【相続・遺言について】協議中の遺産の管理

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、協議中の遺産の管理について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】父が亡くなってから1年以上になりますが、相続人の間で遺産分割協議が調っていません。相続人は私を含めた息子3人です。父はこのあたりでは名の知れた資産家で、自宅の土地建物のほか、リゾート地の別荘や、賃貸用マンションを所有していました。
①自宅が台風の直撃を受け、屋根瓦が飛ぶ、窓ガラスが割れるなどの被害を受けました。私が単独で修理しても良いのでしょうか?

②リゾート地の別荘について、私たち兄弟には使うあてがないので、誰かに貸して賃料収入を得ればいいのではないかと思っています。私が単独で貸しても良いのでしょうか。売却する場合はどうでしょうか?

③賃貸用マンションについては、父の死後も、入居者が毎月の賃料を支払ってくれています。この賃料は誰がいつ取得するのでしょうか?

 

【A】◆1.相続財産の管理方法
相続人が複数いる場合、相続財産は共同相続人の共有になり、各相続人は相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。
そのため、遺産分割がなされていない遺産についても共同相続人がその相続分に応じて帰属し、共同して管理することになります。

判例によると、遺産の管理方法については、民法の共有に関する定めに従うことになりますが、民法はその管理方法について以下のとおり定めています。

①保存行為
意味:現状を維持する行為
方法:相続人が単独で行うことができる

②管理行為
意味:財産の性質を変更しない範囲内の利用改良行為
方法:相続分の過半数の同意により行うことができる

③変更・処分行為
意味:物理的な変更、権利の処分行為
方法:相続人の全員の同意により行うことができる

 

◆2.質問①について
①家屋の修繕(保存行為)
家屋の修繕は、現状を維持する行為であり「保存行為」にあたりますから、各相続人が単独で行うことができます。

②家屋の使用(管理行為)
遺産である家屋の利用は、遺産の「管理行為」にあたりますから、相続分の過半数の同意があれば、相続人1人が家屋を使用することができます。

 

◆3.質問②について
①賃貸
第三者への遺産の賃貸は、現状を維持する行為ではなく、「保存行為」とは言えないため、相続人が単独で行うことはできません。そして、第三者への遺産の賃貸は、以下のとおり、その賃貸期間に応じて「管理行為」と「処分行為」に分かれます。

民法602条の期間を超える賃貸
裁判例は、民法602条の期間(建物は3年)を超える賃貸を遺産の「処分行為」と判断しました。よって、民法602条の期間を超える賃貸をするためには、共同相続人全員の同意が必要です。

民法602条の期間を超えない賃貸
裁判例は、民法602条の期間を超えない賃貸を遺産の「管理行為」と判断しました。よって、民法602条の期間を超えない賃貸をするためには、相続分の過半数の同意が必要です。共同相続人全員の同意までは必要ではありません。

②売却
遺産の売却は「処分行為」ですから、相続人単独での遺産の売却はできず、共同相続人全員の同意が必要です。

 

◆4.質問③について
判例は、相続開始から遺産分割までの賃料を誰が取得するかが争われた事案において、相続開始から遺産分割までの間、遺産である不動産を使用管理した結果生ずる賃料債権は共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その後の遺産分割の影響を受けないと判示しました。

よって、相続開始後のマンションの賃料は、共同相続人が相続分に応じて毎月の賃料支払い時に確定的に取得します。
なお、以上の見解によれば、各相続人は相続分に応じて賃料債権を確定的に取得していますから、一部の者が単独で賃料を取得した場合、他の相続人は賃料を取得した相続人に対し、民事訴訟を提起して自己の相続分に応じた金銭の支払いを求めるのが原則です。しかし、実務上は、相続人全員の同意がある場合、遺産分割手続きの中で賃料の分配を協議することもできるとされています。

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