【相続・遺言について】遺留分侵害額の算定(各論)

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺留分侵害額の算定(各論)について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】先月父が亡くなりました。相続人は、兄、私、弟の3人です。
①父の遺産としては、土地(2000万円)と預貯金1000万円があります。父は「土地は兄に相続させ、預貯金は500万円を兄に、300万円を弟に、200万円を私に相続させる」という内容の遺言書を残していました。
この場合、私の遺留分及び遺留分の侵害額は、いくらになりますか?

②父の遺産として、土地(2000万円)、預貯金1000万円、そして借金600万円がありますが、父は「土地は兄に相続させ、預貯金は、500万円を兄に、300万円を弟に、200万円を私に相続させる」という内容の遺言書を残しました。
この場合、私の遺留分及び遺留分の侵害額は、いくらになりますか?また、父の借金全額を兄が返済した場合はどうなりますか?

③先月、父が亡くなりました。相続人は子供である兄と私の2人です。父の遺産としては、土地(各5000万円の価値)と貯金1000万円がありますが、他方で、4000万円の借金もありました。父がすべての遺産を兄に相続させるという遺言書を残していた場合、私の遺留分額及び遺留分の侵害額はどのように計算するのでしょうか?また、私は兄に対し、具体的にどのような請求をすることができるのでしょうか?

 

【A】◆1.①の場合(積極財産のみの場合)
結論:あなたの遺留分は500万円であり、遺留分侵害額は300万円です。

理由:まず、遺留分権利者に該当するのは、第三順位である兄弟姉妹以外の相続人となります。したがって、あなたは遺留分権利者です。

そして、遺留分算定のための財産の価額は、相続開始時に被相続人が有した財産の価額に、被相続人が贈与した財産の価額を加えた額から被相続人の債務全額を控除したものとなります。ですので、父の遺産である土地の価額2000万円と預貯金1000万円の合計額である3000万円が遺留分算定のための財産の価額となります。

そして、遺留分権利者が直系尊属以外の者である場合、遺留分は遺留分算定のための財産の価額の2分の1に遺留分権利者の相続分を乗じた額となります。ですので、あなたの遺留分は500万円となります。

そして、遺留分侵害額は、遺留分から、遺留分権利者が受けた特別受益、遺贈及び取得すべき遺産額を控除し、遺留分権利者が承継する債務の額を加算したものとなります。あなたは相続により200万円を得ています。したがって、あなたの遺留分侵害額は、これを控除した300万円となります。

 

◆2.②について相続財産の中に債務がある場合)
結論:あなたの遺留分は400万円であり、遺留分侵害額は400万円です。そして、お兄さんがお父さんの債務全額を返済した場合、お兄さんはあなたに対して、遺留分侵害額400万円のうち200万円について支払いを拒否することができます。

理由:まず、遺留分算定のための財産の価額は2400万円です(土地の価額2000万円+預貯金1000万円-借金600万円)。そして、あなたの遺留分は400万円になります。(2400万円×1/2×1/3)
これから、相続により得た200万円を控除し、相続債務である200万円(600万円×1/3)を加算した額である400万円が遺留分侵害額になります。

そして、遺留分侵害を理由とする金銭給付の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者の負担する相続債務について弁済等の債務消滅行為をしたときは、消滅した相続債務の額の限度において、自己の負担する金銭給付義務の消滅を請求することができます。この点は平成30年改正で加えられた規定です。
そのため、お兄さんがお父さんの債務全額を返済した場合、お兄さんはあなたに対して400万円のうち、200万円について支払義務の消滅を請求することができます。

 

◆3.③について(相続人1人にすべてを相続させる旨の遺言がなされた場合)
結論:あなたの遺留分侵害額は500万円であり、お兄さんに500万円の金銭を支払うよう請求することができます。

理由:遺留分算定のための財産の価額は、2000万円になります(土地の価額5000万円+貯金1000万円-借金4000万円)。そして、遺留分は500万円になります(2000万円×1/2×1/2)。
そして、遺留分侵害額も500万円になります。
この点前記「◆2.」の計算によれば、2000万円を加算すべきとも考えられます(借金4000万円×1/2)。

しかしながら、判例は、相続人の1人にすべての財産を相続させる遺言がなされた場合について、「相続人間においては、当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継する」ので、「遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない」と判示しました。
したがって、あなたの法定相続分に応じた相続債務の額2000万円を加算しません。

そして、遺留分権利者は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。

 

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