【任意後見制度】高齢社会を取り巻く制度 公的支援その他の仕組み3

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、高齢社会を取り巻く制度 公的支援その他の仕組み3について考えてみたいと思います。

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【3】地域包括支援センター

(1)地域包括支援センターの業務のあらまし

地域包括支援センターは、介護保険法の改正により、平成18年(2006年)4月1日に創設された機関であり、全国の市区町村に設置され、福祉等に関する総合的な相談窓口を設けています。
地域包括支援センターは、地域住民の心身の健康維持や生活の安定、保険・福祉・医療の向上、財産管理、虐待防止等様々な課題に対して、地域における総合的なマネジメントを担い、課題解決に向けた取り組みを実践していくことをその主な業務としています。

地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、ケアマネジャーが配置され、それぞれの専門性を生かして相互連携しながら、マネジメント業務のほか、相談業務、権利擁護業務にあたります。

(2)介護予防支援事業所としての役割

平成17年(2005年)の介護保険法の改正(平成18年(2006年)4月1日施行)は、団塊の世代が高齢者となる時期には、それまでの自己負担比率の増加といったような対症療法的な対応では限界が来るということを見越してのものであり、介護予防に軸足をおいた政策転換とみることができます。

しかしながら、こうした予防政策が効果を表すには時間がかかるため、要介護状態になる前の要支援者や、要支援者になる前のハイリスクグループに属する人(特定高齢者)を継続的にマネジメントする必要があります。そこで、新たに設置された地域包括支援センターは、要支援認定を受けた人の介護予防マネジメントを行う介護予防支援事業所としても機能することとなりました。

(3)総合相談窓口としての役割

高齢者や障害のある人が抱える問題には様々な事情が複合していることが多く、相談内容も多岐にわたることから、本人やその家族にとって、相談したい内容に的確に応えてくれる窓口がどこにあるかを探すことが困難な場合が少なくありません。

このような問題については、市区町村の各担当課や保健所、社会福祉協議会、あるいは弁護士会や日本司法支援センター(法テラス)等、様々な相談窓口ありますが、地域包括支援センターのような福祉に関する総合的な相談窓口が近くにあることは心強いことと思われます。

【任意後見制度】高齢社会を取り巻く制度 公的支援その他の仕組み2

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【2】介護保険制度

(1)介護保険制度のあらまし

介護保険制度は、高齢化や核家族化の進展等により、要介護者を社会全体で支える新たな仕組みとして、平成12年(2000年)4月1日に導入されました。介護保険制度は、介護を必要とする状況となっても自立した生活ができるよう、高齢者や特定疾病者の介護を国民全体で支える仕組みです。

老人介護費用の増大が見込まれる中にあって安定的な財源を確保する必要から、それまでの老人福祉サービスと老人医療サービスを整理再編成することにより、医療と介護の両面から高齢者や特定疾病者を支援する仕組みでもあります。

このほか、介護保険制度では、高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、総合相談・支援や権利擁護のための様々な仕組みが講じられています。

(2)介護保険制度の主体と対象者

介護保険制度は、健康保険や雇用保険と同じ社会保障の一つであり、40歳以上の国民が納める保険料と税金で運営されています。そして、その運営主体(保険者)は、市町村(東京は23区)であり、介護保険給付(要介護認定の申請)は被保険者である地域住民が保険者である市区町村に対して行うこととなります。

介護保険サービスが受けられるのは、65歳以上の寝たきりの人や認知症等の人(1号被保険者)と40歳から64歳までの人で特定の疾病により介護が必要と認められた人(2号被保険者)になります。保険給付の種類は、要介護認定で「要介護」と判定された人が利用できる介護サービスと「要支援」と判定された人が利用できる介護予防サービスとがあります。

「非該当」という判定であった人にも、要介護・要支援になるおそれがあれば、介護要望プログラム(特定高齢者介護予防事業)が提供されます。年1回の健康診断等を通じて、要介護・要支援になるおそれがないかどうか定期的なチェックが行われます。

(3)手続きのあらまし

介護サービスの利用にあたって、まず被保険者が介護を要する状態であることを公的に認定(要介護認定)してもらう必要があります。この要介護認定は認定調査の結果をもとに保険者によって行われますが、平成18年4月の介護保険法の改正により、要支援1と2の2段階、要介護1~5の7段階に分けられました。(要支援認定と要介護認定は区別され、要支援の場合、利用できる介護サービスが限定されます。)

