【改正民法債権編】多数当事者の債権債務

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、多数当事者の債権債務について考えてみたいと思います。

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多数当事者の債権債務

連帯債務における債権者の地位を強化、連帯債権を新設

 

◆多数当事者の債権債務とは
同一債権について、債権者または債務者が複数いる場合を、多数当事者の債権債務といいます。
新法では、多数当事者の債権債務について、新たな種類が設けられ分類が整理されたほか、当事者の一部に生じた事由の他の当事者への効力について改正されました。また、一部の債務者が弁済を行なった場合の当事者間での求償関係についても改正がなされました。

 

◆多数当事者の債権債務の種類
(1)多数当事者の債権関係
同一の債権について複数の債権者がいる場合として、次の3つが考えられます。

①債権の内容が可分である場合
たとえば、2人が共同で100万円を貸した場合、債権の内容である100万円の返還請求権は可分なので、特段の合意がなければ、2人は50万円ずつの返還請求権を有することになります。

②債権の内容が性質上不可分である場合
たとえば、1つの建物を2人で共同で購入した場合、債権の内容の1つである建物の引渡請求権は、性質上不可分です。

③債権の内容が性質上可分であるが、法令の規定ないし当事者の合意によって不可分である場合
たとえば、上記①の事例で、合意により不可分債権と定めた場合です。

旧法では、このうち①を可分債権、②と③を不可分債権としていました。
新法では、③について、連帯債権という新たなカテゴリーを設け、各債権者は、すべての債権者のために全部または一部の履行を請求できると規定しました(新法432条)。

(2)多数当事者の債務関係
同一債務について複数の債務者がある場合も、(1)と同じように、①性質上可分な場合、②性質上不可分な場合、③性質上可分だが法令の規定ないし当事者の合意により不可分である場合、の3つが考えられます。

①は可分債務、②は不可分債務とされるほか、新法では、③について、新たに連帯債務に分類することとし、債権者は、連帯債務者の1人に対し、あるいは同時もしくは順次すべての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求できると規定しました(新法436条)。

 

◆一部に生じた事由の他の当事者への効力
債権債務に当事者が複数いる場合、一部の当事者間で生じた事由がどのように他の当事者に影響するかが問題となります。

たとえば、債務者AとBが、債権者に対して100万円の連帯債務を負っているとしましょう。債権者がAだけに対して、「もう返さなくていい」と債務を免除した場合、Bはまだ100万円を返さなくてはならないでしょうか。
Aに生じた事由がBにも効力を有する(Bは100万円を返す必要はなくなる)場合を「絶対的効力」、Bには効力を有さない(Bは100万円を返さなければならない)場合を「相対的効力」といいます。

債権債務ごとの絶対的効力を有する事由

・多数当事者の債権で不可分債権→弁済・履行の請求・相殺

・多数当事者の債権で連帯債権→弁済・履行の請求・更改・免除・相殺・混同

・多数当事者の債務で不可分債務→弁済・更改・相殺

・多数当事者間の債務で連帯債務→弁済・更改・相殺・混同

前述の例からわかるとおり、絶対的効力とされる事由が少ないほうが、債権者の地位は強くなります。

新法では、新設された連帯債権における対外的効力の規定を設けたほか(新法432条から435条の2)、複数当事者の債権関係、債務関係のそれぞれについて、対外的効力の規定が一部改正されました。
特に、連帯債務については、絶対的効力を有するとされていた事由のうち、履行の請求(旧法434条)、免除(旧法437条)、時効の完成(旧法439条)について、相対的効力とされ、概ね債権者の立場が強化されています。

なお、今回の改正で、連帯債務について、絶対的効力事由が減少し債権者の地位が強化された結果、共同不法行為における賠償義務も、明文上の連帯債務の規定が適用されることになると考えられています。

 

◆連帯債務者間の求償
AとBが100万円の連帯債務を負っている場合、AとBの内部では、特段の合意がなければ50万円ずつが自己負担分となります。
それでは、Aが40万円を弁済した場合、AはBに対して、負担率である2分の1の20万円の求償を求めることができるのでしょうか。それとも、自分の負担分である50万円を超えないと、Bに求償できないのでしょうか。

旧法では、この点が明確ではなく、また判例上、共同不法行為における不法行為者の賠償義務(不真正連帯債務)の場合には、事故の負担分を超えた場合に初めて求償できるとされていました。
新法442条1項は、この判例を変更し、連帯債務者の1人が弁済等で共同の免責を得た場合には、免責額が自己の負担部分を超えない場合でも、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分に応じた求償権が発生することを規定しました。

 

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