1 国や地方自治体の孤独死防止に対する取組 ① 平成19年版高齢社会白書において「孤立死防止対策の創設」という記載がなされ、以後、高齢社会白書では厚生労働省の孤立死対策が掲げられています。 ② 平成18年8月には「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」が設けられました。平成20年3月に同会議の報告書が発表されました。 ③ 平成24年には、厚生労働省から都道府県、指定都市、中核市宛に「地域において支援を必要とする者の把握及び適切な支援のための方策等について」(平成24年5月11日社援地発0511第1号)が発せられ、孤立死防止のための支援を必要とする人の把握、適切な支援をするように通知しています。 ④ 平成30年4月1日施行の改正社会福祉法において、孤立防止のための自治体を始めとした地域の関係機関のネットワークの強化や見守り体制の構築を市町村に努力義務として課すなど、地域における孤立死対策を推進しています。 ⑤ そのような流れの中、例えば、大阪府池田市は「池田市高齢者安否確認に関する条例」を制定し、民生児童委員と福祉委員が協力して高齢者宅を訪問する、安否確認が出来ない場合がそのことが市長に報告されると市の職員により立入調査ができるなどのことを定めています。 ⑥ また、東京都中野区では「中野区地域支えあい活動の推進に関する条例」を制定し、70歳以上の単身者や75歳以上の世帯の名簿を自治会や民生委員・警察署・消防署に提供できる、町会・自治会委員と連携した区職員による支援を必要とする方への訪問などを定めています。 ⑦ 全国の自治体でも孤立死の予防策を設けており、自治体の84.2%が孤立死防止対策として巡回・訪問活動をしており、53.9%が緊急連絡システムの構築をしているとのことです。東京都では23区、26市のうち35市区で見守りと銘打ったサービスを提供しているとのことです。 ⑧ このように孤立死の防止は、国の重点政策になっており、地方自治体は、孤独死防止のための様々な施策を用意しています。
2 地方自治体の終活支援に対する取組 ① 孤独死の防止からさらに進んで、高齢者の終活そのものを支援する動きも広まっています。 ② なかでも有名なのは、神奈川県横須賀市が行なっている「わたしの終活登録」や「エンディングプラン・サポート事業」です。 ③ 「わたしの終活登録」は、本人のエンディングノートや遺言の保管場所や葬儀・遺品整理の生前予約先など終活に関わる事項を登録しておき、認知症や死亡など万が一の際に事前に指定していた人に開示するという制度です。 ④ 「エンディングサポート事業」は、葬儀社と高齢者の葬儀生前予約や死後事務委任契約について横須賀市が葬儀社の情報提供や葬祭執行者の確保協力、安否確認などを支援し、もし葬儀社が破綻した場合には、墓地埋葬法9条により市が葬儀費用を負担するという仕組みです。葬儀社が破綻しても、契約書の写しを市が保管しており、葬儀社を変えるだけでその方の意向どおりの葬儀、埋葬が行なえるのです。 ⑤ 神奈川県大和市も「おひとり様などの終活支援事業」として、葬儀生前予約支援事業や緊急時、死亡時の情報提供などを行っています。 ⑥ 福岡県福岡市では、福岡市社会福祉協議会が終活サポートセンターを設けており、「やすらかパック事業」として、生前の予約により死後事務(チキ荘、納骨、家財処分、役所の手続き等)を福岡市社協が委託した業者が行うというサービスを提供しています。 ⑦ やすらかパックの特徴は、死後事務に要する費用を前払いするのではなく、少額短期保険会社と提携して月々の利用料金を支払えばよいとしていることです。 ⑧ このように各自治体が、独居の高齢者の孤立死だけでなく、葬儀や遺品整理、納骨などの不安も解消できるような制度に力を入れ始めています。
3 自治体へ相談を ① もし独居で孤独死が不安、亡くなった後のことの事務が不安だが、安心して委託できる友人や会社が見つからないという方は、お住いの市区町村又は地域包括支援センター(世田谷区ではあんしんすこやかセンターと呼称されています)に相談してみてください。 ② もちろん、弊所行政書士長谷川憲司事務所でも、ご相談に応じております。