これをもとに、どのような介護サービスを組み合わせて利用するかコーディネートするのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。そしてその結果に基づき、デイケアや訪問看護を行っている施設において、ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護プランをたて、それによって、介護保険を利用した介護が受けれることになります。

(4)介護認定の手続き

介護保険は、社会保険の一種として、国民に一般に生じる疾病、老齢、失業、災害等の際に必要な給付を行うという政策目的を達成するために、個々の加入契約ではなく、法律により強制的に保険契約を成立させるものです。

保健者は市区町村であり、介護保険給付(要介護認定の申請)は、被保険者が保険者である市区町村に対して行うこととなります。保険給付の種類は、要介護状態の人が利用できる介護サービスと要支援状態の人が利用できる介護予防サービスとがあります。

介護認定の具体的な手続きは、先ず市区町村に対し、介護保険制度の要介護者として認定してくれるよう必要書類を提出することから始まります。その書類に基づいて調査員が家庭訪問したり、介護の必要な本人に面接したりして、実際に介護を要することを確認し、調査報告書を認定委員会に提出します。

認定委員会によって、要介護の度数や介護保険負担限度価額の認定が行われ、要介護の度数の記入された介護保険被保険者証が発行されます。それをもって、デイケアや訪問看護を行っている施設において、ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護プランをたて、それによって、介護保険を利用した介護が受けられることになります。

このような手続きについては、契約締結能力に疑問のある判断能力の不十分な人は、成年後見制度を利用し、成年後見人等を代理人として契約を締結することになります。介護保険制度と成年後見制度が同時に運用を開始したのは、このような点を意図してのことと思われます。

【任意後見制度】高齢社会を取り巻く制度 公的支援その他の仕組み1

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【1】希望をかなえる制度の選択

(1)高齢化問題への対応

超高齢社会においては、年金、医療、福祉はもとより、社会構造そのものの変革が求められています。本来であれば、喜ばしいことであるはずの長寿が、核家族化との進展と相まってか、今日では、老後の生活、とりわけ医療、介護等の問題が大きな不安要因となっています。

したがって、社会構造等という社会全体の大きな枠組みの問題を持ち出すまでもなく、高齢者を巡る様々な課題については、国民一人一人が、身近な共通の問題として真剣に向き合わなくてはならない時代となっています。

(2)福祉サービス提供者との契約

超高齢社会に突入した今日、多くの人が様々な形態の福祉サービスを利用していますが、今後、この傾向はさらに進むことになると思われます。
この福祉サービスについては、平成12年(2000年)4月1日の介護保険法の運用開始により、それまでの行政措置によるものから契約に基づくものへと変わりました。
その結果、高齢者等の福祉サービスの利用者は、それまでの受動的な行政措置を受けるという立場から、自由な意思に基づく選択により、福祉サービス提供者(事業者・施設運営者等)と対等な立場で契約をするという立場へと変わりました。

したがって、契約を結ぶことのできる能力に疑問のある高齢者が福祉サービス提供者と対等な立場で契約を結ぶためには、成年後見制度を利用し、成年後見人等を代理人として契約を結ぶことになります。

(3)ライフプランの策定

成年後見制度の大きな柱の一つである任意後見制度は、判断能力が十分にあるときに、自分自身の将来の姿を思い浮かべながら、自らの生き方を託す人を自らの意思で選択するという制度です。そのような意味において、任意後見制度は「老い支度」ないしは「老後の安心設計」と評されています。

しかしながら、この任意後見制度を利用するとしても、当然のことながら、この制度についても、メリット・デメリットがあり、ひいては、できることとできないことがありますので、そのような意味においては、介護保険制度やこれに関連する日常生活自立支援事業その他の制度の利用をも視野に入れつつ、自分自身にあったライフプランを策定するということが、極めて重要となります。

