【相続・遺言について】相続財産④借地・借家の場合

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続財産④(借地・借家の場合)について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】◆父が突然亡くなり、兄弟で財産を分けることになりました。

1.父は、生前、土地を賃借して、その上に持家を建て、そこに住んでいました。

①父が亡くなった後、この土地を借りる権利はどうなるのでしょうか?仮に父が、この土地を友人から無償で借りていた場合、違いはありますか?

②私たちの母は早くに亡くなくなっており、母の死後、父はAさんと事実上の夫婦として、父の持家に2人で長年にわたって住んでいました。現在もAさんは其の家に住んでいます。私たちとしては、家を自由に使うため、Aさんに家から出て行ってもらいたいのですが、これは法律上可能でしょうか?

2.父は生前アパートの一室を賃借して住んでいました。

①父が亡くなった後、このアパートを借りる権利はどうなるのでしょうか?仮に、このアパートが、父が長年の友人から無償で借りているものであった場合、違いがありますか?

②私たちの母は早くに亡くなっており、母の死後、父はAさんと事実上の夫婦として、そのアパートに2人で長年にわたって住んでいました。現在もAさんはそのアパートに住んでいます。このたび、Aさんは賃貸人(大家さん)から立ち退くように求められているそうです。私たちもAさんにはアパートから出て行ってもらいたいと思ってます。大家さんや私たちの請求は法律上認められますか?

 

【A】◆1.土地を借りる権利

民法上は、相続人は、相続開始により「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と定めています。これにより、被相続人の所有権や債権、債務、財産法上の法的地位などが包括的に相続の対象となります。

土地の賃借人たる地位についても、財産法上の法的地位といえ、相続の対象になるので、本件では、お父さんの賃借人たる地位を兄弟で相続することとなります。

他方、お父さんが無償で土地を借りていたという使用貸借契約の場合には、お父さんの死亡により契約は終了しますので、相続の対象になりません。

 

◆2.内縁の場合

お父さんの死亡により、持ち家の所有権は兄弟が相続します。内縁であったとしてもAさんには法定相続分はありません。そうすると、Aさんは、お父さんの死亡後、兄弟の持ち家に権限なく居住していることとなるので、兄弟は明け渡しの請求ができるのが原則です。

しかし、常にそのような主張を認めると、長年、お父さんの持ち家に居住しているAさんの利益を害します。

そのため、判例上は、相続人が内縁の寡婦に家屋の明け渡しを求めるのは権利の濫用だとして内縁の配偶者の保護を図ったものがあります。したがって、本件でも、明け渡しの請求が権利の濫用にあたらない限り、Aさんに家から出て行ってもらうことが可能です。

 

◆3.アパートを借りる権利

お父さんがアパートを賃借していた場合も、土地を賃借していた場合と同様に、賃借人たる地位を兄弟で相続することとなります。

また、アパートを無償で借りていた場合も、土地を無償で借りていた場合と同様に、お父さんの死亡によりその使用貸借契約は終了しますので、相続の対象になりません。

 

◆4.明渡しの請求

Aさんは法定相続人ではありませんので、お父さんの賃借権を相続することはありません。そうすると、お父さんの死亡により、大家さんからAさんに対する明け渡しの請求が認められそうです。しかし、これを認めるとAさんにとって酷です。

そこで、判例は、Aさんが相続人の相続した賃借権を援用して居住の権利を主張できることを認めました。

兄弟としては、相続した賃借権について、あえて賃料を不払いにして大家さんから債務不履行解除を受けたり、賃借権自体を放棄したりすることでAさんをアパートから出て行ってもらう方法も考えられますが、下級審の判例には、賃借権の放棄を無効と判断したものもあります。

したがって、本件でもAさんが賃借権を援用し、賃借権の放棄が無効と判断されたような場合には明け渡しの請求は認められません。

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