1 保険金受取人の範囲 ① 保険金の受取人は親族に限るということは特に法律で制限されているわけではありません。 ② しかしながら、各保険会社では、配偶者や二親等以内の血族などである法定相続人などと保険金の受取人を親族に制限していることが多いのが実情です。 ③ このように受取人を親族に制限しているのは、第三者が受け取れるとすると、保険金に係る犯罪が発生する可能性があり、そのような事件発生を防ぐためにも、親族に限っていると聞きます。 ④ ただ、家族の在り方は多様化しており、事実婚や同性パートナーについても、同居していることが分かる資料や保険会社のヒアリングなどを基に、保険金受取人と出来る保険会社もあります。 ⑤ また、おひとり様が死後事務委任契約を締結している場合の死後事務の受任者を受取人と出来る例もあります。 ⑥ 1社から親族が受取人でないと加入できないと断られたとしても、諦めずに自分のニーズに合った保険がないか各社に問合せしてみて下さい。
2 保険金直接支払サービス ① おひとり様が葬儀費用や死後の片付けなどの費用のために保険に入りたいということも考えられます。そのような場合、保険金直接支払サービスという特約が付けられる保険もあります。 ② 保険金直接支払サービスとは、保険会社が特定サービスを提供する事業者を顧客に紹介し、顧客が提携事業者からサービスの利用を希望した場合に、保険金を受取人ではなく、当該事業者に対してその代金として支払うことをいいます。 ③ これにより、事実上、保険金受取人を当該事業者に変更できます。この保険金直支払サービスは、葬儀費用などでも用いられています。
3 生命保険信託 ① 保険金を第三者に支払ってもらう方法としては、生命保険信託という方法もあります。 ② これは、生命保険金請求権を信託銀行に信託をし、信託銀行が生命保険金を請求し、受領した保険金を信託契約に基づいてあらかじめ指定した人、指定した金額、方法で支払をするというものです。 ③ 生命保険金を支払う相手は、信託契約で定めることができるため、親族以外でも第三者や特定非営利活動法人に支払うことができます。 ③ また、一括で支払うことなく毎月定額を支払うなど柔軟な支払方法が実現可能です。信託銀行(信託会社)がそれぞれ提携している生命保険会社と商品を設計していますので、各信託銀行に問合せ下さい。
4 保険金受取人の変更 ① 保険法43条(生命保険契約)は、1項において「保険契約者は、保険事故が発生するまでは、保険金受取人の変更をすることができる。」と定め、2項において「保険金受取人の変更は保険者に対する意思表示によってする。」と定めています。 ② 保険金受取人の変更行為は、相手方のある単独行為としての性質を持つと言われており、保険会社の承諾なくして変更が可能です。 ③ そのため、保険加入後であれば、受取人を第三者に変更することは可能と考えます。なお、障害疾病定額保険に関しても、保険法72条において同様の規定が設けられています。 ④ また、保険金受取人は遺言によっても変更をすることが可能です(保険法44・73条)。ただし、遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができないとされています(保険法44条2項)。 ⑤ 保険金請求が死亡後数営業日で可能であることを考えると、せっかく遺言で保険金受取人を変更しても、それを保険会社に通知する前に従前の保険金受取人が保険請求をして保険金が支払われてしまう可能性もあります。確実に変更をしておきたいのであれば、生前に変更をしておいた方がよいでしょう。
5 生命保険金の受取方法 ① 生命保険金を受け取るには、保険会社所定の請求書の他、被保険者の住民票、受取人の戸籍抄本、受取人の印鑑証明書、保険証券などの他、医師の死亡診断書又は死体検案書が必要とされることが通常です。 ② 医師の死亡診断書又は死体検案書は、死亡届の右側にありますので、死亡届を提出する際にコピーを取っておくことが必要です。 ③ 第三者が保険金を請求する場合、ネックになるのが死亡診断書です。死亡届の提出義務者ではないため、写しを持っていないこともあります。 ④ また、役所からの死亡届の記載事項証明書を発行してもらえれば死亡診断書を取得できるのですが、残念ながら民間への保険会社に対する保険金請求を理由としては発行してもらえません。 ⑤ そのような場合、死亡の診断をした医療機関に死亡診断書を再発行してもらうか、コピーを渡してもらうように交渉をすることになりますが、遺族でない第三者に対する再発行は拒否されることが多いのが実情です。