うことが少なく助かります。
エンディングノートには法的拘束力がないので、財産の分け方など法的拘束力を持たせたい事項については、遺言を作成して下さい。

【解説】

1 エンディングノートとは
① エンディングノートとは、特に決まった定義があるわけではないですが、大辞林によれば、「自分の終末期か死後について、その方針などを書き留めておくノート」とされます。その歴史は平成15年頃から使われ始めたようです。
② 平成23年に「エンディングノート」というタイトルの映画が公開されたことや、平成24年に「終活」という言葉が新語・流行語大賞のトップテンに選出されたことなどから、同年頃から急速に存在が知られ、世間に広まりました。

2 エンディングノートにはどのようなことを書けばよいか
① エンディングノートは、様々な事業主体が発行しており、発行主体により記載内容は少しずつ異なっています。
② 人生を振り返って見つめ直すような内容も多く、頭から書いていくと結構悩んでしまって、エンディングノートを書こうと思って購入したが、なかなか筆が進まないという声も多く聞きます。
③ エンディングノートは、もともとは、家族が困らないようにするために書いておくものです。意思能力がなくなってしまったり、亡くなってしまうと、残された家族や友人は、どのようなことを希望していたかを聞くことができません。
④ そうなると、本当はどのように考えていたのだろうと悩んだり、必要な情報がどこにあるか探したりと苦労をかけることがあります。
⑤ そのため、介護が必要になった場合にどのような施設を希望するのか、延命治療はするのかしないのか、どのような葬儀を希望するのか、葬儀には誰を呼んでほしいか、お墓はどうしたいか、どのような遺産があるかなどをあらかじめ分かるようにしておき、存命中や死後の負担をできるだけ減らすということがエンディングノートのそもそもの趣旨です。
⑥ その趣旨からすれば、エンディングノートに色々な項目があったとしても、介護や終末期治療、葬儀、墓、遺産などについて優先的に記載した方がよいかと思います。
⑦ また、全てのエンディングノートに項目があるか分かりませんが、ペットや遺品、デジタルデバイスやSNSなどについても記載しておくことが望ましいと考えます。

Ⅰ 看護・介護・告知・終末医療について
① 告知、延命治療の方針、臓器提供の希望など終末期における介護、治療の方針について記載します。
② また介護について、誰に又はどのような業者に依頼したいか、介護方針はどのようなものを希望するか、アレルギーの有無などを記載します。
③ これらの項目は、介護が必要になった時点ですでに希望を第三者に伝えることができない状態になっていることがあるため、希望をまとめておいた方が、周りの人が助かります。

Ⅱ 葬儀のこと
① 葬儀について、どのような葬儀を希望しているのかを予算感とともに書いておくと、残された人たちが迷わずに済みます。
② また、一人暮らしの場合、交友関係が分からないことが多いため、亡くなったことを誰に伝えて欲しいかを書いておくとよいでしょう。
③ 誰にも伝えなくてよいという場合も、その旨書いておくと周りの人は迷わずに済みます。
④ 葬儀の生前予約や生前相談をしている場合、その旨も書いておいてください。残された人が生前予約を知らないで他の葬儀社に依頼してしまうこともあり得ます。

Ⅲ お墓のこと
① お墓の有無、お墓に関する事前準備の有無、事前に準備をしていない場合、墓地、納骨堂、合祀墓、散骨などどのような遺骨の供養方法を希望するのか、予算感とともに書いておくとよいでしょう。

Ⅳ 財産
① 相続財産の調査はとても難しいのが現状です。一生懸命調査はしますが、正直に申し上げて全部見つけられているかどうかわかりません。
② 相続財産については、リスト化してもらえると漏れがなくなり、スピーディーに遺産調査ができます。特に、ネット上の預金口座や証券口座については、把握するのが困難なので、存在することを記しておくとよいでしょう。
③ 不動産については、自宅不動産は把握しやすいですが、それ以外の場所にある不動産は存在を知らないと把握しにくくなります。特に、先の相続手続が行なわれず、共有状態の不動産や私道持分などは相続手続が漏れやすいので、記載しておくとよいでしょう。
④ 借金も相続の対象になります。借金があることを知らずに相続してしまうと、相続人は自身の財産からその借金を返済する必要が生じます。
⑤ 金融機関や消費者金融、カード会社の債務については、信用情報を調査すれば存在が分かりますが、連帯保証については、調査が困難です。
⑥ 覚えている限り連帯保証をしている債務についても記載して下さい。漏れやすいのは身元保証や賃貸借契約の保証人ですので、誰かの連帯保証人になっていないか思い出して下さい。

3 エンディングノートには拘束力がない
① 勘違いしてはならないのは、エンディングノートには法的拘束力は一切ないということです。
② 例えば、父親が亡くなり、エンディングノートに自宅は長男が相続すると書いてあったとしましょう。当然、長男は、父親の希望通りに自宅は自分が相続したいと主張してくるでしょう。
③ しかし、遺産がそれしかなかった場合、次男はそれでは納得できないかもしれません。次男がきちんと平等に分けるべきだと主張してくれば、エンディングノートに書いてあっても、何の法的な拘束力はないので、「長男に自宅を相続させる」ということは実現できません。
④ 長男としては、父親の意思を次男のわがままでかなえることができなかったと次男に対する悪感情が生じますし、次男としては、自分は父親から愛されていなかったと悩んでしまうかもしれません。
⑤ エンディングノートに相続についての希望を書いておいたことで、かえって兄弟仲を裂いてしまい、相続紛争を助長するだけになることもあります。
⑥ エンディングノートは、あくまで残された者の負担を軽減するためのものです。自分の希望をかなえて欲しい、相続トラブルを防ぎたいというのであれば、エンディングノートではなく、遺言を書いておく必要があります。

