【相続・遺言について】遺留分侵害額請求権行使の時期的制限

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺留分侵害額請求権行使の時期的制限について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】父が亡くなりました。既に母は他界しており、父の相続人は、私と弟2人だけです。父には預貯金はほとんどなく、私と一緒に住んでいた不動産が唯一の財産でした。
①父は生前、居住不動産を一緒に住んでいた私に残すという遺言を作成していました。父の死から1年半ほどが経過していますが、イギリスに住んでいた弟が、突然、自分にも「遺留分」というのがあるとして、不動産の価格相当分について私に支払うよう主張してきました。私は弟に支払わなければならないのでしょうか?
②父が亡くなる15年前に、私は父から一緒に住んでいた不動産を贈与されていた場合、弟の遺留分の侵害となるのでしょうか?

【A】◆1.遺留分侵害額請求権行使の時期的な制限
①で、弟さんが主張しているのは遺留分侵害額請求権という権利です。遺留分侵害額請求権を行使すると遺留分侵害額に相当する金銭の給付を目的とする債権が発生します。
①の場合で言うと、弟さんがあなたに侵害された遺留分相当額の支払いを求めることができるということです。

この遺留分侵害額請求権の行使については時期的な制限があり、民法上、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、相続の開始から10年と定められています。
「遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」とは、単に贈与や遺贈があったことを知った時ではなく、これに加えてこれらが遺留分を侵害するものであることを知った時とされています。

①では、お父様が亡くなられてからすでに1年半が経過しているとのことですが、弟さんがお父さんの死だけではなく、お父さんの「唯一の財産」である不動産をあなたに残すという遺言の内容を知り、これを知って1年が経過しているのであれば、遺留分侵害額請求権を行使することはできません。

たとえば、弟さんがお父さんの財産である不動産をあなたに残すという遺言を知っていたとしても、弟さんがお父さんの相続財産全体について不明で遺留分が侵害されているか否か不明であった場合や、弟さんがお父さんの相続財産が他にももっとあり遺留分は侵害されていないと誤信していた場合には、上記1年の期間制限にはかかりません。

したがって、弟さんが遺言の内容を全く知らない場合や知っていても遺言の内容がお父さんがあなたに残した不動産が「唯一の不動産」であることを明示しておらず弟さんがこのことを知らなかったり、お父さんに他に財産があると誤信している場合などは「遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」から「1年」が経過したとはいえず、弟さんはあなたに対して、遺留分侵害額に相当する金銭(この場合不動産価値の4分の1)について請求できることになり、あなたはこれを支払わなければなりません。

 

◆2.遺留分算定に含まれる特別受益の期間
相続人に対してなされた贈与については、特別受益(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本としてなした贈与)に該当する相続開始前10年間にされた贈与のみが遺留分の算定の基礎となります。
したがって②の場合、お父さんからあなたになされた不動産の贈与はすでに10年以上が経過しており、特別受益にあたるか否かに関わらず、遺留分を算定するための財産の価額に算入されません。よって、あなたが弟さんの遺留分を侵害している状態になっていないということになり、弟さんからの金銭の請求を拒むことができます。

コメントを残す