【終活・遺言・相続相談】相談例5 狭義のおひとりさまからの相談

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例5 狭義のおひとりさまからの相談についての記事です。

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【相談内容】
女性相談者(78歳)から「20年前に父を、10年前に同居していた母を看取り、天涯孤独になった(生涯独身で子供もなく、兄弟姉妹もいない)。あとは自分が死ぬだけだが、週刊誌などを見ると終活など色々と書いてあり、よくわからなくなった。今のうちにしておくことはあるだろうか」と相談された。

【検討すべき点】
おひとりさまの中には推定相続人がいない方(以下、狭義のおひとりさまとします)もおられます。相談に来られる狭義のおひとりさまの傾向として、一人暮らしには慣れているものの、自分が亡くなった後のことを心配されているという真面目な方が多いようです。そういった場合には、早目の遺言と生前整理をお勧めします。

【1】狭義のおひとりさま

① 一人暮らしの高齢者(おひとりさま)の中には、配偶者がおらず、その他の推定相続人(直系尊属、直系卑属、兄弟姉妹及びその代襲者)もいないという方(狭義のおひとりさま)がおられます。
② 狭義のおひとりさまが亡くなられて、親類・縁者もいなければ、葬儀・埋葬の手続きが採れず、被相続人自身は無縁仏として葬られることになります。(墓地、埋葬等に関する法律9条又は生活保護法18条)
③ また、狭義のおひとりさまの遺産は宙に浮きますが、他方で、被相続人に債権を持つ病院や施設、被相続人に部屋を貸していた賃貸人らは、相続人から弁済を受けることができず、途方にくれます。
④ この場合の解決策としては、相続財産管理人制度(民法951条、952条)が用意されています。しかし、賃貸人などの利害関係者が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てるのには50万円から100万円の予納金納付を求められますし、相続財産管理の手続きに1年以上かかるため、債権者や利害関係人の立場からすれば、甚だ迷惑です。
⑤ もちろん、被相続人に十分な遺産があって予納金が不要となったり、申立ての数か月後には予納金の返還を受けられることもありますが、相続債権者が迷惑をこうむることに変わりはありません。

【2】遺言の必要性

① 狭義のおひとりさまが遺言書で遺産の処分を定め、遺言執行者を指定しておけば、相続財産の調査や債権者に対する弁済を遺言執行者に任せることができます(遺産の処分は遺贈によるため、遺贈義務者である遺言執行者は不可欠です)。
② もっとも相続債権者やほかの利害関係人がその遺言の存在を確知できない場合もありますので、行政書士や弁護士など士業が預かるとともに、継続的な相談相手となり、かつ、介護施設やケアマネジャーに緊急連絡先として知らせておくなどして、遺言者の死亡をすぐに知ることができるよう工夫する必要があります。

【3】死後事務

① 葬儀や埋葬など死亡直後に必要となる手続きは、遺言事項ではありません。
② そこで、遺言書作成とは別に、身近にいる親しい人や行政書士や弁護士など士業との間で死後事務委任契約を締結しておくのが理想です。
③ または、遺言の中にそれらを書き記し、遺言執行者に葬儀や埋葬の権限を与えることで、遺言執行者がそれらを執り行うこともできます。
したがって、相談者には、相続開始後に周囲に迷惑をかけないように、遺言執行者の指定を含む遺言書の作成を勧めます。

【4】生前整理の必要性

① 相談者は亡父と亡母の相続を経験していますが、このような場合、亡父・亡母名義の不動産や預貯金の相続手続き(名義変更)を放置している可能性があります。
② 一人っ子ですので名義変更しなくても、さしたる支障もなかったかもしれませんし、「両親名義の財産をそのままにしておきたい」という気持ちも考えられます。両親の骨壺と一緒に暮らしているケースもあります。しかし、いずれは名義変更の手続きが必要になりますので、気持ちにけじめをつけて、名義変更等の手続きを勧めます。
③ また、遺言で「全ての財産を○○に遺贈する」としても、受贈者がこれらを放棄すれば(民法986条1項)、処理に困ります。例えば、亡父名義の田舎の田畑・山林などは引き受け手がいないこともありますから、あらかじめ、これらの不動産を処分しておくことが望ましいです。
④ なお、相談者もやがて両親と同じ墓に入りたいのなら、死後事務委任契約や遺言書でその意思表示をしておく必要があります。この場合もその墓を管理している者に事前に相談する必要が出てきます。

【5】少子化傾向

① 日本の合計特殊出生率(一人の女性が15歳から49歳までに産む子供の数)は昭和22年は4.54人でしたが、昭和36年には2.0人を割り込み、令和元年では1.36人まで下がってきています。
② 生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は令和2年の国勢調査では、男性で26%、女性で17%でした。
③ 厚生労働省による人口動態統計では、令和元年の婚姻数は約59万組で離婚数は約21万組です。
④ こうした合計特殊出生率の低下や、生涯未婚率・離婚率の上昇により、少子化傾向は顕著になっており、今後狭義のおひとりさまが増える一方でしょう。
⑤ 狭義のおひとりさまは概ね気丈に振舞われますが、それなりの寂しさも抱えておられると推察します。相談相手になって心を開いていただき、その上で見守り契約やホームロイヤー契約を勧めるべきでしょう。