【孤独死をめぐるQ&A】Q44 遺言② 遺言の執行

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【孤独死をめぐるQ&A】Q44 遺言② 遺言の執行についての記事です。

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【Q44】おひとり様から遺言執行者になるように依頼され、遺言執行者に指定されています。
遺言では、慈善団体に寄付をするとの内容になっています。おひとり様の遺言の執行者として特に気を付けておかなければいけないことを教えてください。

【A】おひとり様が慈善団体に寄付をするという遺言の場合、遺産を換価して現金化してから寄付をするといういわゆる清算遺贈の執行になることが想定されます。清算型の遺言執行は、登記変更や税金など気を付けなければならないことが多いので、専門家の助言を受けながら進めることをお勧めします。
また、遺言者が死亡した場合に、きちんと連絡が来るための工夫も必要です。

【解説】

1 財産処分の公平性
① 清算型遺言執行の場合、不動産を換価するという業務が発生することが多くあります。また、不動産に限らず、資産性の高いものを売却することになります。
② その際、遺言執行者の知り合いの業者に安値で売却するなどしたら、当然、遺族や関係者から疑念の目で見られることになります。
③ 複数業者に見積もりを取る、不動産を売却する場合、多数の不動産業者に声を掛けて一番高い不動産業者に売却する入札方式を採るなど、売却先や売却金額が公正であることを担保する方法を採用することをお勧めします。

2 遺留分への配慮
① 相続人に遺留分権者がいる場合、遺留分権者に連絡をし、遺留分を精算してから寄付することをお勧めします。
② そうしないと、寄付を受けた慈善団体が遺留分権者との間で紛争を抱えることになる可能性があるからです。
③なお、遺言執行者を業として行っている方もいます。その場合、遺言執行者と言えども、遺留分をめぐる紛争に関与すると非弁行為(弁護士法72条違反)に該当する可能性があります。

3 登記について
① 清算型の遺言執行において、遺言執行者が不動産を売却することは可能です。
② ただし、移転登記には注意が必要です。まず、死者である被相続人から直接買主に移転登記をすることはできません。いったん、法定相続人名義の登記に法定相続分の登記をし、それから買主への移転登記をすることになります。
③ この相続登記は、遺言執行者が単独で申請することができるので、相続人の協力は不要です。(昭和45年10月5日民事甲4160号民事局長回答)
④ 相続人が不存在の場合には、相続財産は法人となりますので、いったん相続財産法人への名義人表示変更登記を行うことになります。

4 譲渡所得税について
① 不動産の売却により不動産譲渡所得税が発生する場合、法定相続人に不動産譲渡所得税が課せられてしまいます。
② そのため、不動産譲渡所得税の発生の有無を確認し、不動産譲渡所得税が発生する場合、その分はあらかじめ控除して第三者への遺贈を実行する必要があります。
③ また、不動産売却に先立ち、相続人に連絡をし、税務署からのお知らせが来る可能性があることなどを相続人に伝えておいた方がよいでしょう。
④ 自らが取得したわけではないのに課税されたり、税務署からお知らせが来る可能性があることを知らなければ、感情的になることが予想されます。
⑤ この点東京地裁の判決では、遺言執行者が相続人に事前通知することなく不動産を処分したことにつき、相続人から遺言執行者への損害賠償請求を認めたものがあります。
⑥ また、遺言執行者が不動産譲渡所得税を控除することを失念して第三者に遺贈してしまった場合、不動産譲渡所得税を納税した相続人から求償される可能性があります。

5 遺言執行者への連絡の確保
① 遺言執行者を選任しておいても、亡くなった後、すぐに遺言執行者に連絡が来なければ故人の希望尾がかなえられない可能性があります。
② 病院に入院していて死亡するような場合、本人が病院に伝えていたり、入院した時点で連絡がきたりするので、亡くなった場合でも把握はしやすいと言えます。
③ しかし、自宅や外出先で亡くなってしまった場合、遺言者が死後事務まで依頼していることをすぐに周りが把握できず、遺言執行者に連絡が来ない可能性もあります。
④ 同居人がいる場合、同居人に伝えておけばよいでしょうし、親しい親族がいる場合、その人に伝えておけばよいでしょう。
⑤ ただ、死後の事務も含めて遺言を残しておきたいという場合、同居人や親しい親族がいないということもあり、工夫が必要です。
⑥ おひとり様の作成した遺言の遺言執行者に選任されている場合、遺言執行者宛の連絡依頼カードを作成して、遺言を書いた方に渡すとよいでしょう。
⑦ カードは名刺サイズで、ラミネート加工します。最低3枚渡しており、1枚は財布の中に入れてもらいます。外出先で亡くなった場合、身分確認で財布の中は確認されるはずです。
⑧ もう1枚は冷蔵庫に貼ってもらいます。自宅で亡くなった場合、冷蔵庫に貼って有れば、物に埋もれることはありません。
⑨ そして最後の1枚は、信頼できる友人や親族に渡しておいてもらっています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q42 孤立死の防止

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【Q42】一人暮らしの高齢者です。自宅で死ぬ可能性があることはある程度受け入れているのですが、誰にも気づかれずに腐敗してしまうという事態は避けたいです。
いわゆる孤立死を防止するためには、どのような方法があるでしょうか。

【A】一人暮らしである以上、自宅で一人で亡くなってしまうという孤独死を完全に回避することはできないかと思います。
ただ、万一、自宅で亡くなってしまった場合、誰にどのように発見してもらうかを具体的に考えて準備しておくとよいでしょう。
最近では、独居の高齢者同士が知り合いを作りやすい企画が用意されたり、見守りサービスも提供されていたりしますので、検討しても良いでしょう。

