【改正民法債権編】債務者の処分権限

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、債務者の処分権限について考えてみたいと思います。

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債務者の処分権限

従来の判例のルールとは異なる定めを規定

 

◆債務者の処分権限
債権者が債権者代位権を行使した場合、債務者は自己の権利を行使することはできるのでしょうか。

旧法では、このような債務者の処分権限についての明文の定めがなく、解釈に委ねられていました。
債務者の財産管理の自由と、債務者の財産維持に利害関係を有する債権者の利益調整という見地から、債務者の処分権限をどのように考えるべきかが議論されていました。
債務者の自由を重視すれば、代位権行使とはまったく別に債務者が第三債務者に対して弁済を求める等の権利行使を認めるべきということになります。

一方で、債権者の利益という点を重視すれば、代位権行使後に債務者による権利行使を無制限に認めた場合、債権者による代位権行使が無駄になってしまうため、債務者の権利行使には一定の制限を設けるべきということになります。

 

◆旧法における判例の考え方
代位権行使後の債務者による債権処分についての判例は、債権者が債務者に代位の通知をするか、または債務者が債権者の代位を知ったときは、債務者は権利行使をすることができないとしています。

 

◆新法による判例ルールの変更
新法は、債権者が債権者代位訴訟をを提起したときは、債権者は遅滞なく、債務者に訴訟告知をしなければならないものと定めました(新法423条の6)。
この訴訟告知と旧法の判例の考え方からすると、新法の下では、債務者に対して訴訟告知がなされる結果として、少なくとも債権者代位訴訟が提起された場合には、債務者は代位の対象となる債権について処分権限を失うと考えることになりそうです。

しかしながら、新法は、債権者代位権の行使後も債務者は代位の対象となる債権について処分権限を失わず、債権者による代位権行使とは別に取立て等をすることができる旨を明文で定めました(新法423条の5)。
これは、債務者に代位が通知されたか、債務者が代位権行使を知った後は、債権の処分ができないとする従来の判例の扱いとは異なる定めということになります。

債権者代位権は、債務者が自ら権利行使しない場合に限って債務者の財産への干渉が認められる制度であり、本来債務者は自由に自己の財産を管理できるはずです。また、債権者により債権者代位権が行使されたことを契機として、債務者が権利行使するということは、債権者代位権制度の目的が達せられたともいうことができます。このような考え方の下、新法は従来の判例の解釈と異なる定めを規定しました。
さらに、同じ条文において、第三債務者も、債権者代位権が行使されている中で、債務者に対して債務を弁済できることも明記されました。

 

◆これまでと異なる対応の必要性
旧法の判例の下では、債権者代位権を行使した債権者は、債務者に対して行使の事実を通知すれば、債務者による権利行使を制限でき、債権者を差し置いて債務者が第三債務者から債権を取立てるような事態を防ぐことができました。
しかしながら、新法の下では、たとえ債権者が債務者に通知したとしても、債務者が第三債務者から取立てることや第三債務者が債務者に対して弁済することを防げません。

そのため、債権者代位権を行使した債権者としては、このような債務者による取立てや第三債務者による債務者への弁済を防ぐために、債権者代位権の行使と併せて、債務者の第三債務者に対する債権の仮差押えも考える必要が生じます。
これまでになかった対応であるため、実際に債権者代位権の行使を考える際には注意が必要です。

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