【終活・遺言・相続相談】相談例45 遺言信託

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例45 遺言信託についての記事です。

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【相談内容】
相談者(66歳男性)から、「付き合いのある都市銀行から遺言信託とやらを勧められている。今一つ理解できないのだが、どのような点に気を付ければいいか」と相談された。

【検討すべき点】
「遺言信託」とは、遺言・相続に関するコンサルティング、遺言書の作成と保管、相続財産の調査や名義変更を内容とする遺言執行を組み合わせた信託銀行や銀行のサービス(商品)の名称です。信用のある金融機関に後事を託すという意味で安心感はありますが、法律上の信託ではありませんし、金融機関でなければできないサービスでもありません。

【1】遺言信託の背景

① 平成6年ごろから、信託銀行は、遺言・相続に関するコンサルティング、遺言書の作成と保管、相続財産の調査や遺言執行等の業務に参入し、これを「遺言信託」と称して大々的に宣伝し始めました。
② もともとは遺言を契機に富裕層高齢者にアプローチして信託商品を販売する狙いだったと言われていますが、今では都市銀行、地方銀行なども遺言信託と称して同様の商品を提供しています。
③ 委託者、受託者、受益者は遺言信託の要素ではなく、信託行為も存在しませんから、法律上の信託ではありません。
④ なお、金融機関では、遺言信託の内容のうち、遺言がない場合の相続関連業務を「遺産整理」と呼んでいます。

【2】遺言信託の内容

① 遺言信託業務の内容は以下の3つに大別されます。
② 第一に、金融機関は、特に、富裕層高齢者の生活や資産の状況を聴取して、相続紛争予防、相続税対策、事業承継、融資、資産活用等の遺言・相続に関するあらゆるコンサルティングをしています。
遺言信託を始めてすでに20年以上が経過していますから、特に大手の金融機関は、このコンサルティングについては膨大なノウハウを蓄積していると思われます。
③ 第二に、金融機関は遺言書作成についても多くの経験を持っています。また、遺言書の保管も遺言信託の内容であり、信託を取り扱う金融機関によって構成される一般社団法人信託協会の統計によれば、令和3年3月末時点で、159,719通の遺言を保管しているそうです。
もっとも、公正証書遺言は全国300か所の公証役場で検索できますし、自筆証書遺言も遺言書保管制度を利用すれば、紛失や偽造改ざんの恐れはありませんから、今日では、銀行の大金庫で遺言書を保管していただく必要はありません。
④ 第三に、金融機関が遺言書を作成するときには遺言執行者の指名を受け、相続開始後には遺言執行者として活動します。相続開始後の処理については、相続人は自分で法定相続人や遺産を調査できますし、不動産・預貯金・株式・投資信託等の名義変更や換価手続きについても同様です。

【3】遺言信託の問題点

① 第一に、平成6年3月、信託協会と日本弁護士連合会は、紛争性のある相続事案に関しては金融機関が遺言執行者にならない旨の合意が成立しました。
② したがって、金融機関は、遺言信託として遺言書を作成しても、相続開始後に一部相続人から遺言無効を主張されたり、不満があるなどの申告を受ければ、直ちに遺言執行者を辞退又は辞任します。
③ その場合、相続人や受遺者は改めて家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てることになりますから、紛争が予想される案件に遺言信託は不向きです。
④ 第二に、金融機関は、遺言信託と抱き合わせで、資産に応じた投資信託等を勧誘するはずですが、それが不要なら、はっきり断るべきでしょう。ちなみに、士業が遺言書を作成する場合なら、特に問題にならない限り、現有資産の詳細を伺わないこともあります。
⑤ 第三に、金融機関が作る遺言書の内容はそつのないものになりますが、逆に、金融機関にとって安全確実な内容にとどまる傾向が強いと感じます。たとえば、処理に困難を伴う海外資産や農地・山林などは遺言執行者の義務から外している例もありましたが、それでは相続人が困ることになりかねません。
⑥ 第四に、金融機関は合併を繰り返し、30年前に13行あった都市銀行は現在4行に減りました。有人店舗も半減し、支店窓口で相談するには、インターネットでの予約が必要とされる時代であり、相続開始後のサービスの点についての疑問が残ります。
⑦ また、戸籍の収集などは相続人任せですし、相続人間に多少の誤解や感情のもつれがあっても、一切介入しません。これが行政書士や弁護士であれば職務上請求で戸籍を収集できますし、遺言者の家族とも顔なじみであれば、多少のフォローやきめ細かい対応ができるはずです。