【相続・遺言について】養子・非嫡出子・相続放棄の場合の相続分

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、養子・非嫡出子・相続放棄の場合の相続分について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】次の場合、法律上相続の割合はどうなるのでしょうか?

1. 養子の場合

2. 非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間の子)の場合

3. 相続放棄が行われた場合

 

【A】◆1.養子の場合

①父親の死亡後、母親が死亡し、実子2名と養子2名がいある場合

子4名の法定相続分は、それぞれ1/4となります。

養子の法定相続分(相続の割合)は、実子と同じです。

 

②普通養子が配偶者も子もなく死亡し、実母と養父母がいる場合

実母と養父と養母の法定相続分は、それぞれ1/3となります。

普通養子縁組(一般的な養子縁組)の場合、養親と親子関係が生じますが、実親との親子関係が消滅する訳ではありません。

 

③特別養子が配偶者も子もなく死亡し、実母と養父母がいる場合

養父と養母の法定相続分は、それぞれ1/2となります。

特別養子縁組をすると、実親との親子関係が終了します。従って、特別養子縁組の場合、実母は相続人ではありません。

 

◆税金の知識

相続税の基礎控除額、生命保険金の非課税限度額、死亡退職金の非課税限度額、相続税の総額の計算を行う場合、法定相続人の数を基に計算を行いますが、この相続人の数に含める養子の数は次の通り制限されます。

①被相続人に実子がいる場合・・・含まれる養子は一人まで。

②被相続人に実子がいない場合・・・含まれる養子は二人まで。

但し、特別養子、配偶者の実子で養子縁組した子、及び、配偶者の特別養子で養子縁組した子の場合は、上記計算では実子と扱われます。

 

◆2.非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間の子)の場合

①母親の次に父親が死亡して、嫡出子2人、非嫡出子1人がいる場合

ア 父親が平成25年9月5日以降に死亡した場合、法定相続分は、それぞれ1/3になります。

イ 非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の1/2と規定されていました(民法900条4号但書前段)。しかし平成25年9月4日に最高裁判所は、この民法の規定について不平等で憲法に違反すると判断しました。これを受けて、同年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し、この規定が削除され、嫡出子と被嫡出子の相続分は同等となりました。改正後の規定は、平成25年9月5日以降に開始した相続に適用することとされました。

ウ ただ、上記最高裁判所の判断においては、上記民法の規定が遅くとも平成13年7月当時には憲法違反であったとしつつも、この最高裁判所の判断は、同月から平成25年9月4日までの間に開始された相続について、遺産分割の審判などにより確定的なものとなった法律関係には影響を及ぼさないとしています。

他方、平成13年7月1日から平成25年9月4日までの間に開始した相続について、同月5日以後に遺産の分割をする場合には、最高裁判所の憲法違反の判断に従い、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等のものとして扱われることになります。

② 非嫡出子が配偶者も子もなく死亡し、実父母がいる場合

実父、実母の法定相続分は、それぞれ1/2となります。

非嫡出子であることは影響しません。

 

◆3.相続放棄が行われた場合

相続を放棄すると、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。

なお、相続放棄は、相続開始前の死亡ではありませんので、放棄をした人の子には代襲相続は生じません。

配偶者と子と子の代襲相続人の全員が相続放棄をした場合、直系尊属が相続人となります。

次に直系尊属が相続放棄をすると、兄弟姉妹が相続人となります。

次に兄弟姉妹が相続放棄をすると、相続人不存在となります。

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされ、利害関係人の請求によって家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。

 

【相続・遺言について】法定相続分(相続の割合)

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、法定相続分(相続の割合)について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】法律によって相続の割合が定められていると聞いています。日本では、どのように定められているのでしょうか?

