【終活・遺言・相続相談】相談例37 遺言能力

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例37 遺言能力についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

【相談内容】
相談者(55歳女性)から、「母(83歳)は物忘れがあって認知症の診断を受け、昨年から要介護2で施設に入所している。母の相続で弟(50歳)ともめたくないので遺言書を書いて欲しいが、認知症だと遺言書はかけないのだろうか」と相談された。

【検討すべき点】
認知症と言っても様々な程度があり、直ちに遺言能力を失うわけではありません。したがって、相談者の母の状況を詳しく聞いて、遺言が可能かどうか考えます。確定的なことはいえませんし、相続開始後に遺言の効力を争われることもありますから、争われない遺言書を作成するための工夫も必要です。

【1】遺言能力

① 「遺言能力」とは、一般に、物事に対する一応の判断力(誰に何を相続させるのか理解していること)を持っている状態で、遺言をするには遺言能力が必要です。
② 言動がしっかりしている場合は遺言能力を意識することはありませんし、意思表示がきわめて困難なら遺言書の作成は無理だと指摘します。
③ しかし、遺言者が認知症でその中間にある場合は、遺言能力がなかったとして遺言無効を争われる可能性があると考えておくべきです。
④ 遺言の有効性が問題になったときは、認知症の程度、遺言書作成時の状況、遺言書作成に至る過程などを総合的に勘案して遺言能力の有無が判断されます。
⑤ その判断はいつも事後的です。そこで、相談者に対しては、認知症の診断を受けている母が遺言書を書く際には、何に注意すべきかを説明することになります。

【2】遺言書作成の準備

① 日常生活では、遺言者の生活や介護の状況をビデオ撮影したり、介護日記などに記録するよう勧めます。
② ちなみに、他の相続人から、「母がこんな遺言書を書くはずがない」などと指摘されることがありますが、ビデオや録音などで遺言者が普段から繰り返して同じ趣旨のことを言っていたことが明らかなら、そうしたトラブルを招くこともありません。
③ かかりつけ医に対しては、遺言者の様子や言動をカルテに記載してもらうよう頼みます。長谷川式簡易知能評価スケール等の検査を実施してもらうことも重要です。
④ そして、かかりつけ医から「遺言は書けると思います」といった言葉がもらえるなら、その旨を記載した診断書を作成してもらうべきでしょう。医師がその診断書を書いても遺言能力があると確定できるわけではないのですが、重要な証拠になります。
⑤ なお、長谷川式簡易知能評価スケールは30点満点で20点以下で認知症の可能性が高いと言われ、10点以下では高度認知症の可能性が高いと言われています。なお、アルツハイマー型認知症でも遺言書作成時にはしっかりしている方もおられ、例外的ですが、長谷川式簡易知能評価スケールで10点以下(4点)でも、看護師との会話などの状況から遺言能力ありとされた判例(京都地判H13.10.10、東京地判H17.3.29)もあります。

【3】遺言書の作成

① 実際に遺言書を作成する場合について、遺言書の種類としては公正証書遺言を勧めます。公正証書遺言は証人2人の同席のもとで公証人が作成しますので、後日、遺言の有効性を争われる可能性が低くなりますし、形式的有効性も担保できます。
② 相談例でみると、要介護2とのことですので、公証役場へ出かけることは出来そうですし、公証役場に行けば、遺言者も気が張って、しっかり受け答えできることもあるでしょう(もちろん公証人に出張してもらうことも可能です)。
③ 次に、遺言の内容についてですが、認知症がある遺言者でも無理なく理解できる程度の簡単なもの(そしてできるだけ全相続人に公平なもの)に留めておくべきでしょう。その意味で複雑な内容を含む、予備的遺言や節税対策を施した上で各相続人や受遺者別に細かく財産を相続(遺贈)させる内容はお薦めできません。
④ そして、公証役場に出発するときの状況や公証役場での様子は、ビデオで撮影することを勧めます。なお、相談例では、介護認定の際の認定調査票や主治医意見書も資料となりますが、これらの資料は遺言能力の判断を目的にしたものではないので、それだけで決定的な意味を持つわけではありません。