【任意後見制度】任意後見契約の手続 契約書の作成1 

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約の手続 契約書の作成1について考えてみたいと思います。

月次支援金申請の【事前確認】は【090-2793-1947】にて受付中です。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言・戸籍収集支援・終活は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

【1】任意後見契約の方式

(1)公正証書による契約

① 任意後見契約は、必ず公正証書で締結する必要があります。
公正証書とは、公証役場の公証人が作成する証書です。
任意後見契約は、本人の財産の管理や本人の生活や介護の手配をするもので、本人の老後の人生を左右する重要な取り決めですから、契約の締結を慎重にさせ、本人の意思を確認するために公正証書で締結することを、任意後見契約法は要求しています。
したがって、公正証書によらない任意後見契約は無効になります。

公証役場で契約を締結するには、通常は本人と受任者双方が公証役場に行く必要がありますが、健康上の理由などによって本人が公証役場に出向けないときは、公証人に本人の自宅や入所施設等に出張してもらって、公正証書を作成してもらうこともできます。

② 任意後見契約は法務省令で定める様式の公正証書によって作成しなければなりません(任意後見契約法3条)。
任意後見契約に関する公正証書の様式は法務省令で定められており、本人の生年月日及び本籍(外国人にあっては国籍)のほか、任意後見人が代理権を行なうべき事務の範囲を特定して記載しなければならないとされています(様式省)。

そのようにした趣旨は、代理権付与の対象となる法律行為が明確に特定されて公正証書に記載されることにより、登記事項証明書に任意後見人の代理権の範囲(対象行為)が正確に記載されていることを制度として担保するためです。

(2)任意後見契約を公正証書で作成しなければならないとした理由

任意後見契約を公正証書による契約とすることとしたのは、次のような理由からです。

① 公証人の関与によって、本人の真意による適法かつ有効な契約が締結されることが制度として担保されます。また、紛争の予防の観点から、契約の有効性の確実な立証を可能にすることができます。

② 任意後見契約が登記された場合には、法定後見が原則として開始されないという重要な効果を伴いますので、本人の真意を確認するため、公証人の関与による確実な方式によることが必要となります。

③ 公証役場において公正証書の原本を保管することにより、契約証書の改ざん、滅失を防止できます。

④ 公証人の登記所に対する嘱託によって登記を遺漏なく行うことが可能になります。
すなわち、任意後見人の代理権に関する公的証明の必要性などから、任意後見契約を登記することが必要不可欠ですが、公正証書の作成を義務付けることにより、公証人から登記所への嘱託による登記を遺漏なく行なうことが可能となります。

【2】公証人が契約の際に確認する事項

(1)公証人の役割

公証人には、任意後見契約の締結に際して、本人の意思能力(「自分が何をやっているのか」と「その結果としてどうなるのか」ということを認識できる能力、事理弁識能力・判断能力・契約能力)と契約意思(授権意思)を確認する役割を果たすことが求められています。

公証人法では、公証人は、嘱託を受けた任意後見契約に法律違反、無効、無能力による取消しなどの事由があるときは、公正証書を作成することができないものとされています(公証人法26条)。

(2)本人の意思能力に疑義がある場合の公証人の対応

任意後見契約の公正証書を作成する公証人は、本人の意思能力や判断能力と任意後見契約を締結する意思を確認するために、原則として本人と面接を行ないます。

そして、本人の意思能力に疑義があるときは、本人が契約そしてその効果を理解するに足りる能力があることを証明する医師の診断書等の提出を求めるなどして、本人の意思能力を確認するとともに、能力ありと認めて証書を作成したときには、後日の紛争に備えて、作成時の本人の状況などを書面に記録し、証書の原本とともに保存することになっています。

ちなみに、本人に面接したうえで、意思能力の存否、契約意思の確認をし、意思能力に疑義があるときは、本人の権利擁護のためにも、公証人は、後見や保佐などの法定後見の申立てを促すことになるでしょう。

(3)本人の意思能力を確認する具体的な方法

公証人は、依頼者が高齢者の場合、任意後見契約公正証書の作成のほか、例えば遺言や贈与等の公正証書を作成する際にも、本人の意思能力を慎重に確認します。

最初は、さりげなくテレビのニュースや新聞記事、物価の動向などを話題にして外界への関心と理解度を確認し、次に本人確認を兼ねて、生年月日、年齢、出生地、本日の日付や曜日などを詳しく尋ねるという手法が多いようです。

その結果、本人の意思能力に疑問があるときは、医師の意見や診断書を求めます。公証人自らが「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」を用いて知能検査を行なっている例も少なくないようです。

意思能力を確認した結果、少なくとも、法定後見制度における「補助」類型程度の判断能力を備えていれば、移行型の任意後見契約の締結は可能とされています。「補助」類型とは、判断能力が不十分なため自分の財産を管理し、処分するには援助が必要な場合があるという程度を指します。

重要な財産の管理や処分を自分でもできるかもしれないが、不安なので本人の利益のために誰かに代わってやってもらった方がよいという程度の高齢者は多いと思われます。その人たちは、「補助」類型に属することから、「移行型」ないし「即効型」の任意後見契約の締結が可能と考えられます。

更に進んで、「保佐」類型まで判断能力が低下しているとみられる人についてはどうでしょうか。
具体的には、日常品などを買う程度は一人でできるが、不動産や自動車の売買、自宅の増改築、金銭の貸付を一人で行う能力はかなり不安という人は、判断能力が著しく不十分なので、「移行型」を選択する余地はありません。

任意後見制度の趣旨・法的効果を理解し、その制度を活用する意思があるのなら、「即効型」を締結するか、その意思すら欠くと認められるときは、法定後見の申立てを促すのが相当と思われます。