【解説】

1 新たな縁を作る
① 一人で生活している以上、居室内で亡くなってしまう可能性を完全に排除するということは不可能と思われます。
② それよりも、異常があった場合にはなるべく早く気付いてもらい、もし居室内で死んでしまったとしても、早い段階で発見してもらえるようにしておくというのが対策だと思います。
③ 人は、生まれてから死ぬまでずっと一人であるということはありません。血縁、地縁、社縁等の縁が必ずあります。ただ、高齢になっていくと、様々な事情からそれらの縁が機能しなくなってしまう方がいるのも事実です。死んでも誰にも気づいてもらえないと不安な方は「結縁」を試みてください。
④ もともと「結縁」は仏教用語なのですが、ある住職さんが新しい縁を作ることによって孤立することを防ぐための活動という意味でつかわれています。
⑤ 「墓友」が遺体を見つけてくれたというケースがあります。納骨堂や合祀墓を事前購入する場合、同じような境遇、つまり一人暮らしで墓の面倒を見てくれる人がいない方々が集まっていることが多く、事業者によっては、そのような方が横のつながりを持てるようなイベント等を開催しています。
⑥ そこで友人になった人が、イベントに参加していない方を不審に思い、自宅迄確認に来てくれて遺体が発見されたという経緯です。
⑦ その他、終活バスツアーなどを企画している旅行会社もあり、高齢者の一人暮らしの方々が新たな縁を作る機会が増えています。

2 見守りサービス
① 親族はいるけど、遠くに住んでいるし、働き盛りで忙しいからなかなか連絡は取れないと不安を抱かれる方もいます。
② そのような不安を解消するために、最近では自治体や企業が高齢者の見守り・安否確認サービスを提供しています。
③ 例えば、郵便局も「みまもり訪問サービス」を提供しています。ガスの利用状況を遠くの家族に配信するというサービスやインターネットにつながっているポットが、離れている家族にポットの利用状況を知らせるサービス等もあります。
④ このようなサービスを利用することで、高齢者の方がもし動けなくなったとしても、すぐに気づいてもらえます。
⑤ また、見守り契約というサービスを提供している会社や士業もあります。見守り契約は行政書士や司法書士等が、任意後見契約などと一緒に提供していることが一般的です。
⑥ 上記のようなITを用いた遠隔確認サービスも万が一の際にその連絡を受ける人がいないのであれば、利用できません。
⑦ そのような場合、連絡を受ける人についても死後事務委任契約を締結している方や、遺言執行者に指名している方などと見守り契約を締結し、連絡の受取先になってもらうのも一つの解決方法でしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q21 遺体発見のきっかけ

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【Q21】一人暮らしの高齢者の友人がいるのですが、ここのところ連絡がつきません。
心配で自宅迄会いに行ったのですが、インターフォンを押しても応答がありません。
鍵も閉まっており、何となく異臭がするような気がします。安否が心配なのですが、どのようにすればよいのでしょうか。

【A】警察に連絡をして立ち合いをしてもらうことをお勧めします。自治体によっては、通報窓口を用意していることもありますので、役所の高齢者に関する部署にも電話をして、相談しましょう。
マンションやアパートの場合、管理人や管理会社にその旨声をかけてください。
ただ、直ちに建物内を確認してもらえないこともありますので、その場合は、日を改めて訪問して、状況が変わっていないようでしたら、その旨を伝えて、再度、建物内の立ち入り確認を要請して下さい。

【解説】

1 遺体の発見の端緒

① 一人暮らしの高齢者と連絡が取れず、自宅に行きインターフォンを押してみても応答がないという場合、中に入って確かめた方がよいのか迷うこともあるかと思います。
② 千葉市孤独死通報制度やさいたま市要支援世帯の早期発見のための通報等ガイドラインのように各自治体が通報制度や通報マニュアルを設けていることもありますので、お住いの自治体にそのような窓口がないか調査してみてください。
③ 参考までに、さいたま市のガイドラインでは、発見、通報の基準例「外観から見た異変」として、以下の事情を挙げています。
・郵便物や新聞が、ポストに溜まっている状態が続いている
・同じ洗濯物が、干されたままの状態が続いている
・夜なのに、室内の電灯がついていない状態が続いている
・日中なのに、室内等の電灯がついている状態が続いている
・雨戸が閉まったままの状態が続いている
・玄関のドアなどが、開いたままの状態が続いている
・通勤・通学用の自転車が、使用されていない状態が続いている
・検針票をいつも手渡す人に、会えない状態が続いている
・庭の手入れやごみの処理がされていない状態が続いている
・各種メーターの増減が通常時より極端な状態である
・ペットの様子がいつもと異なる(衰弱している、狂暴化している等)
・異臭・異音がする状態である
・その他
(出典:さいたま市要支援世帯の早期発見のための通報等ガイドライン)

2 警察への通報

① 自宅内で亡くなっていることが疑われても、当然のことながら、勝手に窓を割って入ってはいけません。器物損壊罪や住居侵入罪に該当する可能性があります。
② 賃貸不動産の場合、賃貸人や管理会社がカギを持っている可能性が高いですが、まずは警察に連絡をしてみるのがよいでしょう。
③ 警察が臨場してくれた場合には警察に任せることになります。

