【終活・遺言・相続相談】相談例17 財産管理契約・見守り契約

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例17 財産管理契約・見守り契約についての記事です。

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【相談内容】
相談者(80歳女性)から、「終活セミナーの講師から、任意後見契約をするなら、財産管理契約や見守り契約を公正証書で作っておけば安心ですよと勧められた。財産管理契約とか見守り契約も、結んでおいた方がよいのでしょうか」と相談された。

【検討すべき点】
任意後見契約と財産管理契約、見守り契約はよくセットでの利用が推奨されています。任意後見契約については前回述べましたので、今回は、財産管理契約と見守り契約について説明します。
財産管理契約にも任意後見契約と同じいくつかの問題点があります。事案に応じてカスタマイズする必要があり、場合によっては見守り契約やホームロイヤーの利用をお勧めします。

【1】財産管理契約

① 財産管理契約(財産管理等委任契約とか任意代理契約ともいわれます)は、文字通り、委任者が受任者に対して委任者の財産の管理を委託する契約です。しかし、自分で財産管理できるなら、それを人に任せる必要はありません。
② したがって、委任者は、現に財産管理できない状態にあるか、その状態が予想される状態にある方で、通常は初期の認知症だったり、介護を必要とする高齢者です。
③ これに対して、受任者は、財産管理を業務として扱う専門職やコンサルタントとなることが多いはずです(親族が受任者となる場合でも、専門職がサポートすることが多くなるでしょう)。
④ そうすると、契約内容に関する委任者の理解が十分でないまま、受任者側が主導して財産管理契約を締結させる可能性がありますから、受任者側による不当な勧誘がないかには注意が必要です。

【2】財産管理契約の問題点
財産管理契約に関する問題点は以下のとおりです。

【2-1】授権の範囲

① 財産管理契約における授権の範囲は広く設定されがちです。たとえば、財産管理契約の公正証書に添付される「代理権目録」のひな型には、「不動産、預貯金、動産等すべての財産の管理、保存、処分」など一切の行為を含む代理権が挙げられていますが、本当にそれが必要なのか疑問です。
② 移行型の財産管理契約締結の際には、「認知症等によって任意後見契約が必要になる前でも、身体が不自由になって動けなくなった場合に備えて、財産管理の事務について代理権を与える契約が必要だ」と説明されるようです。
③ その目的は入通院、介護サービス等を含む日常生活に必要な事項(いわば保存行為)に限られ、全ての財産の処分に関する代理権までは不要ではないでしょうか。

【2-2】財産管理の始期

① そもそも自立している高齢者が誰かに財産管理を任せる必要はありません。であれば、高齢者本人が財産管理できなくなった時点からの財産管理契約が望まれるはずですから、即効型でない限り、どのような状態になったら財産管理契約を発効させるのか始期を明らかにすべきです(将来型)。
② たとえば、委任者が同契約の発効を希望し、かつ、委任者が要介護1又は2の要介護認定を受け、親族の指定者や担当する介護関係者が同意した場合といった具体的な条件を設定するべきでしょう。

【2-3】財産管理契約の終期

① 財産管理契約と任意後見契約を併用する場合(移行型)、多くの財産管理契約では、「任意後見監督人選任の審判が確定したとき」(任意後見契約の発効時)を財産管理契約の終期としてあげます。連続性を確保するために、この規定は合理的です。
② しかし、任意後見契約では、任意後見受任者(財産管理受任者兼任)の任意後見監督人選任の請求については、「判断能力が不十分な状況になったときは、すみやかに任意後見監督人選任の申立てを行うものとします」といった緩やかな規定しか置かれず、適時における任意後見監督人選任の請求が確実に行なわれるとまでは期待できません。また、財産管理の始期のおいて明晰であった委任者も、その終期においては判断能力が低下しているはずですが、これを数値化することはできません。
③ そこで、任意後見契約や財産管理契約の中で、たとえば、3ヶ月に1度はかかりつけ医を受診して長谷川式簡易知能評価スケールを行ってもらい、「同検査の結果が2回連続で20点を下回った場合、又は医師が重要財産の処分に関する意思決定ができないと判断した場合は、1ヶ月以内に家庭裁判所に対して任意後見監督人選任を求める」といった具体的基準を取り入れることが必要ではないかと考えます。
④ もちろん、そうして行なわれた任意後見監督人選任請求が要件を満たさないとして、あるいは、本人の同意を得られない(任意後見契約に関する法律4条3項)として却下される可能性はありますが、それはそれで正常な過程だと思います。

【2-4】財産管理者の義務

① 一般に、財産管理契約のひな型では、財産管理受任者は、定期的に財産目録、会計帳簿、預貯金目録等を作成し、委任者に報告するといった規定が置かれています。しかし、委任者が完全な事理弁識能力を保持しているなら問題はありませんが、そうでなければ委任者は報告を受けても内容が理解できませんし、監督者も不在ですから、この義務が確実に履行されるかは甚だ疑問です。
② せめて代理出金機能付信託のように、委任者以外の第三者(子や親族)への報告義務を課すべきでしょうし、専門家が財産管理の監督者になることも推奨されるべきでしょう。

【3】見守り契約

①「見守り契約」とは、高齢の委任者が、受任者に対して、面会等の適宜の方法による定期的な様子伺いを依頼し、それによって委任者の健康状態(事理弁識能力を含む)や生活ぶりを確認し、必要に応じて委任者の生活に関する相談にのる契約のことです。そして、財産管理契約でカバーしきれない病院、施設、介護事業者との契約の事務処理や保証人への就任などについても対応できるとして、任意後見契約や財産管理契約とセットで推奨されます。
② 見守り契約は高齢者のサポートのために有益だと思いますし、費用面でのハードルはありますが、高齢者も歓迎してくれるはずです。財産管理受任者や任意後見受任者が、同時に見守り契約の受任者を兼ねることが通常です。見守り契約の受任者を別の専門家(弁護士)などにすることも可能です。その場合、先程の財産管理受任者が義務を果たすように、監督機能を持たせる契約にすることができると思います。

【4】相談者へのアドバイス

① 相談者に対しては、財産管理契約、任意後見契約、見守り契約、死後事務委任契約などのセット活用が推奨され、入院・入所時の保証人サービスから、葬儀・埋葬までワンストップで引き受けると謳われるケースがあるけれども、全てを同一人物に頼るワンストップ・サービスでは監督者がいないので、不祥事を防止するには十分ではないことも説明します。
② 相談者から「全部やって欲しい」と頼まれた場合、財産管理契約と任意後見契約、見守り契約と遺言書作成や死後事務委任契約等を複数の専門職が受任する等して、不祥事防止の体制を構築することが大切でしょう。