≪ライフプランの具体例≫

・体が動かなくなったら、○○施設に入所を希望したい。
・さらに介護が必要になった場合は、○○を指定します。
・内科は○○病院、耳鼻咽喉科は○○病院、外科は○○病院を指定します。
・体が動かなくなったら、一戸建てだと手が回らないので、一戸建てを売ってマンションに住みたい。
・生活費として、○○銀行から、毎月〇万円を引き落として欲しい。
・死亡保険の受取が妻となっているが、妻が私より早く死亡した場合は、受取人を○○に変更して欲しい。
・証書等(健康保険証・年金手帳等)は金庫に保管して、番号は○○○です。適正な管理をお願いしたい。
・体が動かなくなったら、ペットの世話は○○さんにお願いしたい。
・墓参りの代行を○○さんにお願いしたい。
・墓参りを年〇回お願いする。
・延命治療はしないで苦痛が少ない治療のみにして欲しい。
・毎年、地域の○○神社で9月の第1周日曜日にお祭りがあります。子供の時から楽しみにしておりました。是非、○○さんに連れて行ってもらいたい。
・葬儀は○○葬祭場、墓地は〇〇墓地にお願いしたい。
・遺体は医療の発展のため、○○会に献体をお願いしたい。
・亡くなったあと、臓器は臓器移植希望者に提供して欲しい。
・墓に入りたくないので、遺灰は故郷の○○の海にまいてほしい。
・子供・孫に手紙を書いたので、それぞれに手紙を渡して欲しい。
・病名や余命の告知は、○○と○○だけに知らせて欲しい。
・家族や友人の連絡リストの作成。私が亡くなったら、それぞれに連絡をお願いします。
・私は○○大学の学者でした。蔵書が数万冊あるので、死後は○○資料館に寄贈してほしい。

【任意後見制度】高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度に代わる法的な仕組み4

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【2】法人に財産を管理させるという仕組みの活用

(1)営利事業の承継の仕組み

自分が存命のうちは、自分が利益(営利事業の収益)を享受し、死んだ後も子々孫々まで事業を確実に承継させるということを目的とするのであれば、発起人が一人でも設立できる株式会社(会社法25条以下)を新たに設立して、その経営者に信頼できる者を据えるという方法が、より割り切った分かりやすい選択肢といえるでしょう。

要するに、これまで「A青果店」として個人事業を営んできたAさんが、老後に備えて「株式会社A青果店」を設立し、後継ぎであり、自分のめんどうを見てくれる次男を社長(取締役)に据えるというやり方です。

前に述べた民事信託は、制度が出来上がったばかりで、その法的効果や課税関係などに未確定な部分があります。そのため、設立が簡単であり、法律関係も明確な株式会社に事業を承継させ、あわせてその経営者に自分への介護を義務付ける方が、民事信託より安全確実といえるかもしれません。

移行型任意後見契約を結ぶ際、受任者を上記の会社と定める方法も考えられます。
もちろん設立する会社は営利事業を営むものでなければなりませんが、高齢者が現に営む営利事業(上記の例では青果業)を新会社設立の第一の目的とし、これに加え、目的の一つに「移行型任意後見契約に基づく事務」を規定しておけばよいのです。

なお、平成20年10月施行のいわゆる経営承継円滑化法により、中小企業の事業を円滑に子供や弟・妹等に承継させるための仕組みがスタートしています。この仕組みは、生前贈与の株式を遺留分の対象から除外又は株式評価額を固定することや、非上場自社株式の係る相続税・贈与税の納税猶予などにより、現在の事業主が健康なうちに事業承継をスムーズに行える仕組みとして注目されています。

ただ、関係者の同意を得るのが難しいことや、株式評価額を固定してしまうことのリスクが嫌われ、実際にはあまり活用されていないのが現状のようです。

(2)非営利事業承継の仕組み

①自分の生存中は移行型任意後見の事務をその法人に委ね、自分の死後は、知的障害のある子供あるいは妻の介護費用を確保しつつ、その死後は財産を特定の孫に託したい場合であるとか、②もっと広く、先祖代々の墓地や祭祀、さらには家宝などの先祖伝来の資産をしっかりと管理し、承継したいというのであれば、営利を目的としない一般法人を設立する方法によることも考えてよいように思います。

その場合の法人設立手続きについては、一般社団法人及び一般財団法人の定款の記載例が、日本公証人連合会のHPに記載されており、また法人登記手続きについては「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)の施行に伴う平成20年9月1日付法務省民商第2351号法務省民事局長通達及び平成20年9月22日付法務省民商第2529号法務省民事局商事課長依命通知が法務省HPに掲載されています。

