【孤独死をめぐるQ&A】Q25 遺体の腐敗防止 エンバーミング

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【孤独死をめぐるQ&A】Q25 遺体の腐敗防止 エンバーミングについての記事です。

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【Q25】兄は離婚をしていますが、子どもとは交流をしていました。先日、兄が急死したのですが、兄の子は海外赴任しており、私に連絡が来ました。
兄の子に死亡を伝えたのですが、帰国までに数日、時間がかかってしまうようです。葬儀は兄の子が帰国してから行いたいのですが、夏なので、その間に遺体が腐敗してしまわないか心配です。

【A】エンバーミングという方法で腐敗防止処置をとることができます。
エンバーミングの対応ができる葬儀社に依頼して、腐敗防止処置をしてもらえば、遺体を腐敗させずに保全できます。

【解説】

1 エンバーミングとその法的問題点

① エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法をいいます。
② エンバーミングをすれば、遺体は腐敗しませんので、事実上、死体を永続的に保存出来てしまいます。
③ しかし、日本では、死体解剖保存法という法律で、死体の保存について規制がされています。医学大学や病院が医学教育、研究のために必要があるとして死体の保存をする場合以外は、死体解剖保存法19条により、遺族の承諾だけでなく、保存しようとする地の都道府県知事(政令指定都市では市町、特別区は区長)の許可が必要とされています。
④ また、エンバーミングを行うためには、遺体を切開して血液と保存液を入れ替えるのが一般的ですが、それは遺体を損壊しているとも思えます。遺体を損壊した場合、死体損壊罪(刑法190条)に該当する可能性があります。

2 厚生労働省による研究報告

① 上記のようにエンバーミングについては、一見すると法的に疑義がある行為に思えます。
② この点については、エンバーミングが日本で紹介された平成3年頃に厚生省(現厚生労働省)が法医学者、検察庁、警視庁、弁護士などの専門家によるエンバーミングに関する研究班を設置し、平成4年3月に「わが国におけるエンバーミングのあり方に関する研究」という研究結果を公表しています。
③ この報告書において、エンバーミングについては、⑴刑事訴訟法による手続が完了していること、⑵死亡診断書(検案書)が交付されていることにより死因が確定していること、⑶遺族の承諾があること、⑷技術的にも死者への礼節の点からも適切なエンバーミングが行なわれていることの4項目を満たした適切なエンバーミングが行なわれる限りは、エンバーミングが違法性を構成するケースはないと報告されています。

3 業界団体による自主規制

① 平成6年には、エンバーミングの業界団体である一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が以下のような自主基準を設けています。
② ⑴本人または家族の署名による同意に基づいて行うこと、⑵IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持った技術者によってのみ行われること。
③ ⑶処置に必要な血管の確保及び体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後に縫合・修復すること、⑷処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬又は埋葬すること。
④ 死体解剖保存法により無許可で遺体を保存することはできませんので、遺体保存期間を50日までと定めています。

4 エンバーミングの違法性

① 上記のように、エンバーミングは直ちに違法というわけではありませんが、やり方によっては違法になる可能性をはらんでいます。
② もっとも、エンバーミングは平成29年には4万2760件実施されているようですが(IFSA「遺体衛生保全概論」)、現状、自主基準にのっとったエンバーミングについて遺体損壊罪や死体解剖保存法に違反して刑事事件化したということは聞いたことはありません。
③ このような状況に照らせば、IFSAの自主基準にのっとっているエンバーミングは、現状では違法とまでは判断されていないと言えます。
④ IFSAの自主基準にのっとっていないエンバーミングは、そのすべてが違法ということではありませんが、業界団体が自主基準を設けており、違法と判断されていないのであれば、エンバーミングを希望する方は、自主基準に従ったエンバーミングを選択しておいた方がよいでしょう。