【A】◆配偶者と直系卑属(子・孫)の場合

配偶者が1/2の割合、子が1/2の割合となり、直系尊属(両親・祖父母)及び兄弟姉妹には法定相続分はありません。

子が複数いる場合、子の1/2を子の人数で頭割りすることになります。

代襲相続人(孫等)が複数いる場合は、被代襲者(子など)の相続分を代襲相続人の人数で頭割りすることになります。

◆配偶者と直系尊属(父母・祖父母など)の場合

配偶者が2/3の割合、直系尊属が1/3の割合となり、兄弟姉妹には相続分はありません。直系尊属が複数いる場合は、直系尊属の1/3を直系尊属の人数で頭割りすることになります。

◆配偶者と兄弟姉妹の場合

配偶者が3/4の割合、兄弟姉妹が1/4の割合となります。兄弟姉妹が複数いる場合は、兄弟姉妹の1/4を兄弟姉妹の人数で頭割りすることになります。

ただし、父母の一方だけを同じくする半血の兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする全血兄弟姉妹の相続分の1/2になります。

◆配偶者のみの場合

配偶者が全部を相続します。

◆配偶者がなく、子、直系尊属または兄弟姉妹だけの場合

複数であれば、相続人となる者らの頭割りとなります。

世田谷区をはじめとする、東京都内の車庫証明にかかる料金のご案内

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【世田谷区をはじめとする東京都内の車庫証明にかかる料金】について、ご案内したいと思います。

世田谷区、東京都内の車庫証明のご依頼は090-2793-1947へご連絡を。

※下記報酬額は消費税込みの表示です。

※郵送費はご指定がなければ、レターパックプラスを使用した金額です。

【世田谷区内に駐車場がある場合】

【成城警察署・玉川警察署・北沢警察署・世田谷警察署】

報酬額8,800円+申請交付料2,600円+郵送料520円=11,920円

【目黒区・渋谷区・新宿区内に駐車場がある場合】
【目黒警察署・碑文谷警察署】
【渋谷警察署・代々木警察署・原宿警察署】
【新宿警察署・四谷警察署・牛込警察署・戸塚警察署】

報酬額9,900円+申請交付料2,600円+郵送料520円=13,020円

【中野区・杉並区・調布市・狛江市内に駐車場がある場合】
【中野警察署・野方警察署】
【杉並警察署・荻窪警察署・高井戸警察署】
【調布警察署】

報酬額9,900円+申請交付料2,600円+郵送料520円=13,020円

【東京23区(世田谷区等上記6区2市以外)に駐車場がある場合】

報酬額11,000円+申請交付料2,600円+郵送料520円=14,120円

【上記以外の東京都市町村の場合】

報酬額13,200円+申請交付料2,600円+郵送料520円=16,320円

注:東京都(警視庁)への申請は「証紙」ではなく「現金」納付となりますので、当方にて立替払いの後、ご請求書にてまとめてご精算ください。

【弊所で申請書や配置図を作成する場合、使用の本拠を証明する書類の手配】

(管理会社などへ出向き、保管場所使用承諾書を受領する場合やご指定場所での受け渡し、使用の本拠を証明する書類の手配も承ります。)

配置図現地調査作成:3,300円
書面手配(使用承諾書・住民票・登記簿謄本等):3,300円
指定場所納品:3,300円
申請書記入作成:2,200円

【軽自動車の保管場所届出】

【料金】

世田谷区内に駐車場がある場合

【成城警察署・玉川警察署・北沢警察署・世田谷警察署】

報酬額6,600円+交付料500円+郵送費520円=7,620円

東京23区(世田谷区以外)、調布市、狛江市に駐車場がある場合

報酬額7,700円+交付料500円+郵送費520円=8,720円

上記以外の場合

報酬額8,800円+交付料500円+郵送費520円=9,820円

【弊所で申請書や配置図を作成する場合、使用の本拠を証明する書類の手配】

(管理会社などへ出向き、保管場所使用承諾書を受領する場合やご指定場所での受け渡し、使用の本拠を証明する書類の手配も承ります。)

配置図現地調査作成:3,300円
書面手配(使用承諾書・住民票・登記簿謄本等):3,300円
指定場所納品:3,300円
申請書記入作成:2,200円

【相続・遺言について】相続人とならないケース

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、様々なケースにおける相続人の該当性について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】親に対し、長年にわたって暴力をふるってきた子でも、親の遺産を相続することができるのでしょうか?法律上相続人となる者であれば、どのようなケースでも相続することができるのでしょうか?