【任意後見制度】 高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度に代わる法的な仕組み3

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【1】信託制度の活用

(7)遺言代用信託の具体的活用方法

Aさんが自分の財産の全部を信頼できる第三者Bさんに移転した上、Aさんが存命中はAさん自身が受益者となって利益を享受し、Aさんの死後は、その妻あるいは子供など特定の人を受益者と指定しておくという信託契約を結ぶことが可能です。

そうすれば、遺言をしたのと同様に、死後自分の意思に基づいた財産の分配を達成できることになります。ただ、このような契約をした場合でもAさんに認知症等の症状が現れたときに、間違いなくAさんがBさんから受益を続けられるかどうか、やはり心配となるかも知れません。そのような心配があるのなら、信託契約を結ぶ時点で、受益者Aさんの代理人すなわち「受益者代理人」として、Cさんを選任しておくことが可能です(信託法139条1項)。

つまり、高齢者Aさんが、「体も不自由になってきたし、将来認知症が現れたときに備えて、Cさんに受益者代理人をお願いしておきたい。」と思うのであれば、まず、AさんとCさんの間で、移行型任意後見契約を締結しておきます。内容は、Cさんに①「Aさんを代理して第三者と遺言代用信託契約を結ぶ権限を付与する」としておき、その上で②「Cさん自身が、その遺言代用信託契約についての受益者Aさんの代理人となる権限を授与する。」と規定しておきます。
そうすれば移行型任意後見契約の受任者が遺言代用信託の受益者代理人を兼ねることができ、スムーズな運用が見込めることになります。

なお、受益者代理人(Cさん)を選任する場合、そのCさんの死亡に備えて別の代理人(Dさん)を選任しておくのが妥当なことは、任意後見契約における受任者の場合と同様です。この場合、遺言代用信託契約に「(1)受益者代理人は、C及びDとする。」として上、「(2)受益者代理権は、もっぱらCが単独で行使するものとし、Cが死亡し、またはCに支障があるときは、Dが単独で行使するものとする。」と規定しないと、常にCさんとDさんが共同して権限を行使しなければならないという面倒な関係になってしまう(信託法139条3項)ので、注意が必要です。

(8)受益者連続信託

任意後見契約と併用する遺言代用信託は、Aさんが自分の財産を第三者Bさんに移転した上、Aさんが存命中はAさん自身が受益者となって利益を享受し、Aさんの死後は、「特定の人」例えばAさんの妻、あるいは子供を受益者として指定しておくという信託契約でした。この特定の人(受益者)が死亡すると、順次他の者に新たな受益権を発生するという仕組みを作っておくことにより、相当長期にわたる信託を行うことが可能になります(信託法91条)。これを受益者連続信託と言います。この手の信託を移行型任意後見契約と組み合わせることも可能です。

自分が築いた事業を孫の代まで確実に承継させたい場合(事業承継信託)や、自分の死後、高齢の妻あるいは障害のある子供の介護活費用、あるいは無償で居住する場を確保しつつ、その死後は財産を特定の孫に託したい場合(いわば、介護支援信託ともいうべき形態)に有効であると予測されます。

この場合、信託の時期は無制限(未来永劫)というわけにはいきません。存続期間は、「当該信託がされた時から30年を経過した時以降に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間」(信託法91条)とされています。

いずれ、信託期間が相当長期にわたることから、信託の受託者(Bさん)は、高齢化や病気が懸念される個人より、法人その他の団体の方が適していると言えましょう。
また、受益者指定権(信託法89条)の行使など、責任ある判断も、法人その他の専門家集団の方が適していると言えます。

また、必要に応じ、信託受益者の代理人や、信託監督人を置き、遺漏なく円滑な信託運営を図ることも必要となってきます。

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【1】信託制度の活用

(4)後見制度支援信託

最高裁判所は、信託銀行等と連携した「後見制度支援信託」の活用を図っています。これは後見制度を本人の財産管理で支援するための信託で、後見人が家庭裁判所の発行する「指示書」にもとづき、本人の現金や預貯金に関して信託を活用して管理するようにさせようというものです。

