【終活・遺言・相続相談】相談例29 生前贈与

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例29 生前贈与についての記事です。

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【相談内容】
相談者(78歳女性)から、「同居して世話になっている長女(53歳)とその夫(55歳)に各1,000万円、その娘たち2人(25歳、23歳)に各300万円を贈与しておきたい。次女(52歳)には内緒にしておきたい。気を付けておくことはあるか」と相談された。

【検討すべき点】
高齢の親は、様々な動機で家族に財産を贈与します。生前贈与には、それが贈与税又は相続税の対象となるという税務に関する問題と、遺産分割の際に特別受益として影響しないか、遺留分侵害額請求権の対象とならないか、又は同請求権の減額要素にならないかといった相続に関する問題があります。

【1】贈与税

① 相談例の場合で暦年贈与の適用があるとすれば、長女の夫に対する1,000万円の贈与に対しては、(1000万円-110万円)×0.4-125万円=231万円の贈与税がかかります(直系尊属からの贈与とそうでない贈与では税率が変わります)。
② 孫2人に対する各300万円の贈与には、それぞれ、(300万円-110万円)×0.15-10万円=18万5千円の贈与税が課税されます。合計2,600万円の贈与につき、受贈者側に合計445万円の贈与税が課税されます。
③ そこで、相談者がこの金額の贈与税がかかることを知って贈与するのかを確認します。時折、「必ず贈与税がかかるのでしょうか。税務署にばれるのでしょうか」と尋ねられることがありますが、税務署の調査能力を侮ってはいけません。所定の贈与税を納付すべきです。
④ 高い贈与税率を避けるためには、暦年贈与を繰り返すか、相続時精算課税制度の利用を検討するように勧めます。なお、贈与から3年以内に贈与者が亡くなって相続が開始した場合には、贈与税ではなく相続税が課税され、すでに贈与税を支払っていれば、差額の還付が受けられます。

【2】特別受益

① 相談者の相続が開始した場合、長女は共同相続人ですから、長女に対する1,000万円の生前贈与が特別受益に当たる可能性が高いことを指摘します。これに対して、長女の夫や娘たちは相談者の相続人ではないので、原則として特別受益の問題は生じません。
② 長女への生前贈与が特別受益となった場合の効果として、1)その贈与が何年前のものであっても相続財産に持戻されること、2)その相続財産をもとに各相続人の具体的相続分が計算され、長女は1,000万円の先払いを受けたとみなされること、3)ただし、特別受益の遺産分割の具体的相続分が0円以下になっても、すでにもらった財産の返還を要しないことを説明します。
③ 相談者は世話になっていることの感謝として、あるいは今後も世話になることを期待して長女に生前贈与するのでしょうから、遺産の前渡しとしての性格はないと思われます。とすれば、黙示的な持戻し免除の意思表示があったとも考えられますが、無用な紛争を避けるため、相談者には持戻し免除の趣旨を遺言書など書面で残すように勧めます。
④ 生前贈与の対象が不動産だった場合、特別受益の額は、相続開始時を基準として計算されます。ただし、現預金については、最近30年間、物価水準はほぼ一定していますので価額の修正は不要でしょう。

【3】遺留分侵害額請求権

① 長女も次女も遺留分権利者ですから、相談者の相続において次女が遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができ、生前贈与は遺留分の算定基礎に加えられることがあります。特に問題となるのは、特別受益と遺留分侵害額請求権の関係です。
② なお、長女の夫や孫に対する贈与は特別受益に当たりませんが、相続開始から1年前までの贈与と、それ以前の贈与であっても遺留分権利者に損害を加えることを知って行った贈与については、遺留分の算定基礎となり、遺留分侵害額請求権を行使される可能性があり、相談者へ説明をします。

【4】生前贈与の告知

① さて、相談者の「次女には内緒にしておきたい」という発言は「次女には財産を与えたくない」と聞こえますが、実は次女にも「長女には内緒だよ」と言って生前贈与をしているかもしれません(高齢者は秘密めいた言動で子らの気を引く傾向があります)。
② しかし、相続開始後に金融機関の取引履歴から多額の出金や送金が明らかになり、その手続きへの関与者、出金の取得者やその趣旨をめぐって紛争が長期化することがご承知のとおりです。
③ したがって、相談者に対しては、相続紛争の原因を少しでも減らしておくために、遺言書やその他の書面で、「長女一家には面倒を見てもらっているので、令和〇年〇月〇日に総額2,600万円を贈与した。ただし長女への贈与1,000万円について、持戻しは免除する」、「次女にも自宅購入費として平成○年〇月〇日に3,000万円を贈与したが、それも持戻しは免除する」などと残しておくように勧めます。