【成年後見制度に関して】私たちにもできることがある!「障害者虐待を発見した場合どうするか?」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「私たちにもできることがある!「障害者虐待を発見した場合どうするか?」について考えてみましょう。

【Q】高齢者だけではなく障害者に対する虐待を発見した場合にも、通報する義務があると聞きました。それは本当でしょうか?具体的にはどのような行為が障害者虐待に当たるのでしょうか?通報によって不利益を受けることはありませんか?

【A】◆虐待事例

障碍者福祉施設に入所していた障害者が、布団にす巻きにされるなどの体罰を受けたり、過剰な薬物投与を受けていたことが発覚して、その施設が解散に追い込まれたことが、過去にありました。

また知的障害者を従業員として受け容れていた、会社の元社長が従業員である知的障害者に対し、性的暴行などを繰り返していたという事件が発覚し、社会問題化したこともあります。

このような深刻な事態を受け、家庭や障害者福祉施設、職場での障害者虐待を防止することを目的として、平成23年6月に、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が成立しました。法律の施行は平成24年10月1日です。

(注)障害者とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者で、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいうとされています(障害者基本法2条1号)。成年後見制度と関係するのは、知的障害者と精神障害者ですが、「障害者」と言った場合には、身体障害者・知的障害者・精神障害者が含まれます。

◆障害者虐待を発見したときも、通報するのが国民の義務

障害者虐待防止法では、①養護者による障害者虐待の場合、②障害者福祉施設従業者等による障害者虐待の場合、③使用者による障害者虐待の場合に、通報義務が課されています。法律では次のように規定されています。

①養護者による障害者虐待

「養護者による障害者虐待(18歳未満の障害者について行われるものを除く※)を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」(障害者虐待防止法7条1項)※18歳未満の障害者には、児童虐待防止法が適用され、通告の対象とされます。

養護者による高齢者虐待の場合は、高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じていない場合には、「通報するよう努めなければならない。」と通報の努力義務にとどめられていますが、障害者虐待の場合は、「通報しなければならない。」との表現で、より厳しい通報義務が課されています。

②障害者福祉施設従業者等による障害者虐待

「障害者福祉施設従業者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」(障害者虐待防止法16条1項)

③使用者による障害者虐待

「使用者による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」(障害者虐待防止法22条1項)

通報者の情報については、市町村に対し、法律で守秘義務が課されています。従って、通報しても、通報した人が特定される心配はありません。また、障害者福祉施設従業者等は、障害者福祉施設従業者等による虐待を通報したことを理由に、解雇その他の不利益な取り扱いを受けないとされています。使用者による虐待を労働者が通報しても、虚偽の通報等でない限り、解雇その他の不利益な取り扱いを受けないとされているので、ご安心ください。

◆立ち入り調査権

通報を受けた市町村に、立ち入り調査権があることは、高齢者虐待の場合と同様です。法律では、「市町村長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、障害者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該障害者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。」と規定しています。

◆虐待は殴る・蹴るだけではない⁈

高齢者虐待の場合と同じく、障害者虐待の場合も、虐待は、殴る・蹴るだけではありません。虐待の種類として、次の5つがあげられます。

①身体的虐待

②ネグレクト(障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置等)

③心理的虐待

④性的虐待

⑤経済的虐待

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