 

【A】◆はじめに

相続が開始した場合に相続人になるべき者(推定相続人)であれば、どのようなケースでも被相続人の遺産を相続できるわけではありません。推定相続人は、相続放棄の場合又は相続欠格・廃除の場合、相続資格を失います。以下、相続欠格・廃除について説明します。

 

◆相続欠格

(1)相続欠格とは、推定相続人が欠格事由に該当する場合に、被相続人の意思を問うことなく、法律上当然に相続資格を失う制度です。

(2)民法は以下の5つの欠格事由を定めています。

①「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」

②「被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。」

③「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者」

④「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」

⑤「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」

(3)推定相続人が欠格事由に該当する場合、家庭裁判所の審判を要することなく、法律上当然に相続資格を失います。この場合、受遺者の資格も失います。欠格の効果は、特定の被相続人と欠格者との間で相対的に発生するにすぎないと解されます。

 

◆廃除

(1)廃除とは、遺留分を有する推定相続人が廃除事由に該当する場合に、被相続人の意思に基づいて相続資格を失う制度です。

(2)民法は以下の2つの廃除事由を定めています。

①「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき」

②「その他の著しい非行があったとき」

上記廃除事由に該当するためには、一般的に、被相続人と遺留分を有する推定相続人との関係において、人間関係や信頼関係(相続的協同関係)を破壊する程度の客観的に重大な行為であることが必要であるとされています。

(3)被相続人は、生存中に、その住所地の家庭裁判所に対し、推定相続人の廃除の審判を申し立てることができます。(生前廃除)。

また、被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思表示をしたときは、遺言執行者は遺言が効力を生じた後、遅滞なく、相続開始地の家庭裁判所に対し、推定相続人の廃除の審判を申し立てなければなりません(遺言廃除)。

(4)廃除の審判の確定によって、被廃除者は法律上当然に相続資格を失います。もっともこの場合、受遺者の資格は失いません。廃除の効果は、廃除者と被廃除者との間で相対的に発生するにすぎないと解されます。廃除の審判の確定後、原則として申立人は、被廃除者の本籍地又は届出人の所在地の市区町村に推定相続人廃除届をしなければなりません。

(5)被相続人は、いつでも、その住所地の家庭裁判所に対し、廃除取消しの審判を申し立てることができます。被相続人が遺言で廃除取消しの意思表示をしたときは、遺言執行者は遺言が効力を生じた後、遅滞なく、相続開始地の家庭裁判所に対し、廃除取消しの審判を申し立てなければなりません。

 

◆本ケースの検討

(1)まず、本ケースでは、「親に対し、長年にわたって暴力をふるってきた」という内容からすれば、親を殺害する等したために実刑に処せられたという事情まではないものと思われますので、欠格事由に該当せず、相続欠格は認められないと考えられます。

(2)次に、廃除事由に該当するかが問題となります。被相続人に対する暴力について廃除事由に該当するとした裁判例には、推定相続人が暴力を断続的に繰り返してきたこと、推定相続人が被相続人に無断でその多額の貯金の払戻しを受け、現時点で返済の意思がないこと、暴力をやめた後も被相続人の精神障害ないし人格障害をいう主張ないし行動を続けていることなどから、推定相続人は、被相続人に虐待をし、重大な侮辱を加えたほか、著しい非行に及んだものであるといえ、これにより、被相続人と推定相続人の相続的協同関係は破壊されたものと言わざるを得ないから、廃除するのが相当であるとしたもの等があります。

他方で、廃除事由に該当しないとした裁判例には、被相続人が受けた暴行・障害・苦痛は、相続人だけに非があるとは言えず、被相続人にもかなりの責任があるから、その内容・程度と前後の事情を総合すれば、いまだ相続人の相続権を奪うことを正当視する程度に重大なものと評価するに至らず、廃除事由に該当するものとは認められないとしたもの等があります。