(5)遺言による信託

信託は、委託者と受託者との契約のみならず、遺言によって設定することもできます。また、遺言では、自分自身の為だけでなく判断能力に問題のある家族を受益者として設定することにより、自分の死後においても、家族の安定した生活保障等のために利用することができます。

信託銀行等財産管理を専門とする法人を受託者とする遺言をすることにより、継続的、長期的な財産管理が可能となり、第三者から不当な財産侵害を受けるというリスクを軽減することができます。
この場合には、あくまで財産管理についてのみということになりますので、障害のある子どもの身上監護等を委ねる場合には、別に後見人を選任しておくということが必要になります。

また、信託設定の遺言を作成しても、遺言で指定された受託者が信託引受を拒否すれば信託は成立しないこととなるため、遺言による信託の場合には、あらかじめ、受託者となるべき者と詳細な取り決めが必要となります。

ここで注意しておいてほしいことがあります。それは、「信託銀行等の行う[遺言信託]」についてです。
信託銀行等は「遺言信託」といって業務を行っていますが、これは「遺言信託商品」ともいうべきものであり、正確には「遺言に関する信託」というものです。信託銀行等が顧客の依頼に応じて遺言証書作成に関する業務、遺言証書保管に関する業務、あるいは遺言執行に関する業務を行う手続きを行うというもので、「遺言による信託」とは全くの別物です。

(6)遺言代用信託

信託によって、受託者の管理・処分という方法を活用することにより、自己の生存中は自らを受益者として生活や療養のために必要な金銭のみの支給を受けることとし、死亡後は家族を「死亡後受益者」として自己の死亡後の財産分配を達成することも可能となります。
また、特定の財産権を受託者から特定の受益者に移転するようにして財産の承継を図ることも可能となります。このような信託を「遺言代用信託」といいます。

このように、信託にあっては、財産が不動産である場合には受託者名義に移転され、金融資産である場合でも受託者のもとで運用管理されます。
勿論受託者の固有財産となるわけではありませんが、受託者には、信託の目的の範囲内において幅広い自由裁量が認められることから権限濫用というおそれがないわけではありません。

したがって、信託制度を利用する場合には、受託者の堅実性、ひいては受託者に対する高い信頼が必要になります。信託法では、受益者保護のための制度として信託監督人や受益者代理人といたものを定めていますので、これらの制度を併用することも考慮してよいと思われます。

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【1】信託制度の活用

(1)信託の仕組み

信託というと、信託銀行が取り扱っている投資信託や、貸付信託を思い浮かべがちですが、「遺言代用信託」や、「受益者連続信託」など、私たちの老後を支える新しい法的な仕組みが、平成18年の信託法及び信託業法の大改正によって誕生しています。

(2)福祉型信託

信託のうち、高齢者や認知症、知的障害、精神障害等の精神上の障害により判断能力が不十分な人を受益者として財産の管理や生活の支援等を行うことを目的とするものを福祉型信託といいます。この福祉型信託は、それぞれのライフステージに応じて、財産の保全、管理、活用、承継といった幅広い活用方法があり、任意後見制度の利用だけでなく、このような信託制度を利用することにより自分の望み、願を叶えることができます。

判断能力が不十分となったような場合に備えて、契約によって信託を設定しておけば、自己の財産について適切な管理や承継を図ることができます。
信託により受託者に財産を移転し、自分や家族のための生活や療養のために必要な金銭のみの支給を受けることとすれば、第三者から不当な財産侵害を受けることがなく、自分の浪費から財産を守ることさえ可能になります。

(3)信託制度の具体的活用方法

「信託」は、読んで字のごとく、相手を信じて自分の財産などを相手に託するという仕組みなのですが、この仕組みを理解していただくために、高齢者(委託者)が、信頼する相手方(受託者)に老後を託することを念頭に置きながら、信託制度の基本について簡単にお話しします。

信託の特徴は、第一に、高齢者は自分の財産の名義を相手に移してしまうことにあります。これまで説明してきた移行型任意後見制度に含まれる「財産管理契約」では、所有者名義は高齢者に残したままで、「代理」という制度を利用して、高齢者の財産の管理を委任するという仕組みが通常ですので、この点で、信託制度と任意後見において通常想定されている財産管理の仕組みとは決定的な違いがあります。

