【改正民法債権編】賃貸借契約の終了等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借契約の終了等について考えてみたいと思います。

持続化給付金・家賃支援給付金、申請サポート業務受付中。
【090-279-1947】までご連絡を。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言・終活は【090-2793-1947】までご連絡を

 

賃貸借契約の終了等

賃貸借の終了等につき、主として従来の考え方を明文化

 

◆賃借物の一部消滅等による賃料の減額等
賃借物の一部滅失等について、従来は賃借人に過失がない場合、賃借人からの賃料減額請求を待って初めて減額されましたが、新法では、賃借人に帰責事由がない限り、当然に減額されることになりました(新法611条1項)。

また、従来は一部滅失の場合、賃借人に過失がない場合のみ解除を認めていましたが、新法では、一部使用・収益ができない場合で、かつ、賃借人に帰責事由があっても解除を認めました(同2項)。

問題は、一部滅失の場合だけでなく、「その他の事由」により、一部の使用・収益ができなくなった場合にも減額や解除が認められている点です。
たとえば、災害により一時的に使用ができなくなった場合、賃料の減額や解除が認められるか今後争いが出てくる可能性があります。

減額は、「使用・収益をすることができなくなった部分の割合」に応じて認められます。たとえば、2LDKのマンションのキッチンだけが雨漏りで使えなくなった場合、家族で生活していて自炊する賃借人であれば使用に著しい影響が生じるでしょうし、1人暮らしで自炊をまったくしない賃借人であればほとんど生活に影響がないかもしれません。こういった賃借人の個別事情も加味して割合を算定するのか、それとも面積の割合で算定するのかなどを、契約書であらかじめ定めておくことが必要になると考えられます。

 

◆賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
賃借物の全部滅失等について、従来は明文の定めはありませんでしたが、新法は、賃借物の全部滅失等の場合、賃貸借契約は当然に終了するとする判例法理を明記しています(新法612条の2)。当然に終了するため、賃借人は解除の意思表示をする必要はないことになります。

 

◆賃借人の原状回復義務
新法では、「通常の使用・収益によって生じた賃借物の損耗ならびに賃借物の経年変化(いわゆる通常損耗)」については、賃貸人が負担するものとし、それ以外の「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷」でかつ、賃借人に帰責事由が認められるものに限り、賃借人が原状回復義務を負うことを明記しました(新法621条)。

賃貸住宅については原状回復等の範囲に関してトラブルが多く、国土交通省は、平成5年に「賃貸住宅標準契約書」を、平成10年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定し、その後も判例などを踏まえて改定してきました。新法は、これらガイドラインや判例法理を明確化したものであり、不動産実務への影響はそれほどないと考えられます。

 

◆敷金
従来、敷金については不動産賃貸借の実務上、当然のように授受がされていましたが、その定義や法律関係を定める規定はありませんでした。
新法では、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」ことが明記されました(新法622条の2第1項)。

また、賃借人に敷金返還請求権が発生するのは、①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき(同項1号)と、②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき(同項2号)であることを明記しました。さらに、目的物の明渡し時までに発生した未払いの賃料や原状回復費などの敷金への充当は賃貸人の権利であり、賃借人が賃貸人に求めることはできないことが明記されました(同条2項)。

敷金か否かはその実質で判断されるので、保証金等の名目で金銭の授受があっても敷金と認定される可能性があります。たとえば、賃貸物件を購入した新所有者が賃貸人たる地位の移転を受けた場合、敷金返還債務も承継することになりますが、旧賃貸人が賃借人から受領していた金銭が保証金等の名目であったことから、敷金返還債務を承継しないと考えていたとしても、これを承継するリスクが生じることになります。
そのため、保証金等を敷金と区別するため、その内容をきちんと定めておく必要があります。

コメントを残す