3 警察が来てくれない場合
① 警察から賃貸人や管理会社に連絡をしてもらうようにとの指示であれば、賃貸人や管理会社に、入居者が死亡している可能性があること、その旨警察に連絡をしたら管理会社に連絡をするように言われた旨を伝えます。
② 賃貸人や管理会社が住居の鍵を開けてくれ、住居内を確認し、遺体があれば警察に通報します。住居内への立ち入りは、後々のトラブルを防ぐため複数人で入ることがよいでしょう。
③ 万が一、遺体を発見してしまった際は、決して遺体に触れないようにしてください。事件性がある場合、遺体の状況を変化させると捜査に支障がありますし、正当な理由がなく死体の現場を変えると、遺体を損壊していなくても軽犯罪法1条19号に該当する可能性があります。警察が来るまでは、現状を変えないということが重要です。

4 賃貸人、管理会社の場合
① 貸している又は管理している物件に高齢者が居住している場合、親戚や友人から孤独死が疑われるからカギを開けて欲しいという連絡が来る可能性があります。
② その場合も警察や役所に連絡をし、警察などの要請でカギを開けるという形にした方が無難です。
③ というのも、孤独死が疑われるから居室のカギを開けて欲しいという連絡をしてくるのは、居住者を心配している友人とは限りません。例えば、入居者が債務を抱えており債権者からの連絡を絶っていたところ、債権者が債務者に連絡を取るために、管理人などに「孤独死が疑われる」などと申し入れてカギを開けるよう要請してくるというケースも実際にはあります。
④ またそのような場合に限らず、入居者が存命でただ外出中だったような場合、カギを開けたことや中にあった物がなくなったというクレームをつけられたりして、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
⑤ 他方で、債権者の申出により居室内に入ったところ、居室内で自殺しているのを発見したという例もあります。
⑥ 債権者の申出だからと言って、一概に無視をしてしまうというのも孤独死の発見の遅れにつながる可能性もあります。
⑦ そのため、そのような申出があり、実際に孤独死の可能性があるのであれば、警察や役所などに通報をした方がよいでしょう。
⑧ もし、警察や役所が対応してくれない場合、連絡をしてきた友人だけではなく、親族や連帯保証人へ連絡するなどし居室立入りの同意を取り、同意が取れた場合に、管理会社の従業員が複数名で立ち入るようにしてください。

【孤独死をめぐるQ&A】Q1 相続に関する基礎知識① 相続人の範囲について

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【Q1】相続に関する基礎知識① 相続人の範囲について

身寄りがなく連絡を取っていなかったおじが亡くなったらしく、警察から連絡がありました。私が相続人になるのでしょうか。
このような場合、誰が法定相続人になるのかを教えてください。

【A】

① 相続人の範囲ですが、配偶者は必ず相続人になります。そして、配偶者以外の親族には順位がつけられており、第1順位が「子」及びその代襲相続人(孫、ひ孫等)、第2順位が「直系尊属」(両親、それぞれの祖父母等)、第3順位が兄弟姉妹及びその代襲相続人(甥、姪)となります。
② 亡くなったおじに第1順位、第2順位の相続人がおらず、おじの兄弟姉妹、つまり相談者の親も亡くなっている場合には、その遺産を甥・姪が相続するということになります。

【解説】

【1】相続人の範囲

① 亡くなった人のことを「被相続人」といい、亡くなった人の財産を引き継ぐ人を「相続人」と言います。
② また、ある人が亡くなったときに、法律で財産を引き継ぐ権利が認められた人を「法定相続人」といいます。
③ 民法は、法定相続人について、血族相続人と配偶者相続人の2種類を設けています。
④ 血族相続人については第1順位が「子」及びその代襲相続人、第2順位が「直系尊属」、第3順位が兄弟姉妹及びその代襲相続人としています。
⑤ このように血族相続人については順位が付けられており、先順位の相続人がいない場合に次順位の者が相続人になります。
⑥ これに対して、配偶者(夫又は妻)は常に相続人となります。

【2】配偶者

① 相続人となる配偶者は、法律上有効な婚姻、すなわち民法739条の婚姻届出をした配偶者を意味します。
② 相続人になるには日本国籍を有している必要はないので、配偶者が外国籍であっても法律上有効な婚姻をしていれば相続人になります。
③ 批判が多いところではありますが、現在のところ配偶者は民法739条の婚姻届出をした配偶者に限られているので、内縁の配偶者には相続権が認められません。
④ 配偶者が常に相続人になる根拠の一つとして、配偶者が生前被相続人の財産形成に寄与をしているということが挙げられることが多いですが、配偶者が相続人になるには配偶者でさえあればよく、同居の有無や生前の被相続人との関与の度合いは関係ありません。
⑤ 孤独死の場合、配偶者がいないかというとそうではありません。例えば、妻はいて法律上は離婚していなくても、ずっと別居しておりもう40年以上会っていないというようなケースもあります。
⑥ このような場合、夫の財産形成に一切寄与していないと言えますが、法律上の婚姻が継続している限り妻は相続人になります。
⑦ また、離婚調停中であっても、離婚成立前に相続が発生すれば配偶者は相続人になります。

【3】第1順位の相続人は子

① 子(及びその代襲相続人)は第1順位の相続人となります。子が数人いるときは、同順位で相続することになります。長男が優先ということはありません。
② 子が先に亡くなっていた場合、孫(直系卑属)がいれば、孫が相続人になります。子も孫も亡くなっている場合には、ひ孫がいれば、ひ孫が相続人になります。これを「代襲相続」と言います。
③ 子であればよく、男女の別、戸籍を同一とするか、実子・養子の別、嫡出子か嫡出でない子かなどは、相続人となるかどうかに影響はありません。
④ 自分の戸籍に入っていないのだから、相続人にはならないと勘違いする方もいるのですが、離婚した前の配偶者との子で、子が前の配偶者の戸籍に入っているときでも、その子は法定相続人になります。戸籍が一緒かは、相続とは無関係です。
⑤ 他方、再婚した相手の連れ子は、法律上は子ではありません。長期間一緒に住んでいたとしても法定相続人にはなりません。再婚相手の連れ子と養子縁組をしていた場合は、養子として法定相続人になります。
⑥ 孤独死をするような人だと子がいないのではないかと思われるかもしれませんが、実はいたというケースがあります。比較的多いのは、若い頃に結婚してすぐに離婚しており、子がいるが何十年と会っていないし、連絡先も知らないというケースです。周りの人も誰も故人に子がいたことを知らず、戸籍調査で初めて判明したということもあります。
⑦ 相続人になるかどうかは戸籍が同一か実際に交流があるかは関係がありませんので、仮に一度も会ったことがなくても、子は相続人になります。

