【終活・遺言・相続相談】相談例38 遺言書を書かせたい相談

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【相談内容】
相談者(55歳男性)から「弟(53歳)と仲が悪いので、将来、相続でもめることは避けられない。今のうちに父(80歳)に遺言書を書かせたいのだが、なかなか書いてくれない。頑固な父に何とか遺言書を書かせる方法はないか」と相談された。

【検討すべき点】
父親に無理に遺言書を書かせるわけにはいきません。どうすれば父がその気になってくれるかです。このような場合には、父親の立場に立って、何が不安で、なぜ遺言書を書こうとしないのか、その理由を考えていくしかありません。「専門家から遺言書を書くように説得してくれ」という依頼を受けることもありますが、遺言書の有効性などを説明することはできますが、説得はしません。

【1】高齢者の立場

① 父親が遺言を書いてくれないという場合、いくつかの原因が考えられます。第一は、父親が認知症等で事理弁識能力がなく、相談者が頼んでいる内容が理解できない場合です。これは遺言能力の問題で、そもそも遺言書の作成は不可能です。
② 第二は、父親に判断能力があり、相談者が遺言書を書いてくれと頼んでいることは理解しているものの、相談者の言いなりに遺言書を作成したのでは、次男に申し訳ないと思い、作成していないケースです。この場合、次男とともに二人で、遺言書を作成するようにお願いすれば、父親が遺言書を書いてくれるかもしれません。
③ 第三は、父親には判断能力があり、相談者が遺言書を書いてくれと頼んでいることは理解しているものの、いったん遺言書を書いてしまうと、子らが言うことを聞かなくなり、施設に放り込まれるのではないか、蔑ろにされるのではないかという不安から遺言書の作成を拒否しているケースです。高齢者からすれば、財産の処分は自分に残された最後のカードであり、それを奪われたくないという気持ちがあるのは自然なことです。

【2】説得の方法

① 父親の内心まではわかりませんが、上記の三つのケースが多いように感じます。そうした場合に高齢者に遺言書を書いてもらうためには、どうしたらいいのでしょうか。
② 相談者からストレートに、「相続紛争のリスクが高いから遺言書を書いて欲しい」という頼み方があります。しかし、それは、相続人の都合であって、父親に何らメリットはありません。
③ 次に「相続紛争になれば、多額の相続税を払うことになる」という理屈も、その時にはこの世にいない父親には響きません。「早く書かないとボケるから」というのは逆効果です。
④ さらに、弟の非をあげつらい、相談者の希望する内容の遺言書を書くように頼んでも、父親は「考えておく」と言った反応でしょう。
⑤ であれば、できるだけ父親の話し相手になって、父親に感謝の気持ちを表し、父親の不安を一つずつ払しょくしていくしかないと思います。
⑥ 例えば、老後の資金は十分だし、いざとなれば自分が助けるとか、介護が必要になった場合はどのように対応するとかいった具体的な生活設計を説明し、対価を求めず、入通院の付き添いや買い物などの世話をしていくうちに、父親も少しずつ心を開いてくれるかもしれません。
⑦ なお、昭和生まれの高齢者は横並びの意識が強いので、統計が助けになるかもしれません。平成30年の公正証書遺言作成件数は110,471件で、令和元年の遺言書検認審判事件の新受件数は18,625件でした。二者を単純に合計して論じるのは適切ではないかもしれませんが、最近では、約15万人以上が遺言書を作成していると言われます。

【3】周囲を翻弄する高齢者

① 一方、遺言書を書くといって推定相続人の子どもたちを呼び集め、御託を並べてはみるものの、結局遺言書を書かないという高齢者もおられます。
② 本人はいたって真面目に「誰に何を相続させるか、大所高所から真剣に考えている。みんなの意見を聴きたい」とおっしゃるのですが、はたから見ていると、高齢者特有の良くあるパフォーマンスにしか見えません。
③ つまり、子どもたちの忠誠心を試し、「最後まで自分を大切にした者を優遇してやる」という行動にしか見えないのです。このような高齢者は、むしろ遺言書の内容を確定したくないので、劇的な変化がなければ、どこまでいっても遺言の内容は確定しません。
④ これも相続紛争のよくある原因ですので、士業が高齢者本人から相談を受けた場合には、やんわりとになりますが、たしなめることになります。
⑤ もっとも相続人の立場では踏み込むことができませんので、原則通り、父親が自発的に遺言書を書こうと思うような、行動をとるしかありません。遠回りのようですが、父親に寄り添い、世話をして、心を開いてもらうしかありません。