【改正民法債権編】代理

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、意思表示の瑕疵について考えてみたいと思います。

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代理

代理権の濫用に関する判例法理などを新たに規定

◆代理人の行為能力
代理とは、代理人が本人のためにすることを示して相手方との間で契約などをした場合、その契約の効果が、直接本人に帰属する制度です。
代理は、未成年者などの行為能力がない者も行うことができます。
この点、新法では、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない」とし、その旨規定を改めました(新法102条)。

また、本人保護の観点から、たとえば未成年者の親に成年後見人がついているにもかかわらず、その親が子のために行った代理行為などは、例外的に取り消すことができることを明記しました(同条ただし書き)。

 

◆代理権の濫用に関する規定
新法では、新たに代理権濫用の規定ができました。旧法下では、代理権の濫用については心裡留保の規定を類推適用するのが判例法理でした。
新法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定し、代理人の背信的な意図を知りまたは知ることができたときには、無権代理と同じ効果としました。

代理人と称している者の法律行為であっても、代理権のない場合を無権代理と呼びます。代理権がない行為なので、本人との間に効果は発生しません(代理人と称している者を無権代理人と呼びます)。
旧法下では判例法理により代理権濫用の行為は無効とされていましたが、新法ではその効果を無権代理とみなすとしたため、契約の相手方は無権代理人への責任追及(新法117条)が可能となった点が変更点となります。

 

◆自己契約および双方代理
本人が相手方の代理人として契約する自己契約や、双方の代理人として代理行為を行なう双方代理の場合、代理人が本人の利益を優先できません。
したがって、民法は代理行為の効力を認めていません。
旧法では、自己契約や双方代理の禁止のみが規定されており、その効果が規定されたいませんでした。
新法108条では、従前の判例法理を反映して、自己契約または双方代理の効果として、無権代理とみなす旨規定しました。

 

◆無権代理
新法117条1項では、無権代理人は自己の代理権を証明したとき、または本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行または損害賠償の責任を負うとし、規定を整理しています。
新法は、この点を明記したことで、代理権を証明する責任が無権代理人にあることを示しました(無権代理行為が本人の追認を得たときには、本人にその効果が帰属します)。

新法117条2項は、無権代理人の責任を否定する例外規定です。次の場合には、無権代理人は責任を負いません。
①無権代理であることを相手方が知っていたとき(同1号)
②無権代理人であることを相手方が過失によって知らなかったとき(ただし、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りではない、同2号)
③無権代理人が行為能力の制限を受けていたとき(同3号)
無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合、相手方に過失があっても無権代理人が責任を免れない点は重要です(同2号ただし書)。

 

◆代理権授与の表示による表見代理
本人と無権代理人との間に一定の関係があるときには、当該代理権がない場合でも、代理の効果が認められることもあります。
本人が代理権を授与していないが代理権を授与したと第三者に伝え、その表見代理人が授与したとされた範囲の代理行為をした場合、本人に法律効果が帰属します。
ただし、相手方が代理権がない旨を知り、または知ることができた場合、本人に当該法律効果は帰属しません(新法109条1項)。

新法109条2項では、本人が第三者に対して代理権を授与した旨を表示し、第三者は代理権が与えられていないことを過失なく知らない場合で、その表示した代理権以上の行為を当該無権代理人が行なった場合、当該第三者の誤信に正当な理由があれば、当該法律効果が本人に帰属することを明記しました。これは従前の判例法理を明文化したものです。

 

◆権限外の行為の表見代理
代理人が代理権限外の行為をした場合、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由がある場合も、本人に法律効果が帰属します(新法110条)。この点、改正はありません。
たとえば、判例では実印の交付を受けていた代理人が権限外の代理行為をした場合には、特別の事情がない限り、代理権があると信ずべき正当な理由があるとしています。

 

◆代理権消滅後の表見代理
新法は、他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う(新法112条1項)とし、旧法をわかりやすく規定しました。なお、第三者が過失によりその事実を知らなかった場合には、本人は責任を負いません。

新法112条2項は、代理権消滅後に、代理権限外の行為をした場合の規定を新設しました。この規定は、裁判例を反映したもので、代理権消滅につき善意無過失で、かつ権限外の行為について代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、責任を負うとしています。

 

◆新旧規定の適用関係
代理行為一般については代理権の発生時期、無権代理人の責任は無権代理行為時、制限行為能力者の代理行為は代理行為時が新法施行日前であれが旧法が、施行日以後であれば新法が適用されます。

 

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