以上によれば、長年にわたる暴力であったとしても、そのことから直ちに廃除事由に該当するものとは認められず、暴力に至った原因、暴力を加えた期間の長さ、暴力の内容・程度、暴力以外の事情等を考慮し、被相続人と推定相続人の相続的協同関係を破壊する程度の客観的に重大な行為と言えるかを検討し、廃除事由に該当するか否かを判断することになると考えます。

世田谷区等東京都内、警視庁管内での車庫証明(自動車保管場所証明書)の申請方法について

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【世田谷区等東京都内、警視庁管内での車庫証明(自動車保管場所証明書)の申請方法】について、考えてみたいと思います。

世田谷区、東京都内の車庫証明のご依頼は090-2793-1947へご連絡を。

【Q】自動車保管場所申請書(車庫証明)は何に使うの?

【A】運輸支局で、自動車の新規、移転及び変更登録に必要な書類です。

保管場所手続きとは?(警視庁のサイトが表示されます)

◆適用除外地域

使用者の住居又は事業所の所在地により、自動車保管場所証明の必要がない地域があります。 手続きの必要のない地域(適用除外地域)(警視庁のサイトが表示されます)

◆申請に必要な書類

①から⑤までの書類を警察署の車庫証明窓口に提出します。(各項目をクリックすると警視庁のサイトにある書式が表示されます。)

自動車保管場所証明申請書・保管場所標章交付申請書記載例

保管場所の所在図・配置図記載例

③保管場所の使用権原を疎明する書類:(1)か(2)のどちらか1通。

(1)保管場所が自分の所有地の場合:保管場所使用権原疎明書面(自認書)記載例

(2)保管場所が貸し駐車場の場合:保管場所使用承諾証明書記載例

※ 保管場所(車庫)の要件と使用権原書面

使用の本拠の位置が確認できるもの:本人が申請する際は窓口で提示ですが、代理人が申請する場合は写し(コピー)の提出が必要です。警視庁の場合必ず必要な書類になります。

◆申請費用

申請時:2,100円

交付時(標章申請料)500円

警視庁は証紙ではなく、会計課窓口への現金納付です。

◆有効期限

証明日(交付日)から1ヶ月以内に運輸支局に提出してください。

【相続・遺言について】様々なケースにおける相続人該当性

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、様々なケースにおける相続人の該当性について考えてみたいと思います。

【Q】前回どのような人が相続人になるのかは分かりましたが、次のようなケースではどうなるのでしょうか?

①:内縁配偶者、事実婚パートナーのケース

②:子が出生前の胎児であるケース

③:子が親より先に死亡していたケース

④:実際には他人の子であるのに、実子として出生届を出しているケース

【A】①:内縁配偶者、事実婚パートナーのケース

内縁とは、婚姻届を提出していないものの、男女が婚姻の意思を持って実際に夫婦生活を営んでいる関係をさします。これと似たものとして、最近は事実婚という言葉が使われることがあります。内縁と全く同じ意味でつかわれる場合もあれば、内縁のうち特に当事者が意図的な選択によって婚姻届を提出しない場合を意味することもあります。

内縁・事実婚ともに、相続の場面では法律上の夫婦と明確に区別され、内縁配偶者・事実婚パートナーは相続人にはなれません。

内縁配偶者も、婚姻届を提出していないだけで、法律上の配偶者と区別する必要はないとして、相続人となることを実質的に認めようという見解もありますが、最高裁判所はこのような見解を明確に否定しています。

ただし、被相続人に相続人が一切いない場合で、内縁配偶者・事実婚パートナーが相続人と生計を同じにしていたような場合には、特別縁故者として相続財産の分与を受けられる可能性はあります。

