【終活・遺言・相続相談】相談例52 一次相続と二次相続

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【相談内容】
相談者(52歳男性)から、「父親(84歳)が死去し、遺言はなかったが、母(83歳)がすべての遺産を相続するといっている。子は兄(長男54歳)と私(次男)の2人だけだが、兄はすでに母の意見に賛成した。ここは私も譲って、母の言う通りにした方がいいだろうか」と相談を受けた。

【検討すべき点】
夫婦の片方が亡くなった場合(一次相続)、他方配偶者が全財産を相続するケースが多く見受けられます。しかし、複数の子がいる場合に、他方配偶者も死亡した場合(二次相続)のことを考えると、諸手を挙げて賛成できるわけではありません。今後、どのような問題が生じるかを想像して、一時相続でもそれなりの遺産分割を行うことを勧めます。

【1】配偶者の不安

① 高齢でも夫婦そろっていれば、愚痴や不満を口にしながらも自然と助け合って生活しているものですが、片方が亡くなると、残された配偶者は一気に不安になります。
② そして「お父さんの財産は、2人で築き上げてきたものだから、私がもらう」といった言い分で遺産の単独取得にこだわりがちです。なお、一人っ子の場合には、残された配偶者と子の関係がよほど悪くなければ親子2人だけで話合えることなので、大きな問題になることは稀です。

【2】子らの思惑

① 高齢の親世代と子世代の間には、経済的格差が生じており、40代から60代にかけての子世代は、教育資金で財産が減り、年金の受給年齢も気になるところです。資産を増やす方法といっても、退職金を除けば、株式投資や暗号資産などリスク性向の高いものか宝くじ以外に見当たりません。
② ですから、子らも、一時相続の際にいくばくかの財産を相続させてほしいというのが正直な気持ちです。しかし、複数の子がいる場合には、お互いに相手の出方を見てしまいますし、自分だけが反対して母の機嫌を損ねたくないという迷いが生まれます。
③ 下手に権利を主張して母の介護を任されても困ると思うかもしれません。そうして、二次相続の際には法定相続分をもらえるはずだからと考え直して、母の言い分を認める流れになりがちです。

【3】一次相続で配偶者に相続財産を集中させることの問題点

① 遺産を配偶者に集中させると以下のような問題を生じます。
② 一次相続において遺産の取得を我慢した子らは、二次相続では、必ず、相応のものを相続したいと考えます。
③ したがって、父の遺産を吸収した母の財産の目減りが気になりますし、ほかの兄弟も母の財産を狙っているのではないかと疑心暗鬼になりがちです。
④ 自分以外の兄弟が母と同居をし始めたと聞くと、親を取り込まれたと感じ、知らないうちに遺言書を作成されて自分は相続から外されるのではないかと不安に思います。そうして、後見開始の申立て、親の取り合いや遺言書の書かせ合いなどに発展することもあります。
⑤ 母が死亡すれば(二次相続)、もう気を遣うべき親は存在しませんから、子らは、相続人としての権利を主張します。遺言書があっても、遺言無効を主張し、遺産分割になれば特別受益や寄与分を主張して紛糾する可能性が高くなります。
⑥ そうした紛争リスクを減らす方法の一つは、一次相続でも子らに相応の遺産を分配しておくことです。

【4】配偶者税額軽減のフル活用

① 配偶者が遺産を総取りする理由として、配偶者税額軽減を利用できるからとよく言われます。そこで、その合理性を検討してみます。

【4-1】一次相続での相続税の課税

① 例えば、遺産が1億6000万円で、妻、長男、次男の3人が相続人だとします。
② 簡略化(負債などなし、各種特例もなし)して計算しますと、課税相続財産は1億1200万円。
③ 法定相続分に応じた各相続人の負担額は、妻が980万円、子らは370万円となります。
④ 相続税の総額は、1720万円で、これを法定相続分通りで遺産分割すれば、長男と次男は430万円の税額になります。
⑤ 妻は、配偶者税額軽減により、課税されません。
⑥ これに対して、被相続人の妻が遺産全部を相続するなら、長男と次男は相続税は0円となり、妻も、相続税は0円です。
⑦ したがってこの時点で課税されませんから「せっかくお父さんが貯めた遺産を税金に取られるのはもったいない」という目的を果たしたことになります。

【4-2】二次相続での相続税の課税

① しかし、二次相続迄考えると、合計の税負担は増える可能性があります。
② 前述の例で、一次相続では法定相続分通りに遺産分割し、その直後に母が他界した(二次相続)としましょう。そして母にはもともと1億円の固有財産があったと仮定します(母の遺産は1億8000万円)。
③ 子の母の遺産を二人の子が相続すると、課税相続財産は、1億3800万円。法定相続分に応じた相続税額は各1370万円になります。
④ 相続税の総額は2740万円となり、二人の子らは、一次相続と二次相続を併せて3600万円の相続税負担をすることになります。
⑤ これに対し、一次相続では母が遺産を単独相続していた場合(母の遺産は2億6000万円)、課税相続財産は2億1800万円、法定相続人の法定相続分に応じた各相続人の相続税額は2660万円となり、相続税額の総額は5320万円となります。
⑥ そうすると、一次相続こそ相続税が課税されずに済みましたが、二次相続では5320万円の相続税を負担することになり、一次相続で法定相続分通りに相続した場合に比べると、1720万円多く相続税がかかることになります。

【4-3】数字のトリック

① 以上の試算は、もちろん仮定に仮定を重ねたものです。母の固定資産は5000万円かもしれませんし、2億円かもしれません。83歳の母の平均余命は約10年ですが、その間、介護付き有料老人ホームに入所していれば、その費用だけで優に3000万円以上の出ていくことになるでしょう。
② このように考えてみると、一次相続で母に遺産を集中させることは、母の財産が少なく、母が高額の施設に入所して長生きする場合には節税に寄与します。
③ 逆に、母の蓄えが多く、早くお亡くなりになる(又は倹約する)と想定すれば、より高額の相続税を招く可能性があるのです。
④ したがって、配偶者税額軽減をフルに活用できることは、二次相続での紛争のリスクを冒してまで配偶者が遺産を全部取得する決定的な理由にはなりません。