【4】第2順位の相続人は親

① 第2順位の相続人は、直系尊属となります。直系尊属が相続人になるのは第1順位の相続人である子及びその代襲相続人(孫など)がいない場合(相続放棄や欠格の場合を含みます)です。
② まれに、「(被相続人の)親なのだから自分も相続できるはずだ」という相談者もいますが、親に相続権が認められるのは、被相続人に子(直系卑属)がいない場合だけです。
③ 直系尊属の中では親等が近い者が優先になります。父母のどちらかがいる場合には祖父母は相続人となりません。
④ 親であれば実親か養親かの区別はありませんが、直系尊属は親族に限られるので、姻族、俗にいう義理の父母は含みません。
⑤ 直系尊属に代襲相続はないので、両親のうち父が死亡していれば、母のみが相続人となり父方の祖父母は相続人にはなりません。

【5】第3順位の相続人は兄弟姉妹

① 第1順位の相続人である子及びその代襲相続人も第2順位の直系尊属もいない場合(相続放棄や欠格も含みます)、兄弟姉妹が相続人になります。
② 兄弟姉妹が数人あるときは全て同順位となります。兄弟姉妹には父母の一方を同じく兄弟姉妹(いわゆる半血の兄弟姉妹)も含みますし、養父母を同じくする兄弟姉妹も含みます。
③ 兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子である甥・姪が代襲相続人になります。兄弟姉妹の場合代襲相続は甥・姪で終わり、その子は相続人ではなく、甥・姪がいなければ法定相続人はいないことになります。

【6】相続人がいない場合

① これまで解説した通り、法定相続人は、血族相続人と配偶者相続人の2種類であり、血族相続人は第1順位が子及び代襲相続人、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹(及び代襲相続人として甥・姪)であり、それ以外の親族は法定相続人にはなりません。
② どれだけ仲がよくでも、いとこは法定相続人になれません。
③ 相続人がいない場合、相続財産は国庫に帰属します。ただ、1.被相続人と生計を同じくしていた者、2.被相続人の療養看護に努めた者、3.1.ないし2.に準じて「特別の縁故があった」人などは、特別縁故者として、その申立てにより一定程度遺産が分与される可能性があります。

【終活・遺言・相続相談】相談例34 埋葬に関する相談

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【相談内容】
相談者(79歳女性)から、「終活セミナーで、子どもたちに迷惑をかけないために墓地を購入しておくべきだと勧められた。郷里には両親の墓があるが、他界したら家族に会いに来てほしいので、近くに墓を買った方がいいだろうか」と相談された。

【検討すべき点】
法律相談ではありませんが、終活や遺言の相談の最後の方で、こうした話が出ることはよくあります。埋葬の慣習や葬祭業者・霊園業者の実態について知識を蓄え、相談者に寄り添った回答が求められます。

【1】墓地・納骨堂

① 墓埋法は、国民の宗教的感情や公衆衛生の観点から、墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないとされています(同法1条、10条1項)。
② 大半の都道府県(政令指定都市を含む)では、この経営許可の対象は宗教法人と地方公共団体に限られています(入会地の村落共同墓地なども認められています)。
③ 一般に、都会になればなるほど地方公共団体が経営する墓地(公営墓地)よりも宗教法人が経営する墓地や納骨堂の方が多く、寺院の境内にある墓地は寺院境内墓地、大規模な墓地は霊園とよばれます。

【2】墓地の永代使用権

① よく「墓を買う」と表現されますが、正確には、墓地の経営者(宗教法人等。ここでは霊園業者と呼びます)と墓地購入希望者との間で、整地・区画された一区画の使用権を有償で設定する契約です。
② この使用権は「永代使用権」と呼ばれますが、実際に永遠に使用できる権利ではなく、祭祀承継者からの連絡が途絶えたり、一定の期間が過ぎれば消滅します。その場合に、霊園業者は、その墓を更地にして新たな永代使用権を販売するのです。
③ なお、墓地の値段については、おおむね90cm(3尺)四方の正方形が「1聖地」と呼ばれ、1聖地ごとに、たとえば30万円というように値段が決められています。ちなみに、6尺四方の正方形(4聖地)が1坪の広さとなります。

【3】墓石

① 墓地の永代使用権を得ても、実際に埋葬するには墓石が必要ですから、石材店に墓石を注文して安置してもらいます(生前に墓石を購入するケースも多いです)。なお、霊園業者と石材店の関係は密接であるケースが多く、提携している石材店による墓石以外は認めない霊園もあります。
② 墓石の種類としては、御影石(花崗岩)、安山岩などが人気で、瀬戸内海の諸島で産出される庵治石(あじいし)、青木石、北木石、伊予大島石などのブランド物のほか、最近では中国産の墓石が多くなりました。
③ 平均的な墓石の値段は100万円から200万円程度ですが、相談者のように新たに墓を建立するとなれば、墓地の永代使用権と合わせて300万円以上かかります。