②:子が出生前の胎児であるケース

民法は、胎児は相続について「既に生まれたものとみなす」と規定し、「胎児が死体で生まれたときは」はじめから相続人とならなかったものとされます。

「既に生まれたものとみなす」といっても、実際に生まれていない胎児が相続人となって遺産を受け取ることはできません。判例実務上は、生きて生まれた場合に相続時にさかのぼって相続人の権利を認め、遺産分割もそのときまで待つという扱いになっています。この場合、生まれたばかりの子は、他の相続人との話し合いなどできませんので、親族や弁護士等が子の代理人となり、話し合いに参加することになります。

③:子が親より先に死亡していたケース

被相続人である親が死亡した場合に、相続人となるべき子が親より先に死亡していたら、その子は親の相続人となることはできません。

しかし、その子に子(親から見たら孫)がいた場合、その孫が親(孫から見た祖父母)の相続人となることができます。これを「代襲相続」と言います。

ただし、子が親の養子で、孫が養子縁組前に生まれていた場合には、代襲相続は発生せず、孫は相続人にはなれません。

また、被相続人より先に、子及び孫が死亡し、ひ孫がいる場合は、ひ孫が相続人となります。これを「再代襲」と言います。

代襲相続は、子が先に死亡していた場合だけではなく、兄弟姉妹が法定相続人となるケースで、その兄弟姉妹が被相続人より先に死亡していた場合にも発生し、兄弟姉妹の子(被相続人から見た甥や姪)が相続人となります。ただし、このケースでは「再代襲」は認められません。

④:実際には他人の子であるのに、実子として出生届を出している場合

実際には他人の子であるのに、養子縁組の届出をせず、自分の実子として出生届を提出することがごくまれにあります。「藁の上からの養子」と呼ばれるものです。このような出生届は、虚偽の内容を含むものであり、出生届としては無効です。

この点については、実質的には養子縁組とすべき事案であるので、実子としての出生届に養子縁組届としての効力を認めるべきという見解もありますが、最高裁判所はこれを否定し、親子関係は(養親子関係も含めて)認められないとしています。つまり原則として「藁の上からの養子」は相続人ではありません。

ただし、長期間にわたって親子としての生活実体が存続していたような場合には、このような結論が不当となる場合もあります。

最高裁判所も、近時、藁の上からの養子であるXが約55年間にわたって実子として生活してきた場合に、他の相続人Yが、Xと両親との間の親子関係が不存在であると主張することは権利の濫用にあたり許されないとする判断を下しています。つまり、この事案においては、藁の上からの養子が相続人になったのと同じ結論になります。

ただし、単に長期間実子として生活しただけでは足りず、様々な具体的事情(他の相続人が親子関係の不存在を主張する動機、藁の上からの養子が受ける不利益等)を考慮した上での判断ですので、一般化できるものではありません。

【相続・遺言について】相続人の範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回からは【相続・遺言】に関して基本的なところから解説していきたいと思います。

【Q】相続人となることができるのはどのような人でしょうか?

【A】◆配偶者について

亡くなった人のことを「被相続人」、財産などを相続する人のことを「相続人」と呼びます。

被相続人に近い関係のある者としては、配偶者と血族(親、兄弟姉妹、子など)が考えられますが、このうち配偶者については常に相続人となると定められています。従って、夫が亡くなれば、妻は常に相続人ということになります。

◆血族について

血族については、子、親、兄弟姉妹の順に相続人となります。

① 被相続人に親、兄弟姉妹、子のいずれもがいる、ということもあるでしょう。この場合全員が相続人となれるわけではありません。相続人となる順位は民法で定められており、上の順位の者がいる場合には、その者のみが相続人となります。

② 第1順位とされているのは「子」です。ここでいう子には、実の子だけでなく「養子」も含みます。つまり「子」がいる場合は配偶者と子が相続人となります。

また、夫が亡くなる前に子が亡くなっていた場合、子の子つまり「孫」がいる場合には、その孫が相続人となり、親、兄弟姉妹は相続人とはなりません。

③ 第2順位とされているのは、「直系尊属」です。直系尊属とは、祖父母や父母などのように、血縁関係が縦につながっている者をいいます。養親は含まれますが、配偶者の父母は含まれません。