もっとも、新たに導入された自己信託の仕組みにおいては、少なくとも見かけ上は財産の移転はなく、この特徴を持ちません。より柔軟な仕組みを目指した結果であり、信託制度の理念を推し進めたものと言えます。

第二に、信託を受けた相手方(受託者)が、高齢者から名義移転を受けた財産を散逸させないよう、厳しく規制する仕組みになっているという特徴が挙げられます。

第三に、受託者は、高齢者から財産の名義移転を受けて、あたかも自分の財産のように管理することとなりますので、高齢者がその後、認知症等になったり亡くなったりしても、理屈の上では信託関係を続けることが可能となるという特徴があります。

これまで説明してきた普通の移行型任意後見制度に含まれる「財産管理契約」では、高齢者に認知症等の症状が現れると、家庭裁判所の関与が必要となってきますので、任意後見契約に移行し、財産管理契約は終了してしまいます。

また、任意後見契約(そこでも普通は、財産管理事務を行うことが予定されています。)では、あくまで高齢者の財産をその名義のままで管理するかたちなので、高齢者本人が亡くなると、任意後見契約も終了してしまい、遺産は相続財産として管理されるようになります。その点が信託との大きな違いです。

このように民法上の財産管理制度ではできない機能を、信託では実現できるのですが、学者はこの機能を「転換機能」と呼んでいます。「遺言代用信託」や「受益者連続信託」は、この転換機能を上手に活用することにより、高齢者の行く末の不安を解消しようとする仕組みといえます。

【任意後見制度】 高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度と併用する法的な仕組み4

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【3】遺言の併用

(4)障害のある子の監護事務を負担する遺言等

重い障害や精神障害など、障害のある子を抱えている人は、自分が元気なうちはそのような子に対して有形無形の支援をすることが可能ですが、死亡後にはそのような支援ができなくなります。そこで、自分の死後に備え、遺言により、そのような障害をもつ子の生活のために、相続分を多くするように指定したり、そのような子の世話をすることを条件に特定の相続人や第三者に財産を遺したりするよう定めておくことが考えられます。

自分の死亡の場合だけでなく、自分の判断能力が欠けた場合にも同様の問題が生じますので、信頼できる人と任意後見契約を締結することにより、自分の代わりに家族のために財産を処分したり福祉サービスを受ける契約をしたりするように定めておくことも考えられます。

このような場合にも遺言と任意後見契約を併用することにより家族の支援を継続して行うことができるようになります。

重い身体障害や精神障害など、障害のある子の親が亡くなった後に備えるものとして、遺言、生前贈与、死因贈与などがあります。ここでは遺言の一例を示します。

遺言公正証書

第1条 遺言者Aは、下記建物(以下本建物という。)その他、遺言者に属する財産をすべて、次条以下に記載の負担を付して、B(昭和〇年〇月〇日生、住所・・・。以下「受遺者B」という。)に遺贈する。

記(不動産の表示は省略)

第2条 受遺者Bは生涯にわたり、遺言者の長女C(昭和〇年〇月〇日生。以下「長女C」という。)を身上監護すること。

第3条 本建物には長女Cを無償にて居住させること。

第4条 受遺者Bは、遺贈を受けた財産が自己のものであることを理由に長女Cに対し、家賃その他の請求をするなどの行為をしないこと。

第5条 受遺者Bが長女Cより先に死亡した場合に備え、受遺者Bは、その相続人で本建物を承継する者に、第2条ないし第4条の受遺者Bの負担を本建物を相続したことによる財産的利益の限度において引き継がせることを希望する。

第6条 遺言者Aは、この遺言の執行者として、受遺者Bを指定する。

(5)福祉施設や慈善団体等への遺贈

自分には、もう家族はいないが、入所している福祉施設には親身になって世話をしてくれる人がいるという高齢者も少なくありません。そのような高齢者が福祉施設などに恩返しがしたいとの理由から福祉施設、慈善団体等へ財産を遺し、社会に貢献したいと考えることも少なくありません。このような希望を実現するためには、財産を特定の福祉施設等に遺贈するという内容の遺言を遺す必要があります。

遺言では、自分の希望を実現するために遺言執行者を指定する他、慈善団体等によっては不動産の寄付を受付けないとするところもあるようなので、遺贈を受けてもらえるのか、その使途について指定できるかなどを事前に確認しておくのが望ましいと思われます。