【4】墓地・納骨堂の現状

① 日本の死亡者数は増加中ですが、少子化・過疎化や地方には古くからの村落共同墓地などが多くあることから、地方での墓地には余裕があります。
② これに対して、都会近郊の墓地は、相談例のように家族に会いに来てほしいという理由で需要が増えています。土地には限りがありますから、駅近を売り文句にするマンション型の納骨堂(相場は100万円程度)や樹木葬(樹木を墓標とする)を前提とするガーデニング霊園(相場は70万円程度)等の新商品も開発されています。
③ 霊園業者から見れば、永代使用権を設定しただけで最初に多額の売上が見込めますが、その後の管理費等の売上は微々たるものです。そして、放漫経営によって資金が底をつけば、墓地経営が頓挫することにもなりかねません。
④ したがって、勧誘の言葉に飛びつくのではなく、その霊園業者が信用できる経営主体かどうかを慎重に見極める必要があります。

【5】墓じまい、改葬

① 「墓じまい」とは、墓石を撤去して霊園業者に墓地使用権を返還することをいいます。墓がなくなるので、先祖の御遺骨は永代供養(合祀)するのが一般的です。
② ただし、墓石の撤去費として霊園業者から数十万円を請求され、トラブルになることがあります。
③ また、「改葬」とは、霊園業者に墓地の永代使用権を返還するとともに、別のお墓にお骨を移すことをいいます(墓埋法2条3項)。この場合は、墓石の撤去費の他、双方の墓地経営者の許可が必要になることが多く、相応の費用がかかります。
④ したがって、相談者が近くの霊園で永代使用権を購入し、墓石を購入し、田舎のお墓を墓じまいして、改葬まで希望されているのであれば、かなりの出費になります。まずは費用を確認することから始めなければなりません。

【終活・遺言・相続相談】相談例33 葬儀・法事に関する相談

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【終活・遺言・相続相談】相談例33 葬儀・法事に関する相談についての記事です。

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【相談内容】
相談者(50歳男性)から、「入院中の母(82歳)の容態が思わしくない。もしものとき、葬儀や法事の手順をどのようにすればいいのかわからない。」と相談を受けた。

【検討すべき点】
遺言や相続に関する相談の中では葬儀や法事に関する話題が出ることもありますし、ときには、それが喫緊の問題であることもあります。相談者の信頼を得るためにも、死亡届、葬儀、法事などの手順を一通り説明することになります。

【1】死亡届

① 死亡届は、届出義務者(同居の親族、その他の同居者、家主、家屋若しくは土地の管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者)が死亡診断書や死体検案書を添えて、死亡を知った日から7日以内に届出なければなりません。

【2】火葬許可証・埋葬許可証

① 墓地・埋葬等に関する法律(以下墓埋法と言います)8条により、ご遺体を火葬するには火葬許可証が必要です。
② 死亡届とともに火葬許可申請書を区市町村に提出して、火葬許可証を取得します。
③ 火葬終了後、焼骨の埋葬のためには、斎場からもらう埋葬許可証(火葬証明書)が必要になります。

【3-1】葬儀

① 葬儀は、道教の教えとも曹洞宗のしきたりともいわれるが判然としません。
② 葬儀の方法には、仏式、神式などがありますが、最近では費用を節約するためにも直葬を選択されるケースも多く見受けられます。
③ 直葬とは、通夜・告別式を行わず納棺後すぐに火葬する葬儀のことで、最近の5%~20%は直葬とも言われております。直葬の場合、僧侶も来ず、読経も戒名もなく、あるのは祭壇と蠟燭だけとなります。
④ 故人の希望によって、自然葬、樹木葬、生前葬を行う場合もあります。

【3-2】葬儀費用の額

① 葬儀等関係費は、交通事故損害賠償算定基準によれば、約150万円とされており、統計でもその程度とされているようです。
② しかし、超高齢社会で死亡者が超高齢化し、通夜や葬儀に参列する方が少なくなったこと、相続人の人数も減っていること、10万円~20万円程度の格安葬儀を謳い文句に新規業者が参入し、直葬や家族葬が増えていることから、葬儀費用の単価は確実に下がっています。
③ このような傾向に対して、葬祭業者は「葬儀費用で家族に迷惑をかけないように、元気なうちに積み立てをしましょう」などと、高齢者の囲い込みを図っているところも多くみられます。
④ 遺族としてはすでに葬儀費用を積み立てているのなら、その葬儀社に頼めばよいと考えがちですが、いざその場になると様々なオプションを勧められ、思いのほか高額になるケースが多いようです。

【3-3】死亡直前の預金の引き出し

① 預貯金の名義人が死亡したと分かれば、銀行取引は停止されます。そこで、最後が近づくと、家族があわてて金融機関を回り、預貯金を引き出して、それを葬儀費用等に充てていました。
② そこで、平成30年の相続法改正では、各共同相続人は、単独で遺産に属する預貯金債権のうち金融機関毎に債権額の3分の1に法定相続分を乗じた額(1金融機関当たり150万円まで)の払戻しを請求できることになりました(民法909条の2)。
③ これに対して、この制度を利用するとしても、除籍謄本等を用意しなければならず、当日現金払いを求める葬祭業者や僧侶への支払いには間に合いません。
④ したがって、現在でも、死亡直前に家族が預金を引き出すケースは減っていないとみられています。後日この出金をめぐって問題になることがあるので、領収証等を残しておくよう勧めてください。