直系尊属の中では、親等の近い者が優先されます。従って、父母いずれかが存命であれば、祖父母は相続人となりません。両親ともに亡くなっているが、祖父母のいずれかが健在である場合、その祖父母と妻が相続人となり、兄弟姉妹は相続人とはなりません。

④ 兄弟姉妹は、先順位者である子、直系尊属ともに存しない場合に、初めて相続人となります。つまり夫が亡くなった場合、配偶者である妻と、夫の兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹には父母の一方のみが同じ者も含まれますが、父母の両方を同じくする兄弟姉妹とは相続分が違います。

また、夫が亡くなる前に兄弟姉妹が亡くなっていた場合、兄弟姉妹の子、すなわち被相続人の「甥や姪」が相続人になります。

⑤ なお、先順位者がいない場合とは、そもそも存在しない場合や亡くなっている場合だけでなく、相続放棄がなされた場合なども含みます。

良くいただくご相談の中に、ご夫婦にお子様がいらっしゃらない場合、「お互い配偶者だけに財産が相続される」と勘違いされているケースです。

このケースは上記③のケースまたは④のケースに該当しますので、あくまでも配偶者と被相続人の親または兄弟姉妹と相続の話し合いをしなければならなくなるので、事前に遺言書作成等対策が必要となります。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場:世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時:令和1年9月29日(日)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

【成年後見制度に関して】私たちにもできることがある!「障害者虐待を発見した場合どうするか?」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「私たちにもできることがある!「障害者虐待を発見した場合どうするか?」について考えてみましょう。

【Q】高齢者だけではなく障害者に対する虐待を発見した場合にも、通報する義務があると聞きました。それは本当でしょうか?具体的にはどのような行為が障害者虐待に当たるのでしょうか?通報によって不利益を受けることはありませんか?

【A】◆虐待事例

障碍者福祉施設に入所していた障害者が、布団にす巻きにされるなどの体罰を受けたり、過剰な薬物投与を受けていたことが発覚して、その施設が解散に追い込まれたことが、過去にありました。

また知的障害者を従業員として受け容れていた、会社の元社長が従業員である知的障害者に対し、性的暴行などを繰り返していたという事件が発覚し、社会問題化したこともあります。

このような深刻な事態を受け、家庭や障害者福祉施設、職場での障害者虐待を防止することを目的として、平成23年6月に、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が成立しました。法律の施行は平成24年10月1日です。

(注)障害者とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者で、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいうとされています(障害者基本法2条1号)。成年後見制度と関係するのは、知的障害者と精神障害者ですが、「障害者」と言った場合には、身体障害者・知的障害者・精神障害者が含まれます。

◆障害者虐待を発見したときも、通報するのが国民の義務

障害者虐待防止法では、①養護者による障害者虐待の場合、②障害者福祉施設従業者等による障害者虐待の場合、③使用者による障害者虐待の場合に、通報義務が課されています。法律では次のように規定されています。

①養護者による障害者虐待

「養護者による障害者虐待(18歳未満の障害者について行われるものを除く※)を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」(障害者虐待防止法7条1項)※18歳未満の障害者には、児童虐待防止法が適用され、通告の対象とされます。

養護者による高齢者虐待の場合は、高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じていない場合には、「通報するよう努めなければならない。」と通報の努力義務にとどめられていますが、障害者虐待の場合は、「通報しなければならない。」との表現で、より厳しい通報義務が課されています。

②障害者福祉施設従業者等による障害者虐待

「障害者福祉施設従業者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」(障害者虐待防止法16条1項)

③使用者による障害者虐待

「使用者による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」(障害者虐待防止法22条1項)

通報者の情報については、市町村に対し、法律で守秘義務が課されています。従って、通報しても、通報した人が特定される心配はありません。また、障害者福祉施設従業者等は、障害者福祉施設従業者等による虐待を通報したことを理由に、解雇その他の不利益な取り扱いを受けないとされています。使用者による虐待を労働者が通報しても、虚偽の通報等でない限り、解雇その他の不利益な取り扱いを受けないとされているので、ご安心ください。