(6)遺言における付言事項

法律に定められていない事項を遺言で付言することをいいます。法律に定められた事項は、遺言に記載されれば、法的な効力が生じますが、付言事項は、法定外の事項として、法的効力は生じませんが、遺言者の意思として尊重され、結果的に相続人等によって遺言者の希望などが実現されることはあります。

公正証書遺言の実務では、遺言者から様々な内容の付言がなされますが、通常、遺言書の末尾に記載されます。
代表的な事項としては、葬式や法要の方法、遺体の処置、遺言内容についての遺言者の考え、家族の幸福を祈る気持ち、兄弟姉妹が協力し合うことなどの希望が付言事項として記載されます。

【任意後見制度】高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度と併用する法的な仕組み3

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度と併用する法的な仕組み3について考えてみたいと思います。

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【3】遺言の併用

(1)遺言とは

遺言とは、自分の死後の法律関係を定める最終の意思表示です。民法の定める法定相続とは別に、自分が生涯かけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効かつ有意義に活用してもらうために行なう意思表示であり、人生の集大成ともいうべきものです。

遺言をするのは、自分の家族に争いや不満を遺さないようにするということが考えられます。遺言がないために、相続をめぐり親族間で争いの起こることが少なくありません。今まで仲の良かった人たちが、相続財産を巡って骨肉の争いを起こすことほど悲しいことはありません。

遺言はこのような悲劇を防止するため、遺言者自らが、自分の残した財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止しようとすることに主たる目的があります。
その他にも、個々の相続人にそれぞれ必要な財産を相続させたい、特定の子に事業を承継させたい、介護の必要な子のために財産を遺したい、同居している子に建物を遺したい、老後の世話をしてくれた人に報いたい、相続人以外の人に財産を分けたい、慈善団体に財産を遺し社会に役立てて欲しい、葬儀や埋葬方法等を定めておきたい等々が考えられます。このような様々な願いや想いを形にするのが遺言です。

(2)遺言と同時に任意後見契約を結ぶ

遺言によって、死後の財産管理・財産処分等を行うとして、生前中の財産管理等は自分で行うにしても、認知症等の精神上の障害によって判断能力が欠けた場合には、自己の財産管理等ができないこととなります。そのような場合に備え、自分の最も信頼できる人に対して財産管理や身上監護等を委ねる契約をするのが任意後見制度です。

遺言と任意後見制度とは、まったく異なる制度ですが、ともに自己決定権を最大限に尊重したものであり、民法の私的自治の原則に適う制度ということができます。自分の死後における財産の管理、処分、承継については遺言によって決定することができますが、自分の認知症等により判断能力を失ってしまった場合の財産の管理、処分をどうするのか、という点に関心を払うことは当然に必要なことです。

(3)典型例

任意後見人は、任意後見契約において定められた事務を処理する義務があり、任意後見契約の契約条項に定めがなくとも、善管注意義務(任意後見契約法7条4項、民法644条)や任意後見契約法6条に規定する配慮義務があります。

移行型任意後見契約の場合、本人の世話をする任意後見人(受任者)になる人は、親族がもっとも多く、しかもかなりの人たちが無償で引き受けているのが現状です。
親族が任意後見人(受任者)を引き受けている場合は、本人の財産管理、身辺配慮、さらには任意後見監督人への報告などの法律や契約で定められた事務のほか、現実には、身の回りの世話など、親子や親族の情に基づいて無償の奉仕をすることが多いわけですから、世話をしてもらう立場の本人が、自分の老後の世話をしてくれたその親族(任意後見人・受任者)に対し、自分の遺産のすべて又は一部を遺したいという気持ちは、自然の情愛といえます。そのためか、移行型任意後見契約の締結と遺言書の作成を公証役場で同一の機会に行なうという例が多いといえます。

さらに親しい友人や近隣住人に任意後見人(受任者)になってもらい、そのお礼に財産の一部又は全部を遺すという遺言も少なくありません。
そのような場合であっても、遺言内容は、通常の遺言と変わらないのが普通です。
遺言それ自体は、正確性・明確性を期するために、味気ない文言になってしまいます。そこで、任意後見人(受任者)になってもらった親族(相続人・受遺者)に感謝の意を表するために、遺言には、それぞれの生の言葉で、「お礼の言葉」を付言事項として付け加えるのがよいかと思います。