【3-4】葬儀費用の負担者

① 相続税法上、葬儀費用は債務控除の対象(相続税法13条)ですが、相続債務ではありません。民法上も遺産から支払われるべきものか、喪主が負担すべきものかについて決まっていません。
② 一般的には、喪主が取引先を呼んで盛大に葬儀を執り行う場合や、喪主が香典を受け取る場合には喪主が葬儀費用を負担するべきで、逆にそのような事情がなければ、相続財産から出しても良いと思いますが、いずれにせよ相続人間で決める問題です。
③ ただし、実際に葬儀費用の負担をめぐって紛争になることもあるので、それを避けるためには、遺言や死後事務委任契約において、相続財産から葬儀費用を支弁すると決めておくべきだと思います(葬儀費用は遺言事項ではありませんが、遺言で定めておけば、平均的な葬儀費用である限り、相続人から文句が出ることは少ないと思われます)。

【3-5】遺品の保管

① 臨終、通夜、葬儀の間、親族は混乱を極めますが、その間に、被相続人の遺品(貴重品や通帳など)がなくなり、斎場に赴かず自宅で留守番をしていた親族が疑われるということもあります。
② したがって、家族のだれが何を保管するのか等をあらかじめ決めておく必要があります。

【4】法要・行事

① 初七日、四十九日と言った法事は、七日ごとに地獄で審判を受けるという仏教及び道教の信仰に由来するそうです。
② 四十九日以降は年忌法要として、祥月命日に、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、三十三回忌などが行なわれ、そのいずれかの機会に遺骨を墓地に埋葬しますが、最近では三回忌あたりで法事を終え、機を見て永代供養に移すことが多いようです。
③ 神道では、死者は神になるのでめでたいとされ、法事ではなく式年祭と呼び、一年祭、三年祭、五年祭などが行なわれます。

【5】永代供養

① 「永代供養」とは、遺骨を共同墓地に合葬(合祀)することで、寺院によってはそのための永代供養塔などを設置しています。永代供養は安価(10万円程度が相場)ですので、最近では最初から墓地・墓石を購入せず、永代供養で祀ることが多くなりました。
② 超高齢社会においては、親の祭祀を行うべき子の世代でも、すでに60代、70代ということが多くなりました。そして、祭祀を引き継ぐ孫の世代では30代、40代となりますが、少子化のため孫の人数も少なく、その多くは近くにいません。
③ すると祥月命日や月命日に墓参りして菩提を弔うということも難しいので、早めにあるいは最初から、永代供養が選ばれる傾向があります。

【6】祭祀承継

① 系譜、祭具、墳墓の所有権は祭祀主宰者が承継する(民法897条)とされ、遺骨は祭祀主宰者に帰属するとされています。
② 最近は火葬後、仏壇に骨壺を安置したまま墓地に埋葬しないケースも散見されます。これはいつまでも故人と離れたくないという相続人の心情や、埋葬費用がかかることが原因ではないかと思いますが、いざ埋葬しようとすると埋葬許可証が見当たらず、難儀することがあります。
③ まだ、埋葬していない場合は、火葬許可証、埋葬許可証を確認し、代々の墓地がないなら墓地・墓石を購入するか、縁のある寺に永代供養するなどの方法を勧めます。

【終活・遺言・相続相談】相談例32 終末期医療に関する相談

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【相談内容】
相談者(73歳女性)から「10年前に義母を見送ったが、意識がないまま延命されてかわいそうだった。自分のときには、家族に迷惑をかけたくないが、どうしておけばよいか」と相談を受けた。

【検討すべき点】
終末期にどのような治療を望むか望まないかはその人の自己決定によるべきですが、終末期には意識を消失していることが多く、意思を伝えることができません。そこで、最近では、延命治療についてのリビング・ウィル(生きている間の意思)を公正証書で残しておく方法が勧められています。

【1】延命治療

① 「延命治療」とは病気の根治ではなく、延命を目的とする治療です。今日では医療技術の発達により、患者の意識がなくなっても気管切開、人工呼吸器、胃瘻(いろう)、輸血、輸液などによって延命を図ることができるようになりました。
② たとえば、胃瘻は、嚥下障害などで栄養などの経口摂取が困難な患者に対し、人為的に胃に瘻孔を作ってチューブを留置し、食物や水分や医薬品を投与する医療処置です。ちなみに、約10年前ほどまでは、終末期の認知症や寝たきりの患者にも積極的に胃瘻が造設されていました。
③ しかし、それは患者が望んでいないことではないか、かえって患者を苦しめているのではないか、家族にも迷惑をかける、いったん延命治療を始めると中止できなくなるといった批判がありました。
④ こうして、高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドラインでは、経口摂取の可能性を適切に評価し、胃瘻導入の必要性を確認し、本人の人生にとって何が最善かを追求するといった方針が提言され、この頃から、胃瘻、気管切開、人工呼吸器などの延命装置は徐々に減っています。

【2】安楽死と尊厳死

① 一般に「安楽死」とは、終末期の苦痛から患者を開放するために死期を早めることで、致死性の薬物投与などにより積極的に死期を早める方法(積極的安楽死)と、治療を開始せず、又は治療を中止して死期を早める方法(消極的安楽死)に分類できるとされています。
② 一方「尊厳死」とは、末期がん患者など治癒の見込みのない人々がQOL(生命・人生の質)と尊厳を保ちつつ最後のときを迎えることをいい、治療は麻薬などによる疼痛管理などに限られるとも言われますが、消極的安楽死との違いははっきりしていません。