◆立ち入り調査権

通報を受けた市町村に、立ち入り調査権があることは、高齢者虐待の場合と同様です。法律では、「市町村長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、障害者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該障害者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。」と規定しています。

◆虐待は殴る・蹴るだけではない⁈

高齢者虐待の場合と同じく、障害者虐待の場合も、虐待は、殴る・蹴るだけではありません。虐待の種類として、次の5つがあげられます。

①身体的虐待

②ネグレクト(障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置等)

③心理的虐待

④性的虐待

⑤経済的虐待

【成年後見制度に関して】私たちにもできることがある!「高齢者虐待を発見した場合どうするか?」2

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「私たちにもできることがある!「高齢者虐待を発見した場合どうするか?」について続きを考えてみましょう。

【Q】高齢者の虐待を発見した者には、通報する義務があると聞きました。それは本当でしょうか?本当だとすると何が虐待にあたるのかを知っておきたいと思いますが、具体的にはどんな行為が虐待なのでしょうか?

そして通報すれば市町村はちゃんと対応してくれるのでしょうか?

【A】◆通報義務と通報の努力義務

養護者による高齢者虐待について、通報義務を規定する高齢者虐待防止法7条第1項を分解すると、通報義務が課されるのは

①養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見したこと、

②当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合、

ということになります。

そしてこの場合には、

③速やかに、これを市町村に通報しなければならない、とされています。

これに対して同法7条第2項では、

①前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、

②速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない、とされています。

こちらは「通報するよう努めなければならない。」との表現から分かるように通報の努力義務と呼ばれる規定の仕方になっています。つまり、高齢者の生命又は身体に現実に重大な危険が生じていなくても、虐待があった場合には、通報するよう努力しましょう、という規定の仕方になっています。

◆養介護施設従事者等による高齢者虐待

養介護施設従事者等による高齢者虐待について、通報義務を規定する高齢者虐待防止法21条を分解すると、通報義務が課されるのは、

①養介護施設従事者等が、

②その業務に従事している養介護施設又は養介護事業において、

③養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合(21条第1項)や、

④前項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見したこと、

⑤当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合(21条第2項)、ということになります。

そしてこれらの場合には、

⑥速やかに、これを市町村に通報しなければならない、とされています(21条第1項、第2項)。

また21条第3項では、

①前2項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、

②速やかに、これを市町村に通報するように努めなければならない。とされています。

このように高齢者虐待防止法は、高齢者の身に重大な危険が生じている程度に応じて、通報義務や通報の努力義務を課すことによって、高齢者を虐待から手厚く保護しようとしているわけです。

◆立ち入り調査権

通報を受けた市町村は、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがある場合には、高齢者福祉に関する事務に従事する職員らをして、高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査や質問をさせることができます。このような立ち入り調査権は、通報を受けた市町村長に課された措置の一例です。

◆殴る・蹴るだけが「虐待」ではない⁉

高齢者虐待防止法では、65歳以上の高齢者に対する次の行為が虐待に当たるとされています。

①身体的虐待

例えば、殴る、蹴る、つねるといった、外傷を生じさせる行為。ベッドや車いすに縛り付ける行為。

②介護や世話の放棄(ネグレクト)

例えば、食事や水を与えない、入浴させない、病院に連れて行かない、長時間放置する、劣悪な環境で生活させたままにしておくといった行為。

③心理的虐待

例えば、酷い暴言、拒絶するような対応や、威圧的な態度などの行為。

④性的虐待

例えば、わいせつな行為をしたり、させたりする行為。下半身を裸にして放置するといった行為もこれに当たります。

⑤経済的虐待

例えば、日常生活に必要な金銭を使わせなかったり、本人の不動産や預貯金を勝手に使ったり、財産を不当に処分したり、不当な方法で高齢者から利益を得る行為。

以上のように、身体への暴力行為だけが虐待ではありません。