【終活・遺言・相続相談】相談例24 暦年贈与

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例24 暦年贈与についての記事です。

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【相談内容】
相談者(75歳男性)から、「暦年贈与として、これから10年間、長男(51歳)とその子(22歳、20歳)の計3人に対し、それぞれの預金口座に毎年110万円ずつを振り込んで合計3,300万円を贈与しようと思うが、問題があるか」と相談された。

【検討すべき点】
「暦年贈与」は、相続税対策としてもっともよく利用されています。しかし、暦年贈与が何を意味し、どのような場合に否認されるのか、否認されないために何をしておくべきかについては正確な知識が必要です。

【1】贈与税と暦年贈与

① 贈与税は、贈与によって財産が移転する機会に、その財産に対して課される租税で、相続税の補完税です。
② 贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額をもとに税額が計算され(暦年課税)、翌年の2月1日から3月15日までの申告が義務付けられています。
③ 贈与税の税率は、相続税の税率よりかなり高く設定されています。
④ 贈与税では、受贈者一人当たり年間110万円までの贈与は非課税(基礎控除)とされますので、この基礎控除を活用した贈与が「暦年贈与」と呼ばれております。基礎控除の範囲内の贈与には課税されませんので、申告義務はありません。
⑤ ある財産の移転が、客観的に贈与であることが明らかなら暦年贈与の基礎控除は自動的に適用されます。しかし、名義預金、貸付金あるいは預託金であって贈与の実体がない(実質的な財産の移転を伴っていない)とされ、贈与自体が否認される場合も少なくありません。
⑥ したがって、暦年贈与として認められる(基礎控除の適用を受ける)ためには、事実上、贈与者と受遺者の間の贈与契約書を作成し、贈与対象財産が現預金なら、贈与の実行として、実質的に受遺者が管理している預金口座に贈与金を振り込む必要があります。

【2】暦年贈与の問題点

① 相続開始前3年以内の贈与は全額が相続税の課税対象となり、暦年贈与は適用されません(贈与税としての納税した額は相続税額から控除されます)。
② したがって相談例のように、暦年贈与を利用して、毎年3人に110万円ずつを贈与し始め、仮に5年が経過して亡くなった場合には、5年分の合計1,650万円が非課税になるのではなく、4年前と5年前の贈与分660万円だけが非課税になります。
③ 次に、毎年贈与契約書を作成するのが面倒であると、最初の年に、3人の受遺者に対し、毎年110万円を10年間にわたって贈与する旨の贈与契約書を作成する人がいますが、これは、定期金贈与契約として、最初の年に、3人の受贈者に対し、それぞれ1,100万円の贈与があったものとみなされる可能性があります。
④ その場合、初年度に1,100万円から基礎控除の110万円を引いた990万円に対して207万円の贈与税が課され、3人合わせて621万円の贈与税が課税されます。それが嫌であれば、毎年贈与契約書を作成しなければなりません。
⑤ なお、基礎控除は受贈者を基準としますので、父から110万円、母から110万円を贈与された場合は基礎控除額を110万円超えていることになります。

【3】暦年贈与の工夫

① 暦年贈与による基礎控除を利用する場合には、贈与であることを疑われないために、毎年贈与契約書を作成し、受贈者名義の口座に現金を振り込むべきです。さらに言えば、毎年異なった額(それも非課税額を上回る金額)の贈与をして、実際に贈与税を申告して少額を納税する方法があります。
② 贈与金を振り込む先は、日頃から受贈者が公共料金やカード支払いなどに用いている生活口座がよいでしょう。贈与者としては、受贈者名義の別の口座に入金して、贈与の全体を把握したいところでしょうが、そうした行為は、「名義預金(遺産)」と税務署にみなされる可能性が高くなります。