【相続・遺言について】相続税の基礎控除額

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税の基礎控除額について考えてみたいと思います。

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【Q】今後、私が死亡した場合、妻と息子1人しか相続人がいません。遺産が3億円以上あるので、なにか節税対策をしたいと思っております。
①養子をすれば、節税対策になると聞いたのですが、息子の嫁を養子とすることは節税となりますか?
②さらに、節税対策のため、仲の良い親戚の子がいるのですが、この子をもう1人養子とすることはできますか?

 

【A】◆1.相続税の基礎控除額
相続税は、課税価格の合計額から遺産にかかる基礎控除額を控除した課税遺産総額を計算し、その課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したと仮定して各相続人の取得金額を計算し、その取得金額に相続税の税率を適用して算出した各金額を合計して、相続税の総額を算出します。
そして、相続税法によれば、遺産にかかる基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)とされています。したがって、ご質問の事例においては、現時点での遺産にかかる基礎控除額は、3000万円+(600万円×2)=4200万円になります。

 

◆2.養子縁組による節税効果
上記のように、遺産にかかる基礎控除額は、法定相続人の人数が多ければ多いほどその金額が大きくなります。そのため、法定相続人の人数を増やすことができればそれだけ相続税の負担を軽減することができることになります。
民法には、養子縁組の制度が定められており、この制度を活用すれば法定相続人を増やすことができますので、養子縁組を行うことで遺産にかかる基礎控除額を大きくすることが可能です。

ただし、相続税法では、節税目的でのみ多数の者との間で養子縁組が行われ、養子縁組が租税回避に利用されることを防ぐ目的で、法定相続人の数に算入できる養子の数が制限されています。
被相続人に実子がいる場合には1人、被相続人に実子がいない場合には2人までしか法定相続人の数に算入されません。

以上の説明を前提にご質問にお答えします。あなたには息子さんがいらっしゃるので、上記の実子がいる場合に該当し、遺産にかかる基礎控除額の計算に算入することのできる養子の数は1人のみです。
質問事項①で、息子さんのお嫁さんを養子とするとのことですので、お嫁さんがあなたの養子となることで法定相続人の数が増加し、その分基礎控除額が大きくなって節税になります。

しかし、質問事項②では、息子さんのお嫁さんだけでなく、仲の良い親戚の子も養子にするとのことですので、これでは、遺産にかかる基礎控除の計算に算入することのできる養子の数の制限を超えてしまいます。制限を超えた養子の数の分については、遺産にかかる基礎控除額は大きくなりませんので、この場合節税にはなりません。

 

◆3.注意すべき点
上記のように養子縁組をすることによって節税効果が生じますが、注意すべき点があります。それは、養子縁組をすると、養子も相続人となりますので、養子も相続分と遺留分を取得し、その反面として養子縁組以前から存在していた相続人の相続分と遺留分が減少するという点です。

質問事項①のような状況であれば、息子さんと息子さんのお嫁さんは生計を一つにしていると思われますので、問題は生じにくいと思われますが、息子さんのお嫁さんではなく、別の親族を養子にするような場合には、息子さんの相続分と遺留分が実質的に減少してしまいますので、相続が起こったときにトラブルになる可能性があります。
また、息子さんが離婚する可能性がまったくないとも言い切れません。息子さんが離婚しても、養子縁組の効果は当然にはなくなりませんので、相続が起こったとき、息子のお嫁さんは、あなたの相続人として相続財産を受け取る権利があることになります。

養子縁組は、養子にしようとしている人との合意のみで成立させることもできますが、上記のようなトラブルを避けるため、相続人全員で協議のうえ、養子縁組を実行するほうが無難と思われます。
実際に養子縁組をされる場合には、専門家に相談し、節税効果のみならず、その他のメリット・デメリットを総合的に検討して実行されることをお勧めします。

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