【改正民法債権編】無催告解除が可能になる要件

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、無催告解除が可能になる要件について考えてみたいと思います。

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無催告解除が可能になる要件

無催告解除が可能になる要件、一部解除の規定を整備

 

◆無催告解除
原則として、債務不履行があったとしても、債権者は催告をしてからでないと解除ができませんが、催告を要件とするのは、あくまで債務者が履行をすれば、契約の目的を達することができる場合です。

催告をしても、契約をした目的を達するだけの履行を受ける見込みがない場合にまで、債権者に催告を要求することには意味がありません。
したがって、このような場合には、債権者は債務者に対して履行の催告を行なうことなく、いきなり契約を解除することが認められています。
これを「無催告解除」と言います。

新法542条は、無催告解除が可能な場合、すなわち契約の目的を達するだけの履行を受ける見込みのない場合について、網羅的に要件を定めました。旧法542条が定めていた定期行為の履行遅滞による解除、旧法543条が定めていた履行不能による解除は、無催告解除が可能な場合の1つとして位置づけられました。

 

◆無催告解除の要件(新法542条1項)
①全部の履行不能(同1号)
そもそも債務を履行することができない場合です。
たとえば、不動産売買契約の締結後、同じ不動産が別の人にも売られ、後から現れた買主に登記も移転されてしまった場合です。

②確定的履行拒絶(同2号)
債務者が、債務の履行を拒絶する意思を明確に表示している場合です。
「明確に表示」という表現には注意が必要です。ここでの履行拒絶は、履行不能と同様に扱ってよい程度の状況が必要であり、交渉の過程で単に債務者が履行を拒絶する旨を発言しただけでは不十分とされています。

③一部の履行不能・確定的履行拒絶(同3号)
契約に基づく債務の一部が履行不能になり、あるいは一部について債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示していて、かつ、残る債務の履行だけでは契約をした目的を達することができないときです。

④定期行為(同4号)
定期行為とは、特定の日時または一定の期限内に履行しなければ、契約の目的を達することができないような債務を言います。
典型例がクリスマスケーキの販売です。クリスマスイブにケーキが必要な人に対して、12月24日までに引き渡さなければ、クリスマスケーキは意味をなさなくなってしまいます。このような場合、12月24日の経過とともに無催告解除が認められます。

⑤その他契約目的を達成できないとき(同5号)
無催告解除の趣旨に照らして、債権者が催告をしたとしても契約目的を達成するに足りる履行がされる見込みがないことが明らかな場合に、一般的に無催告解除を認めています。

 

◆一部解除
新法では、無催告解除の要件を整理したほか、前記①・②の事由が債務の一部について生じている場合に、契約の一部を解除することができると定めています(新法542条2項)。ただし、一部解除が可能なのは、契約内容が複数に分割できることが前提となります。

 

◆実務での対応
法定解除の可否については、不履行が軽微か否か、契約目的の達成が可能か否かという事例ごとの判断となるため、後から裁判所に解除は無効であったと判断されるリスクがあります。
このリスクを回避するために、契約書において、解除ができる場合とできない場合を事前に取り決めておくことが有用です。

たとえば、付随的な債務や特約で定めた債務については、前もって契約書において、その不履行が解除理由となることを定めておくことが考えられます。

また、複数のサービスに関する複合的な契約においては、一部解除を防ぐために、契約は一体であって、一部の解除は認められない旨を規定しておくことも有用でしょう。

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