エンディングノートと遺言の種類

エンディングノートと遺言をおなじものとかんがえている方が多くいらっしゃるようです。このよく耳にするエンディングノートと遺言の違いと注意点を見ていきましょう。

エンディングノートと呼ばれるものは、生前に自分の身の回りのことをまとめ整理し、死を迎える際にどのような医療を望むか、どのような葬儀や埋葬を望み、自分の財産をどうしたいか等を表明するものです。しかしこのエンディングノートには法的効果はなく、あくまでも自分の生前の意思を表明することで、残された方々に自分の希望を伝える効果しかありません。

一方遺言とは民法に規定のある法的効果があるもので、自分の死後財産をどのようにするのか等を意思表示することで、実際に死を迎えたのちに自分の財産を分配相続される際に記したことが実現するものです。この遺言を行うには法律の決まりに従って行わなければ無効となってしまい却って残された方々が混乱してしまいます。

ではどのような場合に遺言がよくて、どのような場合にエンディングノートが役立つのでしょう。これはどちらか一つというよりは全体としての意思表明にエンディングノートを活用し、法的に効果の認められた内容である財産の分与や子供の認知等身分関係については遺言ではっきりとして法的効果を発生させるようにした方がよろしいと思います。

遺言は書面に残さなければ当然自分の死後に法的効果は発生しません。この書面にしたものが遺言書になりますが、3種類に分類されます。自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つですが、それぞれにメリットデメリットがあります。

自筆証書遺言は全文を自書し押印が欠かせません。パソコンで作成したり、代筆してもらった場合は無効になります。自書は本文のみでなく、日付(〇月吉日は無効)氏名まですべてです。しかし、平成31年1月13日より施行された改正相続法の規定により、「財産目録」についてはパソコンでの作成や、登記簿謄本、預貯金通帳のコピーを添付することが認められました。この添付の際には、各財産目録ごとに、「署名して、押印」することが必要になります。この方式は自分のみで作成でき一番時間も費用も掛からない方式と言えます。しかし、自筆証書遺言が作成後改ざんされたり、紛失や破棄されてしまうことや、本当に本人が自書したか死後にもめる可能性があります。また、残された人が遺言内容を確認するには家庭裁判所に「検認」を申請する必要があります。

公正証書遺言は本人と証人2名が公証役場へ出向き(場合によっては公証人が出張することもできる)遺言内容を口述し、公証人が公正証書に記載します。この方式ですと、死後に残された方が家庭裁判所へ「検認」を申請する必要はありません。公正証書遺言作成時に公証人にて本人確認をしますので、確実に本人の遺言と証明されます。また公証役場にて正本を保存しますので紛失や破棄なども起こりません。しかし公証人の手数料や証人の日当等自筆証書遺言より費用が掛かることになります。

秘密証書遺言は遺言証書を封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑と同じ印鑑で封筒に押印する。そしてその封筒に公証人が本人の申述した住所氏名と自分の遺言を封入した旨を記載する。最後に公証人と証人が封印された封書に署名押印を共にするもので、遺言内容を他人に知られることなく遺言を残したことを公証してもらえる。この秘密証書遺言の場合には、自書でなくてもパソコンで作成したり代筆をしてもらった遺言書でも有効とされる。これは自書できない方にはよい方式であるが、やはり「検認」の申請は必要になり、封印した遺言書の紛失や破棄の危険は残る。

費用の面に検討材料は残りますが一番確実な方法は公正証書遺言であると言えるのではないでしょうか。

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