任意後見受任者は、重要書類の一つとして本人の遺言書も管理することも多いと思われます。ところが、遺言内容を受任者に知られると受任事務のやる気を低下させるおそれがあり、あるいは、世話をしてもらう本人との間が気まずくなる可能性がある場合もあるかと思われます。

その場合は、遺言の内容を知られないよう、秘密証書遺言(民法970条)によることもできます。
秘密証書遺言は、自筆でなくともよいので、司法書士や行政書士が代筆する例も少なくありません。

【任意後見制度】高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度と併用する法的な仕組み2

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度と併用する法的な仕組み2について考えてみたいと思います。

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【2】死後事務の委任契約の併用

任意後見契約の3つの類型、すなわち将来型、即効型、移行型のいずれの契約を結ぶ場合であっても、それとは別に、任意後見事務を委任した高齢者が亡くなった後を適切に事務処理することをも、受任者(任意後見人)にお願いすることができます。

本人(委任者)が死亡すると、委任契約である財産管理契約及び任意後見契約(さらに準委任契約も)は終了するのが原則です(民法653条1号)。そうすると、その後は、受任者は、委任事務の処理を本人の相続人等に引き継ぐことになります。この場合、本人が死亡後の病院の支払や葬儀、永代供養料の支払等についても委任しておきたいという希望がある場合に、そのことはかなえられるのでしょうか。

(1)これに関しては、入院中の諸費用の病院への支払、自己の死後の葬式を含む法要の施行とその費用の支払、入院中に世話になった家政婦や友人に対する応分の謝礼金の支払を委任する契約は、当然に、委任者の死亡によっても契約を終了させない旨を包含する趣旨のものであり、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものではない、とする判例があります。

そうすると、本人(委任者)が死後の事務処理等を受任者に委任することは可能であり、「財産管理契約及び任意後見契約」と同一の公正証書に別個の契約として委任事項を記載しておくことによって、本人の死亡後であっても、委任契約に基づき、受任者によって本人の依頼事項が実現されることになります。
その他、将来型や、即効型との併用も、もちろん可能です。

(2)死後の事務委任に関しては、さらに、「委任者は、自己の死亡後に契約に従って事務が履行されることを想定して契約を締結しているから、その契約内容が不明確又は実現困難であったり、委任者の地位を承継した者にとって履行負担が加重であるなど契約を履行させることが不合理と認められる特段の事情がない限り、委任者の地位の承継者が委任契約を解除して終了させることを許さない合意を包含する趣旨と解することが相当である」とする高裁判例があり、これによれば、特段の事情がない限り、本人(委任者)の地位の承継者である相続人等も委任契約を解除することができないとしています。

(3)以上述べた通り、死後の事務も委任契約ないし準委任契約として有効であり、特約として財産管理契約とは別契約として公正証書の中に記載することができます。この点からも「移行型」は高齢者など委任者の要望を満たすものであり、有利であると言えます。
なお、死後の委任事務は任意後見事務との連続性はないので、財産管理契約及び任意後見契約とともに一つの公正証書中に記載することはできますが、代理権目録には記載することはできませんし、強行規定である任意後見契約法による任意後見契約の中に盛り込むのは疑義があります。別契約とするのがよいでしょう。

死後の事務の内容としては、本人の生前に発生した債務の弁済(治療費、入院費、家賃の支払、光熱水費の支払等)、入院保証金、入所一時金、その他の残債務の受領、自身の葬儀、埋葬、寺・宗派・墓の指定、お布施の指定、永代供養、年忌法要を行うこと、檀家料の毎年支払額の指定、ペットの世話、身の回りの衣類等の廃棄処分等について、依頼することができます。

本人(委任者)の死後、長期に及ぶ事務については、受任者が途中で死亡してしまうことも考慮しなければならないので、そのような場合は、成年後見人及び後見監督人の職務に積極的に取り組んでいる公益社団法人成年後見センターリーガルサポート(司法書士会)や公益社団法人成年後見支援センターヒルフェ(行政書士会)などの法人を受任者にすることも考えられるでしょう。