【相続・遺言について】配偶者の居住権を短期的に保護するための方策

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、配偶者の居住権を短期的に保護するための方策について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】最近、夫が亡くなりました。夫は遺言を残していません。私には2人の子がおり、その2人の子と遺産分割協議をしていますが、なかなか協議が調わない状況です。私は夫が生前所有していた建物に長年住んでおり、現在もそこで暮らしています。子2人との遺産分割協議が調うまでの間、私はその建物に住み続けることはできるのでしょうか?

 

【A】
配偶者の一方が亡くなった場合、残された配偶者は今まで暮らしてきた建物に住み続けたいと希望されることが多いと思います。これまでの判例では、配偶者が、相続開始時被相続人の建物に居住していた場合には、原則として、被相続人と相続人との間で使用貸借契約が成立していたと推認され、配偶者は居住していた建物に無償で住み続けることができました。

しかし、この判例の枠組みでは、第三者に居住建物が遺贈されてしまった場合や、被相続人が遺言などで配偶者が建物を無償で使用することについて反対の意思表示をしていた場合には使用貸借が推認されないため、配偶者が建物に住み続けることができないといった問題がありました。

このような事態を避け、遺された配偶者の生活を配慮し、遺された配偶者の居住の権利を保護するため、民法の相続法の規定が改正され、新たに「配偶者短期居住権」という制度が創設されました。

配偶者短期居住権とは、配偶者が亡くなった後しばらくの期間、遺された配偶者が自宅で生活できるように配慮して制定された権利(制度)です。配偶者は、相続開始時に被相続人の所有する建物に無償で住んでいた場合には、次のとおり今まで住んでいた建物を短期間無償で使用することができます。

①残された配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合、居住建物を誰が相続するかが確定する日までの間、配偶者は居住建物に居住することができます。
(ただし、早期に遺産分割協議が成立した場合、配偶者は被相続人が亡くなった日から最低6か月間は居住建物に住むことができます。)

②居住建物が第三者に遺贈された場合や、遺された配偶者が相続放棄をした場合、遺贈や相続によって居住建物を所有することになった者から配偶者短期居住権の消滅請求を受けてから6か月間が経過するまでは、配偶者は居住建物に居住することができます。

配偶者居住権の導入によって、被相続人が居住建物を遺贈した場合や、遺された配偶者が居住建物に住み続けることに反対の意思を表示した場合であっても配偶者の居住は保護されることになります。
また、配偶者短期居住権によって、遺された配偶者は最低6か月間は居住していた自宅に住み続けることができることになります。

今回のご相談では、相談者は夫が生前所有していた建物に長年住んでおり、現在もそこで暮らしていることから配偶者短期居住権を主張することができます。そして、夫が生前所有していた建物は遺贈されておらず、相談者も相続放棄をしていないことから、建物を誰が相続するかについての遺産分割協議が調うまでは、建物に住み続けることができます。また、夫が亡くなってから6か月以内に遺産分割協議が調った場合には、遺産分割協議成立後であっても夫が亡くなってから6か月間は建物に住み続けることができます。

なお、配偶者短期居住権については2020年4月1日から施行されることになっておりますので、これよりも前に亡くなった被相続人の配偶者に対しては、配偶者短期居住権は発生しませんのでご注意ください。

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