【改正民法債権編】売主の担保責任①

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、売主の担保責任①について考えてみたいと思います。

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売主の担保責任①

履行の追完請求権、買主の代金減額請求権等の規定を整備

 

◆追完請求権
(1)履行の追完請求権の明文化
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対して、その修補を請求し、または代替物もしくは不足分の引渡しを請求することができる(履行の追完請求権)と定められました(新法562条1項)。売主に修補か代替物等の引渡しのいずれかを請求するかは、買主の選択によります。

旧法では、目的物に瑕疵があった場合に、買主が修補や代替物の引渡しを請求できるか否か、につき明文規定はありませんでした。
一方で、現在の取引実務においては、目的物が種類物か特定物かを問わず、追完による対応をすべきケースが多々見受けられます。

そこで、新法では、買主の履行の追完請求権を明文化することで、実務上認められていた買主の権利を明確化しました。
ただし、売主は、「買主に不相当な負担を課するものでないとき」は、異なる方法での履行の追完が可能です(新法562条1項ただし書)。契約不適合の内容によっては、売主の提供する追完方法を優先すべき場合も考えられる一方、追完方法の選択権は一次的には買主にあることから、売主の追完方法が認められる要件を限定的に定めるものです。

(2)「隠れた瑕疵」を「契約の内容に適合しない」に変更
旧法では、上述した「契約の内容に適合しない」という表現の代わりに、「隠れた瑕疵」の存在を売主の担保責任の要件としていました。
「瑕疵」とは、いわゆる物の欠陥(物理的な欠陥に限らない)を意味する用語ですが、広く一般的に使われる用語ではなく、また欠陥の内容や範囲も明確ではないという問題がありました。

そこで、新法では、瑕疵の有無の判断にあたって検討していた要素を具体的に条文化することで「瑕疵」の用語を廃止しました。
また、「隠れた」とは、瑕疵について買主が注意をしても発見できない、または瑕疵の存在を知らず、かつ知らないことに過失がないことを意味すると解されています。

しかし、過失があった買主の救済を一律に否定することの妥当性や、工業製品の売買など、当事者が契約締結時点で瑕疵の存在を認識していても、売主がその瑕疵を修補して目的物を買主に引き渡すべきケースがあることからすると、契約締結時における買主の善意無過失のみを問うことは、事案の解決として必ずしも適切ではありません。

むしろ、当事者が予定していた目的物の品質等がどのようなものであり、引き渡された目的物がその品質等に適合しているか否かを判断すべきと考えられることから、新法では「隠れた」という要件も廃止され、「契約の内容に適合しない」(契約不適合)という表現に変更されました。

 

◆買主の代金減額請求権
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量の点で契約の内容に適合しない場合に、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に追完がないときは、買主はその不適合の程度に応じた代金減額請求権を有することを定めています(新法563条1項)。

旧法では、権利の一部移転不能や数量不足の場合を除き、代金減額請求権は規定されていません。
しかし、代金支払いと売買目的物の引渡しという対価関係を考えれば、目的物に契約不適合があった場合には、不適合の程度に応じて代金減額請求権を認めるべきであることから、本規定が置かれました。

代金減額請求権の行使要件として、売主に対する履行の追完の催告が必要となりますが、追完の催告をせず直ちに代金減額を請求できる場合として、履行の追完が不能であるとき等、無催告解除の要件と同様の要件が定められています(同2項)。
なお、契約不適合につき買主に帰責事由がある場合は、買主は代金減額を請求することができません。

 

◆買主の損害賠償請求および解除権の行使
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合には、買主は債務不履行による損害賠償を請求し、または契約の解除をすることができると定めています(新法564条)。

これは、売主の担保責任が債務不履行責任であることを前提とするものです。ただし、債務不履行による損害賠償の要件が新法で改正されていることから、本規定においても「契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」の場合には、売主の免責が認められる一方、損害賠償の範囲は履行利益(履行されたなら得られた利益)にまで及ぶことになります。

 

◆移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の責任
新法は、売主が買主に移転した権利に、契約の内容に適合しない他人の権利による負担等が存在した場合、売主の債務不履行を構成し、買主が追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、解除権を有することを定めています(新法565条)。

旧法では、権利の瑕疵についても、物の瑕疵と同様、債務不履行の一般原則との関係が必ずしも明確ではありませんでした。
新法では、他の権利負担があり、これが契約の内容に不適合であれば、売主の債務不履行となると整理されました。

また、権利の一部が他人に属する場合に、その権利の一部を移転しないときも、同様に債務不履行を構成すると定められましたが、権利の全部を移転できない場合は、債務不履行の一般原則をそのまま適用すれば足りることから、あえて規定はされていません。

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