【後見制度について】所有不動産を活用したい「財産管理をする上での注意点」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「所有不動産を活用したい。財産管理をする上での注意点」を考えてみましょう。

【Q】父(75歳)は、脳出血で寝たきりとなり、介護付施設で生活しています。母は早く亡くなり、父は施設に入る前には、所有する一軒家で一人暮らしをしていましたが、今後ここに戻る見込みはありません。父は、自宅のほかにも複数の不動産を所有しており、そのうち賃貸マンションは自分で管理していましたが、賃借人がいまはいない家や更地もあります。賃料収入などがあるので資産は1億円ほどありますが、不動産をそのまま放っておくのもどうかと思い、それなりに不動産を活用したほうが良いと思いますが、どうしたらよいでしょうか。

【A】

・最初にすることは

お父さまは、介護付の施設に入所しておられますし、財産も潤沢ですので、生活面での心配はないと言えます。しかし、これまでご自身で管理していたマンションの経営を継続することは難しくなっているようです。遊休資産も荒れれば近所迷惑となりますし、放っておくわけにもいきませんので、何らかの対応が必要となるでしょう。お父さま自身は、現在、自分で財産を処分する能力はないと考えられますので、このような場合の財産の管理や処分は、裁判所に成年後見人を選任してもらい、後見人が判断することになります。

・賃貸マンションの管理

賃貸マンションは、重要な資金源でしょうから、きちんと管理して収入を確保するのが最も適切とされる場合が多いと思います。そのように対処する後見人も多いと思われます。ただ、マンションが老朽化していて、借り手がいないなどの場合は、修繕が必要となりますし、さらには売却するということも考えられるでしょう。

・遊休不動産の活用

賃借人のいない家やマンションなどは、賃貸が可能であれば賃貸にまわすということが考えられます。また、更地は駐車場にするなどして、土地が荒れるのを防ぐ一方でそれなりの収益を出す方法も考えられます。成年後見人は事業家ではありませんので、大きな収益を期待するべきではないでしょうが、どのような資産運用が可能か、親族ともよく話し合っていくのがよいと思われます。

・不動産の売却

それでは、不動産を売却する場合には、どうなるのでしょうか。被後見人が複数の不動産を持っている場合、被後見人が居住していた不動産(居住用不動産)を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要ですが、そうではない不動産の処分については、許可は不要ですから、売却して現金化することが可能です。つまり後見人のみの判断で居住用不動産以外の不動産は処分できます。

しかし、後見人としては、許可が不要だからといって、どんどん財産を処分していいとは言えません。後見人には民法の委任の規定が準用されますので、善管注意義務が課せられています(民法852条による民法644条の準用)。善管注意義務とは、善良なる管理者の注意義務のことで、財産管理にあたっては、他人の財産として自分のものよりもより一層大切に管理すべきとされているのです。また、不正行為や著しい不行跡があるなど、後見の任務に適しないときには後見人を解任され(民法846条)、その行為により被後見人に損害を与えた場合には、損害賠償の責任が生じます(同709条)。また財産管理にあたっては、被後見人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮する義務もあります(同858条)。

したがって、被後見人の財産を処分する場合には、処分の必要性や財産のバランスなどを十分考慮したうえで慎重に行うようにしなければなりません。例えば、複数の不動産を処分する場合に、賃料収入のあがるアパートと住む者もなく管理費がかかる不動産があれば、処分によって得る金額の必要性なども考慮し、問題がなければ賃料収入のある方を残すなど、適正な処理が求められます。

・親族の意向

お父さまがお持ちの家が、子どもたちの育った家であった場合など、遠くない将来、被後見人を相続する者としては、売却は望まないというようなこともあると思います。居住用以外の不動産の処分は後見人の権限に属しますので、親族の意向が必ずしも常に後見人の判断に反映されるとは限りません。しかし、このような場合、子どもたちが望まないことを被後見人であるお父さまが強く望むというわけでもないでしょうから、被後見人の意思を考慮する意味でも、より望ましい財産管理がなされるような工夫も大切です。

いずれにせよ、後見制度は、被後見人がより良い生活を送るためにある制度ですので、後見人と、被後見人の関係者たちはよく話し合うことが必要です。なお、居住用不動産を処分する場合としては、第三者への賃貸、使用貸借(無償で誰かに貸すこと)、家屋の取り壊し、抵当権の設定などがあり、これらの行為をする場合には、家庭裁判所の「居住用不動産処分許可」が必要になります。

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