【3】リビング・ウィル

① 終末期になれば、いずれ延命治療をするか否かの選択を迫られます。しかし、医療機関からすれば、本人や家族の同意のないまま延命治療を見送り、あるいは中止した場合には、後日、遺族から糾弾される可能性があります。
② また、稀ですが、家族の複数(例えば子どものいない夫婦など)が同時に終末期を迎えた場合には、死亡の先後によって法定相続人や相続分ががらりと変わりますから、延命治療を競うようになる場合もあります。
③ そこで、こうした混乱を避けるために、事前に、自分の意思(リビング・ウィル)で、どちらを選択するかはっきり決めておくべきだと言えるのです。
④ もっとも、延命治療の選択は財産管理契約・任意後見契約・見守り契約等の対象ではありませんし、そもそも相続開始前のことですので、遺言の対象にもあたりません。そこで、尊厳死宣言公正証書の作成が勧められています。
⑤ なお、遺言公正証書は遺言者の生前でも手元の正本や謄本で内容を確認できますから、公正証書遺言の中に尊厳死の条項を加えても良いように思えます。しかし、そうすると生前に相続人に遺言内容を知られることになるので、公正証書遺言とは別に尊厳死宣言の公正証書を作成するべきでしょう。

【終活・遺言・相続相談】相談例31 相続させたくない相談

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【相談内容】
妻を早くに亡くしたという相談者(75歳男性)から、「私には近くに住む長女(52歳)と居所不明の長男(50歳)がいる。長男にはギャンブル癖があり、たびたび尻拭いをした末に縁を切り、15年以上会っていない。そういう次第で長男には相続で財産を与えたくないが、どうすればいいだろう」と相談された。

【検討すべき点】
このような相談を時々受けます。相談者が心から長男を憎んでいる場合と、むしろ長男が心配でたまらないが、自分が面倒をみてもらっている長女の手前、けじめをつけておかねばならないと考えている場合があります。結論としては、長男の借金の返済等生前贈与の事実を確認した上、遺言書を残すことになると思われますが、相談者の気持ちに配慮した対応が望ましいです。

【1】勘当

① いきなり「長男と正式に縁を切りたい」、「戸籍から外したい」と切り出される相談者もおられますので、勘当から説明します。
② 江戸時代から明治憲法下にかけては相続権を奪う勘当の制度が存在しました。しかし今の日本国憲法下では認められておりません。
③ 類似のものとして、普通養子縁組の離縁、嫡出否認の訴、親子関係不存在の訴、認知無効の訴、特別養子縁組などがありますが、長男が実子であれば該当しません。

【2】相続人の欠格事由

① 民法891条1号から5号は相続人の欠格事由を定めていますが、相談例の長男はこれに該当しません。
1号:故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
2号:被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3号:詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4号:詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5号:相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

【3】廃除

① 遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待をし、重大な侮辱を加え、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、相続人の廃除を家庭裁判所に請求できます。
② しかし、廃除は要件が大変厳しく、誰が見ても「これはひどい」と言う虐待又はそれと同等の事実があることが必要で、子が親の言うことをきかないとか、怒鳴り合いをしたという程度ではまったく要件を満たしません(司法統計によると廃除容認の審判は年間30件程度)。
③ 相談例の長男には、ギャンブル依存、借入金の肩代わり(生前贈与)、音信不通といった事情はあるものの、それだけでは排除の要件は満たさないでしょう。
④ なお、遺言書でも排除の意思表示をすることができますが、もっともよく事情を知っている者が他界した後に、遺言執行者が虐待や非行の事実を立証することはきわめて難しいので、お勧めできません。
⑤ なお、推定相続人を廃除しても、長男の子は代襲相続することも注意が必要です。

【4】遺留分の放棄など

① 長男と連絡が取れ、長男も相続を望まないとのことでしたら、裁判所の許可を得て遺留分を放棄してもらう方法があります。もっとも遺留分を放棄しても相続権を失うわけではありません。
② 別途、遺言で全遺産の処分を決める必要がありますし、遺留分の放棄は事情によって撤回が可能なので、法律関係が不安定になります。なお、遺留分の放棄の効果は、廃除と異なり、代襲者にも及びます。
③ 相続分の譲渡(民法905条1項)や相続分の放棄は、相続開始後に相続分が生じてはじめて認められるので、相続開始前にこれらの合意を取り付けても無効です。

【5】遺言と遺留分侵害額請求権

① 相談者には、遺言で全財産を長女に相続させ、長男には何も与えないとしていただく他ないと思われます。そうすると、長男から長女に対して遺留分侵害額請求権を行使される可能性があります。
② たとえば、相談者の推定相続人が2人だと仮定して、長男に対して15年前に3,000万円の援助をし、現時点での遺言者の遺産は4,000万円だとします。
③ この場合、遺留分算定の基礎財産に算入される相続人に対する贈与は相続開始前10年間に限られるので(民法1044条1項、3項)、長男が援助してもらった3,000万円は基礎財産に算入されず、長男の遺留分は4,000万円✖1/2✖1/2=1,000万円となります。
④ しかし、遺留分侵害額請求権の算定においては、遺留分権利者がすでに受けた特別受益たる生前贈与(3,000万円)は、それがいつ行われたかにかかわらず、請求額から控除されます(民法1046条2項1号)。そうすると、長男はすでに3,000万円をもらっているために、1,000万円の遺留分について侵害額請求権を行使できません。
⑤したがって、相談者としては、長男から「15年前に借金の返済のために少なくとも、1,000万円以上の生前贈与を受けました」という確認書を差し入れさせ、このことを理由として、遺産の全てを長女に相続させる遺言を作成しておけば、長男から長女に対する遺留分侵害額請求権の行使を防ぐことができます。
⑥ また、長男からそのような確認書を受け取ることができない場合、長男に金を渡した日付や金額などを特定し、その繰越済み通帳、振込伝票、領収証、借用書等を残しておくように勧めます。
⑦ そして公正証書遺言の付言事項で、長男に対する生前贈与を具体的に記載し、遺言執行者を指定すれば、長男も遺留分侵害額請求権の行使を思いとどまざるを得ないと思われます。それでも、長男が遺留分侵害額請求権を行使してきた場合、家庭裁判所での調停を経て成立しなければ、地方裁判所での訴訟となります。