【相続・遺言について】遺言の開封、遺言執行者

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言の開封、遺言執行者について考えてみたいと思います。

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【Q】①先日父が亡くなり、父の遺品を整理していたところ、机の引き出しから「遺言書」と書かれた封がされている封筒が見つかりました。内容を確かめるために私が開封しても問題はないでしょうか?
②父の遺言の中身を、検認手続を経て確認したところ、遺言執行者として行政書士の名前が書かれていました。遺言執行者とは何をする人ですか?

【A】◆1.遺言の開封
自筆証書遺言の場合、法律では、遺言の保管者は、相続の開始を知った後遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないと規定されています。また、遺言の保管者がいない場合、相続人が遺言を発見した後、遅滞なくその遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければならないと規定されています。(令和2年7月10日以降に、法務局に遺言書を保管してある場合は検認は不要です。)

ご質問の遺言書は、お父様の自筆証書遺言だと思われます。机の引き出しから発見されたということですので、遺言の保管者はいないことになり、発見したあなたが、家庭裁判所へ検認を請求する必要があります。

問題はあなたが封を破り、家庭裁判所に提出できるかということです。
この点、法律では、封印されている遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することはできないと規定されています。中身を確認したいお気持ちはわかりますが、封筒に遺言書と書かれている以上、中身がお父さまの遺言書と推認できますので、開封しないまま家庭裁判所に提出し、検認手続を請求して下さい。
仮に、検認手続の請求を怠ったり、検認手続以外において封印された遺言書を開封してしまったりした場合には、5万円以下の過料に処せられます。

検認とは、家庭裁判所が遺言書そのものの態様を確認する手続で、遺言の内容や有効性などを判断するものではありません。実際の検認手続としては、お父様の生前の最後の住所を管轄する家庭裁判所において、裁判所が指定する検認期日(検認をする日)に、相続人らが呼び出され、相続人らの立会いの下、裁判官が遺言書を開封し、遺言の方式や状態を確認して現状を明確にすることになります。
ただし、遺言の執行をするためには、検認手続を経るだけでは足らず、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要ですので、家庭裁判所に対して、検認済証明書の申請をしてください。
自筆証書遺言の場合について説明いたしましたが、公正証書遺言の場合はこのような検認の手続はありません。

 

◆2.遺言執行者とは
検認手続きを経て遺言書の内容が確認されても、お父様はすでに亡くなられており、遺言の内容を記載の通りに実現する手続きを行うことはできません。そのため、遺言をした方に代わって、遺言の内容を実現させる、つまり遺言を執行する者が必要となります。遺言者に代わって遺言を執行する役割を果たすのが遺言執行者です。

相続法の改正により、遺言執行者は「遺言の内容を実現するため」、相続財産の管理や遺言の執行に必要な権利義務を有することが明記されました。
遺言執行者が就職を承認した場合には、直ちに任務を開始しなければなりません。そして、遺言執行者が任務を開始したときには、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知することが義務化されました。

相続手続における遺言執行者の権限は、とても強いものです。遺言執行者がある場合には、相続人であっても、相続財産の処分や遺言の執行を妨げるような行為をすることはできません。相続法改正によって、遺言執行者があるときに、相続人が相続財産について処分行為あるいは遺言の執行を妨げるような行為をしてしまうと、その行為は、原則として無効であることが明文化されました。

これまで、遺言執行者はやむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができないとされていました。しかし、相続財産や遺言執行業務が多様化・複雑化している昨今の状況を踏まえ、相続法改正では、遺言執行者は、自己の責任で、第三者にその任務を行わせること(復任といいます)が可能になりました。ただし、遺言者が遺言において復任を許さない意思表示をしていた場合には、遺言執行者がその任務を行わなければなりません。「自己の責任で」というのは、第三者が遺言執行事務を行うにあたり生じるリスクを、遺言執行者自身が負うということを意味します。これに対し、遺言執行者がやむを得ず、第三者に任務を行わせる場合には、遺言執行者が負う責任は、第三者の選任及び監督についての責任に限定されます。

なお、遺言執行者には、未成年者や破産者はなることができませんが、その他には資格や条件はありません。行政書士や弁護士に限らず、親族や相続人でも遺言執行者になれます。遺言において遺言執行者の定めがなく、遺言内容の実現のために遺言執行者が必要である場合には、相続人その他の利害関係人が、家庭裁判所に対して遺言執行者の選任を請求することができますから、必要があれば、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立をしてください。

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